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新人の頃、夜勤で入ってたときに 主任のケアワーカーが「今日は満月?」と聞いてきた。 窓の外を見るとまんまるいお月さん。 「どうりで。今日は大変そう・・」とポツリ。 満月の夜、老人ホームはにぎやかだ。 普段目を閉じてる人が目をパッチリ開け 普段全くしゃべらない人が饒舌になる。 廊下を徘徊する人も増える。 なんでだ? 月の引力、潮の満ち引きが なぜこんな作用を及ぼすのか・・ 人間は不思議だ。 普段声すら聴いた事ない人が「起こしてー」と叫び おとなしいおばあちゃんが「こんなところに私を閉じ込めて!帰る!」と言い出す。 ケアワーカーはてんてこまいだ。
夜な夜な聞こえる独語。 夜勤者はだれでも遭遇する。 笑えるものからキモチワルイものまで バラエティ豊富だ。 独語がひどいと同室の方が眠れないので その人は「独語」の部屋に移動辞令が出る。 4人部屋でめいめいが独語を話している。 けして交差することのない独語ワールド。 「頼むわー、来てくれやー」 あわてていくと 「どうかされたんですか?」 「はあ?」 独語だった・・。 話しかけをしても部屋を出るとまた始まる。 新人のころの話。 その後一晩中 「頼むワー、来てくれやー」 エンドレス。 次の日声が枯れている・・ そりゃそうだ。 一人二役で会話してる独語もある。 「そう思わんか?」 「思う思う」 ちょっとそれに加わってみた。 「俺はそうは思わん」 「・・・」 しばしの沈黙の後、再スタート。 どうやら仲間には入れてもらえないようだ・・。 絶叫系独語もある。 ただただ奇声を発している。 これが一部屋で行われている。 「独語専用ルーム」 現在満席です。
虐待は人目のない夜、行われることが多い。 園長も面会者もいない。 3−4人のケアワーカーだけだ。 どこからどこまでが虐待になるのか、難しいところではある。 ある朝、ある利用者さんの額が赤くなってる、 総主任「どうしたのかしら?」 看護士「何かねー・・?」 ケアワーカーの森末君(仮名)が夜勤のときに でこピンしてたのだ。 森末君は感じのいい22歳、男子。 人懐っこい性格で、同僚からの評判もまずまずだ。 しかし虐待のプロだ。 エロじいさんのハゲ頭もよくはたいてる。 うちの施設では 車椅子で多動のお年寄りのベットには柵で囲んで 出れないようにする。 ベットから落ちて怪我でもされたら困るからだ。 それでも夜にベットの柵を越えて 外に出ようとする者には 「お楽しみセット」が待っている。 車椅子に座らせ、拘束するのだ。 独語がひどくて他の人が寝れない! という苦情を受けることもある。 しかもシャウト系独語だ。 幾ら言っても独語は収まらないので その場合車椅子に座らせ 誰もいない真っ暗な食堂にしばらく放置。 なんてことも。 今考えるととてもひどいことだ。 しかしこの施設にいると普通の感覚を失ってしまう。 そしてだれもが加害者になる可能性があるのだ。
夜勤は夜明けが一番忙しい。 利用者が死ぬともう、てんやわんやだ。 まず夜中に副園長の家に連絡する。副園長は看護士に連絡し そして利用者の保護者に連絡が入る、という仕組みだ。 看護士が私服で眠い目をこすりながらやって来て死亡を確認する。 家族に連絡し、駆けつけた家族に葬儀屋を選ばせる。 すぐに葬儀屋はやってくる。 その間に「エンゼルセット」で 鼻やお尻に綿を詰めて、オムツも二重にする。 浴衣に着替えさせる 一時遺体を安置する場所の掃除 こうした準備を看護士とともにケアワーカーが行う。 2階に急いで上がってみると 水谷さんは確かに亡くなっていた。 もう体はカチカチでずいぶん時間がたっている。 うちでは1時間ごとの見回りが義務付けられている。 彼はそれを怠っていたらしい・・。 申し送りにもなかった、突然の死だ。 「大丈夫かなあ・・」(見回りをサボっていたことが発覚することへの恐れ) 「大丈夫でしょ。」(根拠なし) なんにせよ看護士へ連絡だ。 亡くなった彼女もまさかこのような形で 人生を締めくくることになろうとは思わなかっただろう。 小さな島の施設の 4人部屋で ひっそりとその生涯を終えるのだ。
年寄りは夜明けに死ぬ。 月の引力、潮の満ち引きが関係しているとも聞くが とにかく夜明け頃なくなる人が多い。 ということはお年寄りの死を発見するのは夜勤の者であり 人が死ぬと夜勤者は大変忙しくなる。 うちに施設では平均して毎年24人の方が亡くなる。 つまり1ヶ月に2人だ。 僕は利用者の方が亡くなっても泣かない。 親しくしてた人が死んだときもそうだ。 荷物がなくなって、綺麗にメイキングされたベットを見て 寂しくなることはあるけれど・・ 1度だけ号泣したことがある。 みんなが見てる前で大の男が 声を出して子供のように泣いた。 でもこの時は状況が違った。 事故だったからだ。 そのことは今でも僕のトラウマとなっており このブログを書こうと思ったきっかけでもある。 だがまだ、書けない。 基本的に泣かないのは人の死に慣れるからではなく いつも心のどこかでその人の死を覚悟しているからかもしれない。 人の死を発見するのは嫌なもんだ。 あらかじめ「この人は要注意です」と申し送りで言われてる人なら覚悟が出来てる。 しかし突然ノーマークな人が死ぬと ちょっとあせる 1度こんなことがあった。 僕が1階の夜勤をしていたとき2階の夜勤者が走って降りてきた。 「水谷さん(仮名)が死んでるみたいなんです。来てもらえませんか?」
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