見る・観る・演るーお芝居おじさんのひとり言

お好きな記事をどうぞ。それぞれが1つの「読み物」です。

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 三木のり平、最後の舞台『山猫理髪店』

   ♯ 木山事務所プロデュース

 あれ、おかしいな。いま、民藝が「紀伊国屋サザンシアター」
で、公演中なのに・・・と思った人もいるでしょう。わたし
には、こちらの方が意外だ。別役実の作品を民藝が演る
のを、見たことがない。
 木山事務所は、公演やプロデュースを20年以上続けて
いる、質の高い劇団の一つだ。新作だけでなく、『はだしの
ゲン』は、毎年、進化し続けている。
 三木のり平を中心に、新しいコメディーを創る企画。最初
が『はるなつあきふゆ』。『山猫理髪店』は、第2作。99年に、
三木の死。三木を主人公に別役が書いていた第3作は、『青空・
もんしろちょう』。00年1月に、三木の追悼公演として、木山
事務所により上演された。


   ♯ 『山猫理髪店』

 98年9月。六本木、俳優座劇場。
『山猫理髪店』開演・・・

    作 別役 実   演出 末木利文
    
    キャスト 男1 林 次樹*    女1 楠 侑子
         男2 三木のり平     女2 水野ゆふ*
         男3 三谷 昇     女3 新村礼子
         男4 内山森彦*    女4 田中実幸*
         男5 高木 均   
         男6 菊池章友*
         男7 宮川知久*  (*印は木山事務所の役者)

 舞台上手に、汚れたガラス窓。剥げかけた「YAMANEKO・
RARRER」の文字。窓の外に赤と青と白の、くるくる回る床屋
の標識。入り口は奥。店の中央には、古ぼけた理髪用の椅子。

 海峡に面した、古ぼけた理髪店、「山猫RARBER」。店の親方・
三木は、昔、カミソリで女房の首を切ったという噂。しかし、店
には、女房と娘、そして、理髪師見習いの三谷。
 謎めいた人々が、次々にやってくる。北海道から来た記憶の
あいまいな青年。久しぶりの客に、カミソリを手にする親方。
見習いも手伝うが、危なっかしくてしょうがない。
 北海道の炭鉱から、逃げてきた男。競売で、この店の権利を
手に入れたという老夫婦。「50年前の手配書」を持った、警官。

 店の取り壊しがはじまる。大八車に道具を積んで、親方は
街頭へ。
「え〜い、ヤマネコ・リハツテン・・・。サンパツにシャンプー
  ・・・。ヒゲソリにセンガン・・・」
 父の代から受け継いだ、海峡に面した理髪店。親方には、
ここを離れられない、訳がある。いまでは、何のためか、親方
自身も解らなくなっては、いるが・・・

 50年の時を隔てた「秘密」が、浮かび上がる。
 

    ♯ 喜劇役者、三木のり平

 男1につづき、男2・三木のり平の登場。突然、場内は
大きな拍手。驚くわたしを尻目に、声までかかる。
 ああ、そうなんだ。別役の芝居ではなく、≪三木のり平の
山猫理髪店≫を、見に来ているんだ。そういえば、年配の
人たちが多かった。これが、新劇のノリなんだ。
 
 それにしても、三木は、表情も、しぐさも、間も、絶妙。
それに、三谷との掛け合い。これも、絶妙。笑いのツボが、
目の前に。謎がおおく、不気味なサスペンス・タッチだが、
まちがいなく喜劇だ。わたしには、初めての、生・三木のり平。
いやでも、目に焼き付く。これが、最後になるとは・・・。
 民藝の大滝秀治は、どうだろうか。別役の芝居には欠かせない
劇団・円の三谷昇が客演している。やはり、「絶妙」か。


   ♯ 50年前の「秘密」

 キャストをみると、「男1」「男2」「女1」「女2」・・・。これは
登場する順。具体的な属性や、役割が与えられていない。
 舞台に登場する人たちも、よく解っていない。自分が何者で、なぜ
この海峡の店にいるのか。鍵は「50年」を、さかのぼる。

 別役は、先に同名の童話を書いている。日本に強制連行され、
鉱山で強制労働をさせられる。暴動を起こして、脱走する。日本の
敗戦も知らずに、十数年かけて日本列島を南下。海峡をのぞむ街で
発見された。この話をもとに、書いたのだと言う。

 50年「人里の紛れこみ、風土になじみつつやってきた」。
「自分がどうしてそこに来たのか、わからなくなっている」。
そして、「問題が、その子孫の代に引きつがれている」。
これは「悲劇」が「深い」。
 海峡を隔てた、彼国と我国の、未解決のまま残されている
さまざまな問題。
 「国家間の政治的な問題であると同時に、個々人の生活人の
生活感覚に関わる問題であるという点において、深刻である。」
しかし、より大きいのは「風化」である。時間が「問題として
解読する前に風化」させてしまう。
       (注・・・「 」の中は、パンフでの別役の言葉)

≪戦後60年≫、今年は、これをキーワードに、いくつかの
芝居が造られるだろう。じっくり、見てみたい。



       付録 民藝「山猫理髪店」の公演情報
 
        6月30日まで 紀伊国屋サザンシアター
        7月1日    亀戸文化センター(カメリアホール)
          4日    福井市文化会館
          5日    京都府立文化芸術会館
          7日    大阪・森ノ宮ピロティーホール
          8日    大垣市文化会館
          9日    美濃加茂市文化会館
         10日    春日井市民会館

        わたしは、民藝のを見ていないので、
        この公演については、何もコメントできません。

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ちょくちょく舞台の感想を読ませていただいてます。辛口の中にも愛(!)がこもったコメント、温かみを感じます。また楽しみにしています。

2005/6/28(火) 午後 7:13 [ - ]

コメントありがとうございます。 トマトとにんにくです(IDはkinntounn83ですが(・ω・)) 別役実の作品の世界には興味があるんですが、なんせ知っている作品数が少ないんで、これから観ていきたいです。山猫理髪店は私のイメージの別役の作品とは違うテイストで、惹かれます。是非機会があったら観に行きたいです。

2005/6/29(水) 午前 1:52 [ kin*t*unn83 ]

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sfbtyさん、コメントありがとうございます。わたしは、≪週に2回≫新しい記事をupするつもりです。これからも、よろしく、お願いします。

2005/6/29(水) 午前 9:13 [ e_y*s*da55 ]

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kinntounnさん。山猫理髪店、別役らしい「ドンテン返し」が、最後にあるんですよ。あと、喜劇性は、三木のり平によるところが大きいので、「その舞台を見て演りたくなった」という大滝秀治が、どうか・・・、ですよね。

2005/6/29(水) 午前 9:21 [ e_y*s*da55 ]

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