ナニワ大家道ー私の逆説的不動産投資論

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賃貸住宅の空室対策 改修費補助
2012年(平成24年)5月7日[月曜日]
NHKニュースweb
 
民間の賃貸住宅で、空き部屋が増加している一方で、高齢者や障害者が入居を断られるケースが多いことから、国土交通省は、高齢者や障害者を優先的に入居させることを条件に、バリアフリーや耐震の改修工事の費用を補助することを決めました。
平成20年に行われた国の調査では、全国におよそ2200万戸あるマンションなどの賃貸住宅のうち、空き部屋になっているのは400万戸余りで、5年前の調査のときより45万戸増えています。
一方で、高齢者や障害者は経済的な理由などで入居を断られるケースが多いということで、空き部屋が増えているのに賃貸住宅に入れずに困っている人が増えているという問題が起きています。
このため、国土交通省は、高齢者や障害者を優先的に入居させることや、家賃を公営住宅と同じ程度にすることを条件に、空き部屋を改修する費用を補助することを決めました。
対象となる改修工事は、手すりを付けたり段差をなくしたりするバリアフリー工事と、廊下や階段など共用部分の耐震工事です。
また、補助を受けるには、災害時に被災者が入居できるように協定を結んでおくことも条件になっています。
補助されるのは、工事費用の3分の1、空き部屋1戸当たり最高で100万円までで、近く募集を始めることにしています

 上記のNHKニュースwebの記事から次の事柄が伺えます。
1、民間賃貸住宅は全体で18%も供給過剰である。
2、しかし入居者属性によっては供給不足であり、入居者セグメントによって著しく需給に偏りがある。
3、賃貸住宅が供給不足なのは、いわゆる賃貸弱者と言われる高齢者や障害者などである。
 
 3、の理由については、私は先の記事で述べました。「賃貸弱者である高齢者や障害者への賃貸住宅供給が不足しているのは、オーナーが彼らにふさわしい設備投資をしない、資力がないからではなく、オーナーが賃貸弱者の入居を望んでいないから。だから国が賃貸弱者の賃貸住宅の供給を増やすため、賃貸住宅の賃貸弱者向けの設備投資の補助を行なっても効果はない」です。

 マーケティングにおいては、需要>供給のマーケットに参入するのがセオリーです。需要<供給のマーケットだと供給者間の競争が激しく、利益を得ることが難しいからです。ではなぜ、賃貸住宅市場においては需要>供給の賃貸弱者マーケットに参入が少ないのしょうか。今回はその点について述べたいと思います。
 
 賃貸弱者=なかなか賃貸住宅を借りられない人たちのことを言います。NHKニュースwebの記事にある高齢者、障害者のほかに、非正規労働者、外国人(研修実習生や単純労働目的の語学留学者等)なども含みます。一般に賃貸弱者は、・家賃の滞納が多い、・トラブルが多い、・(所得が低いので)家賃等が安い物件しか借りられない、という問題があります。
 
 もし家賃の未払で賃貸借契約を解除し、入居者を退去させようとすれば、弁護士に依頼すれば弁護士費用だけで50万円はかかります。さらには賃貸借契約の解除と明け渡し裁判の提訴〜明け渡し判決の確定〜強制執行、まで平均10ヶ月を要します。その他に、明け渡し強制執行のためには、入居者の家財を保管する倉庫や運搬費をオーナーが立て替えなければなりません。最終的には、家財を差し押さえ売却もしなければなりません(今時中古の家財なんて買う人がいません。実務ではオーナーが落札して処分します)。
 家賃をとことん滞納して明け渡し請求訴訟まで起こされる人は資力がありませんから、明け渡し完了までの家賃は回収できません。また弁護士費用はオーナー持ちです。
 家賃を滞納されて明け渡し訴訟をせざるを得ない状況までになれば、数年分の家賃に匹敵する費用が生じ大赤字になるのです。ですからオーナーが家賃を滞納するリスクが少しでも高い属性の入居者を避けるのは合理性があります。
 
 賃貸弱者の内、高齢者が入居を断られる理由は孤独死のリスクが高いということです。孤独死して発見が遅れれば、その部屋は瑕疵(キズモノ)物件となり、次の入居者を探すのに苦労します。また家賃を下げなければなりません。一棟のアパートマンションであれば、すべての部屋に影響が及びます。

 また低所得者層は、自殺や犯罪のリスクが高いです。自殺や犯罪が発生しても、その物件はキズモノになります。私は所有するアパートの入居者で覚せい剤使用者がいました。その入居者の異常行動で大変苦労しました。
 その他、身障者特に精神障害者が起こすトラブルは尋常ではありません。そのような人が一人でもいれば、アパート全ての入居率に悪影響が及びます。
 
 それと賃貸弱者は概して低所得層です。彼らが借りられるようにするには家賃や礼金敷金等の初期費用を安く設定しなければなりません。彼らはもともとハイリスクです。そのリスクに対応するためには、予め高目の利益率を確保する必要があります。
 「賃料等は安く、かつ高利益率」を達成するためには、物件を相当安く取得しなければなりません。それには人脈や競売物件の取得等のノウハウが必要です。
 
 以上が、賃貸弱者への賃貸住宅供給が圧倒的に不足している理由です。かと言って、家賃の取りはぐれが少ない安定した収入があり、トラブルの発生が少なく、比較的高い家賃で貸せる入居者セグメントには、大多数の賃貸住宅供給者が参入して供給過剰です。供給過剰ということは、それだけで供給者にとっては大きなリスクです。
 まず空室のリスク(大手ハウスメーカー等が謳っている「○十年一括借り上げ」は欺瞞であることをすでに述べました)。それと競争が激しいが故に、設備投資などにお金がかかる割には利回りが低いのです。リスクを避けるが故に、別の大きなリスクを負うことになるのです。

 ある事業でどのマーケットセグメントに参入するかは事業者の自由です。私はあえて他の賃貸業者が参入しない「賃貸弱者」セグメントをターゲットとしています。私は競合のリスクを回避する方が事業として将来性があると思っているからです。また賃貸弱者セグメントは、唯一需要が増えるセグメントです。
 家賃滞納リスク、トラブル発生リスク、物件を安く取得しなければならないノウハウの取得が必要であってもです。
 
 私は、不動産賃貸経営に関してSNSで記事にしています。私は、表面利回り40%超の自分の賃貸物件の実例等を紹介しました。それをご覧になった読者様の反応で「なぜあなたのような高収益の賃貸不動産マーケットに大手業者が参入してこないのか」「それはうまい話だ。歳を取ったらしてみたい」等という反応がありました。
 不動産賃貸業は与信商売です。日本は日銀の量的緩和により市中に通貨が大量に溢れています。銀行は1%台で貸したくても、大手企業は設備投資等を控えており貸出は増えません。
 対して、法定限度の年利20%でも借りたい個人は掃いて捨てるほどいます。でも貸し手は圧倒的に不足しています。大手企業の借り入れは、需要<供給。サラ金から借入するような属性の個人の資金需要は需要>供給。不動産賃貸業は与信商売です。貸金業と同じです。「なぜあなたのような高収益の賃貸不動産マーケットに大手業者が参入してこないのか」と言う方の方が市場経済感覚がおありでしょうね。「サラ金では金利が20%だ。うまい商売だ。私もしたい」という方はいないでしょう。賃貸弱者セグメントは表面上の利回りが高く競合も少ないのに参加する事業者が少ない理由と同じです。
 
・画像は神戸市垂水区内、JR垂水駅から徒歩10分の私の物件の室内です。
二戸一の連棟の一戸で、約40平米です。
買値は120万円、家賃は3万9千円で募集してから一週間で決まりました。
表面利回りは39%です。
 
賃貸住宅の空室対策 改修費補助
2012年(平成24年)5月7日[月曜日]
NHKニュースweb
 
民間の賃貸住宅で、空き部屋が増加している一方で、高齢者や障害者が入居を断られるケースが多いことから、国土交通省は、高齢者や障害者を優先的に入居させることを条件に、バリアフリーや耐震の改修工事の費用を補助することを決めました。
平成20年に行われた国の調査では、全国におよそ2200万戸あるマンションなどの賃貸住宅のうち、空き部屋になっているのは400万戸余りで、5年前の調査のときより45万戸増えています。
一方で、高齢者や障害者は経済的な理由などで入居を断られるケースが多いということで、空き部屋が増えているのに賃貸住宅に入れずに困っている人が増えているという問題が起きています。
このため、国土交通省は、高齢者や障害者を優先的に入居させることや、家賃を公営住宅と同じ程度にすることを条件に、空き部屋を改修する費用を補助することを決めました。
対象となる改修工事は、手すりを付けたり段差をなくしたりするバリアフリー工事と、廊下や階段など共用部分の耐震工事です。
また、補助を受けるには、災害時に被災者が入居できるように協定を結んでおくことも条件になっています。
補助されるのは、工事費用の3分の1、空き部屋1戸当たり最高で100万円までで、近く募集を始めることにしています。
 

 上記記事では、民間賃貸住宅の約2割が供給過剰であることを伝えています。通常他の産業では、2割も供給過剰になる前に事業者間での激しい競争が生じて淘汰が起きます。不動産賃貸業に限って、既に市場は供給過剰なのに需給が改善せず、さらに需要の減少が見込まれるにもかかわらず供給圧力があります。その理由は改めて論じます。
 需要に対して供給超過であれば、供給事業者間の競争(価格、付加価値など)が激しく、利益を確保するのが難しいのです。不動産賃貸業は、稀に見る供給過剰な産業です。そのような産業で「安定収益、楽、低リスク」ということはあり得ません。アパートビルダーや投資用マンションデベロッパーがさかんに不動産賃貸業を「安定収益、楽、低リスク」を謳っていますが大嘘です。
 
 私は投資用マンションで2組合で理事長を長年務め、複数のマンションでも理事を経験しています。それらのマンションで、入居者を募集していながら1年でも2年でも空室のままという住戸がいくらでもあります。極めて交通至便、築年もまだ新しく、最大手デベロッパーが分譲したマンションでもです。私は入居者が決まらない区分所有者様から相談を受けますが、概して賃料等が高いだけです。オーナーさんは、賃料等条件で、同等の物件で現在募集している物件の平均で設定するようです。
 それは大きな間違いです。インターネットで掲載されている賃貸物件は、いわば売れ残りです。入居者を決めたいのならば、現在募集している物件の最安値より安くしなければなりません。収益不動産を取得する際に予定利回りを求めるのであれば、現在募集している同等の物件の条件より安く設定しなければなりません。
 
 不動産賃貸業の需給は、入居者様のカテゴリーによりさらに偏りがある特徴があります。上記記事の中で「高齢者や障害者は経済的な理由などで入居を断られるケースが多い」とあります。宅建業者さんと雑談した際に「最近オーナー様方は、ますます入居者様の選別を強めています」と仰っていました。
 賃貸住宅を借りにくい、いわば賃貸弱者というカテゴリーの方がいらっしゃいます。高齢者、障害者、外国人、非正規労働者、無職の方等です。そのような方は、以前にも増して入居を断られるケースが多くなっています。経済情勢の悪化から、そのような方たちの家賃未納等の事故が増えてきているからです。

 不動産賃貸業の需給は総体では供給過剰ですが、いわゆる賃貸弱者向けの物件に限れば極端に供給不足需要超過なのです。実際、賃貸不動産を新築する場合は、9割以上がターゲットとする顧客層を、賃貸弱者以外の「安定した企業の正社員や公務員など」としています。このような顧客層は減りつつあります。なぜならば不動産価格が下がり、持ち家の取得が容易くなったからです。さらには、非正規労働者の比率が今後も増え続け、正社員の絶対数が減り続けるからです。
 いわばオーナーは、無い物ねだりで限られたわずかなパイの争奪戦をしているのです。私の感触では「安定した収入がある」、賃貸弱者を排除したカテゴリーをターゲットとした物件(賃料設備広さが中以上で賃料もそれにみあったもの)は、地域によっては3割以上空室です。このカテゴリーでは、入居率を上げるのは難しく、設備等への投資も必要で利益を得るのは至難です。
 
 対して私は40数物件がほぼ常に満室です。そして表面利回り40%以上の物件はざらで、所有期間の平均収益が年100%を超える物件もあります。このようなことをsnsなどでも書いていますが、それが不動産賃貸業では当たり前、むしろ私は貧乏人相手をしていて儲からない慈善事業をしているとの反応があり、大変驚愕しています。私は不動産賃貸業者では極めて稀な成功例で、不動産賃貸業をされている方で利益率成長率では、上位未満に入るでしょう。
 私はいわゆる賃貸弱者をターゲットにしています。高齢単身者、障害者、非正規労働者、外国人等です。賃貸住宅は基本的にロウアー層をターゲットとしたサービスです。さらには、今後賃貸住宅の需要の増加が見込めるカテゴリーは、単身高齢者、非正規労働者、外国人などの賃貸弱者くらいしかいません。

 ではなぜ、不動産賃貸業を始める方は需要が見込めるカテゴリーではなく、供給過剰なカテゴリーに参入するのでしょうか。その理由は改めて詳述しますが、概ね理由はオーナーがアパート業者に企画を丸投げすることと、不動産賃貸業は貸金業と同じく与信商売ということです。
 国土交通省による、高齢者障害者など賃貸弱者への入居を促すためのバリアフリー等の工事費補助は、効果は限定的です。国土交通省は不動産賃貸業が与信商売だということを理解していません。
 画像の書籍「不動産投資で地獄を見た人の怖い話」の、内容を一部ご紹介します。
(画像)
 
 著者の加藤隆氏は、25年、50戸の不動産賃貸経営をサラリーマンと兼業で続けておられる方です。本書の他にも著書多数。


 東京勤務の加藤氏は、名古屋にアパートを所有していました。賃貸管理会社のS社に管理を全面委託しています。
 2011年、加藤氏は勤務中に消防署から連絡を受けました。なんと空室のはずの部屋で練炭自殺を図った者がおり、アパートに掲示してある賃貸管理会社に電話をかけても通じないということでした。消防署が言うには「一酸化炭素が他の部屋にも充満している恐れがある。他の部屋の入居者の安全確認のために、今すぐ部屋を開けて確認したい」とのことでした。

 管理会社から加藤氏に連絡があったのは、その日の夕方でした。練炭自殺を図った入居者?は亡くなりましたが、他の方は無事でした。
 「ところでこの部屋は空室だったはずですが?」と加藤氏が問えば、管理会社の担当者は「(入居されていたことを)オーナーさんに連絡するのが遅れてしまって」と答えました。遠隔地の物件は、入居後もオーナーには黙っておいて、管理会社が家賃を貰いっ放しということだって可能です。

 この物件を管理受託していたS社は「緊急連絡先」として、アパートに会社の代表電話を掲げていました。それでは休日夜間など対応できませんから意味のないことです。
 管理会社によっては、警備会社に再委託して、夜間休日の緊急対応にあたっているところもあります。ただ警備会社が部屋の鍵を管理することは少ないようです。警備会社が各戸の鍵を保管していなければ、夜間休日に上記のような事件が発生すれば対応できません。ましてや上記の事件は、平日の昼間に発生しました。管理会社に連絡が付かなかったというのはもってのほかです。

 賃貸管理会社の「緊急対応」には、期待しないほうが良いでしょう。
 さらには、負担分担が不明朗、管理受託会社が「空」緊急対応費を計上して着服することも多々あります。緊急対応費はリフォーム工事と異なり、「していない」ことの立証が難しいからです。
 たとえば「近隣からアパート内で大声で争う声がするという苦情が夜間に寄せられたので緊急出動した」というケースでは、その事実を確認することは難しいです。
 オーナーが入居者に一人一人に「夜中に大声を出していたのはあなたですか」と訊ねることなんてできません。また通報をした近隣住民の特定もできません。管理会社は「匿名で通報を受けました」といえばそれでおしまいです。緊急対応費は、やろうと思えばいくらでも空計上できるのです。


 このようなケースもあります。

賃貸不動産管理をめぐるトラブル等の現状
平成21年 国土交通省総合政策局不動産課
http://top.zenjyu.or.jp/report/pdf/report06/re...


○管理手数料に関するトラブル
借主がトイレの鍵を壊してしまい、夜中に閉じ込められた時、管理会社の人が駆けつけて修理してくれた。
その時、鍵代のほかに手数料3千円を管理会社に請求された。
家主である自分がそれを負担した。

 手数料3千円は緊急対応費という名目でしょう。しかし入居者の過失により鍵を壊したのであれば、緊急対応費も含めて入居者が負担すべきです。


○管理業務に関するトラブル
アパートで漏水があり建物の管理委託した会社の怠慢で住民から損害賠償を求められた。
休日だった為、アパートの管理を任せた管理会社がきちんと対応をしなかった。
管理会社は24時間対応すると言っていたのに話が違う。
 
 
・本記事はこちらでも公開しています。
 
 読者様から定期借家権について質問をいただきました。以下がそのコメントと私のレスです。
 

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム(賃貸管理委託)」-2 (コメント)
 
平成12年施行の定期借家制度について、実際の運用状況というか、
大家さんの立場で語ることがあれば、記事にして欲しいと思います。
実際どうなのか。一気にここまで閲覧させていただきました。
 

オーナーを搾取する「家賃集金管理システム(賃貸管理委託)」-2 (レス)

>平成12年施行の定期借家制度について、
私が所有している賃貸不動産は、神戸市内と阪神間です。
このエリアでは、私が知る限り定期借家契約は一般的ではありません。
持ち家を転勤の期間だけ貸すとか特殊なケースでしょう。
なお、定期借家権でも、200平米までの物件は、借家人はいつでも賃貸借契約を解約できます。
大家にとっては、それほど有利な制度だとは思いません。
 

 定期借家権については、日経新聞のサイトでも取り上げられています。
 
 日経住宅ねっと(私は日経電子版での会員登録をしています。日経電子版に未加入の方がこのサイトをご覧になれなければ申し訳ありません)。
http://sumai.nikkei.co.jp/edit/soudan/rent/detail/MMSUq4000011042012/
 
 その中で「海外に住まわれている方や転勤などで自宅を一時的に空家にする場合」に多く利用されているとあります。
 定期借家権は、借主にとっては、賃貸借契約期間が満了すれば必ず退去しなければならないという制限がありますので、同等の物件と比べてかなり賃料を安くしなければ入居者が見つかりません。
 また借地借家法38条5項において、200平米未満の物件では定期借家権での賃貸借期間満了まで入居者は、普通借家契約と同じくいつでも解約できます。また定期借家権による賃貸借契約では、公正証書によらなければなりません(借地借家法38条1項)。
 
 実務で私は経験がありませんが、おそらく公正証書の作成費用はオーナーが負担するのではないでしょうか。またオーナー、入居者が公証役場に揃って出向いて公正証書を作成する手間もかかります。
 「賃料は安い、公正証書作成のコストと手間がかかる、入居者はペナルティなしで期間満了までならばいつでも解約退去できる」。言うなれば、オーナーにとっては、不利なことが多い契約形態です。実際、私が知る限り(神戸阪神エリア)、定期借家権の賃貸物件はほとんど出回っていません。私は今まで見たことがありません。

 定期借家契約は、日経サイトにあるような、自宅を転勤などで長期間空ける場合に貸すとか、取り壊し予定の商業ビルなどごく限られたケースにしか採用されないと思います。
 私は事業として不動産賃貸業をしていますので、オーナーにとって不利なことの多い定期借家権での契約締結は必要ありませんし、今までしたことがありません。もし将来、古いアパートを取得して建て替えたいが当面資金調達のめどがつかない。だけど目先賃料は欲しいと言った状況であれば定期借家権を採用しないわけではないです。
 しかし古い物件を賃貸するとすれば、それなりにリフォームにお金がかかります。リフォームにお金をかけて賃料は相場より安いのであれば、リスクを負ってまで賃料収入を得ようとするのは得策でしょうか。私ならばそのようなケースでは、物件をそのまま寝かしておきます。
 以下は賃貸不動産の全面委託(家賃集金システムと称しているところもあります)と呼ばれるものです。
 大手ハウスメーカーや大手投資分譲マンションの賃貸管理部門では、全面委託を条件としているところがほとんどです(独立系の管理会社では、業務の一部を受託するところもあります)

1、入居者の募集・賃貸借契約締結。
〜専任媒介契約(入居者募集を一社が独占して行う媒介契約。賃貸での入居者募集では、専任媒介契約のメリットはオーナーにはほぼありません。それは別の機会に詳述します。対して複数の業者に媒介を依頼できる契約を一般媒介契約です)を条件とします。
もちろん入居者が決まれば、宅建業法で定める最高額の仲介手数料がかかります(あたり前)。

2、入居者が支払う家賃、敷金等一切を、賃貸管理会社が一旦集金する。
〜この危険性については、既に述べました。

3、家賃の督促や入居者の苦情受付など。
〜家賃の督促回収は、賃貸管理会社には法的権限はありません。
また、オーナーと入居者間のトラブルの仲裁も権限はありません。
以上は法律事務に該当し、弁護士等に資格を要するからです(これも既に述べました)。

4、保険引き受け、リフォーム、清掃、警備等緊急対応。
〜これがもっとも賃貸管理会社にとって、利益になります。
なぜならばリフォームや緊急対応費は、賃貸管理会社が他社に下請けさせれば料金を上乗せするからです。
3割くらいは平気です。
また自社で行う場合でも、大変割高な金額になります。
競合がなければ、がんばって良心的な金額を提示する業者なんていません。
今回は、この問題について論じます。


 不動産賃貸経営においてはリフォームは欠かせない、もっともランニングコストがかかる業務です。またオーナー、入居者間でもっともトラブルが頻繁に発生します。入居者様の退去に伴う原状回復費用の分担でです。

 賃貸不動産管理会社は、オーナーの入居者様の退去立会いを認めないところが多いです。理由は「原状回復費用の分担については、賃貸管理会社が専門知識がある。無知なオーナーが口出しすればトラブルになるから」という理由です?
 また退去後のリフォームをどの程度するかも、管理会社に一任することを求められます。理由は「どの程度リフォームするかの判断は専門的知識を要するから」という理由?です。
 また、一括借上げ契約をしていれば「十分なリフォームをしなければ入居者募集で不利になから一括借上げすることができない」という理由です。これは、一括借上げ契約で「借主(賃貸管理会社)が行うリフォーム工事を行うことを条件とする」と謳っているはずです。

 他に賃貸管理会社にリフォーム工事を一任し、オーナーが現場を確認できなければ、「高コスト」以外にどのようなリスクがあるのでしょうか。
 以下のリンクは「国土交通省総合政策局不動産課」が発表した、不動産賃貸管理会社の、リフォーム代行トラブルです。


http://top.zenjyu.or.jp/report/pdf/report06/re...


○家賃等100万円の着服
マンションの賃貸人であるXは、平成10年6月頃から、業者Yに賃貸マンションの媒介と管理業務を委託していたが、委託後程なく、家賃等がYからXにきちんと交付されなくなってきたと感じたため、独自に調査を行った。
その結果、Yは、行ってもいないと思われるリフォームをしたと言って、リフォーム代相当をXに渡す家賃から差し引いて、賃借人から受領した賃料の一部をYに渡していないことが判明した。

○ 原状回復に伴う賃貸管理業者とのトラブル
入居者が入れ替わるたびにたとえ半年でもリフォーム代を請求される。
一度腹に据えかね、退室時の様子を見たいと告げ、退去者が出た際にアパートを見に行ったことがあるが、事前に伝えていたにもかかわらず、壁紙など剥がされリフォームの途中だった。入れ替わるたびにリフォーム代がかかるばかり。 


 上記事例で、行ってもいないリフォーム工事を行ったと偽り、その代金を家賃等から差し引くなどは起きてあたりまえでしょう。同様のケースはしばしば見聞します。オーナーが現場を確認することもなく、その空代金を家賃等から勝手に差し引いて取りはぐれも無ければ。
 餓えた犬をつなぐことも無く、その前にご馳走を置いて「ご馳走の番をしろ」と言いつけるのと同じです。私に言わせれば「ご馳走を犬に食われてしまった」と文句を言うほうがバカです。

 また過剰なリフォームを行うのも、上記の理由で起きるのは必然です。
 よほど酷い使い方さえしなければ、半年の入居期間でクロス全面貼り替えはまず必要ありません。もし半年でクロス全面貼り替えが必要なほど毀損していれば、自然な経年劣化では無く、入居者の故意過失です。入居者からその現状回復費用を請求できます。
 しかし賃貸管理業者はオーナーに負担させます。なぜならば家賃から差し引けば取りはぐれがないからです。
 
 賃貸管理業者が「オーナーは素人だから専門知識のある賃貸管理業者に管理委託するのが常識」というのは大嘘です。
 リフォームのセンスや必要範囲の把握など、驚くほど無知な賃貸管理業者も多く存在します。彼らの目的は、オーナーの賃貸経営のサポートではなく、自社の利益です。

 「賃貸管理業者にリフォームを任せていたら、玄関のクッションフロア(ビニール系床材)が木目柄で仰天した」なんていう話は頻繁に聞きます。玄関床が木目柄とはどういうセンスをしているのでしょうか。
 それは他所の室内床材のあまりを廃物利用したからです。それでもしっかり工事費は取られたそうですw

 私は賃貸管理を委託していませんが、宅建業者から私の物件に難癖を付けられて「ウチでリフォームしなければ決まりません」と脅されます。「和室の塗り壁は人気がありません。洋室に変えなさい。塗り壁に直接クロスを貼る方法があります」などです。しかし間柱を残したままクロス仕上げの洋室に変更しても、中途半端でかえって安っぽくなります。
 要するにオーナーの物件をけなしてリフォームさせ、代金のピンハネが欲しいだけ。リフォーム工事のど素人が平気でそんなことを言います。

 次回は、賃貸管理業者の「緊急対応」の欺瞞に付いて書きます(続く。
 

(画像)
イメージ 1

神戸市兵庫区、駅徒歩8分の連棟住宅の内部です(コミュでも画像をアップしていますが、そちらは神戸市垂水区の物件です)。
120万円で購入、セルフリフォームしました。
家賃は月額4万円、年40パーセントの利回りですぐに決まりました。
この物件は、賃貸専業の若い営業マンから「キレイですね」と褒められました。
この物件の、間柱を残したまま壁を洋風のクロス貼りにしたらチンケです。
 
本記事は、こちらでも公開しています。
 

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