今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

やっと書き込み再開します。本年もよろしくお願いいたします。

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今回は、川崎チネチッタ7で、「宇宙人ポール」を観て来ました。東京のメイン館よりもでかいスクリーンで観られてちょっといい気分。プログラムではビスタサイズと書いてあったのですが、本編はシネスコでした。きっとマイナーな映画だろうなと勝手に思っていたら、冒頭でユニバーサルのロゴが出てちょっとびっくり。

イギリスからアメリカにやってきたグレアム(サイモン・ベッグ)とクライブ(ニック・フロスト)のコンビ。まずコミケに行ってオタク気分を満喫した後は、UFOにまつわる場所をキャンピングカーで回る予定でした。ところが、前が走っていた車が突然横転して大破。びっくりして、車を停めて様子を見に行った二人の前には、「未知との遭遇」に出てきたのとそっくりなエイリアンが現れて、さらにびっくり。流暢な英語で話す彼の名はポール(セス・ローゲン)と言い、自分を助けて北へ向かってくれと言い出します。UFOポイントを嬉々として回っていた二人にとっては、最高のサプライズであるのですが、何しろ、世事に長けた口数の多いポールの扱いに困り気味。さらに、途中で立ち寄ったモーテルの娘ルース(クリスティン・ウィグ)がポールを目撃してしまったことから、彼女も一緒に連れての旅となってしまいます。一方、政府組織の捜査官ゾイル(ジェイソン・ベイトマン)が二人のマヌケな部下ハガードとオライリーを伴ってポールの行方を追っていました。果たして、ポールは逃げ切ることができるのでしょうか。また、彼はどこへ向かおうとしているのでしょうか。

「ホットファズ」という映画(私は未見)で一躍有名となった、サイモン・ペッグとニック・フロストのコンビが自ら脚本を書き、主演しているSFコメディです。「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のグレッグ・モットーラがメガホンをとりました。アメリカにやってきたイギリス人二人がさっそくゲイと間違えられる笑いから始まって、あちこちに笑い、そしてパロディやらもじりが散りばめられた作品になっています。基本は、普通の市民がエイリアンに出会って、友人となって、お互い助け合うというパターンでして、「E.T.」や「ウィッチ・マウンテン」「マック」といった先達があるのですが、その基本ラインに沿いながら、お笑いで通しているのがミソです。冒頭の、コミケでのオタクネタは私にもわかる部分(「宇宙大作戦」の宇宙人との格闘シーンとか)と、ついていけない部分と両方ありました。全編、そんな感じで、元ネタのわかる人はその脇道で楽しめる一方で、基本ラインでもきちんと笑えて楽しめる映画に仕上がっています。ただ、ベースになっている「未知との遭遇」は観ておいたほうがよさそうで、これが、ポールの見た目やラストのオチにつながっているので。

冒頭で、1947年のワイオミング州にUFOらしきものが落下するシーンが登場します。どうやら、このUFOにポールが乗ってきたようで、政府組織によって拘束された彼は、政府のアドバイザーみたいな待遇を受けてきたらしいのです。でも、ポールから得る知識も底をついてきたので、後は特殊能力を持つ彼の体から情報を得ようということになります。このままでは解剖されてしまうとわかったポールは、政府内の協力者の助けによって、拘束された場所から脱出し、その途中で、グレアムたちと会ったというわけです。最初は、ポールを気味悪がっていた二人ですが、だんだんと彼を何とかしてやろうという気になってきます。そのあたりの展開はあくまで成り行きのように描かれているのがうまく、ラストが盛り上がりました。

メインのストーリーは、エイリアンを助ける主人公なのですが、サブプロットとして描かれるのが、キリスト原理主義のルースがポールの存在によって、その主義が揺らいでしまい、その反動で、やたらと下品になっちゃうのが笑えます。彼女は片目が不自由だったのですが、ポールの超能力によって目が見えるようになります。まさに神の奇蹟なのですが、神は我に似せて人を作ったというのがウソになっちゃいますし、地球以外の星に生き物がいたら、この世界を神が作ったという話がほころびてしまうのですよ。ルースの父親(ジョン・キャロル・リンチ)が娘を追ってくるのですが、彼もガチガチのキリスト教原理主義者。でも、彼は最後まで感化されずに、その先の色々な展開もすべて神の奇蹟として納得しちゃうところがおかしかったです。どうやら、ポールの起こす奇蹟が、キリストの起こした奇蹟と被るところがあるらしいので、単に見た目がエイリアンなポールが神のバックボーンで存在するのなら、原理主義は揺るがないみたいなんです。キリスト教原理主義を笑いのネタにしつつ、その根強さみたいなところも描いているあたり、この映画、一筋縄ではいかないようです。

ポールは、ワイオミングに入り、ある家を訪ねます。そこには、UFOが墜落したとき、ポールを助けてくれた女の子、今はおばあさんのタラ(ブライス・ダナー)がいました。彼女は、自分が宇宙人を助けたことを誰も信じてもらえず、引きこもりの人生を送ってきたのです。そんな彼女に、昔もらったぬいぐるみを返すポール。そこへ、ゾイルやその部下の追っ手がやってきて銃撃戦になっちゃいます。やっとのことで逃げ出す一行ですが、車がエンコしちゃいます。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



徒歩で森の中を歩く一行、先導するポールの指差す先には、「未知との遭遇」で登場したUFOとの遭遇場所デビルズタワーがありました。そして、そこで花火を上げて、迎えの宇宙船が来るのを待つことになります。そこに現れた光、しかしそれはヘリコプターでした。そこから降りてきたのは、政府側のトップであるビッグガイ(シガニー・ウィーバー)でした。武装した連中を前に、手も足もでないポールたち。そこへ、彼らを追ってきたゾイルが現れ、武装した連中に向かって発砲します。ポールを逃がした協力者というのは、実はゾイルだったのです。彼は追跡の任務を実行するふりをして、ポールが無事に合流地点に行けるように監視していたのでした。そこで乱闘となり、ビッグガイをタラがノックアウトします。そこへやってきたルースの父親がポールに向かって発砲。しかし、弾はポールではなく、グレアムの胸に命中し、彼は死んでしまいます。そこで、ポールは自分の超能力の限界に挑んで、死んだポールを蘇生させることに成功します。そして、別れを惜しむポール、グレアム、クライヴ。自分の星へタラを招き、宇宙船に乗り込むタラ。宇宙船は飛び立ち、さらに巨大な母船の中に収容され、いずこかへと飛び去っていきます。その2年後、グレアムとクライブは「ポール」という小説で賞をとり、コミケで万来の拍手を浴びるのでした。めでたしめでたし。

前半では、声だけで姿を見せなかったビッグガイがシガニー・ウィーバーだったというのも笑えるキャスティングでした。「エイリアン」と「ギャラクシー・クエスト」のウィーバーですからね。それがエイリアンを殺そうとする悪の親玉として登場するのが楽しい趣向でした。また、嫌味な有名作家をどこかで見た顔だと調べてみたら「ヘルボーイ」シリーズなどの名脇役ジェフリー・タンバーでした。「グラン・トリノ」でいい人を演じたジョン・キャロル・リンチの暴走ぶりも楽しかったです。この人はいかつい見た目で、善人悪人どっちもこなせて、しかも出る映画にハズレが少ない気になる役者さんです。ポールは基本的にはフルCGなようですが、エンドタイトルで、クリーチャー・マペッターもクレジットされていましたから、ロングショットなどは人形も使われているのかも。ともあれ、目の大きなポールの表情を作るのは大変そうですが、媚や可愛さをあまり出さないで好感の持てるキャラに仕上げたアニメーターの仕事は見事だったと思います。

ポールが息を止めると透明になれるとか、やたらタバコを吹かしてるとか、やたら世の中のことに詳しかったりする設定が、笑いをとるネタに使われていまして、細かく笑える映画に仕上がっています。全体を通して、SF映画のパロディということもできるのですが、作りとしては、パロディを笑い飛ばすような味わいがあり、パロディにわざと突っ込みを入れるようなおかしさがありました。まあ、あまり考えなくても笑えるお話になっていますし、映画やSFネタを知っていると余計目に楽しめ、さらにキリスト原理主義の根底にあるものまで垣間見えるという、何層にも楽しめるネタが詰まっています。でも、SFオタクの珍道中の笑える話として楽しむのが一番おいしいかな。個人的には、ラストで宇宙船が飛び立つシーンで時間がかかっていると、ポールが「間が持たないよな、おーい早くしろよ」ってのが一番のツボでした。

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最近シネコンで上映されるCGばりばりの大作の逆を行く
タイプの作品で、手作り感と温かさがあって良かったですね。
SF映画をたくさん見てるともっともっと笑えたかもしれません。
TBさせてくださいね。

2011/12/28(水) 午後 8:53 car*ou*he*ak

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面白かったですね♪
おっしゃるように、ベースの話がしっかりしているのでpロディがわからなくても十分楽しめますよね。
キリスト原理主義てのが現存するってのが一番の驚きだったかな。
TBさせてくださいね。

2011/12/29(木) 午後 5:05 木蓮

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Cartoucheさん、コメント&TBありがとうございます。味わいはミニシアター風なんですが、よく見るとお金かかってる感じでした。でも、「未知との遭遇」なんて30年も昔の映画なのに、それをベースネタに映画を作れるってのは驚きでした。それとも、若者をターゲットにしていないのかしら。

2011/12/29(木) 午後 9:46 [ einhorn2233 ]

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もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。オヤジ世代には「未知との遭遇」ネタ、中年には「E.T.」、若い世代にはストーリーで楽しめる映画でした。キリスト教原理主義ってのは、今、結構アメリカでは幅を利かせているようでして、進化論に勝ってる州もあるそうですから、あなどれません。ルースが改宗しちゃうのは、原理主義のみなさんにはとんでもない話らしいですよ。

2011/12/29(木) 午後 9:52 [ einhorn2233 ]

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ペッグとフロストの共同脚本ってことですけど、この用意周到ぶりは「ショーン〜」や「ホットファズ」でのパロディの徹底ぶりにあい通じるところがあり、主にペッグの才能のなせる業だと私はみています。キリスト教原理主義については、全然勝手に自分の解釈したい方向に観てしまって、感動すらしてしまいましたが、私は、観るときの自分が感想にモロに出てしまいます。そんな気分だったんですわね。
こちらからもTBお願いします。
ついでですが「ホットファズ」はイギリスドラマオタクなので、今回の作品より、パロディとして、めっちゃ受けました。

2012/1/6(金) 午前 0:35 オネム

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オネムさん、コメント&TBありがとうございます。実は「ショーン」や「ホット・ファズ」は未見なので、そういう流れと関係なく単品としてこの映画を楽しみました。この映画はストレートな見方と斜に構えた見方の両方で楽しむことができるのでしょうね。

2012/1/6(金) 午後 9:56 [ einhorn2233 ]

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いろいろなタイプのネタがてんこ盛りで、解かる人は何倍も楽しめるタイプの作品でしたね。
しかし有名どころだけしか元ネタを知らなくても面白く観られて最高でした!こういうパロディの使い方ができるって凄いですよね。
大変遅くなってすみません。TBさせてくださいね♪

2012/1/8(日) 午後 10:20 choro

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Choroさん、コメント&TBありがとうございます。ネタが若い人には伝わらないんじゃないのって思うところもあったのですが(「未知との遭遇」とか「宇宙大作戦」とか)、それでも数をたくさん盛り込んであるので、どっかで楽しめるようにできていました。

2012/1/10(火) 午後 7:36 [ einhorn2233 ]

ポールの動きもセスが担当するはずだったけど、スケジュールがあわず、結局動きはゾイルの部下の一人が担当したと何かで読んだと記憶してます。
そうそう、単なるパロディでなく、その内容を笑い飛ばすあたりが楽しかったですね。
遅くなりましたがTBさせてくださいね。

2012/1/16(月) 午後 3:16 pu-ko

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。へー、動きもセス・ローゲンをキャプチャーする予定があったのですね。というより、あのキャラを人間の演技をベースに作ったというのが驚きです。映画としては、笑いをたっぷり盛り込んであって楽しめました。

2012/1/17(火) 午後 7:34 [ einhorn2233 ]

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面白い設定でしたね〜。
ニックとサイモンのコンビは最高ですね!
ホットファズも面白かったし、今作も独特の笑いがあって彼ららしかったです。
TBお願いします!

2012/4/3(火) 午前 7:28 かず

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かずさん、コメント&TBありがとうございます。男二人旅だけでゲイだと思われちゃうとか、ポールの下世話なキャラとかいろいろと笑えるネタが多くて、ラストはちゃんとオタクを立ててるところがいいですよね。

2012/4/3(火) 午後 9:09 [ einhorn2233 ]

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DVD鑑賞になってしまいましたが、十分楽しみました。イギリスとアメリカのカルチャー・ギャップもポールのアメリカンおやじ振りも可笑しくて。最後には色々な辻褄がぴったり合って、ちょっとホロッとさせられて。
TBさせて下さいね。

2012/7/11(水) 午前 9:46 アンダンテ

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アンダンテさん、コメント&TBありがとうございます。オタク二人のバディものかと思っていると、宇宙人やら原理主義者とかが割り込んで、ドタバタになるあたりがおかしかったです。ラストできっちり伏線を拾いきったところもうまかったですね。

2012/7/11(水) 午後 9:05 [ einhorn2233 ]

単純でいて奥深い、そんな味わいのある作品でしたね。
ポールの愛嬌ある表情が好きでした(^^)
TBお返ししますね☆

2012/8/22(水) 午後 9:30 なぎ

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なぎさん、コメント&TBありがとうございます。単純な部分も奥がありそうな部分もどっちも楽しめる映画でしたね。こういうパロディの体裁でも、きちんとコメディとしてもバディムービーとしても、きちんとしているところがよかったですね。

2012/8/23(木) 午後 8:16 [ einhorn2233 ]

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