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今年はここ数年の中でも映画を観た本数が少なくて、ベストテンを作るのもおこがましいのですが、好きな映画をピックアップしたら、10本以上あったので、その中でベストを出させていただきます。年のせいか、アメコミ映画とアニメものは興味なくなってしまったので、そういう感じのベストテンになっています。 第1位 「ショート・ターム」 家庭に問題のある児童を一時的に預かる施設のお話で、子供たちのかなりシビアな現実が描かれています。そこで働く職員たちを主人公にしたドラマは決して甘くはないけど、それでも見えてくる希望が、彼らを励まし、日々の仕事に向かう力となっています。何かを告発したり、主張したりするのではなく、人は何かに元気をもらって日々を生きているという姿を見せることで、普遍的な生きる希望の物語になっているので、これがベストワンです。観ていて、こっちも元気をもらえる映画になっています。 第2位 「ブルー・ジャスミン」 セレブ夫人がどん底に落ちたら壊れちゃったというお話なのですが、とにかく面白かったので、2位に入れちゃいました。シニカルな描き方ながら、突き放しきれないウディ・アレンの視線も何だか面白くて、ケイト・ブランシェットの目一杯演じてますという演技もおかしくて、映画の作り全体が面白かったのですよ、これが。リアリティがあるのかないのかよくわからないヒロインの組み立て方が見事でした。 第3位 「イーダ」 第2次大戦後のポーランドで孤児の修道女イーダがおばと自分の過去をたどる旅を静かに描いたドラマ。モノクロ、スタンダードの画面が物語より映像で語り掛けてくる不思議な映画でした。ポーランドにとって大変不幸な歴史を描いてはいるのですが、それよりも純真無垢なイーダが人生の肉付きをまとっていく過程に惹かれる映画でした。他人にオススメしていいのか微妙な感じなんですが、不思議な味わいが私にははまりました。 第4位 「ゴーン・ガール」 これは、ミステリーとして、そしてスリラーとして、とにかく面白く作ってありまして、本年度もっとも娯楽度の高い映画でした。デビッド・フィンチャーって娯楽に振り切るとものすごいパワーがあるんだなあって感心。物語を隅々まで丁寧に描いて、濃厚ソースで味付けしたボリューム感がすごい。2時間半もあると長いよって観る気が半減しちゃう私も、ここまで描くなら2時間半も仕方ないなあって納得できちゃったので4位です。 第5位 「リスボンに誘われて」 1冊の本を巡るミステリーであり、ポルトガルの現代史の勉強になり、ジェレミー・アイアンズのラブコメが観れるという、お得感満載な映画でした。弾圧政治をする政府と反政府活動の若者たちという関係は、最近の映画ではあまり見かけないだけに、新鮮な感じもしましたし、映画としての満足度が高かったので、ここでランクインです。 第6位 「ある過去の行方」 2010年の私のベストワン「彼女が消えた浜辺」、2012年のベストワン「別離」のアスガー・ファルハディ監督の新作は、どうやってもうまくいかない人間関係の在り様が、見応えあるドラマに仕上がっていました。1位にしなかったのは、ドラマの構造が込み入りすぎて若干リアリティを欠いているように思えたからですが、やはりお話の紡ぎ方が見事なので、ベストテンからははずせませんでした。 第7位 「さよなら、アドルフ」 第2次大戦後、ナチス幹部の子供たちが、親を失い、食べるものもなくドイツ国内をさまようというお話。まず生き抜かなきゃいけないという物理的な問題と、自分の持っていた価値観がくつがえるという精神的な問題を抱えながら葛藤するヒロイン。ものすごい不幸な教育を受けてきた少女が、ものすごい不幸な境遇におちいってしまうというお話を淡々と描いて見応えがありました。ヒロインの凛とした姿に人間の強さを感じ、そんな彼女を翻弄する歴史の残酷さを感じさせる映画でした。 第8位 「おとなの恋には嘘がある」 美男美女からは遠い、おじさんとおばさんの恋愛をやさしい視線で描いたドラマ。この突き放さず持ち上げすぎずのバランス感覚が心地よい映画でした。全然ドラマチックでない決着に流れる穏やかな空気と余韻。若い人向けじゃないけど、同世代の男女をほっこりさせてくれるところが好きな映画です。 第9位 「少女は自転車に乗って」 サウジアラビアの映画というのがまず珍しいのですが、中身は割と普通というか、ティーンの少女ががんばるというお話。女の子はおしとやかであれという文化の中で、自由なヒロインがすごくキュート。ドラマチックな展開はないのですが、ヒロインの身の丈の頑張りがすごく楽しかったです。愁嘆場もないけれど、ちょっとホロリはあるというくらいのさじ加減が好き。 第10位 「ラブレース」 伝説のポルノ映画「ディープ・スロート」の主演女優リンダ・ラブレースの半生を描いた実録ドラマです。ポルノ映画の製作の裏側ということで下衆な興味もあったのですが、普通の女の子がひどい男につかまってポルノ映画に出る羽目になるという話をシリアスに描いていて、その中に「ポルノ、ダメ、ゼッタイ」というメッセージを明確に出しているところが大変印象的でした。印象的というよりは、ポルノ映画界を、彼らを否定する視点で描くという意外性(?)に「あ、やられた」って感じでしょうか。 視点の面白さを持った「ローン・サバイバー」、ヘビーな歴史を淡々と描いた「シャトーブリアンからの手紙」、ドラマの仕掛け先行の展開が惜しかった「ディス/コネクト」といった作品がベストテンからこぼれてしまいました。若い頃なら、絶対にベストテンに入れていただろう「ザ・イースト」が落ちてしまったというところで、加齢とともに映画の嗜好が変わってきてるなあって実感した一年でした。 次に、映画としてはベストテンからこぼれてしまったけど、ここがよかったというピンポイントベスト5を挙げます。 第1位 「旅する映写機」の記録映像としての価値 映画としては、フィルム映写機を使ってる映画館を紹介しているというもので、ベストには入らないのですが、デジタル化の怒涛のような展開を思うと、これだけフィルム映写機を使う様子を記録した映像ってのは貴重なのではないかしら。それも、数年後残っているかどうかわからなそうな映画館がかなり登場しているだけに、こういう映画を撮っておいたことがすごく価値があることだなって思いました。映画ファンにとって貴重な映像になるかも。 第2位 「神は死んだのか」、「パンドラの約束」から学べるプロパガンダ映画の鑑賞方法 「神は死んだのか」と「パンドラの約束」は、前者は「神の存在」、後者は「原発は安全」という明確なメッセージを持っていまして、そのメッセージのプロパガンダ映画になっています。どっちにも共通しているのは、メッセージを批判する人は愚かしく見せて、メッセージを支持する人が複数登場して、最後はみんながそのメッセージが正しいって言ってんだから、正しいんだよと丸め込む。なるほどなあ、他人に自分の言いたいことを刷り込みたいときは、こうすればいいんだ。逆に、こういう流れで自分を説得する人は落ち着いて疑った方がいいんだって、勉強になりました。 第3位 「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムス 2014年に観た女優さんの中では、「ザ・イースト」のブリット・マーリング、「なんちゃって家族」のジェニファー・アニストン、「ダラス・バイヤーズ・クラブ」のジェニファー・ガーナー、「とらわれて夏」のケイト・ウィンスレット、「ラスト・ベガス」のメアリー・スティーンバージェン、「ラスト・ミッション」のアンバー・ハード、「イコライザー」のクロエ・グレース・モレッツなどが印象に残っていますが、今年の一番かわいかったのは、「アバウト・タイム」のレイチェル・マクアダムスでしょう。男目線からすると最高にかわいい女の子でした。でも、男受けがいいってことは、ひょっとしたら、女性からは嫌われるタイプなのかな。 第4位 映画音楽にポストクラシカルが参入してきてる これは今年だからという話ではないのですが、最近の映画音楽が迫力でぶん回す音楽と、ほとんどメロディラインのないアンビエント音楽と二極分化してきていたのですが、その狭間に使われるようになってきたのが、ポストクラシカルというジャンルの音楽です。小編成の管楽器とストリングスに、シンゼサイザーの音を加えて静かな心にしみる音が、映画音楽として使われるようになってきました。有名どころでは、「サラの鍵」「ディス/コネクト」「少女は自転車に乗って」のマックス・リヒター、「プリズナーズ」「悪童日記」「博士と彼女のセオリー」のヨハン・ヨハンソンが積極的に映画音楽を作曲しています。21世紀に入って、何だか行き詰ってる感を映画音楽に感じていた私には、映画音楽の新しい方向が見えてきたという気がして、このジャンルのアーチストのサントラへの参加に期待するところあります。 第5位 「マリリンの青春」から見えてくる五十代女子の予感 今や、アラフォー世代が女子と呼ばれる時代になりまして、その年代の女子をターゲットにした「Marisol マリソル」「GLOW グロウ」「Domani ドマーニ」といった女性雑誌も登場してきて、四十代も乙女として仕事に恋に充実してますって空気になってきています。この「マリリンの青春」のヒロインは五十代のバツイチキャリアウーマンで、新しい恋人を探し、恋愛の駆け引きだってしちゃう。そんな五十代でも女子という皆様の存在が、日本でも認知されるようになってくるのではないかしら。 今年はあまり映画を観ていないので、リストアップするのもおこがましいベストになっちゃいましたが、来年は、もう少しマメに映画館に足を運びたいと思います。来年もよろしくお願いいたします。
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50代女子の時代は良いですね( ̄∀ ̄*)イヒッ
私の方はアメコミなんかを熱心に観ているので、あまりコメント出来ませんでしたが、いつも参考にさせて頂いています。
こちらのまとめをTBさせていただきますね。
2014/12/31(水) 午後 9:23
あけまして
おめでとうございます。
本年もよろしくおつきあいをということで
よろしくお願いします(^^♪
2015/1/1(木) 午後 9:33
あけましておめでとうございます。
わぁ、『ショートターム』が一位!
流石、いいトップ10ですね。
しかも丁寧に振り返られていて、映画評として大変読み応えがありますした。
トップ10では『少女は自転車に乗って』を観損ねてますが観てみます。
今年もどうぞよろしくお願いします。
TBさせてくださいませ。
2015/1/2(金) 午前 10:40
もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。50代女子というのは、そろそろ現実に出てきてるのではないかしら。未婚でもXイチでも、生活的、経済的に余裕のある女性は、きれいでいられるし、恋愛だってできちゃう。ただ、いけてる50代女子ってうんと年下志向なので、オヤジの方へは見向きもしないのが、くやしいです。
2015/1/3(土) 午前 5:42 [ einhorn2233 ]
たんたんさん、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。他の方のベストを拝見すると、自分とは違う映画の見方が発見できる楽しみがあります。たんたんさんのベストへも伺わせていただきます。
2015/1/3(土) 午前 5:51 [ einhorn2233 ]
pu-koさん、あけましておめでとうございます。師匠のおほめの言葉をいただけるとうれしく思います。今年はもう少し観る頻度を高くするのが、目標です。本年もよろしくお願いいたします。
2015/1/3(土) 午前 5:55 [ einhorn2233 ]
「ブルージャスミン」と「ゴーンガール」しか観ていないです。
WOWOWに回ってくるのを待っておきます。「ショート・ターム」は早く見たいです。
TBお願いします。
2015/1/9(金) 午後 9:45
オネムさん、コメント&TBありがとうございます。「ブルー・ジャスミン」と「ゴーン・ガール」はどちらもエンタテイメントとしてよくできていたように思います。どっちも面白くてよくできていましたもの。「ショート・ターム」はオススメです。主人公の職員のリアルな存在感が見事で、そのリアルさ故に、ラストの希望が浮ついたものに見えないところがオススメポイントです。
2015/1/10(土) 午後 11:05 [ einhorn2233 ]
さよなら、アドルフは僕もベストに入れました!
少女の心理的な部分をうまく描いていましたよね!
TBお願いします!
2015/4/9(木) 午前 8:08
かずさん、コメントありがとうございます。「さよならアドルフ」は、ゲシュタポの子供なら、当時はそれだけで即否定されちゃうだろうなあって考えると、今でいうなら、オウム信者チルドレンみたいなものなのでしょうね。そのうち「さよなら尊師」なんて映画が作られてもおかしくないかも。
2015/4/9(木) 午後 7:46 [ einhorn2233 ]