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劇団どくんごについて

 すっかり投稿が三か月に一度ペースになってしまいました。
 マイペースにも程がある。
 
 さて、先日熊本まで劇団どくんごの公演を追いかけて参りました。
 どくんごは昨年の『君の名は』で初めて見て、今年は二作品目となります。今の日本の演劇シーンにおいて、色々な意味で興味深い存在なので、少しばかり思う所を書いておきたいと思います。
 いつになるかは分かりませんが、何かしらの形で発表したいものです。
 
<集団創作>
 どくんごは、数か月にわたって共同生活を行いながら稽古を積み、作品を制作します。
 最終的には演出どいの氏が決定するのですが、そこに至るまで各俳優がアイデアを出し合い、オムニバス的に個々の場面を積み重ねていく手法を取ります。女優五月うか氏によれば「もう出なくなってからが勝負」との事。
 集団創作という手法には、当然ながらメリットとデメリットがあります。一人の作家や演出家の世界に収まることのない豊かな可能性を持つ事もあれば、収集がつかなくなり中途半端に終わるリスクもあります。
 今回は、根本コースケ氏の戯曲が下敷きにされ、大まかな枠組みが設定された事が作品としての完成度につながったのではないかと思います。
 
<旅公演>
 どくんごは、特定の劇場で公演を行うのではなく、テントによって日本中を移動して公演を行います。今年の『OUF!』では、なんと38都市。これだけの規模で旅公演に特化した現代演劇と言うのは、他に類例がありません。
 しかも、それぞれの都市に「どくんご招聘委員会」とでも言うべき受け入れ団体が存在し、各々が行政と交渉して公演会場を手配するという形態を取っています。商業演劇とも新劇の演劇鑑賞会とも異なる、草の根的ネットワークがこれだけの企画を可能にしているのです。
 
<テント>
 「犬小屋テント劇場」と呼ばれるテントがどくんごの公演会場です。テントそのものは、紅テントや黒テントをはじめ、60年代から様々な劇団が用いてきた形態です。しかし、多くの劇団がテントから劇場に移ったり、同じ場所でしかテント公演を行わなくなっていったのに対して、テントで旅を続けるどくんごの存在は、異様とも言えます。
 テントの機能としては、主に「移動性」「半閉鎖性」「祝祭性」「常態性」の4つが挙げられるでしょう。
 すなわち全国どこにでも持っていける「移動性」、空間を閉じつつ外に開く事もできる「半閉鎖性」、非日常の時空間を作り出す「祝祭性」、そして公演会場がどこであろうと、テントの内部は常に同じ状態に保つ事ができる「常態性」という事です。
 4つ目の「常態性」が意外と重要で、38都市のどこでも、テント内部の客席や舞台構造は変わらない。言ってみれば、常にホームでの公演ができるという作り手にとって計り知れないメリットとなります。
 
<越境性>
 上記の「半閉鎖性」とも関わる事ですが、どくんごの魅力はその「越境性」にあると言えるでしょう。
 いわゆる劇場制度の外部にいる存在でありながら、独自の劇場空間を構成している。
 遊行者的な社会制度の埒外に存在するようでいて、独特のコミュニティを形成している。
 演劇制度・社会制度の内外を絶妙なバランス感覚でたゆたうからこそ、初めての人にとっても、リピーターにとっても、どこか懐かしく居心地の良い劇場空間となり得るのではないでしょうか。
 
 日本にドイツ的な意味での劇場制度が(ほぼ)存在していない現状において、どのように演劇表現が可能なのか。
 これは、6.5/wが考え続けている問いです。
 どくんごの試みは、それに対する現場からの一つの回答であるかのように思えるのです。
 
 
イメージ 1
 
(写真:熊本公演より)

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