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「なぁ〜にしてるのかなぁ〜とーだーくーん」
不意にかかった声に戸田は目を覚ます。
ふと目の前に立っていたのは・・・
「ぎょえーーーー!!??遥香!?」
「2時間ぶり」
立っていたのは戸田の部活のマネージャーでもあり、幼なじみの一人でもある遥香だった。
「ところでさぁ・・・」
「え・・・はい・・・」
突然の話題突入に戸田は息を呑む。
「私に質問したときどうして私を"さん"付けしたのお?」
「え!?・・・いや・・・なんとなく・・・」
意表を突かれた質問に落胆する・・・
ちなみに遥香こと大崎遥香はおっとりした性格である。
「んで、これがあなたの彼女の泉美ちゃんかあ〜。私こんな近くで泉美ちゃんの顔を見るの初めてだからなあ・・・膝枕なんてしてもらってうらやましいこと。」
「あ・・・いやぁ・・じゃなくて!何しに来たの!?」
「え?あ〜ちょうど近くを通りかかったから・・・」
「お前さ・・・家の方向真逆だろ」
「えへへ・・・ばれちゃいましたか」
場所と事情が分かっていたはるかは興味を持ってわざわざ帰路とは真逆のこの公園にやってきたのだった。
戸田は不意返しにこんな質問をぶつけた。
「そういえば、先輩にちゃんと言った?」
遥香は自信に満ちたように笑顔で答えた。
「言ったよ〜"危篤で帰宅しました"って」
「・・・きとく・・・・・・」
あぁ、こいつに頼まなきゃ良かった・・・
「隣、座って良い?」
「は!?はあ・・・」
返しの返しで完全にやられた戸田。
場面の予想が付くだろうか。
男子の膝の上で寝ている女子が一人にその隣に女子がもう一人。
もし自分が第三者だったら殴りにかかっているに違いない・・・(戸田談
「・・・湘子ちゃんは?」
「・・・分からない・・・帰ったんじゃないの?」
「そうかぁ・・・いつも君のこと思ってたのになあ」
「何言ってんだよ・・・うそこけ・・・」
そう言うと遥香は語りかけるように話しかけた。
「いつも思っているけど2人とも素直じゃないんだから・・・昔からそうだよね。2人ともけんかして。でも君がいないときに2人で話しているときは本当に君の事思いやっているんだよ」
「でもね・・・」
そう言ったのは泉美だった。
「でもね・・・思いやる気持ちは私負けてないから」
「そうだけどね・・・泉美ちゃん。湘子ちゃんも同じぐらい負けてないと思うよ」
「なんでそうなるのよ」
「思いやることを競ってどうするの。競っても得ることは無いと思う。あえて言うならば・・・戸田くんかな?」
「そうよ」
「でも戸田くん・・・こんなことされてうれしいの?」
「・・・・・・俺は・・・正直言って・・・あんまり・・・」
「そう言っているわよ泉美ちゃん。だからこの争いは終わり。みんな平等に接しましょう。泉美ちゃんと戸田くんが付き合っていると言うのはそれは形だから。仲を変えるものじゃないでしょ」
「・・・ごめん・・・戸田くん・・・」
まるで遥香が大人のように・・・
いろいろな意味を含めてショックを受けた泉美は戸田に謝罪の言葉を言った。
「いや・・・分かってくれれば良いと思う・・・よ」
「よしよし・・・ただ・・・」
「ただって何・・・」
遥香が言った言葉に戸田と泉美が耳を傾ける。
「恋人同士でしかしない行動はうちらの前ではしないで下さいね」
「はいはい・・・んで例えば?」
例えを聞かれた遥香は顔を赤くして答えた。
「え!?・・・それは・・・あなたたちがその内・・・」
「そのうち・・・」
「そのうち・・・」
「・・・好きにすれば良いじゃないの?」
遥香の頭の中には何が描かれたのだろう。
「・・・ま・・・いっか」
「うん・・・いっかにしておいて下さい・・・」
顔を赤くしたのは遥香だけではなく、泉美もだった。
「ん?泉美さんどしたの?」
「い、いや別に・・・何でもないわ・・・か、帰りましょうよ!?」
「そうだねぇ・・・帰るか・・・」
疑問を持ったままの戸田と泉美と遥香は帰路に着いた。
途中で遥香と別れ、ふと時計を見ると20時を回っていた。
「もう8時か・・・ずいぶん話し込んじゃったね」
「うーん・・・そうだね。ねっ!戸田くん!」
急に張り切りだした声に目を丸くする戸田。
「今日君の家に泊まってもいいですか!?」
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