今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

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今回は静岡ミラノ2で「第9地区」を観て来ました。相変わらずドルビーデジタルのロゴが出るなあ、どーなんだろうなあ。アナログ音響しかない劇場なのに。

ある日、南アフリカ共和国のヨハネスブルグの上空に巨大UFOがやってきてそこに居ついてしまいました。中にいたのはエビみたいな宇宙人で衰弱していました。彼らはいわゆる宇宙の難民、200万人近くもいたのです。政府は彼らを第9地区の仮設住宅に住まわせることになるのですが、その数の多さとかもあってスラム化、ナイジェリア人ギャングがその地区を牛耳るようになり、市民からも隔離された存在でしたが、20年も居座られて、今は彼らの管理は民間企業のMNUに任されていました。エイリアンと住民との対立が激化して、彼ら市街地の外に移住させることになり、ヴィカス(シャルト・コプリー)がその作戦責任者となります。MNUはエイリアンの家を巡って立ち退きのサインを取ってまわるのですが、その中でエイリアンの隠し持っていた武器を調査中のヴィカスがあるカプセルをいじっていてその中の液体を浴びてしまいます。すると彼の体はエイリアンに変化し始めました。研究材料としてMNUに解剖される寸前に逃げ出したヴィカスですが、町中に手配の手が回ってしまい、結局、第9地区に身を隠すことにするのですが.....。

評判のいい映画です。ピーター・ジャクソンがプロデューサーとして参加し、VFX出身のニール・ブロムカンプが脚本と監督を担当しました。南アフリカのヨハネスブルグに宇宙から難民がやってきて、そこがスラム化し、住民との軋轢の末、強制移住させることになるというのが発端です。映画は、ニュース映像を編集したような感じで始まります。結構倒な状況説明を、手際よくさばいて、エイリアンが人間の難民と同じような状態で、かつ人間から差別の対象であることが示されます。人種差別の看板と同じような看板が登場する一方で、エイリアンが人間のものを盗んだり悪さをしている状況も映し出されます。エイリアンが隔離された第9地区はスラム化し、そこを牛耳っているのはナイジェリアギャングのみなさん。肉食のエイリアンたちに、肉やネコ缶を売りつけて、その代価として、彼らの武器を手に入れていました。でも、人間はそれらの武器を操作することはできないという状況でした。

まあ、エイリアンに居座られちゃってるわけですから、人種差別というよりは、ニホンザルの悪さに手も足も出せない近隣住民のみなさんみたいな感じになっているわけです。その辺りのさじ加減がこの映画のキモになっているようで、結局、異種の集団と同列に共存するのは難しいというテーマも見えてきます。エイリアンの強制移住に反対する人権擁護団体も登場しますが、これが動物愛護団体じゃないのがちょっと面白かったです。エイリアンの蔑称はエビですって。確かにちょっとエビっぽいし、幼生態はホントにエビみたい。

そんなところにMNUのオエラ方の娘婿であるヴィカスが武装した連中を伴ってやってきました。こいつが何だか軽そうでいい加減なやつでして、立ち退きの書類にサインをもらおうとしながら、彼らの幼生体を焼き殺して中絶だぜって嬉々としちゃってる。手荒なことは嫌いだけど、それは単に根性なしだから、というダメ風キャラをシャルト・コプリーが熱演してしまして、そのヘタレぶりがこの映画に笑いとリアルな視点を運んできます。もう一方で登場するのがエイリアンの親子、故郷の星へ帰るために、何やら謎の液体を集めていたのですが、それをヴィカスに持っていかれてしまいます。どうやら、エビにも人間と同じように賢いのからアホまでいるようでして、人間同様、エビだからどうのこうのと一括りにはできないようです。ただ、善悪の判断基準などの文化面は、人間と似ているようで違うみたいです。最終的に理解しあえる存在かという点では、否としているのが、この映画が「アバター」と違うところで、ここがこの映画の重要なポイントになっています。



この先は結末に触れますので、ご注意下さい。



徐々に体がエビ化していくヴィカス、彼は何と彼らの武器が使えるのです。それはMNUにとっても朗報でしたし、ギャングにとっても彼は特別な存在になります。そして、彼と液体を作っていたエビの親子が第9地区で出会い、あの液体があれば巨大な宇宙船を動かすことができて、宇宙船へ行けばヴィカスの体を元に戻すことができると言います。とりあえずお互いの利害の一致を見た二人は、ギャングから武器を奪い取って、MNUに乗り込んで、液体を奪い返すことに成功します。このあたりは大盛り上がりの展開なんですが、宇宙船へ行くための小さな飛行体を飛び立たせるのに失敗、MNUの傭兵部隊につかまってしまいます。しかし、今度はギャングたちがヴィカスを横取りしようとして銃撃戦になってしまいます。ギャングのアジトで腕を切り落とされそうになったとき、エビの子供がアジトにあったパワースーツを作動させて形勢逆転、パワーローダーと合体したヴィカスはギャングを蹴散らして大暴れ。一方、、エビの子供の操作によって巨大宇宙船は動き出します。親の方は傭兵たちにボコボコにされて青息吐息。ヴィカスはパワースーツのまま逃げようとするのですが、エビが殺されそうになっているのを見て、彼をかばって、傭兵部隊との戦いに臨みます。そして、親子が宇宙船に引き上げられるまでの時間稼ぎを買って出て、ボロボロになりながらも、傭兵部隊を倒し、親子を乗せた宇宙船は彼らの星へ向かうのでした。もうヴィカスの体の半分近くがエビ化していましたが、それ以降、彼と宇宙船の消息は不明。エビたちは強制移住され、さらに数を増やしつつあるのでした。

後半は徹底した活劇の展開になるのですが、ブロムカンプの演出は相当な盛り上がりを見せます。MNUで生体実験された仲間を見つけてエビが呆然となるシーンや、クライマックスでヴィカスがエビに「自分の星へ帰れ、俺の死を無駄にするな」というシーンなどかなりぐっとくるものがありました。ヴィカスがエビ化していく過程でMNUに裏切られ、人間を信じられなくなったとき、エビの中に信頼できるものを見つけるという展開はドラマチックでして、パワースーツを着たヴィカスが傭兵部隊を文字とおり木端微塵にするシーンにはすごいカタルシスを感じました。

それだけだと「アバター」と同じじゃんということになってしまうのですが、単に人間と宇宙人の友情とは一味違う作りになっています。まず、ヴィカスはもともとはエビのことは何とも思っていなかったんですが、自分がエビに変身し始めて、人間側から追われる立場になっちゃったこと。また、エビにはエビ側の思惑があるようなんですが、それが、人間の利害とは一致しないらしいこともあります。最後に宇宙に飛び立つとき、3年たったら帰ってくるようなことをヴィカスに言います。ラストで宇宙船が飛び去ったのは、仲間を助けに来るためか、地球を攻撃にくるためか、単に自分が逃げるためなのかはわからないと語られるのですが、確かに目的は不明です。ヴィカスとエビの親子は一時的に共闘したわけですが、彼らの間に真の友情が成立したのかというと、そうは見えないのが面白いところです。所詮、価値観も文化も異なる両者の間に、相互理解が成立する時間はありませんでした。とりあえず、お互いを信頼せざるを得ない状況に追い込まれてそうなったということなんです。ヴィカスがギャングや傭兵の皆様を吹っ飛ばすシーンはスカっとするカタルシスがあるんですが、それはそいつらが悪者でヴィカスにひどいことしてるから、そう思えるだけで、「アバター」のように二つの種族を代表した戦いではないのです。

最終的にヴィカスはエビになっちゃうけど、心は人間のままでいることをほのめかすエンディングになっているのですが、それが何か希望になっているのかというとそうでもないです。この映画は、異なる種族の二人の接近遭遇を描いたというレベルに留まっているのです。そこが面白いというか、結局、相容れる部分と相容れない部分があるよねって見せ方がいいのですよ。でも、ヴィカスが最後に自分を盾にして、エビの親子を星へ帰してやろうとするシーンは泣けまして、そこが娯楽映画としての面白さになっています。

観始めたときはそうはおもわなかったのですが、観終わってみれば「アバター」と似た所多いなあって印象でした。「アバター」にはないグロさや人体破壊描写があるものの、全体構成は同じようなものです。監視カメラや報道カメラの画像をたくさん盛り込んでいるという違いはあるものの、クライマックスの盛り上げからの大活劇は共通するカタルシスがありました。

背景としての、難民としての宇宙人という設定。彼らがそれほど知性が高いわけでも、敬意を表すべき文化もなく、見た目以外はかなり人間に近いってのは面白いところでした。

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もちろん、突っ込みどころはあったと思います。
でも、発想が豊かで・・・娯楽、社会性・・・ドラマとしても楽しめました。
エビの描写はユニークで、知性も高く、人間の方が愚かなような気も・・・。
トラバありがとうございます!トラバお返しさせて下さいね^^

2010/5/4(火) 午後 8:38 くるみ 返信する

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くるみさん、コメント&TBありがとうございます。面白い映画とは思うのですが、この映画の評判が良いので、観る前に期待し過ぎたて、こんな記事になったのかもしれません。社会性ということでは、ちょっと現実の難民に似すぎてしまったということで、SF的な面白さがなくなっちゃったのかなって気はしました。親子の会話も人間味ありすぎでしたし。

2010/5/4(火) 午後 9:13 [ einhorn2233 ] 返信する

最後にヴィカス、お前はどっちなんだっ、と、突っ込みを入れたくもなったのですけど、最後の最後はなんだかじーんとしちゃいまして。。
この映画はとても説明しにくいのですが、こちらの記事ではちゃんと書いておられて、さすが、と思いました ^^ トラバさせて下さいませ。

2010/5/4(火) 午後 11:30 恋 返信する

ほんと、アバターと似てますね。
私も宇宙人ものとして期待して行ったので、
ちょっとな〜んだ感が残ってしまいました。
アカデミー賞にノミネートされてなかったら、期待もなくめっけもんの?映画だと思いましたけどね。
程度の低そうな宇宙人たちは閉じ込められてそうなったのかが知りたくもなりました。
それと、ロボット。あれは宇宙船から降ろしたのでしょうか。
それとも作ったのでしょうかね。作ったとしたら、
とっくにマザーシップへ戻れる暇?もあった?
いろいろ疑問がわいてくる映画でもありました。
映画を観終わってからみんなでわいわいお話したくなる映画ですね。
TBさせていただきますね〜

2010/5/5(水) 午前 7:59 iruka 返信する

なるほど、たまたま利害関係が一致したから助け合ったけど、そもそも人間と宇宙人、求めるところも違うというのはありましたね。
いつもeinhornさんの記事には目から鱗。洞察力が素晴らしいです。
TBさせてくださいね。

2010/5/5(水) 午前 8:59 pu-ko 返信する

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恋さん、コメント&TBありがとうございます。ヴィカスとしては、どっちつかずのままにいたんですが、ともかくも目の前のエビをほっとけなくなったという感じでしょうね。普通に状況では、どっちにもつかないタイプなんでしょうけど、目の前で極端なのを見せられてしまうと、心動いてしまうのは何となくわかるような気がします。

2010/5/5(水) 午後 9:06 [ einhorn2233 ] 返信する

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irukaさん、コメント&TBありがとうございます。私も「アバター」に比べて断然いいとかいう批評なんかを読んで期待して観に行ったのですが、割と同じじゃんってのが率直な感想でした。お話としても、irukaさんのおっしゃるような突っ込みどころがありますし、とりあえず面白い、ってところに落ち着く映画でした。

2010/5/5(水) 午後 9:11 [ einhorn2233 ] 返信する

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。あの先、どうなっちゃうのか気になりますよね。あの後、地球を攻撃しにくる可能性もありますもの。そんなこんなをスクラップの花びらにまとめるあたりで娯楽映画としてまとめてるなあ(言い換えると商売上手)って思いました。

2010/5/5(水) 午後 9:13 [ einhorn2233 ] 返信する

アバター

エビがやけに人間ぽかったのがちょっとおかしかったです。やはり人間の考える異星人だからでしょうね。^^;
ラストはせつなかったけれど、もし続編があるならちょっと希望も見えるかな。
TBさせてくださいね。

2010/5/6(木) 午後 2:44 choro 返信する

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ちゃらい感じの主人公が どんどんいい顔になってくるのが面白かったです。
しかし あの液体 いったいなに??
トラバ させてくださいませ (ヒツジ)

2010/5/7(金) 午前 1:21 ひつこじ 返信する

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2233さん、おじゃまします。2週間前の今日、ユーカリヶ丘のジャスコ内のシネマ館でいつもの幼友達と車とばして「第9地区」観てきました。観た感想は、ヴィカスがエイリアンたちの住居に立ち入った際、防護服着ていなかったために身体がエイリアン化していく様を親子エイリアンとMNUを絡めて人間とエイリアンが共存していけるのかという話でした。ただこれだけの内容で、過激な戦闘シーンが随所に盛り込まれ、やたら人が木っ端微塵になったりで変化がなく、最後まで単調なストーリー展開だと感じました。結局ヴィカスとエイリアン親子の行方は?やはりヴィカスはエビちゃんに変身しちゃったんですかね。舞台も米かと思いきや、ヨハネスブルグだったのも意外。ヴィカスは別としてエイリアン移住による治安の乱れと多数の犠牲者の超グロい殺戮シーンの連続には私も幼友達もウンザリで、昔観た「インデペンデンス・デイ」の方が断然見応えあったと言うのが率直なところです。私たちの好みに合わなかったのかも。 削除

2010/5/8(土) 午後 11:26 [ トニー ] 返信する

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Choroさん、コメント&TBありがとうございます。そうなんですよね、親子の会話なんてまるで人間と同じですもん。そのせいか、「アバター」っぽいなあって思っちゃいました。アメリカではこっちが先に公開されたそうですけど、アバターを見て、エビっぽいなあって言う人はいなかったのかしら。

2010/5/10(月) 午後 8:52 [ einhorn2233 ] 返信する

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ヒツジさん、コメント&TBありがとうございます。確かに主人公の顔つきがだんだん変わってきましたね。液体を浴びるとだんだん体が別モノになるってのは、その昔のジョン・カーペンターの「パラダイム」を思い出しましたです。正体がよくわからないのは、続編を意識してるんでしょうかね。

2010/5/10(月) 午後 8:59 [ einhorn2233 ] 返信する

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トニーさん、コメントありがとうございます。トニーさんとお友達にはあまり評価高くないようですね。私なんか突っ込みどころ多いなと思いながらも、後半はむちゃくちゃ盛り上がりましたからね。パワースーツ着た主人公には、もっとやったれって思いましたもの。この辺は好みの違いなんでしょうね。

2010/5/10(月) 午後 9:06 [ einhorn2233 ] 返信する

パワースーツが登場したときには、子供の頃に見たアニメの世界とタブってしまいました(^^ゞ
そういうどこにでもありそうな展開なのに、とってもエネルギッシュだったり胸が痛むシーンもあったり…。
盛りだくさんな作品でした。
遅くなりましたが、TBお返しさせてくださいね☆

2010/5/12(水) 午後 10:57 なぎ 返信する

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なぎさん、コメント&TBありがとうございます。確かに盛りだくさんな映画でしたね。色々な視点から楽しめるという点で、お得感があったように思います。盛り上げのうまさとクールな視点の面白さの両方を持った映画でした。

2010/5/13(木) 午後 6:36 [ einhorn2233 ] 返信する

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