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好業績でもリストラ 国際競争に勝ち抜くJTの覚悟
2013.11.17 07:00 産經新聞
平成25年9月中間決算で2371億円の最終利益を計上し、上期の最高益を更新した日本たばこ産業(JT)が、国内たばこ部門で1600人規模のリストラに踏み切る。好業績下でふるう“大ナタ”は、雇用を重視する日本式経営に照らせば異質だ。しかし、過去には国内従業員の3分の1を削減した同社にとっては、厳しさを増す経営環境で国際競争を勝ち抜くために避けられぬ選択だった。
■市場先細り
「たばこの消費が増えることは予想できない」
25年9月中間期の決算発表を翌日に控えた10月30日。東京・虎ノ門のJT本社2階ホールで、たばこ部門トップを務める佐伯明副社長は、報道陣にこう繰り返し、人員削減に理解を求めた。
JTが掲げたリストラ策では、28年3月末までに、たばこ関連の国内4工場を閉鎖し、本社社員の約2割に当たる1600人の早期退職を募る。民営化した昭和60年に35あったたばこ工場は、今回の見直しで4工場のみとなる。
高齢化による喫煙者の減少や喫煙規制に加え、度重なるたばこ税増税による価格上昇などにより、国内では18年連続で喫煙者率が低下し、市場の先細りが止まらない。国内たばこ需要は今後も毎年3〜4%の縮小が続く見通しだが、すでに国内需要は大型工場1つでも賄える規模になっている。過剰な生産設備や人員の削減は、避けて通れない状況だった。
「課題を先送りせず、成長分野への事業投資を最優先したい」と佐伯副社長は強調した。この決断を市場も好感し、JT株は続伸。決算発表翌日の11月1日、JTの株価は約1カ月ぶりに3600円台をつけた。
■繰り返す削減
JTが好業績時に大規模なリストラを行うのは、今回が初めてではない。JTは平成15年から16年にかけて、国内の12工場を閉鎖し、4千人の希望退職を募った。その結果、管理職や役職者らを中心に応募が相次ぎ、最終的には社員の3分の1にあたる5800人がJTを去った。
当時も好業績だったため、希望退職者には通常の退職金に加えて、平均3千万〜3500万円の割増金が支払われた。17年3月期に計上した特別損失は2千億円超にのぼったが、500億円程度のコスト削減効果があったという。「業績が悪化し、追い詰められた状態では、こうした事業の再構築はできない」(JT幹部)と打ち明ける。
今回発表した1600人規模の人員削減でも、160億円のコスト削減効果が見込めるという。退職割増金など費用については組合側との交渉がまとまっておらず、明確ではないが、好業績でリストラ費用をまかなう余力がある間に、先をにらんだ投資を進めるのは、JT流の“転ばぬ先の杖”だ。
佐伯副社長はいう。
「中長期的な安定経営に向けて先手を打ってきたことが、今日のJTを作り上げている。そのポリシーは今後も変わらない」
■2つの外敵
今回のコスト削減分について、JTは「成長分野への投資を最優先したい。海外であり(無煙たばこなど)新カテゴリー製品の開発やマーケティングに振り向ける」(佐伯副社長)という。この戦略は、海外のたばこ会社と外国人投資家というふたつの“外敵”に対抗するものだ。
専売制の中国を除き、世界4位の規模をもつ日本市場でJTは約6割のシェアを持つ。80%を超える高額な税率で、たばこ1箱が千円を超えるイギリスなど先進国に比べ、海外のたばこ会社からは「日本はまだ値上げ余地がある有望市場」(関係者)に映る。
世界シェア2位のブリティッシュ・アメリカン・タバコは先月、新しいフィルターを使った主力製品「ケント」シリーズを日本で先行発売した。「日本市場を世界マーケティングの試金石にしている」(同社)というように、海外勢との競争は激化している。昭和60年度に97%超だったJTの国内シェアも、昨年度は59%に落ち込んだ。
一方、外国人投資家の株式保有割合は35・7%と、日本政府や国内投資家を上回る。今年のJTの株主総会では、かつて電源開発(Jパワー)の株買い占めで名をはせた英TCIが、大幅増配や自己株式の取得などを求めた。国内市場の優位を守りつつ、モノ言う株主が納得する成長戦略を示さなければ、リストラはただの縮小均衡に終わる。(山沢義徳)
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