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C型肝炎の最新治療

     平成23年2月26日 第25回川崎肝臓病フォーラム(岡山グランヴィアホテル)by MSD
     特別講演1 C型肝炎治療は最終局面へ-全症例の治癒を目指して-
     演者 虎ノ門病院分院長 熊田博光先生(S47年 東京大卒)
 α-IFN単独療法でのSVR(Sustained Viral Responce)はⅠbで11.7%、2aで76.3%である。
 β-IFN単独療法でもSVRはⅠbで11.4%、2aで76.5%。やっぱり同じである。
 IFN-リバビリン併用になって、48週投与でGenotype 1bが46.1%、2が84.2%、72週投与で1bで2割弱上がって61.1%、2で80.0%である。
 Genotype 1b高ウイルス群でのリバビリン併用療法、48週完遂例では50歳女性が33%と明らかに低率である。
 72週投与になると50歳以上の女性のSVRが60%と上昇し、性差がなくなる。
 多変量解析におけるSVRに寄与する因子:女性、ISDR変異数、血小板数、ICC R15、Core aa70変異 etc
 逆にNVRに寄与する因子では、Core aa70/91変異や性差が上がってくる。 
 2009年にホスト側のSNP、IL-28Bが発見され、2010年にリバビリンの貧血SNP、ITPAが見つかった。
 ペグインターフェロン+リバビリン併用療法48週治療のSVRは、IL-28BがTTは61.6%、TG・GGでは約20%。
 リバビリン併用例でCore70がwild typeではSVRが74.4%、mutannt typeでは32%。
 一緒に見ると、TTで70wildでは66,.4%、TG・GGで70mutantでは12.5%であった。多変量解析では、IL-28Bのrs8099917(minor SNP)、Core70mutationが上がってくるが、なんといっても影響が最も大きいのは年齢である。 
 テラプレビル(NS3-4-Aプロテアーゼ阻害剤)本年7月承認、田辺三菱から10月発売(テラビック)
 第3相試験で初回投与で3剤併用(T12/PR24)でSVR73.4%、2剤併用(PR48)で49.3%、前治療後再燃例で88.1%、前治療無効例で34.5%であった。
 虎の門病院での治験では、IL-28BがTTならCore70がwild84.3%、mutantでも81.8%と差が無く効果良好、TG・GGでは70wildが57.1%、70mutantが25%でやはりここに問題がありそう。
 3施設での50症例を見るとIL-28B TTで3者併用でのSVRは94%でほとんどは治る。TG・GGでは無効例が52%。
 さらに前治療無効例では70wildで62.5%、70mutantで15.4%と低い。
 今後3者併用24週が基本になるが、ペグリバ無効例は有効が34.5%なので投与の延長が考慮される。
 難治例(1型高ウイルス)のIFN治療も1992年の5%から、2011年の75%まで上がり、のこり25%となった。
 IFN発売時治癒率は30%で、治らない方には発癌予防のためIFN少量長期投与、肝庇護(ウルソ・強ミノ・瀉血など)が行われてきた。60歳以上にスミフェロン300万単位、週2-3回投与で5年以上で有意差が出た。虎ノ門病院で無効例にIFN単独療法を行った1675例の結果を見ても発癌・生存率低下抑制は明らかであった。
 今年のガイドラインにはこれを盛り込むことにしました。
 IFN単独、ペグリバ無効・非適応例(1型で肝機能異常者)に対するペグIFN(少量30-60μg/週)+リバビリン(レベトール200-400mg/日)少量24週投与で、それぞれ正常化(<30)約20%、安定化(<45)が約40-50%であった。これを受けてガイドラインには「ペグリバ再燃・無効例にはテラプレビルが発売になるまでは、発癌予防の治療を行うべきである」という文言を入れました。
 Genotype2高ウイルスでは、SVR85%、Response13%、NVR2%。
 多変量解析でNVRに寄与する因子は年齢(<55)、ウイルス量(<6.0Log)、血清アルブミン(≧3.9)が出てくる。
 IL-28Bでは2aではTTとTG・GGで有意差なし、2bではTG・GGが5割と低値で有意差を認めた。
 2型高ウイルスで初回ペグリバ24週無効例を48週投与でどうなるかを7例でみた。
 初回responseは全例SVR、初回NVRは3例中1例がSVRであった。ここは問題が残っている。
 治療期間から見るとウイルスが4週で消失した人は全例SVRだったが、それ以降になると率が低下してくる。
     Genotype2高ウイルス患者では
・2剤併用で再燃例には36-48週の再治療、無効例には3者併用24週の再治療とした。
・無効例では本年6月から共同で30例の治験がスタートする。
     日本でのC型肝炎治療の問題点   
①うつ ②血小板減少 ③患者の高齢化
 虎ノ門病院の治験、IFNαでうつが出た患者へのIFNβ(フェロン)とリバビリン併用療法(1型高ウイルス)14例
 結果は全例で治療が完遂できSVR35.%であった。SVR6例は全例TTであったが、TGは全例ダメだった。ハミルトンスコア(うつの評価)でみるとIFNβでは悪化を認めなかった。
 当院では(うつや高齢でIFNβ選択しリバビリン併用をおこなった)226例の結果はαと相違なかった。
→αでうつになりかかっている人にはβへの切り替えが勧められる。
 4月からガイドラインが変更になる。またテラビック発売後のガイドラインも発表された。 
 また、IL-28BがTTでcore aa70がwildでは2剤併用が治療効果が高いのでテラプレビル発売を待つことなく早期に開始が推奨され、それ以外では3剤併用が可能になるまで待ったほうがよい。という選択肢の一つである。
 混合診療を防ぐため4月以降は国が負担し医療費助成という形で遺伝子検査を行うそうです。
 再燃例はテラプレビル発売まで待って、3者併用をやりましょう。発癌予防に関しても触れておきました。
 現在進行中の日本の治験の紹介①ペグリバNS5A3者併用(ブリストル)2相試験の結果:初回投与でSVR90%、前治療無効群で40%。テラプレビル3者併用とほぼ同等だが副作用中止例が無かった。
     最後の課題
 ペグリバプロテアーゼ阻害剤3者併用無効例をどうするか?→日本で内服薬のみの治験の現状
 テラプレビル単剤では早期にNS3領域のaa156変異が出現しブレイクスルーが起こったため、欧米では長期試験はしないことになった。日本ではテラプレビル単独24週投与で1例(1/15)にSVRが存在し2009年に報告した。
 この症例のシークエンスでは2aのロブに多い193番に変異がありIFN単独でも治りやすい変異が見られた。
 欧米でのNS5A阻害剤単独でもブレイクスルーがおこりダメだった。そこで内服薬2剤併用療法。
 世界ではNS3(プロテアーゼ阻害剤)とNS5B(ポリメラーゼ阻害剤)併用が行われたが、キメラマウスの実験(通常用量)で排除できなかった。そのため日本では、5Bはやめようということになり見切りをつけてNS3とNS5Aでモデル実験を行ない、その上でヒトでの治験を計画した。
   日本のNS5A阻害剤+NS3阻害剤 併用療法
 試験デザイン:厚労省では未承認薬2剤併用はハードルが高く、まず安全性確認目的で Null responderグループ(2log以上減少しなかった10症例)を先行投与群コホート1として24週投与(48週フォロー)した。
 結果、全例が治癒した。TG8例、70mutant8例である。ほとんどが4-8週目で消失した。ただ1例は2週目でビリルビンが上昇し中止した、がこの方は4週目で消失しSVR24をただ一人達成した。
 この結果を受けて、次のステップの試験が行われた。先にコホート3,4(不耐容者と高齢者)を報告する。
 対象は、うつ病・脳梗塞・分裂病・非定型抗酸菌症、貧血(Hb9.3)、高齢(75、74、73、72、70)の12例である。 
 TT10例・TG2例、aa70mutantは4例である。4週で9例消失し12週で全例消えたが、1例ブレイクスルーをおこした。この試験、現在40症例しているが1例ブレイクスルーが起こった。全シークエンスを検討中である。
     NS3阻害薬(BMS-650032)の問題点
①ALT上昇2例:1例は2週目に出現中止後8週で軽快。1例は12週ウイルス消失後ALT上昇し16週で軽快した。
②ビリルビン上昇2例:投与1週目でBil 7.2まで上昇、2週目で中止4週目には軽快。 もう1例2.3まで上昇例あり。
     経口薬2剤併用の最良の組み合わせは
 NS3阻害薬に問題点があるためこちらを変更し。ブリストルのNS5A阻害薬と三菱のNS3阻害薬(MP-424)でキメラマウスで実験中。もう一つ最も副作用が少ないといわれるNS3阻害薬(MK-7009)メルクが届いたのでモデル実験を考慮中である。
 欧米では今後3者併用にポリメラーゼ阻害薬併用が予定されているが、熊田先生は5Aが良いそうで、
     日本のC型肝炎治療の方向性
 日本ではペグリバに加え、テラプレビル・ヤンセンのプロテアーゼ阻害剤・ブリストルのNS5A阻害薬などの3者併用が検討されているが、個人的には経口2剤併用を先に優先しておこなうほうが良いと考える。
 わが国のC型慢性肝炎治療には、IL-28もCore70aaもISDRの測定も必要なく、内服薬のみで全症例治癒を達成できる日がくるかも知れない。
 これによりC型肝炎治療は、今後は発癌治療とB肝にシフトする必要がある。という結語でした。

Q&A
Q:10月から使用可能の3剤併用の高齢者への投与で注意点や使い方の具体的な指導ポイントは?
A:ペグリバ併用もテラプレビルも限界は70歳と考える。貧血のある人では70でも高いかも知れない。一つは必ず専門医で加療を受けてほしいということ。テラプレビル3者併用は中止しても半数はSVRに至る。当院での12週のSVRは70%、投与中止は7/80で全国の24週の集計でSVR73%。テラプレは効果が強いのでどちらかといえば副作用に気を使って使用したほうがよい。発売前で不謹慎だが1500mgで充分効果が期待できる。実際の臨床では熟練した専門医のさじ加減が大切と考える。 
 NS3阻害薬とNS5A阻害薬併用でブレイクスルーした症例のシークエンスが本日判明、NS5Aの○○番に変位が見つかった。1a>1bに認められた。ここは解決できそうである。ただし全症例治癒はなさそうである。またヌルレスポンダーや不忍容への全例使用にもまだまだ時間はかかりそうである。
イメージ 1Q:座長の日野教授から、自検例で2aのヌルがあるが。A:2aのヌルは非常に珍しく、テラプレの治験もお願いしたいので連絡頂ければ何とかします、とのことでした。
 但し2aのヌルは、群馬・栃木には多くSVR60%台で広島(福山)も70%と低い、理由は不明ちなみに東京は88%。2aでも不明な点は多い。ただしテラプレの治験はこのままワンアームで継続します。おわり
personal opinion
 当日は150名を越える参加者であっという間に終わってしまいました。詳しくはMSD社の肝疾患担当者の方へどうぞ。本日は私の好きなザ・グレンリベットでした。日本酒も用意してくだっさていましたが次回のお楽しみに、有難うございました。

この記事に

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ebipapaさん、はじめまして。
東京在住のakioと申します。私はC型肝炎患者です。

3/5の公開報告会で、C型肝炎治療に関する熊田先生の講演を聞き、
関連情報を調べている時に、ebipapaさんの記事にたどり着きました。
私が聞いた熊田先生の講演内容と重なる点が多いので、
この記事を、私のブログで紹介させてくださいませ。
とても分かりやすく纏められていて、私も勉強になりました。
どうぞよろしくお願いします。

akio

2011/3/6(日) 午後 6:40 [ akio ] 返信する

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はじめまして。Y県海側在住のケンケンと申します。

恥ずかしながら少しブログの真似事をしており、私のブログ画面の下の方に「こんな記事もあります」というのを見つけ拝見しにきました。

最初にコメントされたakioさんのブログも拝見し勉強させてもらい、アドバイスなど頂いておりました。

私の場合はC型肝炎から肝硬変になり(飲酒もしないのに)、昨年末より、2回、部分的脾動脈塞栓術を行い、3/4より「フェロン」+レベトール+ビタミンD3を2週間、その後ペグイントロン+レベトール+ビタミンD3を予定して治療を始めたばかりです。

やれることは何でもやってSVRを目指したく、主治医の先生に頼み込んで「フェロン」とビタミンD3を治療にいれていただいております。

主治医の先生からテラブレピルが承認される秋まで待つより、今すぐにでも始めましょうと言う事で、治療にはいりました。
ebipapaさんの情報で、2剤で駄目でも将来の治療・SVRに希望が持てました。

私には多少難しいところはありましたが、大変ためになりました。

これからもよろしくお願いいたします。

2011/3/6(日) 午後 7:26 [ ケンケン ] 返信する

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お二人様、コメント有難うございました。
私は、内科医でも肝臓専門でもありません。
肝炎の方も診ておりません。
少しでもお役に立てばと思いupしております。

2011/3/6(日) 午後 7:33 [ ebipapa ] 返信する

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ebipapaさん、ご厚意に甘えて紹介させていただきます。
さて、ブログの他の記事も拝見しました。
非常に幅広い疾患領域の講演にもかかわらず、
お聞きになるだけで的確に把握されているご様子で、
本当にすごいお医者様と驚いています。
これからのebipapaさんの記事を楽しみにしています。
ではまた♪

2011/3/6(日) 午後 8:04 [ akio ] 返信する

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