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ヒポパネトス「ところで、サルトルさん、話の続きなのですが、この世のすべての存在は偶然なのですか、それとも必然なのですか?」
サルトル「それは一体、どのような意味において言われているのですか?」
ピポパネトス「世界とはあらかじめ予定されているものか、それとも、すべてのものはそのときの偶然の重なり合いなのかということですよ。」
サルトル「その意味で言うなら、すべての存在は偶然である他はないだろう。この世のものがすべて絶対者によって創造され、最初から予定されているものであると言う者は、自己欺瞞者である。人間とはすなわち自由の刑に処せられているのだ。」
ソクラテス「あなたが、言っておられることは、少し違うのではないのですか、サルトルさん。それでは聞きますが、一体、人間というものは偶然にできたものだと言うのですか?」
話の途中でダーウィンがやって来た。
ダーウィン「この世のすべての生物に関して言うなら、偶然というべきなのだ。生物というものは突然変異と自然淘汰の繰り返しによって、変化し続けていくのだ。」
ソクラテス「と言うことは、すべてのものは何らかのものに向かって、進化し続けているということなのですか?例えば、3億年前のサソリの化石を見ると、現代のものとほとんど変わっていませんね。それと、今ある単純な生物は一切、進化しなかったのですか?これらのことを、ダーウィンさんは一体、どのように説明されるのですか?」
ダーウィン「世の中の生き物というのは、強いものが生き残ったのではなく、環境に順応したものが生き残ったというべきなのじゃ。」
サルトル「だから言ったではないか、すべては偶然なのだ、と。」
ソクラテス「ちょっと待ってください、サルトルさん、ダーウィンさんにお聞きしますが、あなたの説によれば、神は存在しないことになりますね。」
ダーウィン「そのことについては私に聞かないでくれ。」
サルトル「私はあなたの『自伝』の以前、削除されていた部分まですべて読みましたが、あなたの進化論によれば神は存在しないことになる。なぜなら、あなたの説と神の計画とは明らかに矛盾するからですよ。実際、そうなのですね?」
フッサール「サルトル君、そこまで言わなくてもいいではないか。」
ピポパネトス「一体、世界とは偶然なのか、必然なのか、ますます解らなくなってきました。ダーウィンさんが言うのも一理ありますが、実際言って、私はソクラテスの弟子なのです。」
フッサール「人間には『すべてのものは偶然なのか、必然なのか』ということなど結局は解らないことなのだ。」
デカルト「それは人間が、『無限の直線を半分に切ったら有限か無限か?』と問うのと同じことなのですよ。一体、無限の直線を二等分したら、それは有限ですか、無限ですか?」
フッサール「デカルトさん、言われるとおりです。人間にわからないことを議論しても答えは出ないということ、これです。私はこれを『判断停止』または『遮断』と名付けています。これでカント先生による三つの大問題、すなわち『神の存在論的証明』、『人間の死後における霊魂の不滅性の存在論的証明』そして「『人間の自由意志の問題』はすべてが解き明かされました。結局、それらは『誰にも分からない」』ということなのです。」
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