今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

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今回は新作の「アバウト・タイム 愛おしい時間について」をTOHOシネマズ川崎1で観てきました。こういう映画はカップルが多いんだろうなって思っていたら、私のようなおっさん一人とか女性一人のお客さんが多かったのが意外でした。テレビで「結婚したくなる映画」と紹介されていましたが、確かにゼクシィとタイアップすれば効果的かも。

イギリスの海辺の町、コーンウォールでティム(ドーナル・グリーソン)は、21歳の誕生日に父(ビル・ナイ)から、驚くべきことを告げられます。この家の代々の男性はタイムトラベルできるんですって。未来は無理だけど、暗いところへ行って、その時間を思い浮かべると過去へトラベルして、また戻ってくることが可能。なぜそうなのかは知らないけど、そういうことなんだって言われて、試してみたら、できちゃった。その能力を使って何したい?と父に聞かれて、「ガールフレンドつくりたい」と正直モノのティム。夏休み中に彼の家に滞在したレイチェルというかわいい子に告白して、失敗しても過去に戻ってやり直ししたり頑張ったんだけど、結局はかなわぬ恋。そして、ロンドンへ行って弁護士となったティムは、運命の女性メアリー(レイチェル・マクアダムス)と知り合います。要所要所で過去に戻ってやり直ししつつ、二人の仲は深まり、出来ちゃった結婚することになります。そして、家庭を持つことになったティムですが、過去へのタイムトラベルにはある制約があることに直面することになります。

「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティスが脚本、監督した、SF風のラブストーリー風のファンタジー(かな?)。タイムトラベルしちゃうラブストーリーというと、懐かしいところでは「ある日どこかで」や「恋はデジャヴ」とか、近年では「君がぼくを見つけた日」なんていう映画があったのですが、その時間を超えるってところにロマンやファンタジーを感じたのですが、この映画はそのあたりはあっさりと片付けて、人生で大事なものって何だろうってところへドラマを持っていきます。主人公がタイムトラベルで何をしようかというと、まずガールフレンドを作りたいですからね。そして、実際に出会いとかその後の展開を何度もやり直して、かわいいメアリーをゲットします。でも、やり直しを使い過ぎで、そこまでやるなら誰でもうまくいくだろうなあって感じで、主人公に共感できなかったのは、作り手としては承知の上でやっているのかしら。子供の頃読んだ「ドラえもん」では、タイムトラベルで未来や過去を変えられないという教訓をベースにお話が作られていまして、その教訓に慣らされてしまった私には、お気楽に過去を塗り替えて、未来を自分の好きな方へ引っ張ろうとして、実際に成功しちゃうのは、何か安直じゃね?と思ってしまうので、その分、この映画の展開は敷居が高かったようです。

じゃあ、この映画がつまらなかったかというと、結構楽しんでしまいました。それは、ティムの運命のメアリーがすごくかわいかったから。「きみに読む物語」ではただきれいなだけだったレイチェル・マクアダムスが、今回は生身の女性としてすごく魅力的だったので、彼女観てるだけでモト取ってしまいました。美形というよりは、普通の女性の魅力を前面に出すあたりの見事さは、彼女の演技力によるところが大きいでしょう。他の映画では出せない彼女のキャラを引き出した演出の力もあなどれません。最初の出会いの真っ暗闇のデートパブのシーンとか、ちょっと変わった奴ティムに惹かれていくくだりとか、結婚後「もう一人子供欲しいわ」というあたりとか、すごくよかったです。タイムトラベルという姑息な手段を多用するティムより、彼女の方に共感できましたもの。

ティムの求めるものは最終的には家族との幸せな生活でした。そのために、過去に戻って、メアリーと彼氏が出会えないようにして、彼女を口説くなんていうえげつないこともやります。ドラえもんののび太なら、こういうことをすれば、それなりのしっぺ返しがあって、元の木阿弥になるのがパターンですが、ティムの方はこれで幸せになっちゃうのがすごい。えー、すごいというのはウソです。かなり妬ましい。せめて、ティムが共感できるような言動や行動を取ってくれたら、まあいいかなって気もするのですが、こいつ別にどうってことないじゃんっていうくらい平凡。それが、家系のおかげで、おいしい思いをするってのがなあ、氏より育ちじゃないのかよ。最近は、生まれた子供の家の経済状況で将来の学歴が決まっちゃうというのを思い出してしまいました。そういう時代を反映しているのかもしれないなあ、いや、マジで。イギリスは階級社会って言いますし。

タイムトラベルの映画につきものなのが、タイムパラドックス。過去へ行って、自分の親を殺したら自分が消えちゃうとか、過去の自分と出会ったらどうなるかといったことが、このテーマの映画ではよく登場するのですが、この映画では、かなり無頓着。自分の周囲のことは過去を変えて、現在に戻ってくると、変わった過去の結果の現在が戻ってくるけど、世界の歴史までは変えられないんですって。後、金儲けに使うのもダメなんですって。ですから去年の大穴のレースに大金つぎ込むようなことはできるらしいんですが、やっちゃいけないと父親は言います。まあ、特殊な能力だけに、それを使うに当たっては紳士たれ、ということのようです。イギリスは紳士の社会って言いますし。

私も過去を変えたい、やり直したいと思うことが多々あるのですが、一方で、過去に戻っても、また同じことしか出来ないだろうなあって思うところもあります。それが運命だよねって感じなのですが、この映画の主人公のように、過去に戻って、出会いをやり直したり、アクシデントを回避することが可能になったら、人生観がかなり変わると思います。人間は過去は変えられないからこそ、未来を何とかしようと気にもなるのですが、過去が自由に変えられるようになれば、むしろ未来を変えられないという気分にはならないのかしら。そして、未来が今になり、今が過去になった途端、それは自分の好きにできる時間になる。うーん、何だかややこしい人生だなあ、今が過去になることを望むという厄介な人生になりそう。凡人が取り扱うには手に余る能力かも。でも、リチャード・カーティスの脚本はタイムトラベルの部分はあまり重きを置いていないようなんですよ。そこを突き詰めることをせず、タイムトラベルを通して見えてくる今の価値について語りたいようなのですよ。でも、主人公がその能力を安直に使いすぎた結果、今という時間の価値が薄められてしまったようにも思えました。タイムトラベルなんていう道具を使わなくても説明できることを、タイムトラベルをベースに語ったら本質が見えにくくなっちゃたと言ったらひどいかしら。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



過去に戻れば無敵だと思っていたティムですが、一度、子供の生まれる前に戻って過去を変えて、現在に戻ってきたら、かわいい娘が男の子になっちゃっていてびっくり。受胎という微妙な瞬間は、ちょっとしたことでぶれちゃうんですって。(← 何じゃそりゃ)ですから、子供が生まれたら、子供が出来る前まで戻ることはできなくなるのでした。まあ、子供が変わっちゃうのがやだって言うのは、当人の好みの問題ですが、それがタイムトラベルの制約だというのは、そっちの勝手でしょ?という気もしちゃいました。うーん、能力のいいところどりしようというところへの嫉妬なのかな。

そして、時間の経過は否応なしに死をもたらします。父親がガンにかかり、そして亡くなり、彼を葬ることになります。そこで、ティムは何をしたかというと、過去へ戻って元気な父親に会いに行くのですよ。何だかなあ、このあたりも共感を呼ばないのですよ。最初は、能力に対する嫉妬だと思っていたのですが、そればかりでない、人生への向き合い方がやだなあって気がしてしまいました。父子がうーんと時間を遡って、子供時代のティムと父親が海辺を散歩するシーンは一応美しい、いい話風の展開なのですが、それやったら、メアリーとの出会いも変わっちゃうし、子供の顔ぶれも変わっちゃうんじゃないの? それに、何か、ファザコンぽくてキモくない?

そして、ティムは、妻や子供たちの日々の暮らしを重ねていく中で、過去へタイムトラベルすることもなくなりました。その理由は、平凡な毎日の中に新しい発見や、人生の素晴らしさを見つけることができるからですって。そして、自分は毎日、家族と一緒にタイムトラベルしているんだよーってところでおしまい。結局、平凡な日々を積み重ねていくことが素晴らしいという決着になるんだけど、過去へ戻ってやり直しを繰り返すことができる人間に言われてもなあ。「世界中の美味、珍味を食べ尽くしたけど、最高なのは家庭の味だ」というような、どこか上から目線を感じてしまったのは、私の根性がひねくれてるのかなあ。

と辛口の評価になってしまったのですが、映画としては悪くないです。念押ししますがヒロインがすごく魅力的です。でも、辛口の評価になっちゃうのはなぜかと考えてみたのですが、やはり、安直に過去の書き換えを繰り返すことは、生き方としてフェアじゃない、反則だという気持ちが私にはあるみたいです。ゲームみたいにリセットできないのが人生ですし、リセットすることに無批判な描き方は私の好みではなかったというところでしょうか。

閉じる コメント(7)

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さゆりさん、訪問ありがとうございます。最近、映画館に行けてなくて、記事のアップが滞っています。「サード・パーソン」も、観たい映画なのですが、チャンスを逸してしまいました。どこかで観る機会があればいいのですが。

2014/10/6(月) 午後 7:04 [ einhorn2233 ]

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そうですね。
タイムトラベルは、その手段と同じほどにどうでもいいというかw
単なるツールになっていたので、タイムトラベルものとして見ると違和感やら物足りなさはありますが、大事なのは時間だよっていう映画のテーマにはしみじみできたので結果オーライ。
うまくごまかされたのかもしれません(笑)

2014/10/21(火) 午前 9:14 pu-ko

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pu-koさん、コメントありがとうございます。タイムとラベルは主人公にとっても映画にとってもただの道具でしかなかったですよね。でも、ちょこちょこ過去をリセットしてうまいことやってる主人公と時間の大事さがうまく噛み合わないと感じてしまったのは、私が古い人間だからかもしれません。成功した時間も失敗した時間も同じように愛おしいものだと言ってくれるのなら、納得もできたのですが、主人公は失敗した過去をばしばし切り捨ててきたわけですからねえ。

2014/10/23(木) 午前 0:13 [ einhorn2233 ]

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う〜んなるほど・・・ドラえもんは意外とシビアなんですね。
この映画をみて私が思い出したのはマットデイモンの「アジャストメント」でした。
世界に影響力がある人は謎の集団が彼の運命を守るために必死になるけど、この人は幸か不幸かやりたい放題。
でも、そんな小物感がロンのお兄ちゃんになんかあってました。
あと私はビル・ナイにやられました。お茶目で説得力があって好き(ヒツジ)

2014/11/13(木) 午後 11:03 ひつこじ

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ひつこじさん、コメント&TBありがとうございます。遅レスすみません。「ドラえもん」は、秘密道具でのび太がズルすると、ちゃんとしっぺ返しを受けるところが好きなのですよ。こういう能力を使って、かわいいレイチェル嬢をたらし込むというところがおじさんは許せんのであります。そんな奴に一日一日の大切さ? お前が言うなって感じでーす。

2014/11/18(火) 午後 8:29 [ einhorn2233 ]

>リチャード・カーティスの脚本はタイムトラベルの部分はあまり重きを置いていないようなんですよ

私はむしろだからこそこの作品が好きだったといえます。だいたいSFとかファンタジーとか普通にばっちりタイムトラベルものとか苦手なので、これはその形をかりたヒューマンドラマとして自然に感情移入できて、確かに育ちより氏な作品でしたけれど、主人公にも好感持てました。
TBこちらからもお願いします。

2014/12/27(土) 午後 7:32 オネム

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オネムさん、コメント&TBありがとうございます。主人公に感情移入できるかどうかで、この映画の評価は分かれると思います。そういう意味では、女性の方がこの映画を楽しめるかもしれません。男性だと、主人公に対して「うまくやりやがって」という嫉妬心が先にたってしまうもので。

2014/12/28(日) 午後 6:28 [ einhorn2233 ]

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