過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

「江戸三吟」その3

イメージ 1

イメージ 2

<その3>(最後の一字は作者名)

其の三   
  物の名の蛸や古郷のいかのぼり 徳  
  仰く空は百餘里の春 青  
  腰張や十方世界法の聲 章
  凡そ命は赤土の露 徳
  いつ迄か炮碌売の老の秋 青
  峯の雪かねのわらじの解初て 章  
  千人力の東風わたる也 徳  
  熊つかひむかへば月の薄曇り 青  
  水右衛を笑ふ初かりの聲 章  
  墨の髭萩の下葉の移ひぬ 徳  
  尾花が袖に鏡かさうか 青  
  判はんじいかなる風の閑にふく 章  
  夫は山ぶし海士のよび聲 徳  
  一念の鯰となりて七まとひ(鯰は鰻か) 青  
  かたちは鬼の火鉢いたゞく 章  
  紙ふりの伊勢の国より上りけり 徳  
  神のいがきもこえし壁ぬり 青  
  縄ばしご夜の契りや切つらむ 章  
  さすがわかれのちんば引見ゆ 徳  
  骨うづきしのび笠にて顔かくし 青  
  立出るよりふまれたる露 章  
  夕まぐれ水風呂に流す水の月 徳  
  木綿ざらさの祝ふ紅葉かたしく 青  
  花に風荒木珍太をあたゝめて 章  
  胸につかへし霞はれ行く 徳  
  天津風貸銭なして帰りけり 青  
  勘当ゆるす二月中旬 章  
  釈迦すでに跡式譲り給ふらむ 徳  
  八萬諸聖教古手形なり 青  
  公儀のおふれ武蔵野の秋 章  
  関所ものはらふ草より草の露 徳  
  火つけの蛍とられ行くらむ 青  
  ころばぬように杖で行く月 章
  駒留て下路打叩く雪の暮 徳
  東坡が小者竹の一むら 青
  その里へ石摺の文かよひけり 章
  緞子の染木蠹のさすまで 徳
  土革しれ山は紺地の青嵐 青
  谷水たゝへて蓼酢の如し 章
  異風者金柑淵に遣捨る 徳
  吹矢を折て墨染の月 青
  秋のあはれ隣の茶屋もはやらねば 章
  松虫鈴虫轡たふるゝ 徳
  戀草をつれて走りし末がれて 青
  その業平に請人やなき 章
  木賊色の狩衣質に置し時 徳
  貧乏神の社見かぎる 青
  出雲にて世間咄のわる口に 章
  松江の浦の相店のかゝ 徳
  塗桶に鱸のわたをつみかけて 青
  ひらめ白うらむくの黒鯛 章
  花なるらむ龍の宮古の驕り者 徳
  父大臣のかねつぶす春 青
  手道具や十二一重の薄霞 章
  笈のうちより遠山の月 徳
  小男鹿の妻をとられな宿かすな 青
  杓子はこけて足がひょろつく 青
  やゝ暫し下女とくの戦に      章
  赤前垂の旗をなびかす 徳
  本三位戻子をはりたるごとくにて 章  
   《註》戻子(もじ)  
  貢の箱や飴おこしなる 徳  
  かたぐるまに難波の梅の兄弟 青  
  貫之が筆朝書の春 章  
  それの年徳壺利の氷とけそめて 徳  
  饂飩きり落す橋の下水 青  
  つりものに中の間の障子引放し 章  
  戀のやごろさねだり来にけり 徳  
  質がゝりしれぬ憂名を付かけて 青  
  いつの大よせいつの御一座 章  
  朝夷の三ぶ様四郎さま五郎様の 徳  
  地獄やぶりや芝居やぶりや 青  
  小柄ぬき剣の枝のたわむ迄 章  
  滅金の日影にぎる修羅王 徳  
  千早振木で作りたる神姿 青  
  岩戸ひらけて饅頭の見世 章  
  銭の文字一分もまださだまらず 徳  
  掟のかはる六道の月 青
  秋やむかし二代目の地蔵出たまふ 章
  鎧腹帯残しおく露 徳
  花の枝奇麗高麗切とりて 青
  煮しめの蕨人参甘草 章
  春霞気を引きつたる薄醤油 青
  酒桶に引導の一句しめされて 青
  つらくおもんみれば人は穴蔵      章
  うらがへす畳破れて夢もなし 徳
  蚤にくはれて来ぬ夜敷かく 青
  君々々爪の先程おもはぬか 章
  しのぶることのまくら點取 徳
  戀弱し内親王の御言葉 青
  乳母さへあらばくろがねの霜 章
  疱瘡の神鬼神なりとも閨の月 徳
  ましてや面は張貫の露 青
  翁草布の衣装をひるがえし 章
  松は幾世の青砥左衛門 徳
  北条の宿を嵐に尋ぬれば 青
  彼是をつぶしてひとつになる雲 章
  火神鳴たゝらをふんで響らむ 徳
  菅相丞も本庄の末 青
  江戸の花延喜このかたの時とかや 章
  鶯白鳥も驚かぬ春     執筆

「江戸三吟」その2

イメージ 1

イメージ 2

<その2>(最後の一字は作者名)

其の二   
  さぞな浄瑠璃小うたはこゝの春    信章  
  霞とゝもに道化人形     信徳  
  のつぺいうしと鴨の鳴くらむ 徳
  山陰に精進落て松の聲 青
  三十三年杉たてる庵 章
  青い顔笑ふ山より雲見えて     桃青  
  土器の瀧のめば呑ほど 章  
  聲がたつあらしに浪の遊び舟 徳  
  鴈よ千どりよ阿房友達 青  
  五間口寂しき月に其名をうれ 章  
  松を證據に禮金の秋 徳  
  手かけ者相取のやうに覚えたり 青  
  思ひのきづなしめ殺しゝて 章  
  木綿売ある夕暮の事なるに 徳  
  門ほとくと敲く書出し      青
  鎌田殿身体むきを頼まれて 章  
  二人の若の浪人小性 徳  
  竹馬にちぎれたり共この具足 青  
  続けやつゞけ紙張の母衣 章  
  ところてん水のさかまく所をば 徳  
  浪せき入て大釜の淵 青  
  落瀧津地獄の底へさかさまに 章  
《註》一本 天窓から地獄の底へすつぽんと  
  鐵杖鯉の骨を砕くか 徳  
  酒の月後妻うちの御振舞 青  
  隣の内儀相客の露 章  
  眉をとり袖ふさがする花芒 徳  
  野風も今は所帯の持なり 青  
  鍋の尻入江の汐に気をつけて 章  
  蓮の糸組屋の店の風凉し 徳  
  わかいものよる暖簾の波 青  
  戀の淵水におぼるゝ入相あり 章  
  開帳や俊成作の本尊かけて 徳
  寂蓮法師小僧新発意 青
  伊呂波韻槇たつ山もなかりけり 章
  雲を増補に時鳥ふる秋 徳
  影ひとり長月頃の気根もの 青
  野の宮の夜すがら袷一枚 章
  駕籠かきも浮世をわたる嵯峨なれや 徳
  まよひ子の母腰がぬけたか 青
  傷寒を人々いかにととがめしに 章
  悪鬼となって姿はその儘 徳
  正三に書置かれたる物がたり 青
  こゝに道春これもこれとて 章
  前は池東叡山の大屋敷 徳
  花の盛に町中をよぶ 青
  青柳の髪ゆひくくやい      章
  舞臺に出づる胡蝶鶯 徳
  つれぶしに端唄うたひの蛙鳴 青
  禿が酌に雨の夕ぐれ 章
  戀の土手雲なへだてそ打またげ      徳
  御朱印使風の玉草 青
  心中に山林竹木指きる事      章
  末世の衆道菩提所の月      徳
  十歳の和尚のうは気秋ふけて 青
  彌陀はかゝ様消えやすき露 章
  山又山や三国の九郎介 徳
  関手形安宅に早く着きにけり 青
  松風落て澁紙をとく 章
  首だけのおもひつゝしみてよし 徳  
  うき中は下焦もかれてよわくと     青
  家くの書に根汗かゝるゝ      章
  しなひうち大夜着の裏表迄 徳  
  鞍馬僧正床入のやま 青  
  若衆方先つくしには彦太郎 章  
  かつら姿や右近なるらむ 徳  
  暮の月橘の精あらはれて 青  
  すもゝ山もゝ悉皆成佛      章  
  見性の眼のひかり錫の鉢      徳  
  轆轤のめぐり因果則 青  
  ゑいやとさ爰にひとつの片端もの 章  
  敷がねとして十貫目箱 徳  
  代八やしのび車のしのぶらむ 青  
  日傭をめして夕顔の宿 章  
  山雀のかきふんどしに尻からげ 徳  
  青茶の目白羽織着て行く 青  
  膏薬の木の實のうみや流るらむ 章  
  よこねおろしのに谷ふかき月 徳
  山高く湯船へだつる水遠し 青
  浅間の烟軽石が飛ぶ 章
  しらなへし花の吹雪の信濃なる 徳
  甲頭巾に駒いばふ春 青
  熊坂も中間霞引きつれて 章
  太物の庭の芭蕉葉五六端 徳
  楚國のかたはら横町の秋 青
  邯鄲の里の新道月明て 章
  よくく思へば會所を求る      徳
  千句より十萬億も鼻の先 青
  われらが為の守武菩薩 章
  音葉の子弓三味線あいの山 徳
  四竹さわぐ竹の都路 青
  姉そひてお伽比丘尼のゆくこども 章
  後家ぞまことの佛にてまします 徳
  譲られし黄金の膚こまやかに 青
  こぬかみがき革袋あり 章
  旅枕油くさゝや嫌ふらむ 徳
  鰯でかりの契りこがるゝ 青
  はかゆきにざくく汗の薄情     章
  連理の箸のかたしをもつて 徳
  實や花白楽天が焼筆に 青
  唐土に帰る羽箒の雁     執筆
 

「江戸三吟」その1

イメージ 1

イメージ 2

 <当時の素堂の力が偲ばれる>(最後の一字は作者名)



 延宝 五年(1677)素堂、36才。
   『江戸三吟』五年冬から六年春にかけて。刊行は翌六年。
  あら何ともなや昨日は過てふぐと汁 桃青(松尾芭蕉) 
  寒さしさって足の先まで    信章(山口素堂) 
  居合ぬき霰の玉やみだるらん    信徳(伊藤信徳) 
  拙者名字は風の篠はら      青  
  相応の御用もあらば池の邊 章  
  あみ雑喉がかり折ふしは鮒 徳  
  醤油の後は濁れば月すみて 青  
  更てしばしば小便の露      章  
  聞耳や餘所かあやしき荻の聲 徳  
  難波の聲は伊勢の與茂一      青  
  屋敷がたあなたへさらりこなたへも   章  
  かはせ小判や袖にこぼるゝ 徳  
  もの際にことわりしらぬわが涙      青  
  干鱈四五枚是式の戀を      章  
  寺参り思ひ初たる衆道とて 徳  
  みじかきこゝろ錐で肩つく 青  
  糠釘のわずかの事にいひ募り 章  
  露がつもりて鐘鑄の功徳      徳  
  芳野川春も流るゝ水茶碗      章  
  紙袋より粉雪とけゆく      徳  
  風青く楊枝百本けづらむ      青  
  野郎ぞろへ紋のうつり香      章  
  法の聲即身非花散て 青  
  余波の雁も一くだりゆく 章  
  上下のこしのしら山薄霞 徳  
  双六の菩薩も爰に伊達姿 徳
  衆生の銭をすくひとらるゝ 青
  目の前に島田金谷の三瀬川 章
  から尻しづむ淵は有けり 徳
  小蒲團に大蛇の恨み鱗形 青
  かねの食継湯となりし中 章
  二三獻跡は淋しく暮過て 徳
  月はむかしの親仁友達 青
  蛬無筆な侘そきりぎりす 章
  胸算用の薄みだるゝ 徳
  勝負も半の秋の清風に 青
  われになりたる波の関守 章
  あらはれて石魂忽飛千鳥 徳
  ふるい地蔵の茅原更ゆく 青
  鹽うりの人かよひけり跡見えて 章
  文正が子を戀路なるらむ 徳
  今日より新狂言と書くどき 青
  ものにならずにものおもへとや 章
  或時は臧の二階に追込んで 徳
  何ぞと問ば猫の目の露 青
  月影や似せの琥珀に曇るらむ 章
  隠元衣うつゝか夢か 徳
  泪じみたるつぎゞれの露 青
  衣装繪の姿うごかす花の嵐 章
  匂ひかくる願主しら藤 徳
  百萬石の梅匂ふなり 青  
  むかし棹今の帝の御時に 章  
  守随ぎはめの歌の撰集 徳  
  掛乞も小町が方へといそぎ候 青  
  これなる朽木の横にねさうな 章  
  小夜あらしとぼそ落ちては堂の月 徳  
  古入道は失せにけり露 青  
  海尊やちかいおころ迄山の秋 章  
  さる柴人がことの葉の色 徳  
  縄帯のその様いやしとかゝれたり 青  
  これぞ雨夜のかち合羽なる 章  
  飛来の馬からうとや時鳥 徳  
  森の朝影狐ではないか 青  
  二柱彌右衛門と見えて立ちかくれ 章  
  三笠の山をひつかぶりつゝ 徳  
  萬代の古着かはうと呼ばうなる 青  
  質のながれの天の羽衣 章  
  田子の浦波打ちよせて負博奕 徳  
  不首尾で帰る海士の釣船 青  
  前は海入日を洗ふうしろ疵 章  
  松が根枕石のわたとる 徳  
  つゞれとや仙女が夜なべ散 青  
  瓦燈の烟に佛の月 章
  我戀を鼠のひきしあしたの秋 徳
  鈴の音一貫二百春くれて 青
  片荷は財布めては香久山 章
  雲介がたなびく空に来にけらし 徳
  幽霊となって娑婆の小盗み 青
  無縁寺の橋の上より落さるゝ 章
  都合その勢萬日まゐり 徳
  祖父祖母早うつたてやものどもとて 青
  鼓をいだき草鞋しめはく 章
  米袋口をむすんで肩にかけ 徳
  木賃の夕べ風の三郎 青
  韋駄天もしばし休らふ早飛脚 章
  出せや出せやとせむる川舟 徳
  はしり込追手顔なる波の月 青
  すは請人か蘆の穂の聲 章
  物の賭振舞にする天津雁 徳
  木鑵子の尻山の端の雲 青
  人形の鍬の下よりゆく嵐 章
  畠にかはる芝居淋しき 徳
  此翁茶屋をする事七度迄 青
  住よし諸白砂ごしの海 章
  淡路潟かよひに花の香をとめて 徳
  神代このかたお出入の春     執筆
  

全1ページ

[1]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事