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南北軍事境界線に近い海岸に送られた若き兵士たちに起こる――もうひとつの戦争を描いた問題作。 キム・ギドク監督作品ですが、主演が何とあのチャン・ドンゴンということで見た映画(ちなみにレンタル 視聴)です。ギドク作品は、まだ「弓」しか見ていないのですが、自分が感じたままの素直な感想を書い ていきたいと思います。 ところで、この映画はたった一度の過ちから人生を大きく狂わせてしまった海兵隊のカン上等兵の心理、 そして、そのカン上等兵に翻弄される周囲の人々の悲劇を描いてゆきます。そこから見えてくるものは…。 <2002年の作品 上映時間 96分 原題「コーストガード」(海岸線)> <あらすじ> 南北境界線を監視する海兵隊のカン上等兵(チャン・ドンゴン)は、夜7時以降、海岸にいる不審な人物は、北のスパイとみなすという掟に忠実に、海岸で横たわる男を射殺した。しかし、その男はガールフレンド(パク・チア)との情事を楽しんでいた民間人。撃ち殺された人間が敵のスパイではなかったにせよ任務に忠実だったと表彰されるカン上等兵だったが、殺された男の恋人は精神を病んでしまい、カン上等兵は家族から攻められ、彼自身も常軌を逸していく。ただ、ひとり彼の味方をする兵士(キム・ジョンハク)もいるのだが…。北朝鮮と韓国の軍事境界線付近で起こった悲劇をひとりの兵士の目を通して描くサスペンス。(アマゾンより引用) この映画は、チャン・ドンゴンがキム・キドク監督の「悪い男」を見て 刺激され、自らギドク監督に出演を希望して実現したそうです。 ところで、チャン・ドンゴンが出た作品はそんなに見てはいないのですが・・・。 映画では日中韓合作の「プロミス」、ドラマでは「ドクターズ」や「イヴのすべて」などですが、ハンサムで甘い マスクの彼が軍隊の規律に忠実で、北との境界線を守る兵士役を気迫の演技で演じているのですが、彼の この映画に懸ける熱意が伝わってきました。 とくに、民間人を射殺してしまったことで、精神が不安定になっていく兵士を鬼気迫る表情と演技は圧巻でした。 彼はあくまでも任務を果たしたまでで、その海岸の区域に立ち入った者を北のスパイとみなし、発砲すると書か れた看板も立てられていたわけだし、どう考えても、悪いのはその区域内に入って射殺された男だと思うのです が…。しかし、感情的には同国の民間人を誤射したことが大きく取り上げられてしまいがちです。そのことがきっ かけで悲劇を生むことになるわけですから、南北問題を抱えた韓国では、デリケートにならざるをえないテーマ ですね。 ところで、異常な言動をするようになったキム上等兵は、軍隊を辞めさせられ民間人となるのですが、兵士として 生きて来た彼には、軍隊でしか生きる道がなかったのかもしれないと思いました。だから、また舞い戻って来てし まったのでしょう。異常な行動をしてた彼ですから、味方の兵士を射殺した犯人は彼だったのかもしれませんが、 もしかしたら、今度は本物の北のスパイだったのかも?とも思えました。それは、射殺の犯人の顔がぼやけてた ので、心理的にどちらとも取れるシーンです。果たして真相は…。 そう言えば、ギドク監督自身が軍人としての経験もあるので、描き方に説得力があります。 また、人間を極限状態に置いて、どんな心理状態にあるのかを赤裸々に、えぐり出すように描いているので、 人間の弱さや醜さを容赦なく、これでもかこれでもかと刻み込むような感じなので、見ているほうとしてはいた たまれない気持ちになり、直視できないことも度々ありました。 ラストのキム上等兵(チャン・ドンゴン)が街で民間人が行き交う場所で、銃剣を振り回し民間人を突き刺した
り、銃口を向けているシーンは、何だかとってもつらくて哀しくて、この映画もまた痛かったです。戦争シーンは 全く出てはこないのですが、戦争シーンに匹敵するぐらいの人間の弱さ、愚かさ、怖さを感じた映画でした。 ※記事中での敬称は省略していす。ご了承くださいm(__)m |

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