楽興の時・音の絵

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■鳥獣戯画がやってきた――国宝『鳥獣人物戯画絵巻』の全貌
2007年11月3日〜12月16日 サントリー美術館(12月9日所見)

 「日本最古のアニメーション」とも言われる「鳥獣戯画」。その甲乙丙丁全4巻を一挙に公開する企画を見に、六本木の東京ミッドタウンに開館したサントリー美術館に出かけた。

 「鳥獣戯画」といえば「鳥羽僧正作」として伝えられてきた。だが、会場の説明によると「鳥羽僧正が生きたのは12世紀前半まで、『鳥獣戯画』は12世紀後半以降の作と考えられるので、鳥羽僧正を筆者と考えるのはどうも難しいようだ」という。では、いったいだれが描いたのか。これまでの研究では、「密教の絵仏師が描いたという説」と「宮廷絵師が描いたという説」とがあるそうだ。その4巻セットも、当初からセットだったのではなく、さまざまな改変を経て現在の姿になったと考えられているらしい。「鳥獣戯画」の主題についても諸説あって、「平安末の退廃した貴族や僧侶、あるいは新興の武士を風刺したという説」「仏教の六道思想に基づき人畜界や畜生界を描いたとする説」などが唱えられている。

 今回はじめて実物を見る機会を得るなかで、こうした研究の成果を知り、また、残された数多くの断簡や摸本類もあわせてみることができた。絵としていきいきして楽しいのは、動物が擬人的に描かれている「甲巻」だろう。しかし、当時の風俗を知るには「丙巻」の盤上ゲームや「首引き」などに興じる人間たちの姿が興味深い。

 平安時代の鳥羽僧正の絵を模したと推定されている、室町時代の絵画のなかに描かれた「放屁合戦」などの絵は、ばかばかしくも面白かった。

 「鳥獣戯画」は狩野探幽が「縮図」を残しているように、狩野派など後世の画家に大きな影響を及ぼしていることも、今回の展示はわかりやすく紹介している。それはさらに、明治画壇へも受け継がれ、河鍋暁斎の「暁斎画談」にもその影響の跡を見ることができる。

 図録(2300円)を買って帰ったが、蛙や兎、猿の絵柄の入ったエコバッグをくれたのはよいサービスだ。

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