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一喜一憂する検診結果

第64回 一喜一憂する検診結果


イメージ 1  春や秋は職場検診や住民健診が盛んだと思います。季節はいいのですが,受ける立場の方は気が重くなるかもしれません。また検査値に引っかかって病院を受診しないといけないのだろうなあとか,また同じ調査用紙に同じこと(既往歴やメンタルヘルス調査など)を記載しないといけなく面倒だなあとか,人それぞれでしょうね。昔と違って,今は検診を受けるのも仕事だと言われて決してサボることは出来ず,もし職場検診を受けなかったら,たとえ正当な理由であったとしても,別の医療機関や健診機関で受けて診断書を提出せよと言われますね。職場の方も職員の検診とその事後措置をきちんとしていないと厳しく行政指導されてしまうからです。 

 さて,その検診・健診の結果が返ってくると,若い頃ならともかく,いい年になってくると何らかの検査結果が引っかかって来るものです(私自身もそうです)。ここでは私の今までの経験のうち,微妙な検査結果で受診をされたいくつかの例を挙げたいと思います。 

 年齢が上がると血圧は上(収縮期血圧)も下(拡張期血圧)も微妙に高くなっていませんか?20歳代には上が120mmHg台,下は70mmHg後半あたりだったのが,50歳になって上が130mmHg台,下が80mmHg台前半になったとか,どうでしょう。血圧を測って高いねと言われてがっかりした経験をお持ちかもしれません。そもそも血圧は動いている時に測定するものではありませんし,自動血圧測定器は人によってうまく測定出来なかったり,数値が高い目に出たりします。血圧は年齢を重なると自然現象として微妙に高くなっていきます。前に示した50歳であがった例は,これだけ見たら私には異常に見えません。ものすごく上,下,あるいは両方とも高い場合は,高血圧の精査と治療を受けるべきですが,微妙に高い場合は医療機関に受診すると経過観察で済むことが多いのではないでしょうか。ご自宅にある自動血圧測定器でよいですから,受診される前に,朝に目覚めて動き出す直前と就寝直前の12回,1週間ほど記録されたら,本当の血圧が把握しやすく,ご自身にも医師にも役立つと思います。 

 閉経直前から閉経後の女性では,エストロゲンの分泌低下に伴って,血清コレステロール値が少し高くなるかもしれません。今まで何にもなかったのに〜と悲壮感の塊となって受診される方がおられますが,病気というより,ある意味自然現象と言えます。結構多くの女性で見られます。ただ,だからといってすぐに高脂血症治療薬の内服を始めるというのではなく,経過観察で済む程度が多いのではないでしょうか。場合によっては,更年期症状としてホルモン補充療法の方が良いかもしれませんよ。 

 一定の年齢上の男性なら,前立腺癌検診と称して血清PSA値を測定しているかもしれませんが,これが微妙に高い(基準値を若干上回っている)場合が少なくありません。ものすごく高値の場合は前立腺癌が存在する可能性が高いかもしれませんが,微妙に高い場合はあてになるような,ならないような結果です。何にもないこともあれば,前立腺の炎症や前立腺肥大症などで高いこともあれば,想定外に広い前立腺癌が発見されることもあります。思い切って泌尿器科を受診して,超音波検査やMRIを受け,怪しければ針生検による病理組織検査を受けるしかありません。血清PSA値が「正常値」であっても前立腺癌が存在する場合もあり,医師の間でも前立腺癌を発見するための「ふるい」の役割を果たす,果たさないと意見が分かれ,検診で測定する必要性に疑問を投げかける意見があります。微妙に高い場合は過剰に心配せず,一からきちんとした検査を受けるのだという位の気持ちが良いですね。 

 がん検診と称して血清CEA値を測定しているかもしれません。どこかの臓器で腺癌が発生している時に高値になる場合があります。ものすごく高値の場合は全身の精密検査を受けた方が良いですが,やはり微妙に高い(基準値を若干上回っている)場合も取扱いに困ってしまいます。癌がなくても喫煙者に時々見受けられます。その他,糖尿病,肝炎,膵炎,胆嚢炎,胆石症,自己免疫性疾患,栄養障害などでも微妙に高くなることがあるようです。血清CEA値も同じで,微妙に高い場合は過剰に心配せず,一からきちんとした検査を受けるのだという位の気持ちが良いですね。 

 血糖(空腹時),脂質(中性脂肪,LDLコレステロール,HDLコレステロール),尿酸の各血清値が微妙に異常,飲酒のし過ぎや脂肪肝と思われるAST(かつてのGOT),ALT(かつてのGPT),γ-GTPが微妙に高いといったことはよく見かけられます。ものすごい異常値はすぐに精査と治療が必要です。しかし,微妙な結果の時,特に症状もないしまあいいやと自分に有利な様に考えがちです。確かに緊急性はないかもしれません。しかし,時限爆弾として血糖は最も恐ろしいと思います。コントロール不良の糖尿病で生じる合併症(糖尿病性腎症,網膜症,神経障害など)の悲惨さを知るべきです。どの数値も正常域が良く,まず「生活習慣の見直しと改善」(食事,飲酒,運動など)が基本だと思いますが,特に血糖に関する指導は素直に従った方が良いでしょうね。 

 一喜一憂する検診の時期,検診の結果など見たくもないかもしれませんが,家族のためにも健康管理に積極的に勤しみましょう。 

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イメージ 7 (健康と医療,医師,病院・診療所,医学部・医療系受験,つぶやきのいずれかに移行します)

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