グレーテルのなんちゃって天文台

藪蚊にも負けず、暗闇の恐怖にも負けない

全体表示

[ リスト ]

Drizzle

いまや殆どの方に無関係のお話ですし、そもそもうまく説明できるかどうか解りませんが、Drizzleです。
可変ピクセル線形再構築アルゴリズムと言うんだそうで、NASAがハッブル用に考え出した技術です、
って言うと、ちょっと憧れません?
一般化の試みはMEADEのDSI-Pro添付ソフトからだった、とお聞きします。
現在では多数の実装があり、試された方も多いのではないかと思います。

--
おさらいです、下図は(解りやすい)Bi-Linearの例です。
基準画像が居て、2枚目以降が居て、両者は ずれ・伸縮し・回転してるんでした、
そう考えたほうが星の位置がより正確に合致させ得るんでした。
同じPixel位置でのカウント値を求めなおさないと、Sigma_ClipとかMeanとかできないので、
再計算するための近似関数をResampling関数と呼びます。
Bi-Linearは割と簡単で、言わば重なり比率で、元Pixel値をTargetPixelに加算・積算するんだとも言えます。
こうした関数は多数が考案されていて、なるべく解像を維持しながらもS/N低下を防ごうとしてるんでした。
イメージ 1
感覚的な言い方ですが、情報を絞り込む(情報量を低減する)事で「真」に迫るんだ、と言えますか・・

--
Drizzleはこれらとはまったく異なったResampling的処理だ、と言えます。
samplingでは無く、降り積もらせる感覚であり、その名の由来はここにあります。
イメージ 2
少し解りづらくてすみません、誤解を生まないと良いんですが・・読み手の能力に頼るのはいつもと同じです。

白い四角は撮影した画像1枚の、とある1Pixelです。
ここに捕まったPhotonが電子に変換されて蓄えられ、それをデジタイズして読み出すんでした。
ここが肝ですが、これを「黄色のPixelで捕まえたんだ」と考えます。より小さなPixelに、キュっと。
この縮小比をPixel FractionとかReductionのFactorとか呼びます。
あくまで、そう見なすんです。

水色は解像度を上げたくて定義したPixelです。a/cが拡大率になりますね。
Up-Sampleしてるって言い方もあります。

「黄色を水色のPixelの上に降り積もらせる」のがDrizzleです。
その面積被り比で、黄色のカウント値を水色Pixelに配分していく、って感じでしょう。
これを全てのPixel、全てのShot分を延々繰り返します。

--
大いに期待するわけですが、あくまでHubble用に開発された考え方ですから、
多くの場合はがっかりするんじゃないでしょうか。
そもそもパラメータの指定が解らなくて、満足な結果が得られないかも知れません。

・ もちろん、写っていないものが見えてくるわけではありません。
・ 少なくとも、拡大に伴うシャギーは出ません。
・ よーく調べると、確かに解像が上がる場合があるでしょう。

利用条件は(Hubble並に)厳しいです。
・ fovppが大きい、いわゆるUnderSamplingの画像
・ 各Shotの程度が良く揃っていること
・ そもそもSharpに写ってること
・ 各Shotが微妙にずれていること
・ 拡大率は撮った枚数に依存します、たくさん撮れば拡大率を上げることも可能になります、一応。
かな・・
従って短焦点、Small-Format、超多数枚取得の場合かなぁー価値があるのは。
FullSizeが普通になってる現在、価値を見出せる方は少ないんじゃないでしょうか。

--
実装はいくつかあります。
MaxImのPlugin
MaxIm V5以降
DeepSkyStacker
Iris
Nebulosity
他にも在ったかもしれません。

DeepSkyStackerのは、怪しいです。拡大率がx2、x3が用意されてますが、そんなはずが無いんです。
何故か破綻しない結果が得られるのでOKと思いがちですが、お勧めできません(主観ですが)。
一般的にはMaxIm(V5以降)をお使いになるんではないでしょうか。

■ 利用のコツ
実装によってパラメータ(数)が異なりますが、基本を理解すれば同じです。
MaxImでは
イメージ 3

Drop Size --- 説明にあるb/aです
Enlarge Image --- 同じくa/c

さて、どの程度の値を指定すれば成功するか、ですが、経験的に
「30枚撮ったならc/a=0.7、40枚ならc/a=0.6・・」と言われています。1-枚数/100と考えて結構です。
その逆数をEnlarge Imageパラメータに。

「cよりもbを僅か大きくする」のが二番目の規則です。
30枚撮ったなら(0.7)、142%拡大(面積で2倍相当)、Drop Size=0.75とか、にです。
これを間違えると、
例えば拡大率が過剰で、格子模様(情報の穴)が出たり、
逆に効果が殆ど無い結果しか得られません。
この通説は、ある範囲内でのお話であり、例えば200枚撮ったらどう計算するんだ、上記式じゃ
計算できないぞとかは、言わないでください。200枚あるなら、相当拡大できるだろうなとは
思います。Cut&Tryしかありません。

私はAlignをAstrometricでしか試したことはありません。他の方法でAlignしても動作するのでは?と
思いますが。
--

さて、これが通常の(Resampling)拡大方法や、あるいは元画像から拡大して、それをコンポジットする方法に
比べて目視でその差が見出せるか、ですが・・難しいのではないでしょうか。
ま、焦点距離を伸ばしてその逆比のLargeSizeカメラで撮影したのに、かなり迫れるかも知れないとは
思いますが、条件厳しいでしょうねぇきっと。

あと、Drizzleにはノイズを排除する仕掛けは平均化以外ありませんから、元画像のカラザとかは残存します。
これも仕方ないですが残念な点ですよね。

そもそも色々な試行において、目視で評価するのは危険です。
なんらかちゃんと測定なさらないと、結果を見誤る可能性大だと指摘します。

--
良い例を私は持ちません。誤解産まなければ良いんですが、一例を。
fovpp=1.648秒角、15枚撮影、これをDropSize=55%、2倍拡大しました。(明らかに過剰例です)
一方は普通にResamplingした通常コンポジット版、これを比較しやすいように2倍にNearestNighborで
拡大したものです。NearestNeighborじゃないと、比較になりませんから。
イメージ 4

左が通常、右がDrizzleです。ノイジーですがSharpな感じはありますよね。
Pixelサイズが半分になってるのがお解りだと思います。

すごく悪い例ですので、それを前提に見て下さい。

閉じる コメント(8)

顔アイコン

またまたわかりやすい解説ありがとうございます。
ベイヤーのカラー素子で撮って2x2のスーパーピクセルで再構成しておいてからコレをやれば解像度を下げずに上手く補完できそうな気がしますね。しかし副作用を出さないように有効に使うには相当の枚数が要りそうですね。

2011/2/27(日) 午後 11:30 [ かわう ]

顔アイコン

ほんとうに、また判りやすい説明ありがとうございます。このシリーズの虜になっています。
Drizzleは今まで、いつかの解説を読んでもなかなかしっくり理解できなかった基本概念が、この説明ですっきりしました。
また、MaxImDLで、これまで試してみてもほとんど上手くいったことがなくただ画像が拡大されるだけでS/N比は悪化するばかりでしたが、このパラメータの説明通りにやると、とりあえずの速攻トライではなかなか良い画像になりました。また時間がある時にいろいろパラメータをいじってみます。
35枚のL画像で試してみましたが、SigmaClipに比べPCの処理時間が10倍以上がかかり、いかにも複雑な処理をしている感じがしました。

2011/2/27(日) 午後 11:47 いーぐる

顔アイコン

かわうさん、こんばんわ。
Bayer Drizzleなんてのも確かDSSにはありましたよね!?
試してる方が↓
http://astropaul.blogspot.com/2008/10/deepskystacker-bayer-drizzle-vs-non.html
私も試したことあるんですが、一層難しいですね。
”相当の枚数”同感です、カラーなら尚更。

2011/2/28(月) 午後 5:57 [ グレーテル ]

顔アイコン

Eagleさん、こんばんわ。
規則守ると、確かに特徴的な結果が得られるようです。
こう言うの考え付く人は偉い!ですよね。
広範な画像に適用できると良いんですが、書いたように
限定的な用途の様です。

2011/2/28(月) 午後 6:01 [ グレーテル ]

顔アイコン

>読み手の能力に頼るのはいつもと同じです

それはおっしゃらないで(笑)私、当事者ですよね^^; DSSのなんちゃってDrizzleですら可能性を感じました。構造の細かい銀河が撮れたらまた試してみたいです。その時はまた御助言お願い致しますm(_ _)m

2011/3/1(火) 午前 6:14 [ k ]

顔アイコン

kさん、こんにちは。
いやそうじゃないんですよ、説明書くのって私の力量じゃ難しくて、
結構大変です、どうかうまく読みとってください、の意です。
書き下ろしですからね、やはり限界があります。
間違いがあったら是非うまく読みとってください。

2011/3/1(火) 午前 8:01 [ グレーテル ]

顔アイコン

Drizzleも興味深いのですが、なかなか大変そうですよね。
ラッキーイメージングでは割と成果出せていたので、やはり枚数が必要なんだろうなぁ・・とは思っています。
ただ、その後の処理まで考えると画像復元にしてもPSFパラメータを再考しないとダメそうだし、結構いろいろと難しそうですね、、、
ベイヤーDrizzleか・・SXV-H9Cにはいいかも・・?
ちょっと試してみる価値はありそうですが、枚数が多く要りそうな点がツライところですね、、、。

2011/3/3(木) 午前 10:23 [ UTO ]

顔アイコン

UTOさん、BayerDrizzle是非試してみて、感想教えてください。
結構な枚数と、それぞれのうまいずれ方が難しそうですが、
色の再現性と解像感UPに役立つかも、ですよ。

2011/3/4(金) 午後 8:32 [ グレーテル ]


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事