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第一線の巡査には.....


第一線の巡査には.....

 「第一線の巡査には、よく人相の記憶に特異質な人があります」。松本清張の『砂の器』で、刑事が事件の「謎解き」にあたって口にした言葉である。そんな特異な能力の持ち主だった元警察官が、その才能ゆえに事件に巻き込まれたのだ。
 
▼警察では「見当たり捜査」と言うらしい。手配の顔写真をまぶたに焼きつけ、立ち寄りそうな場所や雑踏の中で犯人を捜す。中には『砂の器』の元警察官のように、年月がたったり変装したりしても、見破ってしまう「名人」も多かったという。
 
▼3人のオウム真理教事件の容疑者も、全国の警察に手配写真が貼られていた。いわば全警察官が朝な夕な、それを見て「見当たり捜査」をしていたはずである。だが大みそかに出頭してきた平田信容疑者の場合、17年近くもその生死すらつかめていなかったようだ。
 
▼この間、ずっと関西など国内に潜伏していたらしい。出頭するときには、東京まで「堂々と」新幹線を使ったようだ。警視庁の表玄関で本名まで名乗ったのに、正体を見破られない。平田容疑者をかくまっていたという女も、自ら出頭するまで身柄を確保できなかった。
 
▼これでは警察が先手先手を打たれ、振り回されている図式である。「見当たり」の名人がすっかり少なくなってしまったからなのか、全体にタガがゆるんでしまったせいかは分からない。しかし現状では警察の「完敗」だったといっていい。
 
▼先月26日起きた靖国神社放火事件もそうだ。ソウルの日本大使館に火炎瓶を投げた中国人の男が韓国のマスコミに放火を「自供」したという。日本の捜査をかいくぐり、あざ笑うかのようである。よほど引き締めないと日本も犯罪天国になってしまう。

2012.1.11 03:01 
産経抄
産經新聞

そばや酒からカボチャのような.....

 そばや酒からカボチャのような野菜まで、江戸っ子は、初物に目がなかった。なかでも「宵越しの銭は持たない」のが自慢の彼らが、「女房を質に入れても」と熱狂したのが初鰹(はつがつお)だ。文化9(1812)年、江戸日本橋の魚河岸に到着した初鰹には、こんな逸話がある。
 
▼魚河岸から当時の人気役者、七代目市川団十郎と四代目沢村宗十郎に1本ずつ贈られた。それを知ったライバルの上方役者、三代目中村歌右衛門は残りの1本を三両、今の金額で27万円も奮発して手に入れ、団十郎より一足早く一座の者に振る舞った。
 
▼先を越された団十郎はよほどくやしかったのか、一生鰹を食わないと誓ったそうだ。演劇評論家の渡辺保さんはいう。「初鰹は『初』という字を買うのである。江戸っ子の、だれにもひけをとりたくないという意地っ張り、負けず嫌いな気質がそこにはあらわれている」(『芝居の食卓』柴田書店)。
 
▼すしチェーン店を率いる木村清さん(59)もまた、「初」という字を5649万円で買ったのだろう。東京・築地の中央卸売市場できのうの早朝初競りが行われ、1本269キロの青森県大間産クロマグロに、史上最高値がついた。
 
▼昨年まで3年連続、香港などでチェーン展開するすし店が、銀座のすし店と共同で競り落としてきた。「海外に持っていかれるより、国内で食べてほしい」と木村さんは話す。通常なら500万円程度というから、木村さんもよほどの「負けず嫌い」だ。それとも、宣伝効果で元は取れているということか。
 
▼江戸っ子の初物好きは、しばしば物価高騰を引き起こし、幕府が初物規制を敷いたほどだ。平成の初物騒ぎが、デフレ脱却につながってくれればいいが。

2012.1.6 03:21 
産経抄
産經新聞

売れない中年作家.....


売れない中年作家.....

 売れない中年作家、ハリー・ブロックのもとに、ある日刑務所から手紙が届く。差出人は、12年前にニューヨーク市内で4人の女性を惨殺し、全米を震え上がらせたダリアン・クレイだった。告白本の執筆を引き受けたハリーに、とんでもない災難が降りかかる…。
 
▼昨年の小紙の書評欄で激賞されていた『二流小説家』(デイヴィッド・ゴードン著、早川書房)を、遅ればせながら正月休みに読了した。確かに評判にたがわぬ出来栄えだ。もっともどんな推理小説も、現実の事件にはかなわない。
 
▼大みそかの深夜、東京・丸の内署に、オウム真理教の平田信容疑者(46)が突然現れた、とのニュースを聞いてそう思う。平田容疑者は、平成7年2月に発生した目黒公証役場事務長の仮谷清志さん監禁致死事件で特別手配されていた。
 
▼警察当局は、警察庁長官銃撃事件など、そのほかの一連のテロ事件にも関与したとみている。それにしても17年間、どんな逃亡生活を送っていたのか。出頭の理由は何か。「推理小説を書くにあたっていちばん厄介なのは、虚構の世界が現実ほどの謎には満ちてはいないという点にある」。「二流小説家」のハリーがぼやくのももっともだ。
 
▼実は小説のなかに、クレイが死刑を逃れるための策略が記されている。今回の出頭も、教祖だった麻原彰晃死刑囚の執行阻止が目的、との見方がある。裁判が始まれば、麻原死刑囚が証人となる可能性があるからだ。
 
▼その見方が正しければ、小説を超える悪巧みだ。「教祖の死刑は当然」との平田容疑者の言葉は、額面通りには受け取れない。どんな推理小説にも結末がある。現実の被害者遺族に、いつ事件終息の日が訪れるのだろう。

2012.1.3 03:16 
産経抄
産經新聞
ちょうど70年前となる.....

 ちょうど70年前となる昭和17年、日本は米国との戦争に突入して初めての正月を迎えた。真珠湾攻撃で大きな戦果をあげたとはいえ、人々の心がどこか重たかったのは当然だ。喜劇俳優の古川ロッパも元日の日記に「さて正月の気分まるで無し」と書いている。
 
▼文才にも恵まれたロッパは、戦時中も含め詳細な「昭和日記」を残した。この日は続けて「屠蘇、雑煮の味も昔のやうにしみ●しない。新聞も戦争の写真ばかり」とグチっている。恒例の正月公演では灯火管制のため懐中電灯持参だったという。
 
▼それでもまだ、さほど深刻な雰囲気はなかった。有楽町は「大した混雑」で、ロッパも公演での高峰秀子の演技をほめる余裕を見せる。しかし3年後の昭和20年になるともう敗色濃厚である。正月公演もこの年から禁止され、自宅でプー(空襲警報の音)におびえることになる。
 
▼仕方なく夕方から酒を飲み始めるが「電気は暗いし御馳走はなし。プーと来さうだし、まことに陰々滅々たる元日」だったらしい。以上いささかロッパの日記にこだわり過ぎた。今年の正月が心の引っかかりという点で、あの戦時下と似通っているように思えたからだ。
 
▼むろん10カ月前の大震災のためである。被災地の惨状を思って、今年は年賀状に「おめでとうございます」と書かなかった人も多いという。毎年、自宅に大勢の議員を集め権勢を誇示してきた民主党の小沢一郎氏も、その新年会を中止するそうだ。
 
▼だが明瞭に異なることもある。戦時下には出口が全く見えない中での暗い正月だった。それに比べ今年は、復興を目指し一歩も二歩も前へ進む年である。その願いを込めて「明けまして」と声をかけ合いたい。

●=くの字の上に点(濁点)

2012.1.1 03:02
産経抄
産經新聞


今回の体操の世界選手権。。。

 今回の体操の世界選手権では、ひたすら大会史上初の個人総合3連覇を果たした内村航平選手(22)の美技に酔いしれていた。ただ気になったのが、「リ・ジョンソン」や「カッシーナ」といったカタカナの技の名前だ。

 ▼最初に技を成功させた、選手の名前だとは知らなかった。ついでながらフィギュアスケートのアクセルジャンプも、考案者のアクセル・パウルゼン選手に由来する。てっきり自動車の「アクセル」だと思いこんでいた。

 ▼体操競技はもちろん、日本のお家芸である。「ヤマシタ跳び」はじめ、ウルトラCを次々と生み出してきた。「ツカハラ」もそのひとつだが、「月面宙返り」の愛称の方がはるかに有名になってしまった。

 ▼昭和47(1972)年8月29日、ミュンヘン五輪の体操男子団体戦で、世界中を驚かせ、4連覇を決定づけた大技だ。最終種目、鉄棒の最後の演技者となった塚原光男選手は、まるで無重力の宇宙空間を浮遊するかのように舞い降りてきた。

 ▼人類は3年前に、月面着陸を果たしたばかりだった。その記憶も取り入れて名付けたのは、当時日本の監督だった竹本正男さんだといわれている。60年のローマ五輪で日本体操界に初の金メダルをもたらした往年の名選手でもあった。

 ▼近年の体操界は、技がますます高度化、複雑化して、なかなか新しい技が生まれにくくなっている。加えて選手たちは、種目別のスペシャリストをめざす傾向が強い。

そんな中、内村選手はあえて、総合チャンピオンと、誰よりも美しい演技にこだわり続けている。エースの孤高の挑戦をたたえるのに、ふさわしい日本語はないものか。ロンドン五輪に向けて、われわれメディアに課された宿題である。

産経抄
2011.10.18 02:26 
産經新聞



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