失われた仏教最古の叡智

歴史の中に埋没し、忘れ去られてしまった仏教の最初期の時代に説かれていた「ブッダの究極の理法」の根幹について、その真相を語る。

釈迦は霊魂不滅説を否定したのか?

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仏教においての無我説と非我説については、以前にも、ここでの論点となりましたが、先日、avarokiteiさんのブログで、無宗ださんが、次のようなコメントをされていたので、早速、これに関する新たな記事を立ててみました。


<dyh*r48* さん>(2010/7/23(金) 午前 11:19)

> 無宗ださんが、以前、書かれていた記事「長部経典15」を読んでみましたが、たしかに、この章においては、釈迦は、限りなく「無我」(アートマンは存在しない)を説いているようにもとれそうではありますが、「中部経典22」の中には、このことに関しての詳細なる説明があり、そこに登場する釈迦は、自らが虚無論者ではないと断言しています。

厳密な議論をしましょうよ。


>釈迦は、限りなく「無我」(アートマンは存在しない)を説いているようにもとれそうではあります

いえ、はっきり無我を説いています。
どこに論理の不足があると主張するのですか?


>「中部経典22」の中には、このことに関しての詳細なる説明があり

そのような説明はありません。



 ところで、これは、私の捉え方なのですが、釈迦は、アートマンに関して、『マッジマ・ニカーヤ』の「マールンクヤ小経」(=『中部経典63」)の中で、『それ故にここにわたくしが(いずれとも)断定して説かなかったことは、断定して説かなかったこととして了解せよ。またわたくしが断定して説いたことは、断定して説いたこととして了解せよ。...』と言った後に『しからば、わたくしは何を断定して説いたのであるのか。「これは苦しみである。」「これは苦しみの起こる原因である。」「これは苦しみの消滅である。」「これは苦しみの消滅に導く道である。」ということを、わたくしは断定して説いたのである。何故にわたくしはこのことを断定して説いたのであるか。これは目的にかない、清らかな修行の基礎となり、世俗的なものを厭い離れること、欲情から離れること、煩悩を制し滅すること、心の平安、すぐれた英知、正しい覚り、安らぎのためになるものである。それ故にわたくしはこれを断定して説いたのである。』と言っています。


これと、別の視点から説かれている経典が、『マッジマ・ニカーヤ』の「火ヴァッチャ経」(=『中部経典72」)であると捉えていますが、釈迦が、形而上学的難問の是非に関して、その有無であるという、明瞭な解答を出さずに、それを捨て置いたとされていますが、これらのこと(形而上学的難問の是非)は、釈迦は、修行によって、探そうとしたけれども見つけることができなかった、と見るのが自然であり、さらに、これらのことは、釈迦の根幹となる「如何なる見解にも依拠しない」ということ、そして、「想いからの解脱において解脱する」ということ、すなわち、「想いからの解脱という想いからも解脱している」ということを理解することなしには、その全容は見えてこないのだと思っています。


その証拠に、『マッジマ・ニカーヤ』の「火ヴァッチャ経」(=『中部経典72」)に登場する釈迦は、次のように言っています。


「ヴァッチャよ、あなたは分からなくなるに違いない。迷うに違いない。ヴァッチャよ、この教えは意味が深く、洞察しがたく、さとりがたく、寂静で優れており、思慮を超え、微妙であり、賢明な人によって知られるものである。異った見解を持ち、異った信を持ち、異った喜びを持ち、異った修行をし、異った行いをするあなたには知りがたいのである」


すなわち、結論を言えば、釈迦は、自らの悟りに至る手法において、「アートマン説」や「梵我一如説」などは説かなかったけれども、究極に言えば、それを、一見すると否定しているかのように誤解されるような微妙な記述があるけれども、私は、釈迦は、虚無論者(あるいは、断滅論)ではなく、アートマンの存在そのものを断定的に否定したのではないと思っています。

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