山口素堂のすべて

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

芭蕉「はりぬき」の句

イメージ 1

 <図版>
 素堂の「脇句」が省かれている。

 <誤伝の例。「甲斐国誌」を元本にしている>
 ■芭蕉庵桃青傳 - 1 -
 ○http://www2s.biglobe.ne.jp/~Taiju/bashoden_1.htm

 ●山口素堂が、東叡山下より葛飾の阿武に居を移せしも亦天和年中なり。素堂は季吟門にして芭蕉が親友なり。名は信章、字は子晋、通稱官兵衞といふ。甲斐巨摩郡教來石村字山口の人なり。代々山口に住するに依て山口氏と稱す。山口市右衞門の長男にして寛永十九年五月五日に生る。幼名を重五郎と云ひ、長じて父が家を繼ぎ家名市右衞門と改む。其後甲府魚町に移り、酒折の宮に仕へ頗る富めるをもて郷人尊稱して山口殿と呼べり。幼時より四方に志ありて、屡々江戸に遊び林春齋の門に入て經學を受け、のち京都に遊歴して書を持明院家に、和歌をを清水谷家に學び、連歌は北村季吟を師として宗房即ち桃青、信徳及び宗因を友とし俳諧に遊び、來雪又信章齋と號し、茶道を今日庵宗丹の門に學んで終に嗣號して今日庵三世となる。斯る異材多能の士なれば、早くより家を弟に讓りて市右衞門と稱せしめ、自ら官兵衞に改めて仕を辭し、江戸に來りて東叡山下に住し、素堂と號して儒學を諸藩に講じ以て業となし、傍ら人見竹洞、松尾桃青等諸同人と往來して詩歌聯俳を應酬唱和し、點茶香道を樂み、琵琶を彈じ琴を調べ、又寶生流の謠曲を能くしければ、素仙堂の名は風流を擅にしたりき。(以上『葛飾正統系圖』に據る。)桃青はもと同門の友たれば、東下以來『江戸三百韻』を初めとして、文字の交際尋常ならざりしが、殊に素堂が葛飾阿武に移居せし後は、偶々六間堀の假寓と近接したれば、小名木川を上下して互に往來し愈々親しく語らひける。素堂の號は此頃より名乘りしものにて、庭前に一泓(*淵)の池を穿ちて白蓮を植ゑ、自ら蓮池の翁と號し、晋の惠遠が蓮社(*慧遠・謝霊運等の白蓮社)に擬して同人を呼ぶに社中を以てし、「浮葉卷葉この蓮風情過ぎたらん」の句を作りて隱然一方の俳宗たり。一説に芭蕉は儒學を素堂に學びたりと云へど、其眞否は精しく知るを得ず。されど當時の俳人を案ずるに、季吟の古典學者たるを除くの外は連歌に精しき者の隨一流の識者として、素堂程の學識ある者は殆ど其比を見ず。芭蕉は稀世の天才にして且つ季吟が國典に於ける衣鉢を繼ぎたれ共、素堂如き才藝博通の士に對しては勢ひ席を讓らざるを得ざるべし。且つ縱令師事せざるも文詩の友を結んで益を得たるは、恐らく失當の推測にあらざるべし。芭蕉の遺文を案ずるに、其角丈と云ひ杉風樣と呼ぶ中に、獨り素堂先生と尊稱するを見るも亦、尋常同輩視せざりしを知るに足る。されば枯枝の吟に於ける口傳茶話の如き、蓑蟲の贈答の如き、『三日月日記』に漢和の格を定めたる如き、若くは其日庵に傳ふる芭蕉・素堂二翁、志を同うし力を協して、所謂葛飾正風を創開せしといふ説の如き、或は『續猿蓑』の「川上とこの川しもや月の友」を以て素堂を寄懷せるものとなす如き、皆素堂と芭蕉との淺からぬ關係を證するものにして、芭蕉が俳想の發展は蓋し素堂の力に得たるもの多かりしなるべし。素堂傳に芭蕉と隣壁すとあれども、素堂は阿武に住し芭蕉は六間堀に寓したれば、隣家といふも恐らくは數町を距てしなるべし。當時深川は猶葛飾と稱し、人家疎らなる僻地なれば、茫々たる草原に數町を距てゝ二草舍の相列びしものならん乎。
因に云ふ。元祿八年、素堂五十四歳の時歸郷して父母の墓を拜せし序、前年眷顧を受けたる頭吏櫻井孫兵衞政能を訪ひたりしに政能大に喜びて云へらく、笛吹川の瀬年々高く砂石河尻に堆積して濁水常に汎濫し、沿岸の十ヶ村水患を蒙むる事甚しく殊に蓬澤及び西高橋の二村は地卑くして一面の湖沼と變じ釜を釣りて炊き床を重ねて座するの惨状を極め禾穀(*原文「禾■(穀の偏の「禾」を「釆」に作る。:こく::大漢和27067)」)腐敗して收穫十分の二三に及ばざるに到れば百姓次第に沒落して板垣村善光寺の山下に移住するもの千石(*ママ。千戸か。)に達し、殘れる者も其辛楚に堪えざらんとす。數里の肥田は流沙と變じ餓■(艸冠/孚:::大漢和31076)將に野に充ちんとする酸鼻の状は苦痛に堪えざれども獨力經過の難きを歎ずる折から、足下の來れるのは幸ひなり。願くは姑く風月の境を離れて我に一臂の力を假して民人の爲に此患を除くの畫策をなさゞらんやと。素堂慨然として答へて云ふ、善を見て進むは本より人の道なり。況してや父母の國の患を聞いて起たざるは不義の業にして我が不才も之を耻づ。友人桃青も曾て小石川水道工事の功を修めたれば一旦世事を棄てたる我も君の知遇を受けて爭でか奮勵せざらんやと。終に承諾しければ、政能大に喜び公廳の許を得んとて江戸に出立しける。出づるに臨みて涕泣して沿道に送れる十村の民に向ひ、今度の素願萬一被許相成らざる時は今日限り再び汝等の顔を見ざるべし。今よりは萬端官兵衞が指導を仰ぎて必ず其命に背違する勿れと云ひて訣別しぬ。禿顱の素堂再び山口官兵衞と名乘りて腰に兩刀を帶び日夜拮据(*奔走)勉勵して治水の設計を盡策しぬ。斯くて其翌年孫兵衞政能終に公許を得て歸郷しければ素堂、孫兵衞は協議して大設計を立て、夙夜營々として事に從ひ、西高橋村より南方笛吹川の堤後に沿て増坪、上村、西油川、落合、小曲、西下條に到るまで、新に溝渠を通じ土堤を築く事二千間餘、疏水の功全く落成せしかば、惡水忽ち通じて再び汎濫せず、民人患を免がれて一と度他に移住せしものも郷土に從歸して祖先の墓を祀る幸福を得るに到りしかば、民人崇敬して猶生ける時より祠を蓬澤村の南庄塚に建て、政能を櫻井明神と稱し素堂を山口靈神と號して年々の祭祀久しく絶えざりしといふ。素堂は其後再び江戸に來りて俳諧に遊び、亡友芭蕉の爲に定林院の域内に桃青堂を建立して西行及び芭蕉の像を安んじ、『松の奧』及び『梅の奧』の秘書に永く其日庵の俳風を殘し、享保元年八月十五日七十五の壽を以て終りぬ。芭蕉が水道遺事は廣く人口に膾炙すれども然も精しく其蹟を尋ぬれば漠として捕捉しがたし。素堂が笛吹川の工事は多く知られずして却て赫々たる功は今に顯著たり。既に有志の硅(*ママ)は永く其功績を後世に殘さんが爲、數年前素堂疏水紀功碑を建設したりと云ふ。素堂は決して尋常俳諧師にあらざるなり。(『葛飾正統系圖』及び露伴子の『消夏漫筆』五十四に據る。)


--------------------------------------------------------------------------------

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

イメージ 5

イメージ 6

イメージ 7

イメージ 8

イメージ 9

 <誤伝 山口素堂>

素堂の家系につながる、山口黒露著述「庵語」
 興味深し話がたくさんある。
 <図版>

 ■山口黒露関連サイト
 ●http://homepage3.nifty.com/hakushu/ymns-let-16.htm
 ●http://www.c-walk.com/tokaido/map/utunoya/06ganzan.html
 ●http://sky.geocities.jp/hokureki0/index.html

「江戸三吟」その3

イメージ 1

イメージ 2

<その3>(最後の一字は作者名)

其の三   
  物の名の蛸や古郷のいかのぼり 徳  
  仰く空は百餘里の春 青  
  腰張や十方世界法の聲 章
  凡そ命は赤土の露 徳
  いつ迄か炮碌売の老の秋 青
  峯の雪かねのわらじの解初て 章  
  千人力の東風わたる也 徳  
  熊つかひむかへば月の薄曇り 青  
  水右衛を笑ふ初かりの聲 章  
  墨の髭萩の下葉の移ひぬ 徳  
  尾花が袖に鏡かさうか 青  
  判はんじいかなる風の閑にふく 章  
  夫は山ぶし海士のよび聲 徳  
  一念の鯰となりて七まとひ(鯰は鰻か) 青  
  かたちは鬼の火鉢いたゞく 章  
  紙ふりの伊勢の国より上りけり 徳  
  神のいがきもこえし壁ぬり 青  
  縄ばしご夜の契りや切つらむ 章  
  さすがわかれのちんば引見ゆ 徳  
  骨うづきしのび笠にて顔かくし 青  
  立出るよりふまれたる露 章  
  夕まぐれ水風呂に流す水の月 徳  
  木綿ざらさの祝ふ紅葉かたしく 青  
  花に風荒木珍太をあたゝめて 章  
  胸につかへし霞はれ行く 徳  
  天津風貸銭なして帰りけり 青  
  勘当ゆるす二月中旬 章  
  釈迦すでに跡式譲り給ふらむ 徳  
  八萬諸聖教古手形なり 青  
  公儀のおふれ武蔵野の秋 章  
  関所ものはらふ草より草の露 徳  
  火つけの蛍とられ行くらむ 青  
  ころばぬように杖で行く月 章
  駒留て下路打叩く雪の暮 徳
  東坡が小者竹の一むら 青
  その里へ石摺の文かよひけり 章
  緞子の染木蠹のさすまで 徳
  土革しれ山は紺地の青嵐 青
  谷水たゝへて蓼酢の如し 章
  異風者金柑淵に遣捨る 徳
  吹矢を折て墨染の月 青
  秋のあはれ隣の茶屋もはやらねば 章
  松虫鈴虫轡たふるゝ 徳
  戀草をつれて走りし末がれて 青
  その業平に請人やなき 章
  木賊色の狩衣質に置し時 徳
  貧乏神の社見かぎる 青
  出雲にて世間咄のわる口に 章
  松江の浦の相店のかゝ 徳
  塗桶に鱸のわたをつみかけて 青
  ひらめ白うらむくの黒鯛 章
  花なるらむ龍の宮古の驕り者 徳
  父大臣のかねつぶす春 青
  手道具や十二一重の薄霞 章
  笈のうちより遠山の月 徳
  小男鹿の妻をとられな宿かすな 青
  杓子はこけて足がひょろつく 青
  やゝ暫し下女とくの戦に      章
  赤前垂の旗をなびかす 徳
  本三位戻子をはりたるごとくにて 章  
   《註》戻子(もじ)  
  貢の箱や飴おこしなる 徳  
  かたぐるまに難波の梅の兄弟 青  
  貫之が筆朝書の春 章  
  それの年徳壺利の氷とけそめて 徳  
  饂飩きり落す橋の下水 青  
  つりものに中の間の障子引放し 章  
  戀のやごろさねだり来にけり 徳  
  質がゝりしれぬ憂名を付かけて 青  
  いつの大よせいつの御一座 章  
  朝夷の三ぶ様四郎さま五郎様の 徳  
  地獄やぶりや芝居やぶりや 青  
  小柄ぬき剣の枝のたわむ迄 章  
  滅金の日影にぎる修羅王 徳  
  千早振木で作りたる神姿 青  
  岩戸ひらけて饅頭の見世 章  
  銭の文字一分もまださだまらず 徳  
  掟のかはる六道の月 青
  秋やむかし二代目の地蔵出たまふ 章
  鎧腹帯残しおく露 徳
  花の枝奇麗高麗切とりて 青
  煮しめの蕨人参甘草 章
  春霞気を引きつたる薄醤油 青
  酒桶に引導の一句しめされて 青
  つらくおもんみれば人は穴蔵      章
  うらがへす畳破れて夢もなし 徳
  蚤にくはれて来ぬ夜敷かく 青
  君々々爪の先程おもはぬか 章
  しのぶることのまくら點取 徳
  戀弱し内親王の御言葉 青
  乳母さへあらばくろがねの霜 章
  疱瘡の神鬼神なりとも閨の月 徳
  ましてや面は張貫の露 青
  翁草布の衣装をひるがえし 章
  松は幾世の青砥左衛門 徳
  北条の宿を嵐に尋ぬれば 青
  彼是をつぶしてひとつになる雲 章
  火神鳴たゝらをふんで響らむ 徳
  菅相丞も本庄の末 青
  江戸の花延喜このかたの時とかや 章
  鶯白鳥も驚かぬ春     執筆

「江戸三吟」その2

イメージ 1

イメージ 2

<その2>(最後の一字は作者名)

其の二   
  さぞな浄瑠璃小うたはこゝの春    信章  
  霞とゝもに道化人形     信徳  
  のつぺいうしと鴨の鳴くらむ 徳
  山陰に精進落て松の聲 青
  三十三年杉たてる庵 章
  青い顔笑ふ山より雲見えて     桃青  
  土器の瀧のめば呑ほど 章  
  聲がたつあらしに浪の遊び舟 徳  
  鴈よ千どりよ阿房友達 青  
  五間口寂しき月に其名をうれ 章  
  松を證據に禮金の秋 徳  
  手かけ者相取のやうに覚えたり 青  
  思ひのきづなしめ殺しゝて 章  
  木綿売ある夕暮の事なるに 徳  
  門ほとくと敲く書出し      青
  鎌田殿身体むきを頼まれて 章  
  二人の若の浪人小性 徳  
  竹馬にちぎれたり共この具足 青  
  続けやつゞけ紙張の母衣 章  
  ところてん水のさかまく所をば 徳  
  浪せき入て大釜の淵 青  
  落瀧津地獄の底へさかさまに 章  
《註》一本 天窓から地獄の底へすつぽんと  
  鐵杖鯉の骨を砕くか 徳  
  酒の月後妻うちの御振舞 青  
  隣の内儀相客の露 章  
  眉をとり袖ふさがする花芒 徳  
  野風も今は所帯の持なり 青  
  鍋の尻入江の汐に気をつけて 章  
  蓮の糸組屋の店の風凉し 徳  
  わかいものよる暖簾の波 青  
  戀の淵水におぼるゝ入相あり 章  
  開帳や俊成作の本尊かけて 徳
  寂蓮法師小僧新発意 青
  伊呂波韻槇たつ山もなかりけり 章
  雲を増補に時鳥ふる秋 徳
  影ひとり長月頃の気根もの 青
  野の宮の夜すがら袷一枚 章
  駕籠かきも浮世をわたる嵯峨なれや 徳
  まよひ子の母腰がぬけたか 青
  傷寒を人々いかにととがめしに 章
  悪鬼となって姿はその儘 徳
  正三に書置かれたる物がたり 青
  こゝに道春これもこれとて 章
  前は池東叡山の大屋敷 徳
  花の盛に町中をよぶ 青
  青柳の髪ゆひくくやい      章
  舞臺に出づる胡蝶鶯 徳
  つれぶしに端唄うたひの蛙鳴 青
  禿が酌に雨の夕ぐれ 章
  戀の土手雲なへだてそ打またげ      徳
  御朱印使風の玉草 青
  心中に山林竹木指きる事      章
  末世の衆道菩提所の月      徳
  十歳の和尚のうは気秋ふけて 青
  彌陀はかゝ様消えやすき露 章
  山又山や三国の九郎介 徳
  関手形安宅に早く着きにけり 青
  松風落て澁紙をとく 章
  首だけのおもひつゝしみてよし 徳  
  うき中は下焦もかれてよわくと     青
  家くの書に根汗かゝるゝ      章
  しなひうち大夜着の裏表迄 徳  
  鞍馬僧正床入のやま 青  
  若衆方先つくしには彦太郎 章  
  かつら姿や右近なるらむ 徳  
  暮の月橘の精あらはれて 青  
  すもゝ山もゝ悉皆成佛      章  
  見性の眼のひかり錫の鉢      徳  
  轆轤のめぐり因果則 青  
  ゑいやとさ爰にひとつの片端もの 章  
  敷がねとして十貫目箱 徳  
  代八やしのび車のしのぶらむ 青  
  日傭をめして夕顔の宿 章  
  山雀のかきふんどしに尻からげ 徳  
  青茶の目白羽織着て行く 青  
  膏薬の木の實のうみや流るらむ 章  
  よこねおろしのに谷ふかき月 徳
  山高く湯船へだつる水遠し 青
  浅間の烟軽石が飛ぶ 章
  しらなへし花の吹雪の信濃なる 徳
  甲頭巾に駒いばふ春 青
  熊坂も中間霞引きつれて 章
  太物の庭の芭蕉葉五六端 徳
  楚國のかたはら横町の秋 青
  邯鄲の里の新道月明て 章
  よくく思へば會所を求る      徳
  千句より十萬億も鼻の先 青
  われらが為の守武菩薩 章
  音葉の子弓三味線あいの山 徳
  四竹さわぐ竹の都路 青
  姉そひてお伽比丘尼のゆくこども 章
  後家ぞまことの佛にてまします 徳
  譲られし黄金の膚こまやかに 青
  こぬかみがき革袋あり 章
  旅枕油くさゝや嫌ふらむ 徳
  鰯でかりの契りこがるゝ 青
  はかゆきにざくく汗の薄情     章
  連理の箸のかたしをもつて 徳
  實や花白楽天が焼筆に 青
  唐土に帰る羽箒の雁     執筆
 

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事