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【オーボエ奏者 渡辺克也のベルリン音楽旅行】 

素晴らしきフランスチーズの世界

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オーボエ奏者の渡辺克也(瀧誠四郎撮影)
 
ベルリン・ドイツ・オペラのフランス人首席フルート奏者、エリック・キルヒホーフは、私の元同僚でまた無二の親友でもあります。
世界で最も権威あるミュンヘン・コンクールで1位無しの2位に輝くなど大変な名手でありまして、双子の弟パトリスもフランス国立管弦楽団ピッコロ奏者です。
グルメの街ストラスブール生まれですから、フランスチーズを実家からベルリンまで欠かさず送ってもらっています。
    本場フランスでは、加熱殺菌していない牛乳から作られたのでなければカマンベールを名乗れないそうで、それを守っていない上にハーブ入りなどのバリエーションまでもあるドイツ製カマンベールには、全く我慢ならないそうです。
    演奏旅行で日本に行った際、スーパーでチーズが売られているか真っ先に調査しましたのは、フランス人の彼としましては当然の成りゆきでありましょう。
   「日本にもチーズがあった。四角くて真空パックされている、チーズという名前のチーズが!」と嘆いていました。
    ヨーロッパではゴーダ、エメンタール、ゴルゴンゾーラ、といったナチュラルチーズが種類も豊富にありますが、チーズという名前のチーズはありません。
    フランスチーズに興味津々の私は、ソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルクの演奏旅行でパリに行く前に、主だった種類のチーズリストを作ってもらいました。
    冷蔵ショーケースに何十種類も並んでいるチーズ売り場を前にして、フランス語が全く話せない私でもそのリストさえ渡せば全て事足りるようにです。
    喜々として20種類もメモしてくれます。
   激しい臭いを放つチーズも手加減せずに入れてくれと頼みましたので、フライトの機内で迷惑にならないよう、お店で真空パックにしてください、とフランス語で書き添えてくれました。
    本場フランスチーズの世界、素晴らしかったです。
   ただそのヨーロッパも、こと魚につきましては相当貧弱であると言わざるを得ません。
   ムニエルなどにすると美味(おい)しい、おろした状態の淡泊な冷凍の白身魚が、1キロ袋入り400円くらいで手軽に入手できます。
    ご丁寧に皮を剥いであるので、魚の皮の美味しさを知る日本人といたしましては、残念ですねえと思うのですが、もっと驚くのは、魚の種類の欄に「深海魚」と書かれていることです。
深海魚という名前の魚はいません!
◇ 
【プロフィル】渡辺克也
 わたなべ・かつや 1966年生まれ。東京芸大卒。91年、ドイツに渡り、ベルリン・ドイツ・オペラ歌劇場管弦楽団の首席奏者などを歴任。現在はソリスツ・ヨーロピアンズ・ルクセンブルクの首席奏者として活躍している。
2012.9.16 09:05 
産経新聞


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