ノースウェストである。
もちろん、ノーススウェストと言っても飛行機会社のことではない。
北カリフォルニアから北の土地。
主に、オレゴン州とワシントン州のことである。
水流豊かなコロンビア川に恵まれたおかげか、多くのインディアンたちが住み着いていた土地でもある。
日本人にはあまり馴染みはないが、この川は、シェラネバダの高地から一旦南に向かった後、西へと舵(かじ)を変え、太平洋へと注いでいる大河であり、しかも、周囲を取り巻く景色は、この上なく美しい。
そして、この川とその支流の恵みを受けて、今では、リンゴとナシとチェリーとブドウといった果物の大産地を形成している。
この土地に来たのは、昨年に続いて、二度目である。
今回の同行者は、大男の同僚JKとこれまた腹の突き出た陽気なDDに、小柄でちょっと神経質なPR。
ポートランドからコロンビア川の南沿いを走る国道84号線でひたすら東に向かったあと、コロンビア川を渡り、さらに北上し、インディアンの里のヤキマに向かう。
すぐさま、目に入るのは、乾いた草原の地。
ここにはあまり雨が降らないのか、大木はない。
緩やかに起伏する大地は太陽の光で黄金色に輝いている。
馬に乗ったインディアンたちが、今にも、丘の上から駆け抜けてきそうな思いに駆られるような土地である。
掛け値なく美しい。
その草原の向こう側には、果樹が一面に植えられていた。
大陸内部とは違い、今年は雨も多く、生育状態は悪くないという。
アメリカは広い。
中西部の旱魃もなんのその、この土地は雨に恵まれた。
リンゴ畑を調査したあと、ヤキマ側のワイナリーに立ち寄り、シアトルで会うことになっている知り合いへの土産として白ワインを一本購入。
そして、夕暮れの中、ヤキマの街へと向かった。
もちろん、今宵はワインに酔いしれる。。。
翌日は、そのヤキマからさらに北上し、リンゴの里ベナッチーへと向かう。
また、今日も、気持ちよく晴れている。
立ち寄った農家の主は、インディアンの末裔と思(おぼ)しき御仁(ごじん)。
いまだに、普段は古い言葉を使っているのか、我々に向かって説明する英語はたどたどしい。
ほんとに、彼は、インディアンの末裔なのだ。
いやいや、列記とした、由緒正しき、インディアンなのだ。
ただ、果樹を生育する腕は、確かなよう。
2年前にこの果樹園を手に入れたばかりというが、手入れも良く行き届き、綺麗なリンゴやナシをたわわに実らせている。
丘から見る景色は、どこか長野のリンゴの里にも似ているが、太陽の輝きだけは、ちと違う。
外人ども必携のサングラスの乱反射がまぶしい。
ゆっくりと時が刻まれている。
いつまでもこういう所にいてもいいな、とふと思う。
見飽きぬ景色とはこういうものなのだろう。
でも、旅に終わりはいつかは訪れる。
「また、来れるかなあ」と、後ろ髪を引かれながら、港湾都市シアトルへと向かった。。。
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