今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

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今回は、川崎のチネチッタ10で新作の「フランケンウィニー」を観てきました。この映画館では3Dの上映はないということで、2Dの字幕版の鑑賞となりました。

ニューオランダという郊外の町、あまり友達がいなくて、科学と映画作りの好きな少年ヴィクターは愛犬スパーキーと大の仲良し。学校の科学展が近づいていて生徒たちは、発表の準備をしていました。ある日、スパーキーが交通事故で亡くなってしまいます。傷心のヴィクターですが、理科の授業でジクルスキ先生の電気と神経の話を聞き、雷を使ってスパーキーを生き返らせることを思いつきます。嵐の夜、屋根裏部屋に、スパーキーの死体を運んできて、凧を使って落雷させると、奇跡が起こり、死んだスパーキーはよみがえります。ヴィクターは、スパーキーを屋根裏部屋に隠しておくのですが、昼間外に抜け出したスパーキーを同級生のエドガーに目撃され、死んだ犬がよみがえった秘密を教える羽目になります。死んだものを生き返らせるというのは、科学展の発表にするのにふさわしいネタです。そして、エドガーやトシアキたちが、各々に死んだ動物を落雷によって蘇らせようするので、ところがその結果モンスターが生まれてしまい、町のお祭り「オランダ・デー」の夜、町は大混乱に陥ってしまうのでした。

「アリス・イン・ワンダーランド」「シザー・ハンズ」など、ファンタジックでオタクチックな映画をたくさん撮ってきたティム・バートン監督の最新作です。今回は、モノクロの人形アニメでして、3D化も監督が意識したことらしいのですが、まあ追加料金をケチるオヤジには2Dで十分な内容でした。元ネタになっているのは、フランケンシュタインでして、その他、ホラー映画や怪獣映画などのエッセンスをいっぱい盛り込んだ内容になっています。ホラーベースのせいなのか、登場人物もかわいいというよりは不気味系、アダムスのお化け一家みたいなみなさんです。人形アニメがメインのようですが、あまりカクカクした動きになっていないのは、CGによる補正が入っているのかもしれません。

物語は、死んだ愛犬を生き返らせたら、それを真似した連中がとんでもないことになるというもの。バートンの演出は、ストーリーを語る部分をあっさりと流しているので、ドラマ性は弱めです。その一方で、スパーキーの描写はすごく丁寧で、ゾンビ化しても愛嬌たっぷりのスパーキーのかわいさが際立ちました。死んだものを蘇らせるお話なのに、映画では科学への信頼をストレートに語っているところがおかしかったです。そして、科学というのは単なる知識や技術だけでなく、心が伴わないとうまくいかないということも言ってきます。つまり、後半で、同級生たちがヴィクターと同じ事をやってモンスターを生み出してしまうのは、そこに愛がないからということになるのでしょう。なんとなく納得しちゃうところもありますが、死者を蘇らせるってことは、生命の尊厳に踏み込む重大事なのに、そのこと自体への突っ込みはありません。本家のフランケンシュタインには、死んだ人間を蘇らせることで、様々な倫理的な葛藤が出てくるのですが、この映画では、死んだ人間にまで手を広げないことで、そのヘビーな部分は迂回している(つもりの)ようです。

この映画では、色々なホラー映画へのオマージュが入っているようで、登場人物の名前ですとか、ドラマの展開に元ネタが色々と盛り込まれています。個人的には、ヴィンセント・プライスそっくりのジクルスキ先生と、スパーキーのガールフレンドの犬のヘアスタイルがお気に入りなんですが、今のアメリカでは、フランケンシュタインってそんなにメジャーなのかなってところが気になりました。この映画、初日の初回を観たのですが、まるでお客さんが入っていませんでした。子供には、結構怖いシーンもある映画ですし、大きいお友達にしても、どれだけの人がパロディを楽しめるのかなって気がする内容なのですよ。バートンの演出は、ストーリーを語るよりも、スパーキーのかわいらしさとか、パロディの趣向の方を見せたいようなのです。でも、そのパロディの部分がわかるのは、日本だとほんの一部のコアなファンだけでしょう。その結果、一見さんにとってのエンタメ度が低くなっちゃったように思うのです。アメリカでは、この映画、たくさんのお客さんの支持を得られたのかなあってところが気になっちゃいました。いわゆる、元ネタへの思い入れが強すぎるというか、オマージュだけで作り手が満足しているように見えちゃうのです。この題材なら「マチネー」や「グレムリン2」の実績があるジョー・ダンテあたりが監督したら、もっと娯楽度の高い、そして若干の毒を持ったカルトな映画になったのではないかしら。

とはいえ、この主人公のスパーキーがかわいいんですよ。人間っぽさがない、あくまで犬キャラで、何も考えてないようなバカっぽさがまたいい。ゾンビになってからも、生きてたときのまんま。ちょっと派手に動くとしっぽとか耳とか飛んじゃうところとか、水飲むと体から噴水になっちゃうというギャグも笑えました。そのゾンビスパーキーを見て、ヴィクターの同級生がそれをマネしようとするのですが、やっぱりうまくいかなくて、大騒動になってしまいます。

この映画で、面白いと思ったのは、舞台となるニュー・オランダという町。高台には風車小屋があり、大きなペットセメタリーがあり、毎晩のように雷雨があって、学校の教室ではやたら死に関わる話題が日常的に登場します。町全体がちょっと不思議な雰囲気なのですよ。また、パソコンの話が出てくるのに、車のデザインは1960年代で、子供たちが8ミリカメラで撮影しているという時代がよくわからない設定になっています。でも、雰囲気は昔のアメリカの郊外の町ということのようで、その空気感は「スーパー8」を思い出させます。あの時代への憧憬が今のアメリカにはあるのかしら。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



科学展の発表のために、ヴィクターの同級生たちは自分のペットの死体に落雷させて、生き返らせようとするのですが、カメは巨大なガメラみたいな怪獣になり、ネズミは巨大化し、コウモリは落雷時に飼い猫と合体した怪物となり、シーモンキーは半魚人の群れとなり、町の人間に襲い掛かります。カーニバルの町は大混乱になってしまいますが、ヴィクターの活躍でモンスターは電流を使って退治されます。でも、唯一残ったコウモリネコが同級生のエルザをつかまえて風車小屋にさらっていきます。町の人々は最初はスパーキーがエルザを殺したと思って、スパーキーを松明を持って追いかけるのですが、風車小屋の風車にぶら下がるエルザを発見します。ヴィクターが風車に上ってエルザを救おうとするのですが、市長の持っていた松明が風車小屋に引火してしまいます。ヴィクターがエルザを救い、燃える小屋の中に飛び込んだスパーキーがヴィクターを引きずり出します。しかし、コウモリネコがスパーキーを再度燃える小屋に引きずり込みます。そこへ燃えた梁が落ちてきてコウモリネコを刺し貫きます。そして、燃え尽きた風車小屋からスパーキーの遺体が見つかります。町の人々が自動車を集め、そこから電線をつないで、スパーキーに電気を流すとスパーキー復活。ヴィクターにしっかりと抱きかかえられるスパーキー。めでたしめでたし。

フランケンシュタインは悲劇的な結末でしたけど、この映画はハッピーエンド。まあスパーキーのかわいさに免じて大抵のことは大目に見ましょうという気分にさせられます。死んだものを生き返らせることの是非については、この映画は是という立場を取っちゃいました。それが、ブラックな笑いでなく、ハートウォーミングな大団円になっているところが微妙な後味を残していますけど。私は、最後はスパーキーは死んじゃうんだろうなと思っていただけに、ラストで再度生き返ったのにはびっくりでした。クライマックスに登場するモンスターのみなさんはそれほどのインパクトがなくって、ドラマを盛り上げるに至らなかったのはちょっと残念。ガメラの登場も面白いのですが、怪獣映画のオマージュしました以上のプラスアルファがなかったって感じでした。とはいえ、やっぱりスパーキーが全部さらっちゃうし、スパーキーだけで、モトの取れる映画には仕上がっています。でも、大人向けなのか子供向けなのかよくわからない映画ではありました。盛り込んだ趣向は大人向けなのですが、ラストで生き返ってめでたしめでたしにしちゃうあたりは子供向けなのですよ。

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閉じる コメント(10)

ラストには「そりゃないだろ」って気じがしました。
バートン自身の子供時代の心の原風景を映画にしちゃったという作品なので、子供っぽいけどそれが素直な感覚なのでしょうね。
仰るようにパロディ部分など、バートンが一番楽しんで観客特に若者はおいてけぼりだろうなと思います。
スパーキーが可愛かったから全て許せるんですけどね(笑)
TBさせてくださいね。

2012/12/16(日) 午後 11:58 pu-ko

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。最終的には、スパーキーかわいいから、ま、いっかってところに落ち着くのですが、それでも突っ込みどころが結構ある映画でした。バートンの回顧ネタをそのままぶつけても、今の若い人は知らないですよね。私の世代が、山口百恵の話をしても、若い人キョトンと同じように。

2012/12/17(月) 午後 6:28 [ einhorn2233 ]

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そうか〜、若者には伝わらないのかしら?
私は結構楽しみました。
キャラはキモカワな感じなので、ナイトメアのジャックのようにキャラが先行するかもしれないですね。
TBさせてくださいね。

2012/12/20(木) 午前 9:23 木蓮

こんにちわ、はじめまして。
あきらと申します。

わたしも最近フランケンウィニーを観て、気になる内容でしたのでコメントさせて頂きます。

わたしは監督ティム・バートンが好きなので、ラストについてわたしの見解をコメントしますね。

正直、わたしもあのラストは無いと思ったのです(笑)

けれど、あれは一応ディズニーだからかな、とも思いました。

ディズニーに悲しい結末はありません。
ディズニー作品でなければ、違うラストになっていたかもしれないとも、思います。

そして、あの作品はリメイクなので、ぜひ前の作品とも見比べていただきたいです。

わたしとしては怪物たちとその元飼い主との絡みや、飼っていた時の思いをもう少し触れて欲しかったですね。
バートンにしては冷たく感じてしまいましたね。
そしておひげくんは死んでいないのに怪物になってしまったのもモヤモヤですね。

何はともあれスパーキーの可愛さで全部持っていかれちゃいましたけどね!(笑)

それでは、長文失礼しました。
お気を悪くされないといいですが。

ありがとうございました。

2012/12/21(金) 午前 2:12 [ あきら ]

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もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。子供にはキャラのかわいさだけで十分なのかもしれませんね。私は色々なオマージュがごく一部の人だけを対象にしているように思えて、そこがどこかなじまないなあって感じてしまったのですが、それは余計なお世話なのかもですね。

2012/12/21(金) 午後 8:09 [ einhorn2233 ]

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あきらさん、ご訪問ありがとうございます。あのラストはディズニーの映画だからだというのは、確かにご指摘のとおりだと思います。それにラストの怪物の描きこみの薄さもそれと関係あるのかもしれません。いつものティム・バートン映画にある、阻害されたものに対するペーソスがあまり感じられなかったのも、ディズニーのご意向だったのかもしれません。バートン映画のキモの部分を抜いたら、キャラと監督の思い出だけの映画になっちゃったってのは言いすぎかしら。そういう意味では、バートン監督よりもキャラデザインとアニメーターの映画なのかも。プログラムに載っているバートンのスケッチのスパーキーより、スクリーン上のスパーキーの方がかなりかわいくなってますし。

2012/12/21(金) 午後 8:30 [ einhorn2233 ]

ディズニー映画という制約のせいか、突然スパくんは生き返っちゃうし 90分という時間がお名残惜しいといいますか 子供さん向けになってしまうあたりが無念でしたが バートンさんには甘めになっちゃう性、これも良しと スパくんキャラ故 納得を。

2013/1/2(水) 午後 4:02 たんたん

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たんたんさん、コメント&TBありがとうございます。ディズニー映画という割には、主人公一家とか同級生がみんな病的キャラになっていたのはバートンらしいと思いました。ラストの処理は甘めというか、うっちゃった感じになっちゃってますが。

2013/1/3(木) 午後 7:43 [ einhorn2233 ]

確かにディズニーという制約はあったかもしれないけど、生き返ったり死んだ人に会えたりすることははたしてハッピーエンドと言えるのでしょうか…。
なんて難しく考えたらだめなんでしょうね〜。
スパーキーは可愛かったですけどね(^^)
大変遅くなりましたがTBお返しさせてくださいね☆

2013/9/1(日) 午後 8:40 なぎ

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なぎさん、コメント&TBありがとうございます。この記事を書いたときは割と大らかに見ていたのですが、今思い直すとこの結末はダメじゃないかって気がしています。死とか別れにハッピーエンドはダメだよなあ、ここは聖域だと思うのですが。

2013/9/2(月) 午後 7:39 [ einhorn2233 ]

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