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11月5日、滋賀県で行われたとあるシンポジュームに参加してきました。その中で会場より「自然農法で現在66億を超える世界人類を養えるか?」という質問が出された。それに対する私見を書いておきます。
自然農法で世界人類70億を養えるか?
これは、自然農法に限ったことではなく地球がこれだけの人口を養えるかという問題である。人類は食料増産をし続け、ワールドウオッチのレポートにもあるごとく世界の穀物生産は現在頭打ちとなっている。それは生産量だけを問題にしているが、それを成し遂げる為だけにおいても農業による環境破壊は計り知れず、森林伐採、土壌浸食、土壌汚染、水質汚濁、地球温暖化等相当な環境に対する負の面を引き起こしている。それだけではなく慣行農作物の品質劣化のみならず人体への健康被害さえ引き起こしてしまっている。このままでは人類の食料生産はどうなって行くのであろうかという問題である。
食料生産を農業の現場のみに焦点を当てるのではなく、現代社会生活の中における我々人類の生き方として捉えなければならないと思う。先進国では肉をあまりにもとり過ぎており、それは多くの生活習慣病や肥満の問題とも大きく関係している。そういった消費者のニーズに応える為、アメリカ中西部の見渡す限りの農地は、飼料用作物で覆われている。それは自然が途方もない時間をかけて積み上げてきたオガラガ帯水層を枯渇させ始め、どこまで続けられるかわからない状況にある。その多くはまた遺伝子組み換え植物である為、将来においでどのような影響を及ぼすかは人類の経験にない。開発途上国に見られる現代の食料不足は、地球規模で捉えた時、食料不足ではなく食料の分配の問題だ。日本やアメリカでは飽食で毎日たくさんの食料を粗末にしている。また、先進国の人々が肉の過食をやめ、かつてのような食生活に戻ったなら、またそれが健康に生きて行く為の根本でもあるのだが、飼料作物を栽培する代わり人間が食する為の作物を栽培するならば、まだまだ十分な耕作地があると言える。
大規模農法を推進してきた今日までであるが、人類が生き延びる為には、食量生産の再ローカル化を実現して行く必要があると思う。化石燃料に頼って食料を輸送するあり方は、もう先が見えてきてはいないだろうか。理想は人類一人一人の自給自足、ただそれは不可能であるので、あらゆるレベルで地産地消を目指すべきだ。都市の回りに農地を作り、できる限り地元の食料で賄えるようにする。各国は少なくともその国のレベルでの食料自給を目指し、それが不可能な国々に対して援助をして行く。開発途上国などが収入を得る為のその国の最も裕福な土地で換金作物を植えている状況にあるが、そういった考えを改め、その国の国民を養う為の主食栽培に努力すべきであり、国際社会もその実現の為の援助をなすべきだと考える。先進国においては国民の9割以上が消費者なので、消費者の考えを変えることが必須条件となる。今までのようスーパーに行けば、いつでも好きなものが買えるという生活は変えて行かなければなければならない。
先進国の食生活のあり方、貿易に頼った食料輸送の体制、経済が優先して環境や健康を考えない食物生産のあり方。先進国と開発途上国の問題、、、などなど。多くの要因を考慮して将来の世界食料事情を作りあげて行く必要がある。自然農法運動は農民だけでなく全ての人間が自然を尊重し、自然順応の生き方を目指す所にあるので、自然農法という哲学の中にこそ、人類に必要充分な食料を提供して行く鍵があると思う。
現在の経済システムや人々の生活習慣を維持しながら、自然農法で人類を養えるかということではなく、自然農法の理念に基づく生き方によって人類は自分たち自身を養って行くことができるということだ。
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