今昔映画館(静岡・神奈川・東京)

やっと書き込み再開します。本年もよろしくお願いいたします。

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今回は新作の「メリー・ポピンズ・リターンズ」を川崎の川崎チネチッタ1で観てきました。このスクリーンは劇場前3列は画面をムチャクチャ見上げることになる最低の席なんですが、日曜日で混雑ということもあって、前列にもお客さんが入っていまして、こういう鑑賞になるのをきちんと劇場が説明しているのか気になっちゃいました。私が知らずにシネコンでこんな席を取られたら、そのシネコンへは二度と来なくなっちゃうくらいの座席配置なんですよ、これが。ここを除けばすごくいいシネコンなので、もったいないような気がして。

1934年の大恐慌時代のロンドン。ガス灯番のジャック(リン・マニュエル・ミランダ)がガス灯を消しに回り、ロンドンに朝がやってきます。チェリー街にあるバンクス家では、妻をなくしたマイケル(ベン・ウィショー)が3人の子供と暮らしていましたが、自分の働く銀行から借りた借金の取り立てが来て、金曜日の真夜中までに金を返さないと家を差し押さえられると通告されます。でも、バンクス家には銀行の株券がある筈、そこで、マイケルの姉ジェーン(エミリー・モーティマー)も一緒になって家の中を探し回るのですが、見つけることができません。一方、朝ご飯を買いに出かけた子供たちが、凧に乗って空からやってきたメリー・ポピンズ(エミリー・ブラント)と一緒に家に帰ってきます。マイケルとジェーンは、子供の頃に家政婦として家にいたメリー・ポピンズとの再会にびっくり。だって、彼女、当時と全然変わっていないんですもの。彼女は、3人の子供をしつけるためにも私が必要だから、ここにいますねと宣言。借金で家を追い出されかけているマイケルに家政婦を雇う余裕はないのですが、メリー・ポピンズはそんなの意に介さず、子供たちをお風呂に入れるのですが、浴槽の中には広い海が広がっていて、子供たちはそんな不思議な世界にびっくり。さらに、子供たちが割ってしまった母親の思い出の壺の世界に入り込み、そこで、オオカミたちがバンクス家を乗っ取ろうとしているのを発見します。現実世界では、バンクス家で縁のあった銀行の頭取の甥っ子ウィルキンズ(コリン・ファース)が銀行を牛耳っていて、株券が見つからないことを知って、バンクス家を騙し取ろうとしています。子供たちが返済期限を延ばすようにウィルキンズに直談判に行っちゃうもので、銀行での立場も悪くなっちゃったマイケル激おこ。果たしてバンクス家は長く住み慣れた家を追われてしまうのでしょうか。

前作の「メリー・ポピンズ」から55年後の続編ですって。ジュリー・アンドリュース主演のオリジナルは、高校生の時に、静岡けんみん映画祭というイベントで鑑賞した記憶があります。もう細かいことは憶えていないのですが、子役たちの子供らしい動きとか、「チムチムチェリー」「鳩に餌を」などのペーソスを感じさせる楽曲が印象的でした。また、当時としてはアニメ画面に実写の人間を取り込むというのがすごい技術と言われてまして、その華やかな映像もインパクトがありました。今回は、前作をベースにしていまして、マイケルとジェーンは、子供の頃、メリー・ポピンズの魔法で様々な不思議な体験をしているのですが、それは今は忘れ去られているというか、少なくとも現実にあったこととして認識していないみたいなんです。このあたり、映画の頭に前作のダイジェストでもつけてくれないと、設定がわかりにくいと思うのですが、そのあたりを説明しないので、マイケルとメリー・ポピンスの関係が飲み込みにくい観客もいるのではないかしら。「ネバーランド」「ライフ・オブ・パイ」のデビッド・マギーの脚本は、メリー・ポピンズと子供たちの関係にフォーカスしていて、他の部分はあっさり流した感じでして、ロブ・マーシャルの演出も、過去の経緯には無頓着にお話を進めています。

画家だけど、生活のために父親が勤めていた銀行で出納係をしているマイケルが銀行に借金していて、その期限もわからなくて、週末に家を立ち退かされちゃうってのはずいぶんと呑気なお父さん。奥さんを亡くしてあたふたしてたのお察しするけど、お金のことを奥さんに任せっきりだったというのは、一家の長としてはちょっと情けない。子供たちは普通に育っているのでまあ良かったんだけど、こういう設定だとメリー・ポピンズが再びやってくる理由が今一つ希薄なんですよね。昔躾けた不甲斐ない父親を何とかするためにやってくるなら、わからなくもないんですが、今回は子供が乳母を望んだわけでもないし、押しかけナニーなので、お話の設定がわかりにくくなっちゃいました。前作のように、現実の厳しさだけで子供に接しようとする父親との対立といったお話の軸がないので、メリー・ポピンズの魔法が現実逃避にもならないし、単に子供を甘やかしているだけにも見えちゃうってのはひどい言いぐさかしら。うーん、何ていうのかな、メリー・ポピンズは、子供たちも含めた貧しい人々に夢と希望を与える存在だと、前作を観て思っていたのですが、今回は「何しに来たんだろう」って感じなんです。これは、私が年を取り、子供の心を失って「メリーポピンズ」を楽しめない大人になっちゃったのかもしれませんが、どうもメリー・ポピンズの存在感が感じられなかったのが残念。

後、すごく気になったところがありまして、映像がすごくやかましいのですよ。「NINE」ではシネスコの素晴らしい絵を切り取ったディオン・ビーブの撮影が、手持ちカメラを駆使して、臨場感を出すのはいいのですが、ミュージカルシーンとかが落ち着かない絵になっちゃって、歌やダンスに集中できませんでした。カット割りもやたら細かくて、アップからロングへさらにロングでもアングルを変えてと目まぐるしく変化するので、せっかくのダンスも歌も楽しめなかったんですよ。最近のジェットコースタームービーの編集テンポをミュージカルにそのまま持ち込んだという感じ。アクションシーンの勢いや臨場感を出すのに、細かいカット割りは有効なのですが、それをミュージカルのダンスシーンでやられると、観ている方は何だかムダに疲れちゃう。せっかくの群舞もじっくり見せてくれないし、1カットが短すぎて、何が映ってるのかわからないようなカットもあり、ロブ・マーシャル監督も、アメコミ映画に感化されちゃったのかと言ったら言い過ぎかしら。

さらに、マーク・シャイマンによる楽曲も前作に比べると印象に残るものが少なくて、「チムチムチェリー」「鳩に餌を」といったしっとりと歌い上げるものがなかったせいか、メリハリを欠いてしまったように思います。前作を観たのが30年以上前なので、思い出補正がかかっているのは認めちゃうのですが、何か物足りなくない?って思えてしまったのですよ。大恐慌時代と字幕に出るのに、貧しい人々は登場せず、お金に困っている筈のバンクス一家もでかい家に住んでいるし、何かこうフワフワしているんですよ。別に貧乏くさい映画を作れと言ってるわけではないんですが、前作にあった、お金持ちの子供たちと対照的に描かれる貧乏な市井の人の存在感がないのは、やっぱり物足りなく感じちゃうのですよ。

アニメと実写の人間の合成は当然のことながら、ものすごくスムースなのですが、どうせCGなんでしょって思うと、前作のような驚きを感じることは難しいです。でも、この映画に盛り込まれた趣向は、前作でやったことをスケールアップして見せようという意図が感じられます。また、前作をかなり意識したところがありまして、クライマックスで前作の主演のディック・バン・ダイクが特別出演したり、タイトルバックの絵は、前作の特撮を担当したピーター・エレンショーのマットペインティングを元に描いたと字幕が出たりします。さらに、アンジェラ・ランズベリーがご存命でラストで登場するのもうれしい趣向ですし、そういう作り手のサービスを楽しむこともできるのですが、でも、それなら前作をもっと説明してもいいんじゃないのと思うのですが、この映画はどういう世代をターゲットにしているのかなあ。

演技陣は、ヒロインを演じたエミリー・ブラントに歌って踊れる以上の魅力を感じられなかった(好きな方にはごめんなさい)のですが、脇の面々がなかなかよくって、ごひいきエミリー・モーティマーは時として、子供のような表情を見せるときがあり、それが前作とのつながりを感じさせる名演でしたし、ピーター・ファースが、大して悪い奴ではない男を、敵役のように演じて見せたあたりもお見事でした。ジュリー・ウォルターズやデビッド・ワーナーといったベテラン勢も手堅く脇を固めました。パパであるマイケルを演じたベン・ウィショーは、前作の男の子が大きくなったという設定に説得力を与える演技で好演していますが、その分、父親としてはどうなの?という部分が良くも悪くも曖昧になっちゃったのが残念でした。とはいえ、2時間10分という長さを感じさせずに一気に見せちゃうパワーのある映画なので、ご覧になってモトは取れる映画になっています。でも、メリー・ポピンズのお話で、2時間以上を一気に見せる必要はないんじゃないのという気もしました。こういうお話なら、もっとゆっくり読み聞かせるような演出でもいいと思うのですが、それだと若い子が退屈しちゃうからダメなのかなあ。何ていうのかな、ゲームのように次々と敵やイベントが登場しないと、観客がついてこれなくなってきているのかなって気もしてきて、ちょっと考えさせられてしまいました。



この先は結末に触れますのでご注意ください。



結局、株券は見つからないまま金曜日の夜を迎えてしまいます。荷造りをしてジェーンのアパートに引っ越すことになるバンクス一家。末息子が自分で修繕した古い凧を持ってくるのですが、そのつぎはぎをした紙がなんと探していた株券でした。でも、約束の期限が迫っていて、銀行へ12時までに持っていかないと家は取り戻せなくなっちゃいます。ジャックとその仲間が自転車をビッグベンへ走らせて時計の針を遅らせようとしますが、やっぱり間に合わない、間一髪メリー・ポピンズが空を飛んで時計の針を遅らせることに成功し、マイケルは、12時の鐘が鳴る前に、凧ごと株券をウィルキンズのもとに届けます。つぎはぎの紙を剥がして株券の形にするのですが、サインの部分の紙が見当たりません。もはやこれまでかとあきらめるマイケル達の前に、かつてのマイケルの父の友人であるドース氏(ディック・バン・ダイク)が現れて、甥っ子をクビにして、マイケル達の借金がかつての投資によって完済できることを教えてくれるのでした。全てが丸く収まってめでたしめでたし。一家そろって春祭りに出かけるとそこには風船売り(アンジェラ・ランズベリー)がいて、彼女が風船を渡すと、マイケルやジェーン、子供たちが空に舞い上がります。町の人たちも空に舞い上がるのでうsが、ジェンキンスだけは無理だったみたい。家に帰ってくると、桜の花が満開で、突然ドアが開いて桜吹雪が舞い上がります。その時が来たと認識したメリー・ポピンズは、再び空へと帰っていくのでした。暗転、エンドクレジット。

クライマックスは勢いで盛り上がるのですが、ジャックやその仲間が頑張って時計を遅らせようとしてダメかと思ったら、メリー・ポピンズが空飛んで、時計の針を止めるというのは、何だか拍子抜け。だったら、ジャックたちに頼らずに、最初からメリー・ポピンズ飛べよって思っちゃいました。株券のサイン部分が足りなくて、もう駄目だと思ったら、ドース氏の突然の登場で形勢逆転というのも、何だか都合よ過ぎ。脚本が息切れしちゃったような強引なハッピーエンドは、何だかうーんって感じ。ここも結末はあやふやになりがちな、ノンストップアクション映画みたいで、何か荒っぽいんですよね。細やかさが足りないって感じ。さらに、メリー・ポピンズが去っていくのも唐突で強引。最後まで観ても、今回、メリー・ポピンズは何しに出てきたんだろうってところはよくわからないまま。そういうところを一切気にさせない作りならいいのですが、この映画、そういうツッコミが出るくらいにはユルい展開なので、観た後味は微妙になってしまいました。私には、役者を楽しむ以外は楽しめるところの少ない映画だったのが残念。前述のようにせめて歌と踊りの部分が楽しめなかったのが痛かったですが、その辺りは好みの問題になりましょう。実際、他の方のレビュー拝見すると評判いいですからね。でも、私にはあまり相性が良いとは言えなかったようです。

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楽曲はあまり印象に残るのが無かったですね。
そして、時計の針を戻すシーンは、私も同じ事思いました(^_^;)
メリー・ポピンズは、妻(母)の死から立ち直れていないマイケルと子供達のために来たのかなと思いましたが、後半は借金返済の話になっちゃいましたね。まあそれでも、マイケルと子供達のわだかまりが消えたので任務終了だったのでは。
私の様に元々ミュージカルが得意でない者向けに、ダンスや歌が短めだったのかも。
TBさせてくださいね。

2019/2/18(月) 午後 9:06 木蓮 返信する

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もくれんさん、コメント&TBありがとうございます。評判のいい映画なんですけど、私にはいろいろとツッコミどころ多かったです。奥さんが亡くなって、家族が沈んでいるという設定があまり伝わってこなかったのが、メリー・ポピンズの登場の理由が見えにくくなっちゃったのかも。オリジナルの映画には、もっと驚きと華やかさがあったように思ったのですが、時代が変わったってことなのかしら。

2019/2/19(火) 午後 6:16 [ einhorn2233 ] 返信する

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少し前に観た「大人になった僕とプー」を想起しながら観てきました。ハードなイメージのエミリー・ブラントでしたが、歌も上手くてこういう役も出来るんだ!と感心しました。
TBさせて下さいね。

2019/3/3(日) 午後 7:18 アンダンテ 返信する

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アンダンテさん、コメント&TBありがとうございます。エミリー・ブラントというと「ガール・オン・ザ・トレイン」「ボーダーライン」などのちょっと病んだヒロインのイメージが強くて、こういう役はなかなかすんなりと入って来なくて、脇役の方が印象に残ってしまいました。歌もうまいと思うのですが、何か裏がありそうに見えちゃって。

2019/3/4(月) 午後 7:35 [ einhorn2233 ] 返信する

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