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僕の人生の理想は、西行である。
願わくは花の下にて春死なん…と詠った 平安・鎌倉時代の歌人。 淡々と生き、淡々と死ぬ。 そういう枯れた人物でありたいと常々、切望してきた。 しかし、時折、じゃまが入る。 今日も桜の色づき具合を見ようと 近くまで来たついでに目黒川沿いを 歩いてみることにしたまでは西行だった。 おお、いい色になったなぁ。 花が咲く頃に死なずとも、葉の色づく頃もありか と、にわか・西行は思う。 美しき花を持つ木は、枯れるときも美しい となりきり・西行は呟いてみる。 そのときである。 赤いカットソーっぽい襟ぐりの大きなシャツを着た女が 向こうからやってきた。知り合いのライターである。 1号前の雑誌FRaUで韓国のルポを掲載し、写真にまで登場していた。 エステの紹介のところでは 惜しげもなく肉体をさらけ出したりして…。 赤い色に惑わされたのだろうか 西行はとたんに、深い思索などどこ吹く風、 とばかりに、生の享楽へ走り出してしまう。 お茶でも飲もうか。 * 今朝もそうだった。 約束の時間より30分〜40分早めに 仕事の場に着くように家を出て その近くのコーヒー店に入った。 モカブレンドを啜りながら、 流れるMozartに耳を傾けて、 西行タイム、とするつもりだった。 しかし、すぐ目の前の、この光景…。 ロングスカートにブーツという 難しいコーディネートを さり気なくキメるマドモアゼル。 その組んだ足先が指揮棒のように踊る。 催眠術にかかったかのように ただボーッと眺め入るばかり。 黒い色にも惑わされてしまう。 西行するのは難しい。 * 締めはもっと情けない。 青山・骨董通りでの打ち合わせを終え 表通りに向かっていたとき、正面のビルに かかっていた看板。 クリッツィアの 布製の広告なのだが フレームはパイプなので、 絵柄だけが 風に細かく波打つのである。 外人モデルの洋服が さざめく姿を見ただけで 西行の心も 千々にさざめく。 もうだめ、色の問題じゃない。 たかが、看板なのに 煩悩にかき乱されてどうする と我ながらあきれるが…。 23歳で出家し、諸国を 行脚した本家・西行法師。 23歳の会社勤め以来 麻雀、競馬にうつつを抜かし 小払い伝票をごまかし 社用タクシーを私用に使う… そんな狼藉社員を 続けてきた人間には 美しく枯れることなど 見果てぬ夢なのか。 今頃になって ちょっと反省。 |
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ああ、相変わらず面白いな〜。(なんて殆どプロの物書きさんみたいな方に失礼か)朝からプッとさせて頂きました。きっと、枯れていないdumasさんだからこその記事なのでは?ちなみに真ん中のティアードスカートにブーツの女性は同性の目から見ても惑わされそうです(笑)
2005/11/11(金) 午前 6:43 [ - ]
お姉さん、枯れたいんですよ、僕は。もう、そういう歳だし。枯れて、キャー、シブーイって言われたいんですよ。
2005/11/11(金) 午前 7:05
女性という存在の魅力は、白黒とかRGBだろうが、もう関係ないことがわかりました。そこに在ることの恍惚と不安なんです。naganagataさんだって、西行の敵なんだゾ(笑)。
2005/11/11(金) 午前 7:12
ティアードさんに目がいきましたか、yamayamaさんは。うん、この人はちょっとヌキんでてました。ストロボ炊けない隠し撮りなので、足元が暗くなってしまい分かりにくいかも知れないけど、ボリュームスカートなのに、重さを感じさせないのは、ワザだなぁ、とほんと感心。
2005/11/11(金) 午前 7:19
鋭い感性!恐れ入りました。
2005/11/11(金) 午前 8:19 [ iid*ai*23* ]
真ん中の方、オシャレですね。見習いたいものです。Dumasさんの感性と表現力も、見習います。
2005/11/11(金) 午前 8:45 [ - ]
あぁ私の視点の低さに反省してしまう。胸元より赤に!(この赤を着れるのはポストか、この女性か?)スカートより半そでに!(寒そ!)足元より腰のくびれ(いいなぁーこの細さ)に目が行くのです(笑)
2005/11/11(金) 午前 11:21 [ koki ]
こんにちは^^色とりどりの秋に酔っているdumasさん、私も写真アップしましたので覗いて見てください。あまり美人は登場しませんが・・今からお仕事なので,とりあえず。行ってきます・・
2005/11/11(金) 午後 1:39
男鑑識眼に長けたiideaiさんに誉めていただければ、鬼に金棒、ブログにタリウム、心強く、これからの人生を生き抜いていけます。
2005/11/11(金) 午後 9:09
玲子さん、僕のものはいい加減なものですから、よいこの皆さんは真似をしないでください。でも、まんなかの方のセンスはどうぞ盗むなり、見習ってやってください。そういう人たちが増えれば増えるほど、僕は、ブログのネタに困らなくなるし、私生活にもハリが出てきますので。
2005/11/11(金) 午後 9:13
まあさんの視点と僕の視点を合わせれば、それで1人前ということですね。東京も、この頃、今時分の季節なのに半袖、という人が目立ちます。皮ジャンの下はTシャツとか…ほとんどロスなみなんですが、寒くないのかなぁ、寒がりの僕には信じられません。
2005/11/11(金) 午後 9:17
なでしこさん、拝見しました。しばし、紅葉を堪能。写真画像の紅葉だとよそ見もしないし、西行な気持ちでいられました。唐紅(からくれない)なんて言葉だって数十年ぶりに思い出しました。深謝。
2005/11/11(金) 午後 9:21
こんばんは。 女性である私もくすぐられるような目の付け所なのに、あくまで男性目線。 その絶妙なバランス具合にやられますね。
2005/11/11(金) 午後 10:48 [ hoo ]
まあ、嬉しい事を言って下さる♪今まで誑かしたことなんてありませんわ。おっと誑かすとは「言べん」に「狂う」ですか。ほぉ〜、、。狂わせてみたいですね〜、言葉で♪
2005/11/12(土) 午前 5:37 [ たつたみどり ]
アルゼンチンから、難しい漢字が届きましたねぇ。。たぶらかす?…変換…誑かす。おーあってた。誑誘(きょうゆう)…たぶらかして誘う。なるほど、西行さんが経験しなかった領域の言葉ですね。もちろん、清廉・高潔なdumasさんも。
2005/11/12(土) 午前 9:58
hooさん、こんばんは。この間、コメントをいただいたのでエキブロ(東京駅構内の東京温泉みたい)のhooさんのものを読ませていただきました。ちょっと、影響されたことがあって、今日か、明日、そのことを記事にしますね。
2005/11/12(土) 午前 10:01
この世は煩悩の世界ですから・・・。沸き出てくる心を押さえる事は難しいのでは?
2005/11/12(土) 午後 3:41 [ coron ]
コロンさん、お久しぶり!!! お元気でしたか? 煩悩といっても、人によって濃度が違います。この歳になっての煩悩なぞ、薄い霧のようなものなんですが、それがあるために、写真で言えば、ピン甘だったり、ぶれたり…ああ、「人生」という題名のいい写真を撮りたい。
2005/11/12(土) 午後 11:45
濃くとも薄かろうとも、煩悩があってこそ生きている証拠。煩悩の人生は写真にどう写るのか…。
2005/11/13(日) 午後 8:32 [ coron ]
コロンさん、哲学的だなぁ。煩悩は生きている証拠ですかぁ。じゃあ、まだ数年、こんなものとつきあっていかなければいけないのかぁ。
2005/11/13(日) 午後 10:02