ずっと噴水が好きだった

明治、大正、昭和。公園、街角、博覧会。戦前日本の噴水事情を気ままに探索中。なんだかんだで続いてます。ビバ噴水!

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 ここに2枚の絵葉書がある。どちらも「横浜公園ノ桜」と題した絵葉書で、桜の季節の横浜公園を写したものらしい。園内にあった茶屋だろうか、店先には床几が置かれ、客とおぼしき人物が腰を下ろしている。見比べるとすぐに分かる通り、2枚は同じ写真である。しかし色は若干異なっている。これはモノクロで刷った写真に彩色を施した絵葉書で、こうした彩色絵葉書は、プロの画工が絵付けの見本をつくり、それに基づいて内職の女性たちが色を付ける作業を行ったという。配色はほぼ同じだが、桜の塗り方には実際の作業者の個性というか、性格がにじみ出ている。

 ところで、彩色の違い以上に1か所、大胆に風景が加工されている。絵葉書の左奥に目を向けよう。1枚目の絵葉書からは茶屋の後方に大中小、三層の水盤を備えた噴水と池があったことが確認できる。ところが、2枚目の絵葉書ではどうだろう。加工が甘くかすかに痕跡はあるが、それでもかなり見事に噴水と池を消し去っている。噴水を消した理由は何だろう。何らかの事情で公園からこの噴水が撤去されたが、改めて撮影する手間を惜しんで同じ写真を絵葉書の素材として使い続けた、といったことがあったのだろうか。真相はまだわからない。

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「横浜公園ノ桜」絵葉書①

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「横浜公園ノ桜」絵葉書②

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絵葉書①拡大

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絵葉書②拡大

 消された噴水があれば、一方、描き足された噴水もある。大礼記念国産振興東京博覧会は1928年(昭和3)3月24日から5月22日にかけて上野公園で開かれた博覧会で、2枚の絵葉書はどちらも第一会場の大礼記念館を遠景に置き、「正面より大礼記念館を望む」と題されている。

 見ての通り、2枚は明らかに同じ写真から作られた絵葉書である。しかし、片や並んだ三本の柱の上部から勢い良く水が噴き出し、片や水は出ず池も空なのだ。戦前の新聞記事を読んでいると、博覧会の開会に噴水の工事が間に合わなかったという話はよく出てくる。ちゃんと稼働していた噴水を撮った写真からわざわざ噴水を消したと考えるよりは、開会までに竣工しなかった噴水に見栄えのため水を描き足したと考えるほうが自然だろう。真相が判明次第、追ってご報告したい。絵葉書を資料とする危うさと面白さを感じさせる事例である。

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「(大礼記念国産振興東京博覧会)正面より大礼記念館を望む」絵葉書①

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「(大礼記念国産振興東京博覧会)正面より大礼記念館を望む」絵葉書②

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