今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

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今回は新作の「ローラー・ガールズ・ダイアリー」を日比谷シャンテシネ3で観て来ました。たまたま空いてるときだからよかったのですが、混んでる時はもっとスクリーンの位置が高くないと前の人の頭でスクリーンが欠けちゃう。

テキサスの田舎町に住む、高校生のブリス(エレン・ペイジ)は、母親(マーシャ・ゲイ・ハーデン)の教育方針もあって美人コンテストの常連です。そんな日常に飽き飽きしていたとき、偶然にローラーゲームのチラシを手にして、会場に向かいます。女たちの肉弾戦であるローラーゲームに魅了されたブリスは、翌週にオーディションがあると聞き、年齢を偽って参加して、何と合格しちゃうのです。体格的には劣るものの、彼女には天性ともいうべきスピードがあったのです。でも、チーム・スカウツは万年ドンケツのダメチーム。それでも、ブリスの貢献もあってチームは勝ち星を挙げ始め、ついにはリーグの決勝にまでたどり着きます。そして、ブリスにはバンドのイケメン彼氏もできて順風満帆の筈だったのですが、彼女がローラーゲームに出ていることが両親に知られてしまい、決勝の日は美人コンテストに出なきゃならなくなっちゃいました。とはいえ、チームは彼女抜きでは勝てそうもありません。果たして、大方想像がつく、この映画の結末はいかに。

子役出身ながら、しぶとく生き残ってプロデューサーもこなすドリュー・バリモアが初めてメガホンを取りました。「JUNO/ジュノ」の若手エレン・ペイジを主役に、ローラー・ゲームに頑張る女の子の物語を、ケレン味のない青春映画として仕上げています。田舎町の女の子が、ローカルなローラーゲームの試合を見て、「これだ!」と思って、チャレンジして、頑張って、チームの要になって、友達と喧嘩したり、彼氏ができたりと、青春映画の幕の内弁当みたいな構成です。ちゃんと親との葛藤もありますし、若い女の子の成長がきちんと描かれているのは点数高いと思います。主人公のブリスが斜に構えたところのない普通の女の子であるところ、ローラーゲームに場末の汚れっぽさがないところなど、変にドロドロしたリアリティを加えていないところは、よく言えばまろやかな味わい、悪く言えば突っ込み不足ということもできますが、映画として、ほどほどをわきまえて、観客を楽しませることに徹していう点が潔く、よく作りこまれた幕の内弁当らしい、細やかさと満足度が味わえるのがこの映画のいいところです。

全編をコメディタッチで、ほとんと悪役が登場しない(イケメン彼氏を除く)のは、全体をまろやかな味わいにしており、さらに脇役を丁寧に立てているのが、この映画の楽しさに一役買っています。こういう作りの映画を観てると、作ってる方も楽しいだろうなあって感じが伝わってくるのですよ。ジュリエット・ルイスが扮する敵チームのエースなんか、ストーリー上では、敵役なんですが、バリモアの演出は、彼女を細やかにフォローして、ヒロインのライバルとしてキャラが立っていまして、この他、ローラーゲームの主催者とか、ヒロインのバイト先のダイナーのアンちゃんといった面子もただの脇役プラスアルファのいい味を出しているのですよ。ヒロインの母親を演じた名女優マーシャ・ゲイ・ハーデンはもちろんうまいのですが、その登場の仕方が要所要所に絞り込んで、最小限の登場でドラマの要になっているのは、演出のうまさではないかと感心してしまいました。登場人物のそれぞれが引き立つようにして、でも全体のバランスがいい、このあたりの演出は、初監督とは思えない職人芸を感じさせます。バリモア自身は、完全な脇役のチームの一員として登場するのですが、その割りに結構フレームインしてるってのが、ちょっとお茶目さんって感じかしら。

ガタイのいいおねえちゃんの多い、ローラーゲームのチームの中では、ヒロインは華奢でらしからぬ風情ではあるのですが、スピードとテクニックでポイントゲッターとなります。このあたりは、できすぎな気もするのですが、そこは映画の魔法ということでまあOK。そして、二枚目の彼氏もできます。プールの中のラブシーンなど印象的な見せ場もありまして、単なるスケッチじゃないけど、そこだけが際立たないような采配がうまい。エレン・ペイジも気負いのないヒロインをかわいく演じていまして、変にタメを入れないある意味軽やかな演技が、この映画の細やかでつつましいカラーにうまく合っていたように思います。物語の中でちょっとだけドラマチックなアクセントとなる、親友とのいさかいも、等身大の善意でまるく収めるあたり、「ちょっといい話」的エピソードのまとめ方が大変心地よかったです。

出ると負けだったチームが、ヒロインが入ったことがきっかけになって、どんどん勝ち星を挙げ、ついには、地区の決勝にまで駒を進めるのですが、ブリスのローラーゲームが両親にばれてしまい、チームをやめるように母親から言われてしまいます。試合の日は、コンテストの日と重なっていて、結局ブリスはコンテストの方に行くことになっちゃうのですが、ここで父親がチームの連中に相談をかけて、ブリスをコンテスト会場から引っ張り出すことに成功、そして決勝に臨みます。予定調和な展開ですが、自分のやりたいことにまっすぐに挑むヒロインと、それを受け止める周囲の人々の織り成すドラマには、人を元気にする力があります。そういう基本設定を、職人芸で笑えて楽しい映画にまとめたバリモア監督の手腕が光りました。

ローラーゲームのシーンは、俳優が自ら演じていて迫力のあるものになっています。ラフプレーの凄みよりは、スピード感を重視した見せ方になっていて、荒んだ感じになっていないのがマルです。後、印象的だったのが、主人公と友人が、この田舎から早く出たいってぼやくところ。80年代の映画でも、田舎に住む若者が、こんなところから早く出たいって言ってたのですが、今も似たようなところがあるのかしら。日本でも、地方が元気ないって言いますが、やはり若い人は都会へ出たいと思っているのかな。

閉じる コメント(12)

確かに大方想像のつく展開でしたがw嫌味のない仕上がりで心地よかったですね。
ドリューの笑顔そのままの爽やかな印象。
お父さんの存在も良かったです。TBさせてくださいね。

2010/9/5(日) 午後 3:39 pu-ko

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。予定調和なんですけど、隅々まで細やかに作られていたところがよかったです。初監督作品なのに、一切奇をてらうことなく、オーソドックスにドラマを積み上げたドリュー・バリモアすごいって思っちゃいました。お父さんもお母さんも、よく見りゃ変わり者なんだけど、その中の「いい人」のタイミングをすくい上げて見せる演出が心憎いばかりでした。

2010/9/6(月) 午後 7:34 [ einhorn2233 ]

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そうそう。バリモアって監督さんとして職人芸的なうまさですね。
ご本人も登場していたし、嫌味がなくてとても楽しめました。
TBさせてくださいね。

2010/9/6(月) 午後 11:04 car*ou*he*ak

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Cartoucheさん、コメント&TBありがとうございます。この映画、感動云々よりも、よくできてるなあって感心した方が大きいです。初監督というととんがった映画のイメージがあるんですが、ベテランみたいなバランス感覚で、楽しい映画に仕上がっていたように思います。

2010/9/7(火) 午後 9:49 [ einhorn2233 ]

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ドリュー・バリモアが初監督した本作。ヒットはしないにしてもエレン・ペイジを起用し、女性の成長物語として爽やかな映画だったと思います。

2010/12/17(金) 午後 8:06 mossan

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もっさん、コメント&TBありがとうございます。確かに初監督作とは思えない王道のつくりになっていたように思います。何というか、中堅の職人監督が作ったような手堅いうまさがありました。

2010/12/23(木) 午後 8:04 [ einhorn2233 ]

ストーリーは大体予想通りなのですが、エレン・ペイジというヒロイン起用もよかったですね〜♪
演出もナチュラルで、さすが女の子のことをよくわかっているわ、と、思っちゃいました。あのプールの場面もちゃんとお話の中に納まっていますしね ^^ 私もこれ、好きです。
トラバさせて下さいませ。

2011/1/6(木) 午後 9:55 恋

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恋さん、コメント&TBありがとうございます。なるほど、女性目線から観ても、納得の展開だったのですね。隅々まで丁寧に作られているのが、いい意味でうまい映画に仕上がっていたように思います。

2011/1/7(金) 午後 7:27 [ einhorn2233 ]

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しっかり姿勢を正してみたら、隅々まで俳優の演技なんかも把握できたのでしょうが、寝転がって観ていたので、よさがわかりませんでした。これは見方がまずかったのだろうと思いますので、TBはしないでおきます^_^;

2011/2/4(金) 午後 4:46 オネム

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オネムさん、コメントありがとうございます。映画の見方ってのは、その日の体調ですとか気分とかお疲れ度で違ってきますよね。その映画が面白く感じなかったときは、その映画と縁がなかったか、相性が悪かったと思うようにしてます。でも、その時に感じたことはそれはそれとして価値のあることだと思いますので、TBしないなんておっしゃらないでください。

2011/2/6(日) 午後 3:33 [ einhorn2233 ]

幕の内弁当、ぴったしの表現ですね!
いつの時代も、どこの国でも、若者たちっておんなじなのね、って思っちゃえるのも良かったです(^^)
TBお返しさせてくださいね☆

2011/6/1(水) 午後 7:13 なぎ

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なぎさん、コメント&TBありがとうございます。確かに若者はどの時代も変わらない部分を持ってますよね。それだけに、ヒロインたちの「早くこの町から出て行きたい」という気持ちは何とも複雑に思えました。若い時って、故郷を出たいと思うのが普通なのかしら。私は別に、都会志向も地元志向もなかったのでピンとこなくて。

2011/6/2(木) 午後 8:25 [ einhorn2233 ]

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