今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

やっと書き込み再開します。本年もよろしくお願いいたします。

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今回は新作の(とは言っても2015年の映画なんですが)「バジュランギおじさんと、小さな迷子」を、川崎の川崎チネチッタ10で観てきました。ここへスクリーン位置が高めで、前の方に座ると画面を見上げることになるのが要注意の映画館。

パキスタンに住む口の聞けない6歳の少女シャヒーダー(ハルシャーリー・マルホートラ)が願掛けにインドのデリーに母親とやってくるのですが、その帰路で母親とはぐれてしまいます。彼女がたどり着いた町では、ヒンドゥー教のハマヌーン神のお祭りの真っ最中。そこに居合わせたハマヌーン神の熱烈な信者パワン(サルマン・カーン)の後を追いかけて彼の家にまで行ってしまいます。パワンは婚約者ラスィカー(カリーナ・カプール)のお父さんに結婚を認めてもらうために頑張っている大事な時。警察へ連れて行くも引き取ってもらえず、ラスィカーのお父さんの家に一緒に置いてもらうことになるのですが、名前もわからない彼女はチキンを食べるし、テレビに映ったパキスタンの国旗にキスするしということで、インドと敵対するパキスタン人であり、ムスリムでもあることがわかって、家を出されることになっちゃいます。でも、パキスタン大使館もビザも持ってない女の子を相手にしてくれません。旅行社でもパキスタンへ行くのは無理と言われるのですが、大金をはずめば裏ルートを紹介すると言われ、パワンとラスィカーは結婚資金をその女の子のために使うことにするのですが.....。

「タイガー 伝説のスパイ」などで有名なインドのカビール・カーンが共同脚本と監督を担当し、「ミモラ 心のままに」などで知られるアクションスター、サルマン・カーンが主演したコメディ仕立ての感動ドラマです。2時間39分と長い映画ではあるのですが、そこはインド映画、歌や踊りを随所に入れて、一気に最後まで見せてしまいます。最初は、迷子の女の子を助ける話だけで、2時間半以上あるの?とちょっと不安もあったのですが、これが王道の展開で、最後まで見せ切ってしまうのにはびっくりというか、なるほどパワーあるなあって感じ。で、インドで大ヒットしたというのもうなづける面白くて泣ける映画でした。「泣ける」というか「泣かせる」映画なのかな、泣きの箇所は、スローモーションや歌を駆使して、思いっきりベタに泣かせにかかるので、あざといと言えばあざといのですが、それ以上に太いテーマをぶち込んでくるので、多少の泣かせは許せちゃうところがあります。そのテーマというのが、宗教や国境を越える善意の絆という、まあ、ちょっと普段口に出すのはこっぱずかしいこれまたベタなもの。でも、実際に現在進行形で国家間では対立しているインド人とパキスタン人が、底抜け信仰バカのおかげで、相互理解の輪がつながっていくと言う展開は、なかなかに感動的なのですよ。

主人公のパワンは熱狂的なハヌマーン神(猿の恰好した神様)信者です。ハヌマーン神を徹底的に信じ、嘘や悪いことが大嫌い。でも、世間一般の人からすると、その度の過ぎた信仰と善人ぶりは、時にはバカにも見えちゃうところがあるんですが、それでも、迷子になった女の子を見捨てることができず、自分が半人前で、婚約者の父親の家に居候している状態なのに、その家に女の子を連れてきてしまいます。でも、彼女はチキンを喜んで食べることで、どうやら異教徒であることがわかってきて、さらにテレビで、インドとパキスタンの試合を観ていて、パキスタン勝利に喜んで踊っちゃうので、敵対するパキスタン人であることもわかっちゃいます。国の宗教も違うということで、これ以上面倒みきれないとパキスタンへ送り返そうということになるのですが、それもうまくいかなくて、パワンは一大決心をして、ビザもないのに自分で彼女をパキスタンにいる親の元に届けようということになります。

この映画、後半はいかにも21世紀的な展開となりまして、パワンと女の子に偶然知り合ったジャーナリストが彼らの映像をネットにアップすることで、インド、パキスタン両国民がパワンの存在を知ることになるのですよ。20世紀だったら、親元に届けられても、途中で野垂れ死んでも、関係者しかその事情を知ることはなかってでしょうが、ネット社会は、何億という人々に彼らの存在を知らしめるのです。クライマックスは、ベルリンの壁崩壊を思わせるような展開になるのですが、なるほど現代ならではの寓話なんだなあって感心しちゃいました。また、パワンが、ムスリムに助けられるシーンとか、恐る恐るモスクに足を踏み入れるシーンがするのですが、結局、親元の女の子を届けたいという気持ちは宗教を越えて受け入れられるという見せ方は心地良いものがありました。現実世界ではわからないけど、パワンの底抜けの善意に、インド人もパキスタン人も心を動かされるというのが、いい話なんですよ、これが。この映画で悪役として登場するのは、パキスタン側の為政者だけで、パキスタンの警察官も軍人も、個人の判断でパワンを助けようとするのがなかなか泣かせる展開になっています。そんな底抜けの善人パワンが、国家という組織をある意味出し抜いてしまうというカタルシスもあり、後味はかなりよかったです。ただ、演出はベタに泣かせにかかりますから、そこは若干うざいかも。

口を聞けない少女を演じたハルシャーリー・マルホートラがムチャクチャかわいいのもこの映画の点数を上げています。子供っぽさを失わないけど、どこか大人びたところもあるというバランス感覚が見事で、自分の意思が相手に伝わったときのうれしそうな顔が絶品でした。一方の、サルマン・カーンはもともとアクションスターだそうで確かにいかつい体をしているのですが、今回はちょっとトロい(学校を10年留年してるという設定)キャラだけど、信心深い善意のキャラを熱演しています。パキスタン側に拘束されてボコボコにされるシーンもあるので、ヤワ系の俳優だったらドラマが成り立たなかったかもしれないので、ヒーロー要素のあるカーンをキャスティングしたのは成功だったようです。タフで善人のバカは無敵だよなあって納得しちゃいましたもの、って言ったら怒られるかしら。

現代性のあるファンタジー要素もあるお話ですが、要所要所に歌と踊りが入るのは、インド映画の特徴なのでしょうね。この映画でもそういう見せ場がお約束のように挿入されるのですが、それでもムスリムの廊で延々流れる歌などは、ドラマの流れとシンクロして盛り上げ効果を出すといった使われ方もしていて、ドラマ展開のサポート役としても活躍しています。後、ベタな笑いとこれでもかの泣かせ盛り上げ演出がくどいけどとっつきやすくもあり、コテコテの人情コメディに乗せて伝わってくる結構重めのメッセージもあって、全体的には軽重、硬軟、何でもありの振り幅の大きい映画として楽しめるのでオススメしちゃいます。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



旅行者の男は、女の子をパキスタンには送らず、売春宿に売り飛ばそうとしていました。最後の別れをと、彼らを追いかけた行先がそういうホテルだったのを知ったバワンは大激怒、大暴れして、彼女を取り返して、自分でこの子を親元まで届けると二人で国境へと向かいます。国境越えのトンネルでパキスタンに入るのですが、パキスタン軍の国境守備隊長に、許可をくれと、わざと見つかるような行動を繰り返すバワン。そのしつこさに、呆れて入国を許してしまう隊長。でも、パキスタンの町で警官に見つかりインドのスパイと思われて拘束されちゃうのですが、女の子に危害が加えられそうになって、またしてもブチ切れて大暴れ。それを見ていたテレビカメラマンが二人に同行し、彼らの映像を放送局に売ろうとするが相手にされません。パキスタン人でも、パワンの目的を知ると助けてくれる人もいます。一方で、警察はインドのスパイとしてパワンを追います。テレビカメラマンは、撮った映像をネットに上げて、パワンの無実を訴えます。彼のカメラに偶然、女の子の母親が映り込んだことで、女の子の故郷が特定でき、そこへ向かうのですが、途中で警察の検問に会い、パワンは自分が囮になって、カメラマンと女の子を逃がし、女の子は母親と再会します。でも、パワンはパキスタン当局に拘束され、拷問で自白を強要されそうになるのですが、彼を逮捕した捜査官が裏付け調査でバワンの無実を知り、彼をインドへ送り返そうと、テレビカメラマンに頼んで、インド、パキスタンの両国の市民に、国境検問所に集まるように呼びかけます。国境の検問所には、両国から多くの人が集まり、守備隊の軍人も、バワンのために道をあけるのでした。インド側へ向かうバワンに、女の子がかけより「おじさーん」と声をかけ、振り返ったバワンが引き返して、女の子を抱き上げたところでストップモーション、暗転、エンドクレジット。

ラストの国境検問所のシーンはベタでこれでもかという演出がくどいと言えばくどいのですが、まあ、それまでに点数を稼いでいて逃げ切り勝ちといったところでしょうか。バワンが、インド人からもパキスタン人からもヒーローとしてコールされるというのは出来過ぎな気もするのですが、まあそのあたりは、私にとっては、映画の魔法としての許容範囲でした。登場した時は、足を引っ張るのかと思っていたテレビカメラマンが最後まで、バワンのために画策するというのには、意外性がありました。ともあれ、国籍、宗教よりも、人、その人柄だよね、という見せ方はうまいと思いました。人してよいことをすれば、どんな宗教の人でも受け入れられ、支持されるというのは、すごく重要なポイントだと思いますもの。違う神様を信じる人を、キリストもアッラーも許していないのに、それを人として受け入れようってのは、下手をすれば神の教えに背くことになりかねないけど、でも、人情として、いいことをする人を助けたいと思いますもの。国家間で対立があっても、人としては認めあうことで、お互いが人間として良くなることができるという見せ方もうまいと思いました。国境や宗教は、自分側と相手側を分別して、敵対させるものとして機能することがあるけれど、それに盲目的に従うのではなく、自分の目で、人間としての相手を見て、自分の良心で、判断することの方が大事だと言ってるのは、耳を傾けるに値するメッセージだと思います。それをコテコテの笑いと泣かせのドラマで示そうってところに、ちょっとミスマッチなおかしさも感じてしまいました。

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知らなことをいっぱい知ることになる映画みたいだけど、大元にあるのが善意の絆で感動できるのなら好みかもです。

2019/1/31(木) 午後 10:35 pu-ko 返信する

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pu-koさん、コメントありがとうございます。決して難しい映画ではなく、あくまでベタな感動エンタテイメントに仕上がっていますので、お気楽にご覧になれる映画だと思います。機会があればトライしていただけるとうれしいです。

2019/2/3(日) 午後 7:14 [ einhorn2233 ] 返信する

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