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クリムト「接吻」(CDのジャケットに使用されています) 「草食系男子」とか「肉食系女子」とか巷では賑わっています。NHKでも昨日結婚に関する番組がありました。「婚活」という単語も日常化しました。それだけ人類の種の保存にとって危機的状況にあるということなのだと思います。そんな時代を一掃する音楽の紹介です。アーノルド・シェーンベルクの「浄夜(浄められた夜)」です。他人の子を身ごもった女性と結ばれる男女の詩に基づいた音楽です。 1899年にシェーンベルクがウィーンで作曲した弦楽六重奏曲。シェーンベルクの初期作品の中では、《グレの歌》と並んで最も有名かつ最も重要な作品の一つであり、その後たびたび弦楽合奏用に編曲や改訂が繰り返され、シェーンベルクの主な収入源となった。リヒャルト・デーメルの同名の詩「浄夜」に基づき、月下の男女の語らいが題材となっている。室内楽のための音詩という、きわめて特異なジャンルを開拓したことでも有名。1902年にウィーンで初演――ロゼー弦楽四重奏団とフランツ・イェリネク、フランツ・シュミットによる――が行われた際、半音階を多用した、当時としては斬新な響きや、調性の浮遊するパッセージ、さらには、あけすけに性を主題とするデーメル作品を出典に作曲する姿勢をめぐって、波紋を呼びました。 Zagreb International Chamber Music Festival, Schönberg 1/3 http://www.youtube.com/watch?v=qh8oMU_ZBB4 Zagreb International Chamber Music Festival, Schönberg 2/3 http://www.youtube.com/watch?v=7HlFZlLprMw Zagreb International Chamber Music Festival, Schönberg 3/3 http://www.youtube.com/watch?v=KXQ0oFeq_8Q 浄 夜 (1部) 男と女が月に照らされた寒々とした森を歩いていく。 月がその歩につきそい、二人を見おろしている。 いま月は高いカシの木の梢にかかり、 空は澄み渡り、一片の雲も無く、 黒い木の梢がまるで空につきささっているようだ。 女が一人、語り始める・・・ (2部) 子供がお腹の中にいます。 でもあなたの子ではありません。 私は罪に苦しみながらあなたと歩んでいるのです。 私はひどい過ちを犯してしまったのです。 もう幸福など信じはしませんでしたけれど、 それでもどうしても激しい憧れを断てなかったのです。 子供を生むこと、母となる喜びとその義務を。 それで思い余って見知らぬ男にわが身を委ねてしまったのです。 それでも満ち足りた思いをしたのでした。 ところが人生はなんという復讐をするのでしょう。 今になって私はあなたに、ああ あなたにこうして巡り会ったのです。 (3部) 女はおぼつかない足取りで歩む。 女は空を見上げる。月が共についてくる。 女の暗いまなざしは月の光に溺れ死ぬかのよう。 男が語る・・・ (4部) 君の授かった子を君の心の重荷にしてはいけない。 ほら見てごらん、辺りはなんと明るく輝いていることか! 僕と君の間には、心のあたたかさが行き交っている。 何もかもが輝きに包まれているのだ。 君は僕と共に冷たい海の上を漂ってゆく。 でも心の温かさが行き交いしている。 君から僕へ、僕から君へと。 この温かさがお腹の子を浄めてくれるだろう。 君はその子を、僕のため、僕の子として産んでおくれ。 君は僕の中に輝きを運び、 この僕をすら子供に変えてしまった。 (5部) 男は女の厚く張った腰に手を回す。 二人の息は温かく交じり合う。 男と女は明るく高い夜空の中を歩んでいく。 リヒャルト・デーメル 詩集「女と世界」より“浄夜”
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/ Yo Yo Ma Cello



