今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

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今回は新作の「ゴーン・ガール」を有楽町のTOHOシネマズ日劇3で観てきました。前の人の座高がちょいと高くて画面が欠けるのがすごく気になっちゃいました。傾斜のない座席配置なのだから、もうちょっと上にスクリーンを置けばいいのに。

アメリカはミズーリ州、5回目の結婚記念日を迎えたニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク) の夫婦。ニックが自分の経営しているバーに行っている間にエイミーが姿を消します。テーブルが破壊されていたり、キッチンに血痕があったりしたことから、警察のボニー刑事(キム・ディケンズ)は事件性を感じて、当日から捜査体制を取る事にします。ニックの家を警察が調べたところ、キッチンで多量の血が流れたことが判明、いよいよ犯罪の匂いがしてきます。ニックは、エイミーの両親とともに、テレビで、エイミー探しを呼びかけます。多くのボランティアが捜索に協力し、ニックは一躍時の人となりますが、その一方で、ニックがエイミーをどうかしたんじゃないかという疑いも持たれ、テレビではニック叩きが始まってしまいます。ボニー刑事は、凶器も死体も発見されない状況下で、ニックが妻を殺したとは思えないのですが、一方で、ニックにも妻や警察に秘密にしていたことがあったのです。果たして、エイミーはどうなってしまったのでしょうか。

ギリアン・フリンのミステリー小説を彼女自身が脚本化し、「セブン」「ゾディアック」のデビッド・フィンチャーが監督しました。2時間半もある映画ですが、その展開の面白さに惹き込まれ、最後まで目が離せない映画でした。映画の冒頭で、エイミーは姿を消してしまいます。そこからニックがどうするかが描かれる一方で、エイミーが日記を読む形で、二人のなれそめから、その日に至るまでの経緯が描かれます。彼女は、母親の書いた小説のモデルとして、有名人でした。そんな、彼女がニューヨークでライターをしている時、同業のニックと知り合い結婚したのですが、二人とも失業して、エイミーの信託基金が頼りでしたが、それを経済的に困窮していた彼女の両親が使ってしまったことで夫婦仲はまずくなり、さらにニックの母が癌にかかったため、夫婦でニックの故郷に帰り、エイミーのお金で、家とバーを買って、生活を始めます。そして、ニックの母が亡くなった後もそこで暮らしていたのです。ニックには双子の姉マーゴット(キャリー・クーン)がいて、店は主に彼女が仕切っていました。そんな状況で、突然エイミーは姿を消してしまったのです。ニックとエイミーには、結婚記念日の宝探しをするという習慣があり、今回もエイミーは宝のありかを示すヒントを書いた紙を残していました。しかし、そのヒントの紙を警察に見せずに隠すニック。どうも、ニックには何か隠し事があるみたい。最初はニックが被害者みたいな話なのかと思っていると、どうやらそうじゃないらしいことがわかってきます。フィンチャーの演出は、誰もが怪しいと思わせる見せ方で、なかなか先の読めない展開となってきます。姉のマーゴットも何か思うところあるみたいだし、ボニー刑事すら何か隠してるのかなって気がしてきますし、ただの失踪事件じゃない匂いがぷんぷん。さらに要所要所で登場するエイミーが日記を書くシーンも意味深で、回想シーンの見せ方としてはちょっとまわりくどい。そんな感じで、フィンチャーの「ゲーム」に近い、何か大きな裏がありそうな展開になってきます。

とは言え、ニックの家に残った血痕からすると、エイミーの身に何かが起こったことは間違いなさそう。でも、テレビのキャスターがニックのバッシングを始めるので、どうもニックがはめられたようにも見えます。このあたりは脚本のうまさがあるのでしょうが、見えてるようで見えてないものがあるという印象で、観客を引っ張っていくテクニックが見事でした。特に、ニックとエイミーが見た目は普通の人に見えるだけに、その裏があるのではないかという予感で引っ張る演出が成功して、誰にも感情移入できないまま、ドラマは進んでいきます。そして、ニックに若い娘と浮気していたという事実が観客の前に示されることで、その宙ぶらりんな感じがピークになります。もう誰も信用できないと思わせたところで、映画は失踪当日の種明かしをするのでした。

ミステリーとしては犯人探しもののように始まって、後半は別のスタイルのサスペンスものへと変わっていきます。その変化にちょっとした意外性があり、さらに先が読めなくなっていきます。うまく時系列を並べ替えながら、本格ミステリーと倒叙ミステリーの両方を見せるという離れ業をやってのけていまして、そしてラストの何とも言えない余韻まで含めて、映画の全貌が見えてくるという仕掛けになっています。ただ、ラストの余韻の部分で、このキャスティングでよかったのかなあって思うところありましたが、それは後述。ともあれ、この映画、2時間半のボリュームにふさわしい内容量で大変面白かったです。「ドラゴンタトゥーの女」でも2時間半に中身をたっぷり詰めたフィンチャーは、今回もパワフル娯楽職人の腕を発揮して、単なるミステリーだけにならない、厚い内容の映画に仕上げています。悪趣味趣向を盛り込んだ「セブン」でも、きちんとメインのドラマを面白く作って最後まで観客を引っ張ったのを思い返すと、たっぷり趣向を盛り込んでもドラマの軸がずれない安定力がすばらしい人なのでしょう。



この先は結末に触れますのでご注意ください。(映画未見の方はパスしてください、マジで。)



時間が失踪当日に戻ると当日のエイミーの行動が描かれます。エイミーは自分の思う人生からはずれていく夫に不満を持っていて、自分が何か事件に巻き込まれたような跡をわざと残し、最終的にニックがエイミーを殺したように見せかけて、彼を破滅に追い込もうとしたのでした。彼女はあらかじめ立てた綿密な計画にそって、過去の経緯を示す日記を偽造して、わざと発見されるように仕込み、さらに自分の血で血痕をつけてさらにふき取るという工作をし、髪を染め、車を買い、見事に姿を消すことに成功します。彼女は以前付き合った男性をワナにはめてレイプされたように見せかけたりするとんでもない女でした。彼女は身を隠すことに成功するのですが、そこで知り合った男女に手持ちの現金を見つけられて、それを奪われてしまいすっからかんになっちゃいます。そこで、学生時代に彼女に入れ込んでストーカーした男に助けを求めます。彼の別荘に身を寄せたエイミーは、そこが監視カメラだらけだと知り、自分が性的暴行を受けたようにカメラの前で演技し、そして、逆に男を挑発しセックスに持ち込んだところで、彼の喉をカッターで切り裂き、血まみれのままで、ニックの家の前に現れます。その時、ニック、マーゴット、そしてボニー刑事もエイミーが夫を罠にはめたことに気づいていましたが、決定的な証拠がないまま、エイミーの証言から、彼女が元ストーカーだった男に誘拐され、そして監禁、レイプされた末に脱出したのだということになり、ニックが殺したという疑いは晴れたものの、エイミーは誘拐事件の被害者ということになり、ニックはその被害者の夫としてメディアを賑わせることになるのでした。真相をほぼわかっているニックでしたが、完全にエイミーの操り人形として生きていくことしかなくなるのでした。

突然、事件当日のシーンになり、エイミーが全て仕組んだことだとわかってびっくり。そこで終わりになるのかと思いきや、大金と一緒に姿を消すつもりが金を奪われて、プラン変更することになるので、さらにびっくり。そして、元ストーカーの金持ちの坊ちゃんのところに転がり込んで、セックスの最中に男の喉をかっさばくという大技を見せます。おー、これは21世紀の「氷の微笑」かと思わせるのですが、さらにその先があって、彼女は夫のもとに帰って、元の生活に戻るというのがすごい。夫は妻の正体を知っていて、別れたいと言いだすのですが、彼女はそれを許さず、エイミーの理想の夫婦でありつづけることを強要し、ニックはそれに従わざるを得なくなり、この関係がずっと続くであろうことを暗示して映画は終わります。狂言失踪から、サイコホラーにお話が変わっていくのが面白く、そして、その決着のつけ方はサイコホラーよりもっと怖いオチとなるのが見事でした。

狂言失踪が示されるシーンで、こいつ何かおかしいんじゃないのと思わせ、セックス中の血塗れ殺人で、うわあ、こいつ狂ってると思わせるのですが、最後の元の生活に戻るところで、こいつキチガイじゃなくて正気の怖い人だったことがわかり、結婚生活のものすごいデフォルメされたパターンだったとわかるところがすごいって感心。結婚というのは、駆け引きと騙しあい、さらには、その力関係への忍耐によって続いていくのだというのをこういう形で見せられちゃうと、うかつに結婚なんかできんわなってところに落ち着いちゃいます。

フィンチャーの演出は、最終的にエイミーを狂った猟奇的な女としては描かず、正気の怖さでしめくくったのが見事だと感心しちゃいました。ただ、ラストで家へ戻ってからの、エイミーの視線に狂気を感じさせたのは失敗だったのかなって気もしちゃいました。ベン・アフレックは、妻の正体がわかって逆らえなくなるダメ亭主役にきっちりとはまっていて見事でした。一方のロザムンド・パイクは前半の普通の女性の感じから、ラストで魔性の女風の演技になってしまうのが、逆にそこ違うだろって思っちゃいました。彼女は、冷静で普通で正気でないと、この映画のラストの怖い余韻が出ないのですよ。魔性キャラを出し過ぎると普遍的な結婚生活の怖さが薄れてしまうので、ここはちょっとパイクの演技過剰なのではないかと思ってしまいました。普通の嫁だけど得体の知れない怖さを持つ、女版「セブン」のジョン・ドゥみたいなキャラにした方がラストがもっと締まったように思います。まあ、この映画から何を感じ取るかで、評価は分かれると思います。私は、この映画を、普通の結婚生活の機微を極端なホラー化した物語と解釈したので、ラストのパイクの演技をちょっと不満に感じてしまいました。

予告編だけ観て、スクリーンに臨んだのですが、予告編で期待されたことが全て起こり、さらに二重三重のサプライズが仕掛けられていたことで、この映画への満足度は相当高いです。ベッドで男の喉をかっさばくスプラッタシーンを丁寧に見せて、サイコホラーのように見せかけて、最後に正気のホラーへ落とすうまさなんて大したものだと感心しちゃいました。

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閉じる コメント(16)

結婚というのは、駆け引きと騙しあい、さらには、その力関係への忍耐によって続いていくのだというのをこういう形で見せられちゃうと・・・ですよねぇ。

エイミーさんは 「結婚ってこんなもんでしょ」と確信犯面しちゃって さぁこの先どうなるといっても ニックさん相手ならねぇ。

と 映画は!!でした(^^♪

2014/12/15(月) 午後 8:53 たんたん

>結婚生活のものすごいデフォルメされたパターンだったとわかるところがすごいって感心。結婚というのは、駆け引きと騙しあい、さらには、その力関係への忍耐によって続いていくのだというのをこういう形で見せられちゃうと、うかつに結婚なんかできんわなってところに落ち着いちゃいます。

そういうところはわからないでもないのですが、私には筋が読めた上に、整合性のなさで面白いとは言えない作品でした。
こんなこと言っているのは私だけなんで、私の感性がおかしいのかと思いますがTBお願いします。

2014/12/15(月) 午後 10:39 オネム

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たんたんさん、コメント&TBありがとうございます。私のようなシングルオヤジには、そっかー結婚ってそんなものなのかあという発見に満ちた映画でした。ラストのずっと続くんだよそういうのが、っていうのも未婚者にガクブルのメッセージですよね。

2014/12/16(火) 午前 11:02 [ einhorn2233 ]

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オネムさん、コメント&TBありがとうございます。筋が読めましたか。私はこの展開は意外性たっぷりでどきどきわくわくで楽しめました。整合性のない展開でも結末まで至ってしまうってところが私にはかなり面白怖い映画でした。

2014/12/16(火) 午前 11:04 [ einhorn2233 ]

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おっしゃるとおり誰にも感情移入できないまま観終わりました。
結婚生活を揶揄しているのかなとは思いましたが、
1度は死刑になるようにまで貶めようとした夫のところへ戻る気持ちがよくわからない。まあ、そういう人だと言ってしまえばそれまでですけど。
というわけで、ちょっともやっとしちゃいました。
2転3転の展開は面白かったのですけどね:(;゙゚'ω゚'):
TBさせてくださいね。

2014/12/16(火) 午後 7:41 木蓮

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理想のエイミーを演じてきた延長で、結婚生活も自分の理想を描き続けたかったのですねぇ。おバカな人の犯罪は直ぐに露呈するのですが、IQ高そうな人は用意周到、怖いですね!綿密に計画するのも、ある意味 突発的に限られた時間の中で実行するのも上手かった。でも、実際にはもう少しキッチリ捜査されるんでしょうね、というかそうあって欲しいですが。
長尺ながらダレることなく引っ張り込まれました。
TBさせてくださいね。

2014/12/17(水) 午前 9:50 アンダンテ

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もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。確かに死刑にしようとしたダンナと元サヤってのは変な感じもしますが、浮気されたヨメがダンナ殺してやりたいと思ったけど、まあ許してやるからダンナ一生頭が上がらないという構図ですから、結構ありがちなパターンをデフォルメにしたのではないかと。

2014/12/17(水) 午後 7:14 [ einhorn2233 ]

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アンダンテさん、コメント&TBありがとうございます。結婚生活が経済的にうまくいかないときに降って湧いた姑の発病ってのは、彼女にとってはフラストレーションのつるべ打ちだったのでしょうね。そこから、完全犯罪に走るのはすごいと思うのですが、女性ってそのくらいの権謀術数は使いこなすのでは?って思っちゃいました。

2014/12/17(水) 午後 7:26 [ einhorn2233 ]

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そこまでやるかの展開で、かなり怖いことになりましたが、最後は普遍的な夫婦の関係に落ち着くところが面白かったです。
結婚なんてそんなもんだと(笑)
TBさせてくださいね。

2014/12/19(金) 午前 11:17 pu-ko

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pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。シングルの私には、そっかー、結婚ってそういうことなのかー、じゃあやっぱり私はいいや。という結論になっちゃいました。誘拐ものからサイコへ行くと思うと、ラストは「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」みたいなブラックなコメディへ落とすというのが面白かったです。

2014/12/20(土) 午前 8:09 [ einhorn2233 ]

観ながら、↑「レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで」思い出しました。
あそこまでやらなくちゃいけなかった妻の気持ちに寄り添うことはできなかったけど、情けない夫には同情しちゃいました^^;
大変遅くなりましがらTBお返しさせてくださいね☆

2015/1/19(月) 午前 11:36 なぎ

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なぎさん、コメント&TBありがとうございます。なるほど「レボリューショナリー・ロード」との共通点は言われてみれば確かにそうですね。どっちも発端としては結婚生活の不満が、倦怠期と合わさって爆発したって感じですもの。ただ、夫のほうも似たような気持ちになるのでしょうが、女性の執念の方が強いってことなのかも。(オヤジ目線の偏見ですが)

2015/1/19(月) 午後 8:18 [ einhorn2233 ]

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教訓:賢い女とは結婚するな! と、こんなことを書くと、女性陣から総すかんを食らいそうですが(苦笑)。
でも、男心はわかりやすくて、女心はわからん、と思わされました。
TBさせてください。

2015/2/19(木) 午後 0:06 [ あきりん ]

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あきりんさん、コメント&TBありがとうございます。女心はわからないですか。確かにわからないというか、わかると思ってしまうのが怖いという感じでしょうか。今度は女性目線で男に翻弄されるヒロインの映画も観てみたいと思いました。

2015/2/19(木) 午後 8:20 [ einhorn2233 ]

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こういう人って本当にいそうですよね。
かなりスリリングでした。
その後の彼らの生活を考えるとぞっとします。。
TBお願いします!

2015/3/31(火) 午前 8:06 かず

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かずさん、コメント&TBありがとうございます。こういう女性は確かにいそうですが、ここまでやるかってところにドラマとしての面白さがありました。ダンナは数年後に不慮の事故で死ぬんじゃないかなって思わせるラストでした。

2015/4/1(水) 午後 7:23 [ einhorn2233 ]

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