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地震のしくみと地震予知(1)

  阪神淡路大震災から13年ほど経過しました。この震災を契機に、
  地震観測網が整備され、地震シミュレーション研究などが大きく進展しました。
  その結果、ここ10年ほどで地震の科学がめざましく発展し、
  地震予知が科学の射程に入りつつあります。

 「大地震の発生する場所はあらかじめ決まっている」とする考え方と,
 「大地震はどこでも発生しうる」という考え方の二通りがあり、
  どちらが正しいかは長らく論争がありました。
  最近の研究により、前者であることがことが分かってきました。

    「地震のしくみと地震予知」について3回シリーズで解説します。

その1:アスペリティで地震が起こる

こんなマンガを見かけたことがありませんか?
イメージ 1
陸のプレート(岩盤)は、海のプレートに引きずり込まれ、耐えきれなくなった時に、
陸のプレートはビョ〜ンと跳ね上がります。これが海溝型の地震です。

↑↑↑しかしこれは地震のしくみを説明する古典的な図で、
最近ではこんな図↓↓↓で表現されています。

イメージ 2

陸と海のプレートの境い目はガッチリかみ合っている部分ずるずる動いている部分があります。
ガッチリかみ合っている部分は普段は全く動きませんが、地震の時だけバリバリっと動きます。

この「ガッチリかみ合っている部分」を「アスペリティ」と言います。
最近10年程度で認識されるようになった概念です。ぜひ覚えて下さい。

アスペリティとは?

アスペリティとは、プレートの境い目に分布する、周囲にくらべて摩擦強度の大きな領域です。
地震波の記録を丹念に解析することによってアスペリティの分布が明らかになってきました。

イメージ 3
(アスペリティの空間分布のイメージ)

陸に平野や山地があるのと同じように、海底にも平野や山地・山脈があります。
まだら模様に見えるアスペリティのランダムな分布は、
陸の下に潜り込んでしまったかつての海底の山地(海山 [かいざん])の分布に
相当するのではないかと考えられています。

地下に潜り込んだ海山の「でっぱり」が引っかかって、
プレート運動にブレーキが効いている状態になっているらしい、と言われています。

アスペリティの規模は地域によってまちまちです。
北海道や東北の太平洋側ではアスペリティの半径は数10km程度です(下図)。

イメージ 4

静岡から高知へ至る南海トラフではアスペリティは半径100m以上の円形〜楕円形です。
イメージ 5

地震の正体はアスペリティの破壊だ

さて、「地震」を一言で言い表せば、地下の岩石が破壊してずれることです。
ある一点(震源)から始まった破壊は、立体的にではなく、平面的にバリバリっと広がります。
このように破壊してずれた面が地震断層です。
この破壊面が、まさにアスペリティに相当するのです。
つまり、地震の正体はアスペリティの破壊なのです。

ところで、一回の大地震で地震断層はどの程度のずれるのでしょうか?
上の図の四国沖や紀伊半島沖などの青い部分の中にある数字がずれた距離です。
おおざっぱには1mから5m程度といったところです。
(ですから一番上の図は実は大げさなのです。)

なぜ5mなのかというと...   海のプレートは毎年5cm前後の速さでもぐり込みますから、
100年間ブレーキが効いていれば、アスペリティに5m(100年分)の歪みがたまります。
100年に一度、ブレーキに限界が来て、ギギッとスリップして一気に歪みを解放し、
5mずれたところでまたブレーキが効き始めます。

5mはアスペリティの直径の0.01%に過ぎないので、極めて微小なずれです。
しかし、秒速数メートルで大地が動きますから、とてつもないエネルギーを放出します。

ご存知のように、エネルギー(地震の規模)を表す数値としてマグニチュードを用いますが、
マグニチュードは、破壊した地震断層の面積と、ずれた距離によって決まります。
つまり、大きなアスペリティが数百年ぶりに破壊すれば、マグニチュードは大きくなります。
10mもずれたらマグニチュード8.5以上になるでしょう。

まとめ(アスペリティモデル)

● プレート境界面には、滑りやすい場所と引っ掛かっている場所(アスペリティ)がある。
● 地域によって固有のアスペリティがあり、サイズはまちまち。アスペリティのない場所もある。

● 普段はアスペリティが踏ん張っているから(ブレーキが効いているから)地震は起きない。
● アスペリティに歪みがたまって、耐えきれなくなってずれる(岩石が破壊する)のが地震。

● 地震が起こる場所はアスペリティに限定されていて、固有の再来周期(破壊周期)がある。
● アスペリティは一度ずれても、またがっちりと噛み合い、周期的に地震を繰り返す。

● 大きなアスペリティほど長期間踏ん張りがきくが、破壊すれば巨大地震を起こす。
例)静岡〜高知の南海トラフ
  アスペリティの直径100km以上、破壊周期は100-200年程度、M8クラス
● 小さなアスペリティは踏ん張りがきかず、ちょくちょく壊れ、似たような地震が時々起こる。
例)北海道や東北の太平洋側
  アスペリティの直径数10km程度、破壊周期は50年程度、M7クラス

アスペリティという概念はここ10年程で定着した概念で、
アスペリティ範囲や、破壊履歴、歪みの蓄積度合いを知ることが地震予知の第一歩。

(参考にした書籍:東大出版会「地震予知の科学」日本地震学会地震予知検討委員会編)

次回は 地震のしくみと予知のしくみ その2:「ゆっくりすべり地震の発見」
      # どうやってアスペリティの分布がわかったのか?
      # 周囲でずるずる滑っているのがどうしてわかったのか?

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ミカコさん。「アスペリティ」はテレビ等ではまだほとんど使われていない言葉です。言葉の意味としては、表面がザラザラしている、デコボコしているということです。

プレートの表面はツルツルしてる部分と、デコボコしてる部分(アスペリティ)があります。普段はデコボコしてる部分で引っかかっているのでプレートがすべりにくくなっていますが、そこがバキっと壊れる時に地震が起こります。

2008/5/13(火) 午前 11:26 edy 返信する

(つづき)地震予知の科学が進歩したといっても、例えば「三重県沖で30年以内に50%」というレベルの予知しかまだできません。今後の進歩に期待しながらも、私たちは普段の備えをしておくことが大事ですね。

2008/5/13(火) 午前 11:30 edy 返信する

MANTAさん、ご訪問、TB、ありがとうございます。
東大出版会「地震予知の科学」は、ここ10年の日本の地震学のめざましい進歩を分かりやすく解説している本ですよね。

2008/5/13(火) 午前 11:44 edy 返信する

お蔭様で「アスペリティ」は理解できました。
しかし、プレ−トはどうして動くのだろう、引きずり込まれるのだろう、という
新たな疑問が湧いて来ました。
今までプレ−トは、何度も見ていた図のように動くものだと思い込んでいました。
プレ−トは引きずり込まれるから、引きずり込まれていくという事でしょうか?
自然に動いているだけという事でしょうか?

それから、ポチ☆です。 by ミカコ♪

2008/5/14(水) 午後 0:52 lycaonkira 返信する

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ミカコさん。良い質問ですね。
プレートはマントルの上に浮いています。プレートは硬い岩盤ですが、マントルはゆっくりと対流しています。プレートは流れているマントルの上に乗っかって、いろんな方向に動くことができて、プレート同士がぶつかったり、離れたりします。

2008/5/14(水) 午後 7:03 edy 返信する

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(つづき)プレート同士がぶつかる場所では、重いプレートが軽いプレートの下にもぐり込みます。そして、重いプレートはちょうどテーブルクロスがずり落ちるように、自分の重みで垂れ下がってマントルに落ち込んでいくのです。

2008/5/14(水) 午後 7:04 edy 返信する

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(つづき)プレートが引きずり落ちる場所があれば、その反対側でプレートを押し出す場所もあります。太平洋や大西洋のプレートの裂け目では新しいプレートが生まれて広がっています。このようにプレートはある場所では生まれて、ある場所では引きずり込まれ、新陳代謝(リサイクル)しています。これをプレートテクトニクス理論といいます。

関連記事はこちら
http://blogs.yahoo.co.jp/edy7oceans/4396674.html

2008/5/14(水) 午後 7:21 edy 返信する

有難うございました。
「かさぶた」の例を読んで、良く分かりました。
「かさぶた」は、出来なくなってしまう事がありますが、
自然の力はサスガです。
こんな質問に丁寧に答えて下さったエディさんに感謝して、
もうひとつポチ☆したいところです。 by ミカコ♪

2008/5/14(水) 午後 8:58 lycaonkira 返信する

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中国は、地震のない国との印象をもってましたが、そうではないんですね・・・

2008/5/15(木) 午前 3:35 てつ 返信する

てつさん。大変悲惨な震災が起きてしまいました。

中国の地震はあまり印象にないかもしれませんが、20世紀で世界最大級の被害があったのは中国の地震(1976年唐山地震[M7.8])で、24万人が亡くなっています。そして中国では毎年のようにM7以上の地震(直下型)が起きているようです。

今回の四川大地震は龍門山断層という活断層が動いた地震で、ここでは30-40年間隔で大地震が発生しています。前回1976年の四川松潘地震は予知されたそうですが...。

2008/5/16(金) 午前 11:37 edy 返信する

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またまた 日本でも すごい地震がおきましたね。 今ダムの上流のガケ崩れの様子をテレビで見ましたが、元の地形がよくわからないくらい大規模に崩れています。。。 都会で起こると大惨事になるでしょうね。

2008/6/14(土) 午後 0:41 てつ 返信する

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”アスペリティ”という考え方は、実感とも合うし、最近の内陸部での地震の多さからピッタリきますね。ただ、この”場所が分かる”というのが・・・。地震波の解析で分かるものなのでしょうか?
また、他の”アスペリティ”が崩壊してエネルギーが解放されたら、他のアスペリティにもっとエネルギーが掛かることもあるんでしょうね。中国地震などで、日本のアスペリティに膨大なエネルギーが掛かっているような気がします。
http://www.biological-j.net/blog/

2008/6/14(土) 午後 8:12 [ tak*nai*o ] 返信する

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アスペリティという地震メカニズムは全く初めて知りました。
凄く勉強になりました。
続きの記事が非常に楽しみです。更新期待してます。BY NISHI
http://www.biological-j.net/blog/

2008/8/30(土) 午後 10:38 [ ? ] 返信する

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すごいです!勉強になりました!!
次回の更新絶対見ますっ!
でわっ! 削除

2008/10/2(木) 午前 10:59 [ ティリ ] 返信する

てつさん。しばらく更新できませんでしたが、
また不定期に記事をアップしますのでよろしくお願いします。

内陸地震は周期が1000年とか数千年というものが多く、過去の記録がないために、予測が大変難しいですね。

2008/10/7(火) 午前 0:34 edy 返信する

tak*nai*oさん。コメントありがとうございます。
アスペリティの分布や規模は、何千回と起こる余震の震源を詳細に決めることによってが特定できます。地震観測網が発達していなかった昔の地震のアスペリティを決めることは簡単ではありません。
おっしゃるとおり、あるアスペリティが破壊したら、それに隣接するアスペリティが要注意です。ただ、日本と中国ほど離れていれば、直接の影響はないと考えられています。

2008/10/7(火) 午前 10:35 edy 返信する

NISHIさん、ご訪問ありがとうございます。
ここ10年で地震学は大きく進歩しています。
しばらくしたらまた地震の記事をアップします。
よろしくお願いします。

2008/10/7(火) 午前 11:55 edy 返信する

ティリさん、ご訪問ありがとうございます。
しばらく更新ができず失礼いたしました。
今後ともよろしくお願いします。

2008/10/7(火) 午前 11:56 edy 返信する

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地震のメカニズムが、とてもよくわかりました!
地球の歴史の記事も、とても勉強になります。

地震と耳鳴りが関係あるかもと聞いて、半信半疑で記録してますが、
何の音が聞こえるのかがわかれば、関係の有無がわかると思います。

ファン登録させていただきます。

2008/10/29(水) 午後 1:40 [ ミミコミック ] 返信する

ミミコミックさん、ご訪問、ファン登録ありがとうございます。
最近の地震学の進歩で色々なことが分かってきたようです。
地震シリーズを再開して紹介したいと思っています。

「地震」と「耳鳴り」で検索するとたくさんのサイトがヒットします。なんらかの相関があることは確かなようですね。とても興味深いです。

2008/10/29(水) 午後 10:56 edy 返信する

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