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マイケル・ムアコック氏の様々なシリーズの原点の一つと思われる本で、
フォン・べック一族の物語の集約版である『VON BEK』を読み返しています。
(和訳されたもののタイトルは、『軍犬と世界の痛み』や『秋の星ぼしの都』、
『剣の中の竜』、その他となっているようです。)
『軍犬と世界の痛み』
1600年代、プロテスタントとカトリック教徒たちが血みどろの
戦いを繰り広げており、宗教の名のもとにおぞましい惨殺や魔女狩りなどが
平然と行われていた頃。
もとプロテスタント側の戦士であったが、ルターにも、神にも失望し、
軍をも捨てたウルリック・フォン・べックは、一人旅の途中、
動物も昆虫も生息しない森に囲まれた、不思議な城に辿り付きます。
そこで、彼はその城の主である、憂いに満ちた美しい堕天使ルシファーより、
〔ルシファーと)神との和解のため、傷ついた世界を癒し、救うため、
神の慈悲を体現したものであるという『聖杯』の探索を依頼されます。
もともと勇敢で、本質的には善人であったフォン・べックでしたが、神の戦士で
あったはずのその手は、(皮肉なことに)宗教戦争を経て汚れきっており、
彼自身の魂もすでにルシファーのものとなっていました。
彼は戸惑いながらも、『聖杯』を見つける代わりに、自分自身とその恋人となった、
ルシファーの僕サブリナ(宗教者たちによる酷い拷問を受けた後、自分の魂を
売ることにより、ルシファーに救われた白魔女)の魂を解放してもらう、という取引をします。
そして、彼の次元をも超えた『聖杯』探索の冒険が始まる事に。
哲学者であり、詩人でもある著者らしく、主人公たちの会話や、物事の描写のなかに、
洒落た諷刺や、比喩、哲学などが散りばめられており、すらすらと読むというよりは、
じっくりと意味を考えながら、味わって読む小説ではないかと思います。
(楽しめるが、脳の肥やしともなりうる希少な物語)
ウルリックとサブリナの遠い子孫たちが、その後のエレコーゼやエルリックの物語
などに登場することになり、『聖杯』自体も、こういった『永遠の戦士』シリーズの
中で重要なモチーフとして何度も登場しますので(お馴染みの悪い人たちも)、
これを読んでおくと、その他のシリーズがもっと楽しめるのではないかと思います。
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