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シマウマ「どうかね、この姿。なかなかイカしているだろう。」 助手「うわっ! シマウマ! しかも喋った!」 シマウマ「はっはっはっ……、私だよ。」 助手「博士? だとしたら、その格好は何ですか?」 シマウマ(以降 博士) 「びっくりしたかね。完璧変態スーツと名付けた。」 助手「考え直しませんか?」 博士「変装や変身よりも、変態の方が凄そうではないか。」 助手「違った意味では、確かに。しかし、何故シマウマなんですか?」 博士「君は早とちりだな。 この姿はあくまでも、『どれだけ複雑な模様が再現できるかテスト』の結果だよ。」 助手「別の姿にもなれると?」 博士「勿論だ。見ていたまえ。ハッ!!」 助手「何ですかこの姿は!」
博士「水族館で遭遇したのだが、名前は忘れた。『物体X』とでも呼びたまえ。」 助手「物体Xって……。まあ、いいでしょう。 これで、『どれだけ複雑な形が再現できるかテスト』も成功ってことですね。」 博士「その通り。」 助手「名前は兎も角、素晴らしい発明です。早速、量産の手配をしましょう。」 博士「ちょっと待った。量産をするには一点だけ問題がある。」 助手「名前ですね!」 博士「断じて違う。 実はこの発明、偶然の産物なんだ。」 助手「偶然で出来てしまう代物とは思えませんが。」 博士「勿論99%は計算通りだ。 しかし、残りの1%を組み立てる際に停電があって、 いい加減な回路を組んでしまったのだ。」 助手「つまり、その部分が、偶然イイ感じに作用してしまった?」 博士「そうだ。」 助手「でも、今、博士が着ているのを巧く分解して解析すれば、 時間は掛かっても量産化可能ですよね。」 博士「それもそうだな! 早速脱ごう!」 助手「変態一直線的な発言ですが、頑張って下さい!」 博士「……」 助手「……(?)」 博士「……(汗)」 助手「どうして脱がないんですか?」 博士「脱げなくなった。」 |
研究所(ラボ)
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コメント(8)
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注)先に「続」が付かない方を読まないと、オチが解らないかもしれません。 助手「博士、呼びましたか?」 博士「遅かったな。まあ、こっちへ来たまえ。」 助手「博士から僕を呼ぶなんて珍しいですね。って、何してるんですか?」 博士「君も一緒につつかんか、旨い蟹鍋だぞ。」 助手「まったく。研究所ですることじゃないでしょう。」 博士「確かに、アルコールランプでは火力が弱いな。」 助手「問題はそこじゃなくて……」 博士「まあ、堅いこと云わずに食べなさい。ほら」 助手「立派な蟹ですね。高かったでしょう。」 博士「君は、火星探査車両を憶えているかね。」 助手「ブー−−ッ。まさか、その蟹じゃないでしょうね!」
博士「汚いな。正真正銘の高級松葉蟹だよ。」 助手「脅かさないでください。」 博士「別に脅かしてなどおらん。 私は、火星探査車両の開発が大成功した報酬で買ったと言いたかっただけだ。」 助手「大成功! あれが?」 博士「何だ、その疑いの眼差しは。 ブログで発表したら大好評で、アッという間に注文が殺到したんだぞ。」 助手「本当ですか?」 博士「しかも、東○、パナソ○ック、シャ○プ……、一流メーカーばかりだ。」 助手「一流ですが、家電メーカーばかりですね。」 博士「きっと、極秘で宇宙開発競争をしているに違いない。」 助手「どうもまだ信じ難いですけど、悪戯ってことはないんですか?」 博士「すでに、莫大な報酬を受け取ったと言ったろう。」 助手「火星探査の時代がやってくるのでしょうか?」 博士「確かに、不審な点がないわけでもない。」 助手「不審な点ですか。」 博士「火星探査車両を使用する為には、どうしても必要なある備品があるのだ。 しかし、一台あれば車両何台にも使えるので、各顧客につき一つで構わない。 なのにどのメーカーも、車両一台に一台、必ず購入するのだ。」 助手「確かに変ですね。では、その備品って言うのは何なのですか?」 博士「火星探査車両を解凍する為の、超高性能巨大電子レンジだ。」 |
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助手「うわっ、猿! いや、チンパンジー?」
博士「はっはっはっ……、大成功だな。」 助手「博士、このチンパンジーは何ですか?」 博士「それは、省エネ加速装置スーツだよ。」 助手「省エネ加速装置スーツ?」 博士「完全迷彩服の失敗を踏まえて新たに開発した、隠密行動用のスーツだ。」 助手「確かに、今度のは着やすそうですが、どうせなら猫にすればよかったのに。」 博士「猫では着づらいだろう。」 助手「何も猫型にしなくてもいいでしょ。 音を立てにくい肉球、 出し入れできる爪、 それと暗闇でも見渡せる目。 こんな感じに、部分的な参考をすればいいんだから。」 博士「君は猫が好きなんだな。しかし、猫型スーツでは犬好きの人が着たがらないという、 最大の弱点がある。」 助手「だから、猫型じゃないって。」 博士「その点は、このチンパンジー型なら問題無い。」 助手「チンパンジーだって、犬好きの人は嫌うのでは? 『犬猿の仲』って言葉があるように。」 博士「馬鹿言っちゃいかん! 犬猿の仲は、犬と猿の間であって、犬の飼い主と猿ではない。」 助手「それはそうですけど。」 博士「まあ、そう腐るな。 チンパンジー型にしたことと、省エネ加速装置には密接な関係があるのだから。」 助手「省エネ加速装置のことを忘れていました。何なのですかそれは?」 博士「この姿こそが、省エネ加速装置そのものなのだ。」 助手「だんだん嫌な予感がしてきましたが、一応、教えてください。」 博士「このスーツを着て、適地に忍び込む。すると、敵に見つかる。」 助手「まず、見つからないようにって考えは無いんですね。」 博士「しかし、心配無用。何故なら、このスーツを着て逃げれば誰も追いつかない。」 助手「いったいどうして」 博士「去る者は追わず。だからだ。」 |
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注)かえってくる前を知らなくても、お楽しみいただけると思います。 博士「完全迷彩服を憶えているかね?」 助手「ええ、あの鹿的なやつですよね。」 博士「そうだ。実はあの服に、一つ、欠点が発見されてな。」
助手「一つだけ? っていうか、『発見した。』ではなく『発見された。』ってことは、 納入したんですか?」 博士「試着用に100着程な。」 助手「100着も!」 博士「大量生産してしまう前でよかったよ。」 助手「十分に大量です。で、発見された欠点とは?」 博士「着用が非常に困難らしいんだ。」 助手「博士が着たときに、気づかなかったのが不思議です。 結局、納入した100着はどうなったんですか?」 博士「返品されたが、置き場がなくってな。」 助手「返品されたにしては、研究所の中に見あたりませんね。」 博士「とっくに捨ててきたよ。」 助手「捨てたんですか! 100着も! でも、何処へ?」 博士「君は、『木を隠すには森の中へ』という言葉をしっているかな?」 助手「はい。」 博士「鹿を隠すには、鹿の大群だよ。」 助手「鹿の大群っていっても、そうそう無いでしょう、そんなものは――はっ! まさか!」 博士「奈良公園だ。」 |
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助手「博士、郵便受けに、同じ送り主から大量の郵便が届いていますが、何でしょう?」 博士「ああ、それは、今開発中の長距離偵察用移動式架台の完成催促だな。」 助手「長距離偵察用移動式架台? なんですかそれは?」 博士「これだよ。」 助手「キリンですね。」
博士「その通り、キリンの、長い首や脚を自在に操る能力を参考にしている。」 助手「長い首や脚ですか? 前の発明みたいな失敗は無しですよ。」 博士「失敬だな。同じ失敗は繰り返さん! 今回の移動式架台が長い首を伸ばして遠くの目標を偵察する様は、 正にキリンのごとしだ。」 助手「最近は、モチーフ選びがわりとまともですね。」 博士「私の選定は、いつも的確だ。いいかね、この長い首、更に長い脚を併用すれば、 どん露天風呂も覗き放題!」 助手「博士、覗きは犯罪です。」 博士「も、勿論冗談だ。機能を君にも分かり易くだな……」 助手「分かってます。それより、開発順調そうじゃないですか。」 博士「肝心の、首や脚を動かす機能を満たすための、 柔軟且つ強靱な金属の開発が間に合っていないのだ。」 助手「そんな基本的な部分が未解決では、当分完成しませんね。いっそのこと、 モチーフを変えて一から考え直した方が早くないですか?」 博士「そうもいかない事情ができてしまってな。」 助手「聞かせて下さい。」 博士「実は、今回の発明のモチーフをキリンと決定して、早々に依頼主に連絡したら、 先方がいたく喜んでしまって……」 助手「喜んで?」 博士「首を長くして待っているんだ。」 |






