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銀座で人と会うことになっている。僕は
ブルガリの時計も、バーバリーのコートももっていなし エドワード・グリーンもジョンロブも履いたことがない。 およそ銀座にふさわしくない人種である。 LEONとは対極の「いけてないオヤジ」をしている。 じゃあ、ストイックな清貧生活なのかと問われれば これも、どうも違う。貧は貧だが、清ではないのである。 邪心はあるし、散在はするし、衝動的だし…。 オペラだったり 伊東屋だったり、飯やだったり 後に残らないものに 散在する傾向があるので ちょいモテ・パスポートには 未来永劫、手が届かない。 ともかく銀座である。 少し早めに出て、また高輪に行く。 高輪の伊皿子坂を上り 魚藍坂を下る。 この通りの右側、 慶応大学にかけての界隈は、 谷中かと見まごうほどの寺町である。 数えきれないほどの寺が林立している。 魚藍坂の名の由来になった 魚藍寺という寺もある。 魚藍寺のすぐ下、 糸井重里さんの事務所との間に 大信寺という寺があった。 江戸の初期、三味線づくりの始祖と、 ここに埋葬されたことから 三味線寺と呼ばれていたとか。 ここの門前に立派なチラシが 置かれていたので 何気なく手に取ってみて、驚いた。 海面を飛ぶ軽飛行機の写真に、 空中散骨という白抜き文字。 写真には「住職操縦写真」と いう添え書きも。 シンプルでいいデザインである。 イトイ先生のアドバイスか? それはともかく、パンフレットは 調布空港からセスナに乗って、 東京湾上で遺骨を撒こうという お誘いなのである。 しかも、希望すれば 操縦資格をもった僧侶が 同行してくれると言う。 約90分のフライトで価格30万円。 ブーンと飛んで、 ナムアミダブツと読経をし パラパラと撒いて、おしまい。 これって、結構、魅力的だなぁ。 子孫に美田どころか 美時計も美服も美靴も 残せない者には すごくふさわしいような気もするし…。 そんな深い思索とともに、銀座に戻る。 九兵衛に予約を入れてある、とか。 ランチでも小1万円はする高名な 寿司屋である。また散在である。 江國滋さん(香織さんのお父さん)は 喰いものを文に描くことにかけては 絶後の名人だったが 悲しいかな、僕にはそんな筆力はない。 なので写真鑑賞。 |
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