今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

やっと書き込み再開します。本年もよろしくお願いいたします。

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学生の頃、静岡東映パラスで「ザ・カー」との2本立てで観たのが、この「センチネル」です。「ザ・カー」がメインで、こちらは併映だったのですが、ずいぶんと怖くて面白かった記憶があります。その後、この映画が結構伝説化しているのを雑誌などで読み、今回DVDが発売されたのでゲットしちゃいました。

ニューヨークでモデルをやっているアリソン(クリスティナ・レインズ)は、恋人の弁護士マイケル(クリス・サランドン)とアツアツです。でも、ちょっと距離感を欲しいなと思った彼女は1人でアパートを借りることにします。古風な作りのアパートで最上階には盲目の神父がいつも座って外を見ているというところ、でもロケーションもいいし、部屋も素敵。しかし、彼女の父親が亡くなり、ちょっと精神が不安定になります。というのも過去に彼女は父親の痴態を目撃して自殺を図ったことがあったのです。一方で、彼女の周辺をキリストの指輪をつけた謎の神父が動き回っています。アパートに帰れば、別の部屋のチェイズン(バージェス・メレディス)は人懐っこくて、アパートの住人を集めたパーティに誘ってくれ、彼女の気を紛らわせてくれます。しかし、アパートを斡旋したローガン(エヴァ・ガードナー)は神父以外の住人はいないと言います。ある夜、アパートの物音に目を覚ましたアリソンはその音をたどっていくと、そこに人影を発見、明かりを向けてみれば、それは何と死んだ父親の腐乱した姿でした。思わずナイフで切り付けて外に飛び出すアリソン。警察沙汰になってしまって彼女を気遣うマイケルはアパートや神父についての調査を始めます。しかし、既にアリソンには恐ろしい魔の手が伸びつつあったのです。

1977年の劇場公開ですから、もう30年以上も前の映画になります。公開当時はパニック映画並みの豪華キャストという触れ込みでした。主役の二人は当時も若手でしたけど、その脇にエヴァ・ガードナー、マーティン・バルサム、アーサー・ケネディ、ホセ・フェラー、デボラ・ラフィン、バージェス・メレディス、イーライ・ウォラック、ジョン・キャラダインといった面々を揃えていまして、さらに当時無名のクリストファー・ウォーケン、ジェフ・ゴールドブラム、トム・ベレンジャー、ビバリー・ダンジェロといった皆様も顔を見せています。クリスティナ・レインズとデボラ・ラフィンは本当にキレイで、特にヒロインを演じたレインズは下着姿で恐怖におののくシーンがスレンダーながらなかなかにセクシーでした。後半、ずっと顔色悪い状態になっちゃうのですが、それでもきれいなヒロインぶりで、ラストの落差がなかなかショッキングでした。

ジェフリー・コンヴィッツの原作を、英国のマイケル・ウィナーが脚本化し、監督もしました。でも、この映画が変な意味で有名になっちゃったのは、クライマックスでいわゆる身体障害者を悪魔として登場させたこと。一応、不快な気分になったら即帰ってもいいという契約書を交わしての出演だったそうですが、その昔のカルト映画「怪物団(フリークス)」の現代版という意味で有名になってしまったってことがあります。また、「エクソシスト」のディック・スミスによる特殊メイクがまたすごい見せ場を作っていまして、クリス・サランドンの顔にヒビが入るシーンは今見てもよくできてると思います。

マイケル・ウィナーの演出はドアを効果的に使って独特の雰囲気を出しており、込み入ったストーリーを92分という長さにまとめて、謎解きのミステリー的面白さもあり、恐怖演出も上々でした。「アンドロメダ」のジル・メレがオーケストラによる重厚な音楽をつけていまして、オーソドックスな恐怖音楽なのですが、ジャズ畑の人というだけあって、ウィナー監督とよく組んだジェリー・フィールディングの音と通じるものがありました。サントラ盤が出て欲しい音になっています。また、ニューヨークの中の閑静な場所のツタに覆われたアパートというロケーションもよく、その内装の美術も重厚で70年代の映画としてはかなり頑張っているという印象でした。

しかし、この映画の面白さはそういう見た目よりもストーリーの方にあります。それは、このヒロインが神にも悪魔にも目をつけられちゃったというところです。




この先は結末に触れますのでご注意ください。




冒頭で、イタリアのカソリック教会が登場し、そこでアーサー・ケネディ扮する枢機卿が、「危機が迫っています」とおごそかにホセ・フェラーに告げるシーンがあります。これまで、あの世から悪魔がやって来ないように見張り(センチネル)をずっと置いてきたのですが、次の見張り役となるべき人間に悪魔が迫りつつのです。そういう説明があるわけではないのですが、物語の展開から事情が見えてくる構成はうまいです。今の見張り人がハリラン神父でして、その見張り役になるのは自殺未遂の経験者であることが条件だったのです。自殺経験のあるアリソンは、ハリラン神父の後継者として、教会から目をつけられていたというわけです。一方、その見張りがいると面白くないのは悪魔の皆さんでして、チェイソン以下アパートの住人たちは元犯罪者の故人でして、チェイソンは悪魔側の総元締めだったのです。そして、見張り役を継がせないために、アリソンに自殺させようとするのです。こうなっちゃうと神も悪魔もアリソンにとっては迷惑極まりない存在なんですが、双方とも、彼女を自分の陣営に取り込もうと画策するわけです。追い詰められるヒロインは気の毒極まりないのですが、結局、神も悪魔も同じ土俵で、川のこっち側と向こう側にいる違いだけの同業者なんだなあって気付かされるという、なかなか示唆に富んだお話です。カソリックから見れば、反キリストとは言えないまでも、神を悪魔と同じレベルに貶めたということで、神を冒涜していることになるのかもしれません。

物語の方は、マイケルが依頼していた探偵が惨殺死体で発見され、その探偵がロクでもない奴であるとわかってきますと、この恋人も怪しいように思えてきます。この男、結構、裏の世界に通じているようで、前の妻が自殺したことになっているのですが、これも探偵を使って殺させたという結構悪い奴。それでも、アリソンを救おうと頑張るのはマイケルだけでして、このあたりにも善悪の曖昧さがうまく描かれています。特にクライマックスで、アリソンが翌日に見張りにさせられてしまうことを知って、ハリラン神父を問い詰めようとして、逆に枢機卿に殺されてしまうという展開がなかなかすごい。で、死んだマイケルは今度は悪魔側についてしまって、ラストでは、アリソンに自殺を迫る悪魔軍団の一員になってしまうのです。チェイズンを筆頭とする悪魔軍団は、アパートに帰ってきたアリソンの前に現れ、最上階の部屋まで追い詰めていきます。この中に、身体障害者の人と特殊メイクを混在させていて、見るもグロテスクな悪魔軍団を作り出しました。バージェス・メレディスの悪魔演技が絶品でして、小柄な彼が悪魔の筆頭というのが面白い見せ場になっています。

短剣を手にアリソンに自殺を迫るチェイズン、短剣を受け取った彼女は手首に刃を近づけるのですが、その瞬間、「ちょっと待った」の声と共に、枢機卿と十字架を掲げたハリラン神父が入ってきます。悪魔軍団は立ち向かおうとするのですが、十字架の威光にはかなわず、ハリラン神父の十字架がアリソンに手渡されると、悪魔軍団はどこかへ消えていきます。このハリラン神父をジョン・キャラダインがさらに特殊メイクをして演じていて、気色悪いのですよ。神と悪魔も見た目には大差ないところが結構ヤバいかもしれません。悪魔側の描写もディック・スミスの見事な職人芸でかなりグロで、最初に観た時は、とにかく気持ち悪い映画という印象が強く残りました。

そして、古ぼけたアパートは解体され、新しくきれいな建物に生まれ変わります。斡旋屋のローガンは新しいカップルに部屋を案内しています。今度は他の部屋にもきちんと住人がいるみたい。そして、その最上階の部屋には、引退したシスターテレサが住んでると言います。そして、アパートの外観のショットになり、最上階にシスターの姿が見えます。彼女のアップになると、それはアリソンの変わり果てた姿でした。盲目の年老いたような特殊メイクが異様な印象を与えます。外を眺める彼女を背後から捉えたショットにエンドクレジットがかぶさります。おしまい。

見直して、やっぱり面白かったです。これは神のサイドからすれば、見張りの引継ぎが無事に完了したので、ハッピーエンドになります。悪魔からすれば、今回は失敗したが、次回で頑張ろうってところでしょうか。そんな中で、盲目の見張りにさせられたアリソンはとにかくかわいそう。確かに、カソリックでは、自殺は「神の意思に反する重い罪」であるのですが、その原因は父親にあるわけですし、そこまですることはないじゃんと思うのは、私が信者じゃないからでしょうか。見張りが神に祝福される選ばれた人(古代宗教におけるいけにえのような人)であるならまだしも、この映画では罰ゲームみたいな扱いですからね。そういうところはカソリックを悪く描いていると言えないこともありません。

このDVDには、日本でのテレビ放映版も収録されているのですが、その中では、見張りを立てるのはカソリック教会ではなく、教会と対立する別の教団ということになっています。なるほど、カソリックの顔を立てて改変されているのです。まあ、それはそれでありなんでしょうけど、神と悪魔の対立の構造が曖昧になってしまって、唯の怖がらせ映画になっちゃいますから、やはり、オリジナルの設定の方が面白いです。神や悪魔がやってることは、お互いの勢力争いだねってところには妙に説得力がありますし、そこに理性の入り込む必然性があるんだと思うと、この映画、結構いいところ突いてるのかもしれません。

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ほんと、アリソンにとっては罰ゲームでしたね。
カソリックもひどいことを、、と思う反面、自殺はいけないとする教えを強調するものかともとれる。
でも、自分側につかなければ地獄だぞと2者択一を迫るあたり、そもそも教会はそうい残酷さを持ってるんだよねと妙に納得させられます。
TV放映版では、そのあたり曖昧になると面白み半減ですね。
もっとグロいだけの作品かと思ったら、面白いオカルトもので、これは拾いものでした。
TBさせくださいね。

2010/4/13(火) 午後 10:00 pu-ko 返信する

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。クリスチャンは神様と契約するわけですから、自殺は契約不履行となってそのペナルティがセンチネルになることなのでしょうね。契約違反に冷たいってのは想定内としても、情状酌量の余地がないってのが宗教の冷たさなのでしょうね。自殺して悪魔の仲間と楽しくやろうよっていうのと、一生盲目の目であの世の入り口を見張ってろってのでは、どっちを取るか、かなり迷いますよね。前者を選べば悪魔の仲間、後者を選べば神のしもべの最低ランクで一生を終えることになる。でも、どっちを選択してもあまり大差ないなあ気付いちゃうと、今度は、悪魔や神が困るんでしょうね。実は似たもの同士だってお互いわかってるけど、表向きは対立しているふりをしてるだけではないかしら。

2010/4/14(水) 午前 10:13 [ einhorn2233 ] 返信する

実になつかしいです。
この映画は映画館で観ていなくて、後日、TVの深夜放送で録画したものを繰り返し観ました。ビデオを買って間もなくの80年代前半のことです。

2010/4/15(木) 午後 7:57 [ 鉄砲弥八 ] 返信する

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弥八さん、コメントありがとうございます。これ、私もテレビ放映したのを録画して観たりしてたのですが、今回出たDVDでそれはオリジナルと別バージョンというのを初めて知りました。オリジナルはカソリック教会そのものが前面に出てたってのを再認識して、これは面白いじゃんて改めて思いました。この頃はストーリーと特殊メイクの両方で面白い映画があったってことなんですよね。「ゾンゲリア」とか「狼男アメリカン」とか。

2010/4/15(木) 午後 8:21 [ einhorn2233 ] 返信する

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これは、この頃の他のオカルト映画とは一味違って、仰る通りストーリーが大変良かったですネ☆^^♪vもっと評価されてもいい作品だと思います♪^^☆v

2010/4/15(木) 午後 11:51 [ hiro-mtb ] 返信する

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hiromtb2007さん、コメント&TBありがとうございます。これ、ストーリーがよくできてますよね。神と悪魔が紙一重ってのはコメディならありなんでしょうけど、まともなホラーに仕上げたってのはすごいなあって感心しちゃいます。

2010/4/16(金) 午後 8:10 [ einhorn2233 ] 返信する

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クリスティナ・レインズという人がキレイでよろしい。
リンダ・フィオレンティーノを上品で優しくした感じですな。もう映画の内容はどうでもいい。

しかしこの映画のDVD高いですよね?4000円か5000円しますよね。

2014/11/27(木) 午後 8:42 Schwangerschaft 返信する

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札束さん、コメントありがとうございます。クリスティナ・レインズかわいいですよね。出演作があまりなくって、私も「サンシャイン」と「ラストレター」くらいしか観ていません。でも、この映画は娯楽作としてもよくできたカルト映画ですから、中身もなかなかですよ。マニアの財布を狙って高い価格設定ですよね。

2014/11/29(土) 午前 0:46 [ einhorn2233 ] 返信する

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