いつものように〜前知識もなく観たのですが、ドキュメンタリーのような映画かな・・・という印象でした。
2010年のキネマ旬報・第84回の外国映画ベスト・テンの8位にランクインした作品で、そのことを知っ
た時から興味を惹かれ、観たいと思っていたのですが…ちなみに、その年のベスト・ワンは韓国映画の
「息もできない」だったことを思うと〜リリースが遅いくらい。
物語りの時代は1975年ですが現在でも、孤児の海外養子縁組の多い国として、何かとニュ
ースになる韓国なので…昔の話ではなく〜今でも現在進行形として、切実な問題なのでしょう。
韓ドラを観始めた頃、ドラマの主人公が 孤児院育ちっていう設定が多くて、これって物語りを面白くする
ために、こういう役柄なのかな(?)と漠然と思っていたのですが、 「いばらの鳥」でハン・ヘジンが演じて
いたヒロインも施設育ちだったし、この「冬の小鳥」も韓国社会の歪(ひず)みが見え隠れして、絵空事で
はないリアリティを感じさせる。
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<2009年の作品 韓仏合作 上映時間92分 原題「旅行者」>
◆あらすじ
1975年、ソウル近郊。9歳のジニ(キム・セロン)は状況も分からないまま・・・父親(ソル・ギョング)に連れられ、カトリックの児童養護施設に預けられる。父のもとに帰りたいと願うジニは、院内の人々に反発を繰り返し脱走も試みる。そんなジニを気にかけるのは、年上のスッキ(パク・ドヨン)だった。2人は庭で傷ついた小鳥の世話を始める。スッキはアメリカや遠い国への憧れをジニに語り、一緒に外国へ行こうと誘う。頑なだったジニの心も、少しずつ和らいでいくのだが…。(goo映画より引用)
ところで、ドキュメンタリーのような映画かな? という印象を持ったと書いたのですが・・・
さもありなん、監督のウニー・ルコントは主人公ジニのように、幼い頃にカトリックの施設に預けられ、養子と
してフランスで育ったのだとか。韓国語は話せないという監督ですが、その彼女が書いた脚本の韓国語訳
を読んだイ・チャンドン監督( 映画「オアシス」など)が興味を持ち、プロデュースをかって出たのだそうです。
だ・か・ら映画の中のジニは、9歳の監督そのものだったのかもしれません。
監督自身の生い立ちが投影されているからこそ、物語りにリアリティが生まれたのでしょう。さらに、ヒロイン
のジニを演じたキム・セロン(「アジョシ」でウォンビンと共演)の映画デビュー作だそうですが、その存在感と
演技力はまさに天才子役で、映画の完成度を高めたと思う。
ジニは、映画の中で2度こんな歌詞の歌を口ずさんでました。それは、ジニの心情を吐露する
ぴったりの歌。もしかしたら、それは愛する男女の悲しい歌なのかもしれませんけれど・・・。
あなたは知らないでしょうね
どれだけ 愛していたか
時が流れれば・・・
きっと、後悔するわ
寂しい時や 沈んでいる時は
名前を呼んでください
私は そこにいるわ
両目から あふれ出る
私の熱い涙で
あなたの 痛む心を
きれいに 洗い流してあげる
親のさまざまな理由で、施設に預け(捨て)られた子どもたちは・・・
ジニのように、それまで家族と一緒に暮らしてたのにある日、突然ここへ連れて来られたという子もいたでし
ょう。また、親の顔も知らず赤ちゃんの時から〜ここで育ってる子も…。そう言えば、ドラマ 「星をとって」で5
人の兄妹の次女を演じてた子役(チュ・ジウォン)も出てました。
ところで、父に捨てられたという現実を受け入れられないジニは、反発を繰り返し〜頑なに周囲に溶け込もう
としない。その姿は、前からここに居る子たちも最初は同じだったのかもしれません。でも、徐々に諦めという
か〜現実と折り合いをつけていったのでしょう。何か、逞しさすら感じます。
さて、ジニにもスッキという年上のお姉さんの友だちができ〜心を開いてゆくのですが・・・
置かれた場所で、前向きに希望を持ちながら生きているスッキの姿に、いつしか影響を受け変化してゆくジニ。
また、瀕死の小鳥を見つけたスッキとジニが小鳥の世話をしているシーンは、今まで父=保護者・愛してくれる
人がいたのに…見離された・見捨てられたジニ(孤児たち)の状況と小鳥が重なって見えました。
と同時に、面倒を看てもらう立場から、面倒を看る(自分から行動を起こす)立場に なったということを暗示して
いるようにも、思えました。その後、小鳥が死んでしまったり・・・スッキが外国へ養女として行くことになったりと。
また、独りぼっちになってしまうジニ…。
しかし、あの面倒を看た小鳥が死んで地面に埋めたように、今までの自分も葬り去ったのかなぁ〜と。
そして、ジニの生きるんだという強〜い意志を表す表情は圧巻でした。現実を受け入れ、折り合い
をつけることを学んだジニは、一歩を踏み出す。
いわゆる、お涙頂戴というのではなく…幼いながらも自分で決断してゆく姿には、潔さというか選択
の余地もない中で、とにかく生きていこうとする決意がひしひしと伝わってくる。そんな映画でした。
※記事中での敬称は省略しています。ご了承くださいm(__)m
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