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2015年も終わりですので、あまり多くの本数を観ていない中から、ベストテンを作ってみました。選出基準はとにかく面白くて印象深かったもの、それと何か発見のあったものとなっています。今年も映画を楽しむ一方で、勉強になる映画も多かったです。 第1位「デビルズ・ノット」 猟奇殺人事件の犯人をとにかくはっきりさせたいコミュニティが、反社会的な若者を犯人と決めつける怖さを描く映画ですが、そこで事件の真相は明快になりません。何だか、はっきりしない映画だなあって不満を感じたとき、その感情は、とにかく犯人を決めたがった映画の中のコミュニティの人間と同じじゃないかと気づかされると、自分自身にぞっとするというとても怖い仕掛けの画です。冤罪とか他人事じゃないかと思っていると、自分の中にその種があることに気づかされる、そんな怖さを持った映画は初めてでした。初公開は2014年ですが、私は今年観たので、この映画を2015年のベストワンです。 第2位「Re:LIFE リライフ」 もともとラブコメは好きな方なのですが、いい年こいた大人の恋愛ドラマとして、私のツボに大はまりだったのがこの映画。売れない映画脚本家と大学で学ぶシングルマザーの友情的関係から、恋愛感情へとゆっくりと方向転換して、ラストで恋愛映画に落ち着くという作りが大変魅力的でした。主演二人、特にマリサ・トメイが大変魅力的でして、これまでも彼女のファンでしたけど、余計目にファンになりました。好きな映画ということで言えば、今年のベストワンでしょう。 第3位「はじまりのうた」 音楽をきっかけに知り合った男女二人が、その歌を売り出していく過程の中で、各々の人生の再構築を図っていくというお話。音楽ものに弱い自分は、すぐにウルウルしちゃうお話ではあるのですが、主人公の二人が音楽を間に挟んで、友情以上恋愛未満の微妙な関係を取っていくところが、音楽以上によくできていまして、ツボでした。音楽というものを、どう捉えるかの違いをあえて否定しないで、それでも、音楽の持つ力を実感させる演出が見事でした。音楽を糧にして人生を充実させるお話として、すごく繊細で、そして寛容な映画でオススメ度はベストかも。 第4位「顔のないヒトラーたち」 ドイツ国内で、ナチスのやったことを告発するようになるという事実に基づくお話です。若い判事が、国内の批判を浴びながら元ナチスのやったことを告発していく過程はスリリングなエンタテイメントなのですが、それだけのお話ではありません。正義の迷宮に入り込んでしまった主人公がどうやってそれを克服していくのかというところに、見応えト感動がありました。今更過去を掘り起こすことに何の意味があるのか、その問いに一つの見識を示したという点に大変感心しました。それが正しいか、共感できるかは映画を観て確認していただきたいですが、私には共感できるものがありました。また、問題提起という意味でも見応えのある映画だと思います。 第5位「ドローン・オブ・ウォー」 新しい戦争の形態としての、ドローンによるピンポイント攻撃を描いた映画です。主人公はアメリカの基地にいて、ドローンを遠隔操縦して、紛争地域で地上部隊を支援したり、テロリストの掃討をしています。絶対安全な場所からテロリストへの攻撃を加える主人公の姿から、言い訳や情緒を削り取った戦争の本質が見えてくる展開が見事な反戦映画になっています。そして、ラストで主人公の取る行動が、ドローン戦争の持つもう一つの特別な側面をあぶりだし、ネット社会への警鐘にもなっているという欲張りな構成です。 第6位「ドラフト・デイ」 アメフトの一大イベントであるらしい、ドラフト会議の駆け引きを描いたドラマで、アクションも爆発もラブシーンもないけれど、とにかく面白くてラストのカタルシスが痛快な、これぞ娯楽という映画。勝ち目のないトレードをせざるを得なくなる主人公がラストで見せる大逆転がお見事で、観終わって最高の気分になれるという意味では、今年のトップでしょう。ドラフトのルールが込み入っているせいもあって、地味な公開であまり宣伝もされなかったのですが、もっと評価されて欲しい映画でした。 第7位「アクトレス 女たちの舞台」 ベテラン女優が、かつて演じた舞台で、若いヒロインから中年の相手役を演じることになる、その過程を演技陣の力量で見せ切る一品は、映画としての満足度が高かったです。主人公の2人のやり取りのうまさもあることながら、ジュリエット・ビノシュとクリスティン・スチュワートの存在感が見事で、惚れ惚れしちゃいました。ちょっとファンタジー入ったドラマ展開もあって、ドラマとしての充実度と、一粒で二度おいしい映画でした。 第8位「奇跡の2000マイル」 ヒロインがオーストラリアを2000マイル歩くというお話で、すごくシンプルに旅に特化しているところが新鮮でした。出不精な私にも旅の魅力とか旅したくなる気持ちが伝わってくるところに発見があったので、ベストテンに入りました。映像の美しさとかヒロインのミア・ワシコウスカの魅力、適格な演出もあって、映画としてよくできています。 第9位「サンドラの週末」 自分の職場に復職しようとしたら、彼女の復職かボーナスかの投票がされていて、彼女は職を失うことに。覆すには週末に同僚たちを説得して、再投票で結果をひっくり返さないといけない状況。そんな、珍しい設定の中で、ヒロインは週末に同僚の家をまわることになります。多数決を覆すための個人の頑張りを普通の女性がやるっていうところから、透けて見えてくる、自我と善意、そして個々の事情。色々と考えさせられるところが多かったということでは今年のトップではないかしら。こういう視点に触れることで、映画って勉強になるなあってところでベストテン入りです。 第10位「マップ・トゥ・ザ・スターズ」 虚飾に満ちたハリウッドをひたすら悪意で描いたクローネンバーグ監督作品がベストテン入りです。これは、どこがいいとか、勉強になったとかいうことではなく、ひたすらインパクトが強くて印象に残った映画だから。映画館へ足を運んだ時、こういう映画にあたっても、映画を観た満足感があるってのは不思議な感じですが、悪意に満ちているなりに見応えがあったということになるのでしょう。 そんなわけで、ドラマとして見応えのあった「黄金のアデーレ」「あの日のように抱きしめて」、純粋にエンタメとして面白かった「マッドマックス 怒りのデスロード」「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」などがこぼれてしまいました。SFやホラーが1本も入ってないところに、自分も年を取ったんだなあってしみじみしちゃいます。 次に映画としてはベストテンからこぼれたけど、ここはよかったというピンポイントベスト5を挙げます。 第1位「海街diary」のつかず離れずの家族関係 美人4姉妹の眼福もあった映画でしたけど、この映画で描かれた姉妹の距離感が大変心地よくって、ああこれだよなあって感心しちゃいました。時には深入りしそうになるけど、引くところは引く、言いたいことは言い、言いたくないことは言わない、そんなさじ加減が細やかに描かれていました。日本映画って、やたら、テンション高く怒鳴りあうイメージがあるのですが、この映画の会話シーンの抑制されたおだやかさは宝物だなって思っちゃいました。 第2位「ジミー 野を駆ける伝説」のダンスシーン この映画は、内容的にもベストテンに入ってもいい見応えのあるものでした。保守と革新の対立の中で、穏健派がその仲介役になれないところに切なさがあるのですが、恋愛ドラマとしても、切ない展開に見応えがありました。お互い愛し合いながらも10年後の再会で女性は人の妻になっていました。月明りの下で、二人が万感の思いで無言でダンスを踊るシーンは、最近の映画のラブシーンの中でもベストだと思いました。無言で踊る二人を長回しで追う演出も見事でした。 第3位「毛皮のヴィーナス」の縦構図へのこだわり 今年は、あまり映像に凝った映画には当たらなかったのですが、その中で、凝った構図で楽しませてくれたのが、この映画。登場人物2人だけの映画ながら、シネスコ画面に、登場人物を遠くと手前に配置する縦の構図を多用して、見応えのある絵を作っていました。映画そのものも面白かったのですが、シネスコ画面の手前と奥の両方で演技している図ってのはなかなかお目にかかれなかったので、ここで挙げておきます。 第4位「ピッチ・パーフェクト」のアナ・ケンドリック 今年の女優陣は豊作でして、ベストテンに挙げたマリサ・トメイ、ミア・ワシコウスカとクリスティン・スチュワートは素晴らしかったですし、「ANNIE アニー」のローズ・バーン、「海街diary」の夏帆、「カリフォルニア・ダウン」のアレクサンドラ・ダダリオ、「ted2」のアマンダ・セイフライド、「セッション」のメリッサ・ブノワ、「エレファント・ソング」のキャスリーン・キーナーといった面々が印象に残りました。でも、今年のベストアクトレスということでは、実は3年前の映画だけど「ピッチ・パーフェクト」で青春映画のヒロインを全うに演じたアナ・ケンドリックを挙げます。アカペラコーラスがメインの映画ではあるのですが、それをきちんと青春映画としても見せることに成功しているのは、彼女の好演があったからだと思っています。 第5位「マイ・インターン」のまろやかな味わい コメディとしてそこそこの出来だった「マイ・インターン」ですが、それは毒も恋愛も諍いもないコメディだからだということもできます。なんとなくうまくまとまった感じというのでしょうか。そこには、脚本、監督のナンシー・マイヤーズの人間(特に女性)に対するやさしい視線があってこそだと思います。尖ったところのない展開を退屈させないでまとめるのは大変だと思いますが、マイヤーズはそこのところをうまくクリアして、まろやかな味わいだけど、退屈させずに面白い映画に仕上げることに成功しています。特に、男目線ではあり得ない浮気ダンナの行動と、それに対する妻のリアクションなんか、なるほどこういう収め方もあるのかって感心しちゃいました。ハリウッドの中では、こういう映画を作る芸ってのは地味な才能ってことになるのかもしれませんが、彼女の映画には、他の監督にはないものを感じます。 というわけで、2016年もよろしくお願いいたします。
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ああ、ベスト10の作品を1作も見ていないと思ったら、
次点も全然見ていなかった〜!ヒイィィ!!(゜ロ゜ノ)ノ)
今年はもう少し精進します!
今年もよろしくお願いしますm(_ _)m
TBしていきますね。
2016/1/1(金) 午前 9:23
わぁ、さすがコアなラインナップ
1位の『デビルズ・ノット』は犯人をはきりさせてない〜と不満に思っちゃった(汗)
その怖い仕掛けに気づけば面白さ倍増だったんですねぇ。
『ジミー 野を駆ける伝説』はノーマークでした。ダンスシーンぜひ観てみたい。
いつもeinhornさんの記事から映画の見方を教えていただいてます。
新年もどうぞよろしくお願いします。
http://alicemobie.blog.fc2.com/blog-entry-4331.html
2016/1/1(金) 午前 10:39
もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。メジャーな映画があまりベストに入ってないのは、シリーズものとかにはつい点数が辛くなってしまうんですよ。後、続編で驚きや発見のある映画って少ないですから。
2016/1/2(土) 午後 7:12 [ einhorn2233 ]
pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。「ジミー 野を駆ける伝説」は見応えのあるいい映画なので、機会があれば、お試しのほどを。ダンスシーンは結構エロいです。
2016/1/2(土) 午後 7:16 [ einhorn2233 ]
おめでとうございます(^^♪
いつもながら さすが!のテンに驚きを。
全く当方は 観ていないものばかりで・・。
最近 年のせいか 持久力といいますか 映画についても しつこく観ようという思いが薄れ 困っています。
懲りずに よろしくお願いします(^^♪
2016/1/3(日) 午後 5:01
ベスト10はなんとか「はじまりのうた」をDVDで見てました〜
この監督の作品は「道路」が呼吸してるとのが凄く好きです。抽象的ですいません。
ほかの作品もDVDでチェックしていこうと思います。
ピンポイントの「海街〜」はいい関係の四姉妹でしたよね〜
アナ・ケンドリックは身長の可愛さもツボですし、歌声も魅力です^^
「マイ・インターン」は紳士たれ!の部分が大好きな1本です。確かにマイルド!もっとトゲトゲしていても不思議でない話なので。
今年もよろしくお願いします<(_ _)>
2016/1/3(日) 午後 8:53
たんたんさん、コメント&TBありがとうございます。私も年をとったせいか、ショック描写のある映画、長い映画はパスするようになっちゃいました。後、完全に心奪われる映画に遭遇する確率が低くなってきちゃってます。これは、素直に映画に没頭できなくなっているのかも。
2016/1/4(月) 午後 6:46 [ einhorn2233 ]
ライアンさん、コメントありがとうございます。「はじまりのうた」よかったですよね。他の方のブログでもベストに挙げられているのを見ました。「マイ・インターン」は、全てをまるく収めちゃうのが、物足りなくも感じる人がいるかもしれませんが、そのあたりの心遣いが映画の隅々まで行き届いていたように思います。本年もよろしくお願いいたします。
2016/1/4(月) 午後 6:50 [ einhorn2233 ]
ほとんど観ていない作品ばかりです。
「はじまりのうた」が入っているのはうれしいです。
またWOWOWに回ってきたら、参考に、観ていきたいと思います。
こちらからもTBお願いします。。
2016/1/4(月) 午後 10:16
オネムさん、コメント&TBありがとうございます。意識的にメジャー作品を外したわけではないんですが、こんな感じになっちゃいました。テレビに流れたら、是非チェックしていただきたいのは「ドラフト・デイ」ですね。私はアメフトもドラフトも知らない人間ですが、それでも十分楽しめました。ラストのカタルシスが見事で、素直に面白い映画でした。
2016/1/5(火) 午後 8:14 [ einhorn2233 ]