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「ビューティフル ドリーマー」女優M
池袋、シアター・グリーン。昨年9月に、リニューアル・オープン。
メイン・ホールは、キャパ(客席数)200ほど。客席の傾斜が、きつい。
スキー場でいうと、20度に近い。こんな傾斜は、かめありリリオ・ホール
以来だ。
今回も、ブログで広がったお芝居。女優・三浦ノンさんが、出ている。
# 「ビューティフル ドリーマー」
原作:押井 守 作/演出:じんのひろあき
キャスト
放送部員 :男2・女1(有志のメイド喫茶店員―兼ねる)
メイド喫茶店員:女1
実行委員 :男3・女1(演劇部―兼)
先生 :3(校長―兼を含む)
前実行委員長:男1
演劇部 :男1
2年1組 :男1
2年2組 :男3(兼1)・女5(1は演劇部―兼)≪1人は、女優・三浦ノン≫
2年3組 :男5(兼1)・女2(1は演劇部)
暗闇に曲が流れ、ハイテンションの声。舞台中央の奥、2階の放送室に
明かり。マイクを握ったDJの声が、響く・・・。階段を降りてきた
女教師が、ハンド・マイクで叫ぶ。声は、ハイテンションと曲に打ち消される。
舞台に明かり。ここ大安高校は、文化祭前夜。時計の針は、夜の
9時を回っている。下手・2年2組の教室、入り口の幕の向こうから、
レールが延びている。看板は「ブリザード・トレイン」。男子生徒が2人、
ダンボール箱に向かって作業をしている。
上手は2年3組の教室。中は見えないが、入り口に「花吹雪ゾンビ・
ハウス」の看板。生徒たちが、打ち合わせをしては、入っていく。
時計は、9時半を回る。イラ立つ、実行委員。9時45分、待望の
「完成査察」。3組に入る、キャ〜!・・キャ〜!・・・キャ〜!・・・、
間のびした、悲鳴。
結果は・・・。固唾を呑んで見守る、生徒たち。
――・・・怖くない・・・
ポロッと漏らした本音が、生徒たちに火を点ける。
突然の轟音、光、幕を突き破って飛び出すコースター(トロッコ列車)。
投げ出され、倒れこむ、2組の女生徒たち。
――ダメだ・・・スピードが足りない・・・
実行委員長の制止を振り切り、再び教室へ駆け込む。
生徒が1人、下手から現れる。さっき、帰宅したはずの1組の
生徒。
――あれ・・・?・・また、ここ・・・帰れない・・・!
時計の針は、9時45分。・・・さっきから、進んでいない。
# どうしても、やりたい!
こんなに遅くまでやり続ける、生徒たち。彼らには、こだわりがある。
女だから・・・。女にはできない・・・。そう言われて、諦めたことが、
いくつもある。だから、(2組の)女子だけでやりたい。やり遂げる。
夏休み前から、ずっと研究してきた。できっこない、と言われた
ジェット・コースターを。
3組のメンバーは、去年もお化け屋敷をやった。出てきた小学生に
言われた「ふん、子どもだましだ。怖くない」って。
ほんとうに怖い、お化け屋敷をやりたい。考えた、怖さって何なの
かを。だから、これでは終われない・・・。
# 一点の迷いなし!
ゲネプロ―(本番と同じに舞台で演る通し)――で、演出家が、一点の
迷いもなく、バサバサ切っていく・・・。三浦ノンさんのブログに、こんな
記述がある。ゲネプロを、見たい!好奇心、興味・・・で、ワクワクした。
芝居を見て、納得。役者を「集団」で使う場面を、随所に混ぜている。
楽しく見られたのは、舞台全部をゾンビ・ハウスに見立てた場面。怖さを
生徒たちが組み立てる。一歩、足を踏み入れた客(先生)が、振り返る。後を
つけて来る、ゾンビ。逃げる、2人、3人・・追うゾンビ。右へ、左へ・・・4人
5人。そして中央、行き止まり。右か、左か・・・左か、右か・・・。
# 集団と個人
舞台に明かりが入ったとき、変な感じから始まる。教室の前で準備を
する生徒も、注意に来る実行委員の生徒も変だ。見た目が、おじさんなのだ。
おじさんが、高校生として文化祭に取り組む!?
もう1つの変な感じは、声を張り上げるセリフの言いまわしが多い。
これでは、細かい感情がむずかしい。
2つの文化祭企画が中心になるのだが、集団の演技が多く、キャラを
際立たせるのが難しい。ゾンビは、まだ男女が入り混じっているので、
出しやすい。ブリザードの方は、中心になる女生徒以外、ほぼ集団の演技。
役者に、どんなキャラを要求しているのか。
これだけ大騒ぎをして、最後は「夢」。メイド喫茶の由紀ちゃんの、夢の
世界。だから、レンタル・ビデオ屋のおやじや、近所のおやじ・・・。由紀ちゃんの
知り合いばかりが出てくる??????
ちよっと、待った。そんなこと、最後になって、いきなり言われたって・・。
いったい、どの人がレンタル・ビデオ屋で、どの人がご近所さん?
そんな気配は、どこにもなかった。
個性が、キャラが・・・役者が、大切にされていない。
# ≪世界≫は、立ち上がったか?
原作は、押井守。『うる星やつら』、ヒョウ柄の美少女・ラムが出てくる
漫画の作者。これも、原作はアニメだという。アニメでも、マンガでもいい。
何を切り取り、どういう切り口で、何を創造するかだ。
野田秀樹の『半神』。あれも、原作はマンガだ。
まさか、女子高生・由紀ちゃんの「半径20メートルの恋の世界」を
描こうとした訳ではないだろう。
労力と時間を(芝居の中で)費やした、文化祭企画。ブリザードの「女」、
ゾンビの「怖さ」。ここに、主題があるのだろう。
だとすれば、切り取りが浅く、鈍い。
「ほんとうに怖いのは、人間だよ」と言う、おじさん高校生――
(3回は言った)――。
そこから展開される「新・ゾンビハウス」。
あるのは、ありふれた結論。唐突な発言。
高校生の「表の顔」。その合い間、合い間に、ときおり姿を見せる
「おじさんの裏の顔」。それに支えられての言葉なら、ありふれた結論も
重みをもつ。残念ながら「裏」が、ない。
原作を知らなくても、おもしろく見られてこそ芝居。
個性、キャラ・・・役者を生かしてこそ、芝居は光を放つ。
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ノンです、ご来場ありがとうございましたm(_ _)m。作家と役者が一体となって作品を作る為に随分時間を費やしましたが、なかなか課題が残る公演となりました。ブログに書いた演出の光景というのはゲネプロではなく稽古場での荒通しです。カプセル兵団の劇団員が参加していたこともあり、ゾンビのシーンは、ちょっとパワーマイムを意識した演出となりました。
2006/2/8(水) 午前 9:28
そうですか。ゾンビのシーンは、ほんとうに楽しく見られました。
2006/2/9(木) 午前 8:47 [ e_y*s*da55 ]