野口修一と仲間たち(環境共生施設研究所)

野口修一と仲間たちが、現代社会と未来世代への思いと活動のメッセージ

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豊かな社会とは何か(宇沢弘文氏に学ぶ)
〜社会的共通資本という考え方〜

 私の環境の考え方に大きく影響を与えたのは、東京大学名誉教授の宇沢弘文博士の著
書です。川辺川ダム問題についての評論が熊本日々新聞に掲載され、「社会的共通資本」
なる言葉を知り、宇沢博士の著書を立て続けに読んだことを思い出します。宇沢博士の
理論の原点は、水俣病との出会いが一つになっていると知りました。
 著書「社会的共通資本」の一説に、自動車の社会的な費用と言う見だして、次の言葉
がありました。

(本文より)
 自動車の社会的費用という概念は、本来、自動車の所有者ないしは運転者が負担しな
ければならない費用を、歩行者あるいは住民に転嫁して、自らほとんど負担しないまま
自動車を利用しているようなとき、社会全体としてどれだけの被害をこうむっているか
ということをなんらかの方法で尺度化しようとするものである。もし、このような社会
的費用を放置しておくときには、人々は自動車を利用すればするほど、私的なか観点か
ら大きな利益を得ることができるわけで、自動車に対する需要は限りなく増大する傾向
すらもつことになってしまう。(中略)

 ・・自動車通行によって惹き起こされる公害、環境破壊にともなう社会的費用をどの
ように計測したらよいかという問題である。
 自動車通行にともなう大気汚染、騒音、振動などは、人々の健康を損ない、ときには
生命の危険をもたらす。さらに、住宅環境が破壊され、街路の機能もまた著しく阻害さ
れる。このうち、特に深刻なのは大気汚染にともなう健康被害の問題である。


 春から九州では、光化学スモッグ注意報が頻繁に出ています。国内の自動車利用もそ
うですが、東アジアの工業発展が著しく、偏西風に乗り九州へ流れて来ると言われてい
ます。 日本は、大陸の東の端で、日本の排気ガスの影響を直接受ける国はありません
が、拡散しながら世界の空気を汚し続けている思います。自分自身も自動車使うもので
すが、公共共通が疲弊するかな、やむにやまれぬ中で仕事に使っているのが現実です。

 宇沢氏の著書の冒頭に「ゆたかな社会とは何か」をテーマに、5つの条件を上げてお
られます。
1.美しい、ゆたかな自然環境が安定的、持続的に維持されている。
2.快適で、清潔な生活を営むことができるような住居、生活的、文化的環境が用意さ
れている。
3.すべての子どもたちが、それぞれのもっている多様な資質と能力をできるだけ伸ば
し、発展させ、調和のとれた社会的人間として成長しうる学校教育制度が用意されてい
る。
4.疾病、傷害にさいして、そのときどきにおける最高水準の医療サービスを受けるこ
とができる。
5.さまざまな希少資源が、以上の目的を達成するためにもっとも効率的、かつ衡平に
配分されるような経済的、社会的制度が整備されいるか。

 上記から、日本も世界も、果たして豊かに思えない風景が至るところにあります。
 さらに、上記の「ゆたかな社会」を実現するのに必要なものが、社会的共通資本で、
その資源・制度は、次のようなものです。

(本文より)
 社会的共通資本は、土地、大気、土壌、水、森林、河川、海洋などの自然環境だけで
なく、道路、上下水道、公共的な交通機関、電力、通信施設など社会的インフラストラ
クチャー、教育、医療、金融、司法、行政などのいわゆる制度資本を含む。(中略)
 ・・社会的共通資本は、それぞれの分野における職業的専門家によって、専門的知見
に基づき、職業的規律にしたがって管理、運営されるものであるということである。社
会的共通資本の管理、運営は決して、政府によって規定された基準ないしはルール、あ
るいは市場的基準にしたがっておこなわれるものであはない。
 社会的共通資本は、そこから生み出されるサービスが市民の基本的権利の充足にさい
して、重要な役割を果たすものであって、社会にとってきわめて「大切な」ものである。



 昨日から騒ぎになっている、介護サービス大手のコムスングループの行為は、市場原
理による運営の利益至上主義から、社会的共通資本としての「医療・福祉」の意識の無
さから起こっているよう思います。結局、被害を被るのは市民であり、弱者の人々にな
ります。

 今、ドイツでサミットが開催されていますが、温暖化対策の議論に、市民グループは
入らないのは、社会的共通資本の利害関係者(ステークホルダー)の意見が反映されな
いことになるように思います。サミット会場を取り巻く、市民グループの声を聞くこと
ができないことからも、温暖化対策は、世界企業、エネルギー産業の代弁者として国の
代表が議論しているように見え、2050年の人たちから「納得する」世界政策になるか疑
問も残ります。
 安部首相の50%削減の根拠が、テレビ報道で聞けないままで終わるのであれば、
日本の報道陣も政府側の広報機関にすぎないのかと思ってしまいます。原子力発電の増
設が見え隠れする50%削減、サミットの報道に注目したいと思います。

 今日は、少々長くなりました。明日は、社会的共通資本の教育について考えを書いて
みます。ご意見を待ってます。

*参考資料:宇沢弘文著「社会的共通資本」(岩波新書)

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