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かれこれ二十年くらい前の話なので記憶違いがあったらご勘弁を。ある本によると、歴史上に名を残した天才は睡眠時間の長短で二種類に分かれるとのことだ。一つは長時間睡眠による創造的天才。こちらは確か、アインシュタインやユングが一例だと思ったがなにせ昔のことなので心許ない。一方短時間睡眠のほうは、野心的天才というタイプでナポレオンやエジソンが代表とのこと。あの本には掲載されていなかったが、漫画の神様といわれた故・手塚治虫も(旺盛過ぎるほどの創作力に裏打ちされた仕事量や、同業者に対する異常ともいえる嫉妬心を考えれば)この部類に入ると見て差し支えなかろう。

 さて、ナポレオンである。彼が強烈な野心に突き動かされた驚くべき行動家であったことは今更言うまでもない。東はロシア、西はイギリスを臨むドーバー海峡まで戦火を広げたナポレオンはそれこそ寝る間も惜しんで行動したという。一日の平均睡眠時間は約三時間。彼を賞賛する人たちはその点も模範とすべきと思い込んでいる節がある。しかし人間の身体というのは良くしたもので、やはりそれだけでは足りなく昼間政務の合間に机に頬杖を突きながらうたた寝しているさまを側近が記録に残している。

 最近の統計でわかったことだが、人の一日の平均睡眠時間は六、七時間が妥当らしく、短過ぎても長過ぎても寿命を短くする一因になるとのことだ。他に、ガン、脳梗塞、心筋梗塞など命に関わる病気にも因果関係があるとのことで、たかが睡眠と馬鹿にできないわけだ。そういえば最後の戦争となったワーテルローの戦いでは、九分九厘勝っていながら歴史的敗北を喫してセントヘレナ島へ島流しにされる破目となった。その原因というのが、胃腸にガスが溜まるという年来の持病が悪化したためでほんの一、二時間ナポレオンが横になったために戦局が一変してしまったためだという。胃腸に爆弾を抱えているというのはいろいろ原因はあるだろうが、睡眠不足が一つの要因であったと見ていいだろう。筆者も経験があるが夜ふかしをしたり睡眠不足の翌日は、胃が張っている感覚がしばしばあった。フランス軍の総司令官として皇帝としてヨーロッパを駆け回った疲労は身にこたえたはずである。すべてを失った後ならなおさらだろう。

 乱れた生活習慣は島流し後も改善されなかったのではないのか。恐らく強度の睡眠障害に悩まされただろう。行動範囲も狭められ、ノイローゼ状態になって身体が衰弱して緩慢とした死を迎えた、といっていい。死後、遺体の毛髪から大量の砒素(ひそ)が検出されたことから毒殺説が長い間囁かれていた。死の真相についてはあえてここでは議論するまい。ただ、どちらにせよ弱りきったナポレオンの余命は決して長くはなかったことだけは想像できる。同時代を生きたモーツァルトが、当時の誤った医学知識で亡くなったことを考えると筆者にはそんな気がしてならないのだ。



 ※モーツァルトの死因について:余談だがナポレオンより十三歳年長だった作曲家のモーツァルト(1756−1791)の死因には謎の部分もあるが、当時のヨーロッパで流行していた遮血療法がその一因ではともいわれている。体内の淀んだ悪い血を抜くことで身体を活性化させるとされたこの療法は、モーツァルトの父レオポルドがしばし好んで行い息子にも勧めた手紙が残されている。病気で衰弱したところに血を抜かれたのだから、それが元で命を落としたとしても不思議はない。

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モーツァルトの死因ってこんな説もあるんですね。信憑性がありそうです

2006/8/18(金) 午後 1:44 koto 返信する

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そうですね。映画「アマデウス」以来、サリエリに毒殺されたなんてのが一人歩きした感がありますが(事実、晩年のサリエリはこの誹謗中傷に近い噂に悩まされています)真相は案外単純なものかもしれません。:kotoさん

2006/8/26(土) 午後 7:05 [ edo*g*ngu ] 返信する

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