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白根真理子さんの「POP JAZZ」が手元に届いてから3週間が過ぎようとしています。 何度も聞き返すうちに、やっと記事にしようと筆を・・いや、キーボードを前にしました。 「POP JAZZ」 白根真理子 素晴らしいアルバムには必ずと言っていいほど、そのアルバムの色があります。 そう、この「POP JAZZ」にも色がある。 ”透きとおるような青” アルバム全編に漂う明るさ、透明感、澄み渡る青空のイメージ CDをプレーヤーに乗せて最初に聞こえてくる曲「How Crazy are You?」 この曲のイントロだけでアルバム全体のイメージを決めているといっても過言ではないでしょう。 この透明感を演出しているのは選曲だけではなく、その音作りにも関係しています。 限りなくアコースティックに近い音作り、言い方を変えればライブ感のある音。 まさにこのアルバムのキーワードである「POP JAZZ」がここにも現れています。 おそらく他のボーカリストが同じ曲を歌ったならば、もっとPOPな音作り、エフェクターをこねくりまわして、いかにもミックスダウンに時間を使って作りこみました、みたいな音になっていると思います。 「JAZZ」のリアル感を大切にしたからこその音。 さて、この「POP JAZZ」を高らかに宣言している曲、それがアルバム中盤に登場する「ALFIE」だと思います。 これほど歌い古されたスタンダード曲だからこそ、ボーカリストの思いがストレートに出てくる。 よくあるPOP歌手や、ROCK歌手が「ちょっとジャズボーカルやってみました」というにはあまりに上手すぎる、ジャージーなボーカル。 しかし、根っからのジャズボーカルのように憂いを湛えて、ちょっと暗い雰囲気で歌う事もなく、明るく前向きな「ALFIE」 白根真理子の「ALFIE」として堂々と歌いきっています。 これこそ正に「POP JAZZ」 この曲のあと、日本語のオリジナル曲が続くのもわかる気がします。 そのオリジナルにしても、そこらのPOP歌手であればさらっと歌ってニューミュージック風になるところを、しかっりとした歌唱力で白根POPJAZZとして聞かせてくれます。 そしてこのアルバムのハイライトと言っていい「Amazing Grace」 私は個人的にアルバムの中でこの曲が一番好きです。 彼女の師匠、布川俊樹さんのブルースフィーリングたっぷりのギターソロ。ブルース・コバーンやポール・サイモン、ライ・クーダーを思い浮かべながらニヤニヤしているうちに白根さんのボーカルが入ってきます。 白根さんも長年この曲をレパートリーにしているという事で、十分すぎるほど歌いこなしているのがわかります。 アルバムの中でも最もパワフルで、ソウルフルなボーカルでしょう。 そして、途中から一転してニューオリンズのセカンドライン・ビートとなります。 ジャズ発祥の地、ニューオリンズ。 そのニューオリンズの葬儀で、墓地まで行くパレードは先頭を歩くファーストラインとその後に続くセカンドラインに分かれます。 行きのパレードではファーストラインが中心となり、遺族と泣き女(遺族に雇われた大声で泣くための女性達)、そしてブラスバンドが重々しい曲を演奏しながら墓地まで行進します。 そして墓地からの帰りはファーストラインとは対照的に、セカンドライン・ブラスバンドが華やかな音楽を演奏し、泣き女達が一転笑顔で派手なスカーフを振り、踊りながら町を練り歩くのです。 皆さんご存知の「聖者の行進」がセカンドラインの最も有名な曲です。 ファースト・ラインの重々しい演奏が故人を悼むためのものであるのに対して、セカンド・ラインの明るさには、魂が解放されて天国へ行くことを祝う意味が込められているとされています。 このセカンドライン・ビートはキューバの3・2クラーベに似ていて、ロック、ジャズのルーツになったビートと言われています。 白根版「Amazing Grace」は前半がファーストライン、後半がセカンドラインを演奏しているわけです。 そして、パレードが目の前を通り過ぎるがごとくフェードアウトで終わっているのも憎いアレンジです。 ジャズ、ロックのルーツからスティング、ホール&オーツまで白根さんの幅広い力量には目を見張るばかり。やはりボーカリストとしてのしっかりとした実力が無いとここまで歌いこなせないと、つくづく感じさせられます。 恐るべし、白根真理子! このハイライトに興奮している私達をクールダウンさせるかのような、シットリとしたナンバー「Whatcha’gonna do for Me」でこのアルバムは終わります。 聞くほどに新しい感動を与えてくれる「POP JAZZ」 まだまだ当分の間、i−Podのヘビー・ローテーションになりそうです。
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