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090623 伝統工法

昨日の朝日新聞に「伝統工法をもっと見直そう」という社説が載っていました。
建築関係の雑誌等にではなく、メジャーな媒体にこういった記事が載ることはとてもうれしく思います。

全国でいろいろな活動をしている方々の努力が、実ってきた結果だと思います。
これから、もっともっと日本の木造建築が見直され、普通の事になっていく事を願っています。



今日は伝統工法がらみ、先日の姫路城で驚いた事をお話します。

僕は今まで、日本古来の木造建築には筋交いは使われていないものと思っていました。以前書いた「籠のような構造」こそ日本の木造建築の真髄だと思っており、まれに筋交いが入っている古建物を見たことはあったのですが、それは邪道で、当時の腕の悪い大工がその場しのぎで入れたものであると思っていました。

ところが、姫路城には筋交いが四隅にしっかり入っていたのです。これにはびっくりしてしました。

イメージ 1

−大修理をした際に造った模型。下2層に筋交いが入っています−

イメージ 2

−実際の筋交い。サイズは民家の大黒柱くらいです。−

ヨーロッパの教会などもそうですが、昔の建築は経験によりその構造が進歩してきました。例えば、「前はこんな感じで建てたら壊れてしまったから、今度はここを強くして建てよう」こんな事を数百年も繰り返し、今残っている構造が完成されてきたのです。

日本のお城も、そうやって構造が完成されてきたはずです。だから姫路城以前の建築で、筋交いが入っていなかった為に壊れてしまったものがあったに違いありません。そのような経験に基づき、姫路城を建てた大工は筋交いを入れたのでしょう。解説にありましたが、実際に構造計算をしてみると、1ヶ所の筋交いに掛かる応力は数十トンだそうです。

そんな事から考えると、「日本の古建築に筋交いは無いのではなく、必要に応じて使っている」ということになります。それはそうです。千年以上の経験の積み重ねの結果であり、高度な技術と考え方により完成されてきた日本の木造建築が、「ただ三角を作る」だけの筋交いを知らなかったはずはありません。使っていないのは、「必要がなかったから」なのです。

「筋交いが必要な建築物は、姫路城クラスの巨大建築物」なのであって、「それ以外の規模の建築には筋交いは必要なく、籠のような伝統工法が最もふさわしい」と日本の木造建築は判断しているのです。

しかし、現在の木造を見回すと、筋交いがすべてです。最もふさわしい伝統工法を捨てて、いったい誰がこんな風にしてしまったのだろう?


そんなことを考えた後、山梨に帰ってきて社説を読みました。千年を超える歴史の中、戦後の50年ほど道に迷っていたのが、また正しい道への道標が見つかったようなものでしょうか? ただ、今までは経験則だけでよかったものが、ここから先に進むには根拠となる解析が必要になります。そしてさらに、それが普通の事になってゆく為には、まだまだ超えなければならない課題は多いでしょう。

その為には、我々中間的な立場の専門家がもっともっと勉強しなければならないのだと思っています。

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