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春秋 2013/7/3. 日本経済新聞
20世紀の初めにフランスの首相になったクレマンソーが「公務員は図書館の本にちょっと似ている」と言っている。なぜなら「一番役に立たぬものが一番高いところに置いてあるから」。「虎」の異名をとった強面(こわもて)の政治家はどうやら公務員が好きではなかったようだ。
▼なるほど、市民だって役所に出かけてトップの世話になるようなことはまずない。ただ、図書館も大事な蔵書は棚のてっぺんはおろか人の手の届かぬ書庫の奥にしまい込んだりする。公務員の配置にも身内には通じる理屈があるのだが、先週末に発表になった中央省庁の幹部人事を見ると、その理屈が揺らいでいるらしい。
▼今年はサプライズが目立ったと報じられた。厚生労働次官に就いた村木厚子さんを筆頭に女性を登用し、本命とは目されていなかった人をトップにする。要は役所の慣例に首相官邸が手を突っ込んだということである。来春に内閣人事局ができると、官邸と霞が関とのせめぎ合いがより激しくなるとも取り沙汰されている。
▼どちらが主導しようが人選びは適材適所のはず、と言えば世間知らずと笑われるだろうか。クレマンソーには「公務員こそが最良の夫である。夕方帰宅したとき疲れていないし、新聞はもう読み終えている」との一言もある。毒舌家の鼻を明かすためには、人事が役所の因習にまみれても政治の人気取りに使われても困る。 |

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