今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

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今回は新作の「ゼロ・グラビティ」を川崎チネチッタ10で観てきました。向いのスクリーンで、ももクロのライブビューイングをやっていたせいか、ももクロのハッピを着たおじさんを見かけました。おっさんでもいけるのなら、私もまざってもいいかな。

地上600キロの上空でデータ通信システムの修理をしているのはライアン博士(サンドラ・ブロック)。ベテラン宇宙飛行士マット(ジョージ。・クルーニー)のサポートのもと作業は進められていたのですが、ロシアが人工衛星を破壊し、その破片がさらに他の人工衛星を破壊という事態が発生。たくさんの衛星の破片がものすごい速度で飛んできて、作業中のステーションを破壊、ライアンは宇宙空間に弾き飛ばされてしまいます。何とかマットに救出され、スペースシャトルに戻ったのですが、そこも破片によって破壊されていて、地球へ帰還する方法がありません。マットは近くのソユーズまで移動して、それで帰還しようとするのですが、ソユーズも破壊されており、そのままでは大気圏突入は不可能な状況のよう。ライアンの宇宙服にはもうほとんど酸素が残っておらず、さらにソユーズに接近した二人は慣性の法則からうまく止まることができず、ライアンはソユーズのパラシュートに引っ掛かり、彼女がマットの命綱を握っている状況です。果たして二人は無事に帰還することができるのでしょうか。

アルフォンゾ&ホナスのキュアロン親子が書いた脚本を、父親のアルフォンゾ・キュアロンが監督したSFサスペンスの一編です。キュアロンの映画は、今回が初めてなのですが、彼の「トゥモロー・ワールド」がものすごく評判がいいってのは聞いていたのと、この映画もいい評判しか耳にしないので食指が動きました。3Dが主流の上映なんですが、私は当然2Dでの鑑賞。かなり、3Dを意識した映像が多く、ネジとか部品、ヒロインの涙なんてのが、画面から飛び出してきます(多分)。お話としては、大変シンプルなもので、宇宙空間で遭難してしまったヒロインがどうなるのかというもの。ただ映像は大変凝ったものになっていまして、上下左右の感覚のない宇宙空間でカメラを縦横に回した数分間に渡る長回しを見せたり、摩擦のない空間で慣性の法則に振り回される登場人物をリアルに見せたりと、その作りこみはものすごいものがありました。まあ長回しというのは事前知識があったから、「へえー」と思ったわけなのですが、普通に見てたらそういうのは気にならないかも。

登場人物も極めて少なく、画面に登場して演技するのが、クルーニーとブロックだけ、後は声だけが数人、死体が3つです。宇宙空間を作業中に、破壊された人工衛星の破片が飛んでくるというのは、かなり怖いお話なんですが、宇宙空間で作業するのが普通になっているこの映画の時代に、人工衛星をミサイルで破壊するなんてリアリティがあるのかなあって気がしちゃいました。そこをクリアできれば、かなり怖くて、面白い映画でして、ラストは感動までついてきます。クライマックスでは、泣かされてしまいましたが、それだけの映像のパワーを持った映画であると思います。前半は、トラブル発生後、ライアンの酸素がいつまでもつのかというサスペンスでつなぎます。宇宙空間に投げ出されたライアンの恐怖感を、主観カメラで見せるところにまず感心しちゃいました。ヘルメットを被った状態では、ものすごく視界が狭くなるってことを実感できる映像になっていて、観ているこっちも彼女の不安と恐怖に共感できちゃうのですよ。このヘルメットの中からの映像にものすごい恐怖と絶望を読み取ったのは、私が閉所恐怖症だからかもしれませんが、海より広い宇宙の方が狭いんだってのは、ちょっとした発見でした。同じ遭難するのでも、海と宇宙では、宇宙の方が狭くて怖いんだなって。

そこへ、マックの声が聞こえてきて、平静を取り戻すあたり、単に無線の声のやりとりだけなのに、大変ドラマチックなのですよ。そして、マックと一緒に、近くの宇宙船ソユーズに向かうことになります。その向かう道中でも、マックはずっとしゃべりっぱなしで、ライアンの酸素が足りないのに大丈夫なのかとも思う一方、会話によって恐怖や不安を忘れさせようってのが伝わってくるあたりもうまいと感心。その会話の中で、ライアン(これ、ヒロインの名前です、ちょっと念押し)が幼い娘を事故でなくしていることが示され、それが彼女の心に傷を残していることがわかってきます。

このライアンを演じるサンドラ・ブロックがいつものイメージとは違うキャラというか見た目で熱演しています。最初はずっと宇宙服を着ているのでよくわからなかったのですが、ソユーズに着いて宇宙服を脱ぎ捨てると、いつものふんわりキャラではなく、キリっとしたヒロインが登場するのです。ショートカットで表情も精悍、でも最近のハリウッドヒロインのような贅肉をそぎ落とした筋肉質とは違う、女性的だけど無駄のない肉体、この見た目を作り出しただけでも、ブロックとキュアゾンは大成功なのではないかしら。彼女の、子供を失って母親ではなくなった母性が、最後に母なる大地と融合するというお話なので、この映画の中で、ブロックの見た目、見た目から導かれるイメージがこの映画のキモになっているのではないかと思うと、彼女の見た目は重要だよなあ、やっぱり。

シンプルなストーリーの中に色々なネタを盛り込んであり、色々な読み方ができるようになっていますが、キュアロンゾは意外と読みやすい形でネタを盛り付けてあるので、深読みとか繰り返し観るといった面倒なことは要らないと思います。そういう意味でも、好感の持てる作りになっています。映画を観終わった後、語れるネタがたくさんある映画なので、カップルで観に行くのにはいい映画かも。でも、映画ファン同士で行くと、語れるネタ多すぎて、「お前、うるさいよ」なんてことになっちゃうかな。

「ツリー・オブ・ライフ」でもVFXばりばりの映画で、撮影監督としてクレジットされていたエマニュエル・ルベツキは、ここでもCGとのバランスのとれた絵作りをしています。そもそも、全編がCGによる宇宙空間が舞台である映画で、撮影監督って何をして、どこまで権限があったのかってのは、正直謎ではあります。パンフレットのプロダクションノートを読むとルベツキが色々と仕事してるってのが伝わってくるのですが、昔の映画であるなら、フィルムに焼き付けられる映像の全ての権限を握っていた撮影監督とは違う仕事をしているのかなあ。でも、映像は、私が想像する宇宙空間をリアルに作っていました。(あくまで、科学にうとい私のリアル)スティーブン・プライスの音楽は前半のアンビエント風のシンセサウンドより、後半の盛り上げスコアで点数を稼ぎました。



この先は結末に触れますのでご注意ください。


マットの宇宙服のジェット噴射でソユーズに向かう二人ですが、ライアンとマットが、ソユーズにたどり着いた時は、ライアンの酸素はほぼゼロ。最後のジェット噴射を使ったとき、その勢いでソユーズを通過しそうになります。ライアンがロープに足をかけ、マットのロープをつかんで踏みとどまりますが、それも限界状態。マットは自らロープのフックを外し、宇宙の中を漂っていきます。一人残されたライアンは、無線から聞こえるマットの励ましの声になんとかソユーズに乗り込み、破片群の再度の通過もやり過ごします。しかし、このソユーズでは大気圏突入は無理。そこで100キロ先の中国の宇宙ステーション天宮に向かおうとしますが、なんと燃料切れ。地球と通信を取ろうとしますが、つながったのは英語のわからないどっかの人。絶望から、酸素供給を切って、静かに死のうとした時、突然ハッチが開いてマットが入ってきます。「色々あってね」というマットは「まだなんとかなる、発射も着陸も同じだろ」とライアンに告げます。と、気がつくと、マットは消えていました。ライアンは、彼の言葉を思い返し、希望、生きようという意欲が湧いてきました。着陸の時、逆噴射が起きる、宇宙船に着陸するときの動きをさせればジェット噴射を起こせるということで、宇宙船を動かすことに成功し、天宮まで到達し、乗り込むことに成功するのですが、天宮は重力で落下しつつありました。ライアンは、天宮の中の宇宙船に乗り込み、落下しつつあるステーションから離脱して大気圏に突入します。(ここで、私はなぜかボロボロ泣かされました。映像のパワーかしら。)そして、パラシュートが開き、帰還船は湖に着水します。一度は船は水に沈んでしまうのですが、ライアンは宇宙服を脱ぎ捨てて、水の底から水面へと顔を出します。陸にたどり着いたライアンは、水面まで這うように進んでから、ゆっくりと立ち上がり、その立ち上がった後姿から暗転、エンドクレジット。

ラストの水中から、泳いで水面まで行って、這うように進んでから立ち上がるってのが、生物の進化だってのは、じっくり見せてくれるので、こっちにも伝わってきました。ヒロインをすっぽんぽんにしちゃった方がより伝わったと思うのですが、そこまでやってくれなかったのがちょっと残念。ともあれ、死を覚悟してから、生きることへ方向転換し、クライマックスの大気圏突入で歓喜の叫びをあげるヒロインの演技が素晴らしく、サンドラ・ブロックはこの映画で、何か賞を取って欲しいなって思いました。どっかイモっぽいところがあるけど、その人懐っこさが愛嬌だったサンドラ・ブロックが、こういう凛々しい役を演じきるってのは驚きでしたけど、やはり女優さんなんだなあって、ここはすごく感心。ものすごい儲け役であるジョージ・クルーニーが霞んじゃったのだから、この映画の彼女、すごいです。映像のパワーで押し切る映画なので、これは劇場で観ることをオススメです。3Dが必要かどうかは、両方ご覧になった方の判断にお任せしたいと思いますが、私は2D版で大満足でした。

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閉じる コメント(26)

初IMAX3Dで鑑賞しましたが、ホントに凄かったです。
映像だけでなく、シンプルながらドラマとしても素晴らしかったですね。
サンドラには演技賞獲って欲しいわ〜^^
こちらからもトラバさせていただきますね〜

2013/12/25(水) 午後 10:24 じゅり

>這うように進んでから立ち上がるってのが、生物の進化だってのは、じっくり見せてくれるので

そこまでは思い至りませんでした。すぐに建てずに這うというところが、この作品の原題「GRAVITY」を実によく表現していると思って感心しました。
TBこちららもお願いします。

2013/12/26(木) 午後 4:39 オネム

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じゅりさん、コメント&TBありがとうございます。あの映像をIMAXの3Dだと、ヘルメット映像なんかそうとう息苦しそうですね。ドラマとしても見応えがありました。ストーリーをシンプルにして映像とか3D効果を楽しむような作りになっていたのかもです。

2013/12/26(木) 午後 7:47 [ einhorn2233 ]

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オネムさん、コメント&TBありがとうございます。なるほど、あの生まれたての鹿みたいな動きは重力の確認って解釈もできますよね。考えてみれば、原題は「Gravity」なのに、邦題が「ゼロ・グラビティ」って言ってること逆なのはこれいかに。最後があれなら、邦題も「グラビティ」にすればいいのに。

2013/12/26(木) 午後 7:52 [ einhorn2233 ]

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サンドラが良かったですね〜。
人間の進化、なるほどです。
グラヴィティには重力のほかに、尊厳とか威厳に満ちた態度というのもあって、最後にわざわざその言葉を出したのは、後者の意味を強調したかったからじゃないかな。
それだけにゼロをつけて打ち消しちゃった邦題はほんとあかんやろと思います。
遅くなりましたがTBさせてくださいね。

2013/12/31(火) 午前 6:15 pu-ko

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。グラビティにはそういう意味もあったのですね。それじゃあ、余計目に「ゼロ・グラビティ」はダメですね。つかみは「ゼロ・グラビティ」でも、映画トータルでは「グラビティ」ですもの。こういう映画が後々、どういう評価で語り伝えられるのかって結構興味あります。

2013/12/31(火) 午後 6:55 [ einhorn2233 ]

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします♪
ご訪問が遅れてすみませんでした。
これは面白かったですね〜たった二人しか出てこず、しかもほとんどが宇宙空間でのお話しって今までにありませんでしたよね?
それなのに、飽きさせない展開でハラハラドキドキ、いろいろな意味で楽しめる作品でした。
TBさせてくださいね。

2014/1/5(日) 午後 11:46 choro

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Choroさん、コメント&TBありがとうございます。ずっと宇宙空間だけの話ってのは確かになかったかも。ヒロインに起こった事件を追体験しているような映像で、彼女に同化して緊張しっぱなしの1時間半でした。

2014/1/6(月) 午後 5:55 [ einhorn2233 ]

ストーリーと言うより映像に感動しました。
行きつけのシネコンには3Dしかやってなくて、仕方なくだったけど、満足でした。
もちろんサンドラの演技にも、です(^^)
大変遅くなりましたがTBお返しさせて下さいね☆

2014/1/16(木) 午後 10:34 なぎ

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なぎさん、コメント&TBありがとうございます。この映画は、3Dの臨場感で見せる部分が多いので、3Dでもよかったかなって思ってます。ただ、細かいドラマの作りこみもあったので、2Dの方が映画として楽しめたのかなって気もしてます。

2014/1/16(木) 午後 10:56 [ einhorn2233 ]

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演者が二人だけなのにドラマの部分での盛り上がりも素晴らしかったですよね。マットが再登場したときは、「おぉ、まさか」と思いつつ心躍ったのですが。けど、本当に戻ってきそうなキャラでしたよね。
余談ですけど、ロシアは宇宙開発が金欠イメージなので低予算で可能なミサイルで破壊計画、しかし案の定の計算ミス。ありえそうだな、と笑えないジョークと受け取りました(笑)
TBお願いします<(_ _)>

2014/1/19(日) 午後 3:40 ryane

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ライアンさん、コメント&TBありがとうございます。大気圏外に人工衛星のゴミがうじゃうじゃあるというのは本で読んだことがありますが、ミサイルで爆破というのはさすがにバカすぎるだろうと思っちゃいました。そういう意味では、ロシアを政治サスペンスの北朝鮮の如く扱ってるような気も。

2014/1/19(日) 午後 4:08 [ einhorn2233 ]

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ほんとだ・・・出てるひとは二人で死体がみっつ!
気がつきませんでした!
でも、ジョージ・クルーニーってのがまたはまってましたね〜
なんかカッコよすぎでしょってつっこみたくなるし
頼りがいがあるような、現実感がないような、ちょっとうっとうしいような・・・?
サンドラ・ブロックは私も賞がとれるんじゃないかなと思います!
トラバお願いします (ヒツジ)

2014/1/24(金) 午前 11:08 ひつこじ

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ヒツジさん、コメント&TBありがとうございました。ジョージ・クルーニーはかっこよかったですが、また宇宙船に乗り込んでくるときのうさんくささもまたクルーニーだよなあって感じで、彼の2つの顔を使い切った演出だと感心しちゃいました。サンドラ・ブロックは受賞ものだと思うのですが、こういう映画はアカデミー委員会ではどう評価されるのかしら。

2014/1/24(金) 午後 10:50 [ einhorn2233 ]

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ホントよかったですね。
宇宙もの=SF系?が苦手な私ですが、最高によかった…。

英語の分からない人はイヌイットで、あの会話を地上から撮影した別の短編があるそうですよ、なかなか面白かったですから見てみてください、ネットに転がってました。

私が一番印象的だったのは、「ガンジス川」のせりふのところです。
地球にアングルを向けないところ、他でもないガンジスにしたところ、が、感動的で、あのセリフを静かに言うシーンに胸がつまりました。
ガンジスときいた時点で死を確信しましたね。
(でもそのあとはやはり「生きてたの!?」と騙されちゃいましたけど…)

2014/2/2(日) 午前 9:51 [ やぎこ ]

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やぎこさん、コメントありがとうございます。イヌイットの映像はYoutubeで確認しました。「ガンジス川」もセリフってどこのシーンでしたっけ。どうも最近は記憶があやふやになっちゃって。それでも、印象に残るシーンがいっぱいありました。ジョージ・クルーニーはかっこよすぎる役どころが、再登場のシーンのコミカルな味わいにうまく貢献したいたように思います。

2014/2/2(日) 午後 6:40 [ einhorn2233 ]

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ガンジス川は…二人が離れたあと、
クルーニーが「ガンジス川に朝日が当たるのが綺麗だ…」という趣旨のことを無線で言ってたと思います。

私にとっては一番泣けたところでした。

2014/2/9(日) 午後 11:45 [ やぎこ ]

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やぎこさん、追コメありがとうございます。あのシーンの後に、ガンジス川のセリフがあったのですね。なるほど、死に赴くクルーニーのセリフだと思うと印象に残りますね。生死の境目の描写があちこちに散りばめられていた映画でした。

2014/2/11(火) 午後 8:58 [ einhorn2233 ]

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これは衝撃でした。
ホントに宇宙で撮影しているかのようなリアルという言葉を越えたリアリティを感じたし、長回しも凄かった。
今回のアカデミー賞で技術系の部門を多く勝ち取ったのも納得ですね。
TBお願いします!

2014/3/11(火) 午後 10:00 かず

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かずさん、コメント&TBありがとうございました。映像のびっくり度は最近の映画の中で群を抜いていましたね。シンプルだけど力強いストーリーと共に、体験する映画というにふさわしい映画でした。

2014/3/12(水) 午後 5:59 [ einhorn2233 ]

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