廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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今日の日経新聞朝刊1面に

日銀の「国債買い取り1.8兆円に増額」(月額)

という記事が載っていました。

この毎月の買い取り額の変遷は、3面に図1のようなグラフが:




図1 日銀の国債買い取り額(月次ベース)
イメージ 1




さて、これを見て私、「はてな?」と思いました。

というのは、上の図だと、06年3月に「量的緩和」が解除されたあとも、月次の国債買い取り額が減っていないからです。

さて、下の図2に日銀の「財務諸表等」を元にした日銀の国債保有残高の推移を示します:




図2 日銀の国債保有残高と「発行銀行券」残高の推移
イメージ 2




これを見ると、

国債保有残高は04年3月に100兆円のピークを打ち、

量的緩和が解除された2006年3月以降は急速に減り、

最新のデータ(09年3月10日現在)では64兆円にまで減ってきています。


ところで、図1を見ると04年以降、月次の国債買い取り額は減っていません!

ということは、「国債買い取り額(月次)」と実際の「国債保有残高」とは無関係、ということになりますね!

また、「量的緩和」をしていた間は「国債を刷れ!」p.219の【図表69】に示したように
「国内銀行貸出約定平均金利」が低下し、「量的緩和」解除後は再び上昇に転じています(下図)。
(なお、「量的緩和」については「国債を刷れ!」p.219あたりで詳細に解説しております)
イメージ 3


以上を整理すると、
・「国債買い取り額(月次)」を増やしたからといって、金利水準が低くなるわけではない。
・「国債保有残高」が高い水準で推移していた「量的緩和」の時期は、金利が下がっていた。

ということになります。

さて、もう一つ、国債保有残高について、日経記事(3面)では次のような内容が
内部ルール維持

日銀には保有する長期国債の残高を、
自らが発行し市中に出回る日銀券(お札)の発行残高以下に抑える
という内部ルールがある。

現在は、長期国債保有残高は44兆円で、
日銀券残高は76兆円。
約30兆円の余裕があるが、月1兆8千億円を買い続ければ単純計算では1年で約21兆円になる。

白川総裁も「数年で上限に近づく可能性が高い」とした上で「ルールを見直す考えはない」と明言した

ここで、改めて図2を見ますと、国債保有残高が100兆円になっていた04年3月は、
銀行券残高が71兆円なので

一見すると国債保有残高が銀行券残高を30兆円上回っています。

が、しかし、長期国債(日銀の財務諸表等を見ると、2年物以上のものを指すようです)はこのとき65兆円で、短期が34兆円ということで、

長期国債だけをみると日銀券ルールは守られています。


つまり、

長期国債については約30兆円の余裕しかありませんが、

・短期国債(政府短期証券、短期割引国債など)については「内部ルール」の変更がなくても、
 機動的に増やせる(ピーク時の33兆円に対して最新は20兆円で13兆円小さい)

・日銀券の発行残高を増やせば、長期国債の買取限度も増やせる
 (日銀券は1990年が大体30兆円くらいで、2009年現在が76兆円、19年間で46兆円増えています)

ということになります。


白川総裁は
今回の措置は「あくまで金融調節上の必要性に基づく」と説明、
政府の財政出動との関係を強く否定した。
(同 日経3面の記事)
とのことです。


つまり、
追加経済対策⇒国債増発をにらんで日銀が国債の受け皿になる、
という意味あいでの買い取り額増額ではなく、

あくまでも、
金融調節(資金供給を増減させて国債に限らず市場全般の金利を調整する)の一貫ですよ、
とのこと。


まあ、金融調節の名目であれ、なんであれ、

政府が国債を増発しても、

市中の金利が暴騰したりしないように、

上に書いたように「機動的」に短期国債の保有を増やしたり、日銀券を増発したりしてもらえれば、

まったく文句はありません。


実際、量的緩和の時はそれをしっかりやっていましたね^^。


と考えると、「国債を刷れ!」の第2章で「日銀がなかなか国債を買いたがらない」と日銀に対して批判的な論調で書いてしまいましたが、批判し過ぎではなかったと反省しています。スミマセン^^;。
(「問題は日銀の金融緩和が足りなかったというよりは、政府が支出を減らしていたこと」、のような話は第4章で書きましたが^^)

ただ、日銀の意図・メッセージというのは、
このように、よくよく詳しく見てみないと、なかなか正確には分からないですね。
この分かりにくさは、この危機的状況においては問題と言えそうです。


私は現在のところ日銀の政策にはかなり肯定的ですが、

いざ機動的な対応がどうしても必要な状況となれば、
やはり、政府紙幣の発行の必要性も出てくるだろうと思います。

⇒というのは、政府紙幣発行なら国債(=国の借金)を増やさないので、誰から見ても分かり易いという観点で。

ただ、やはり、「政府紙幣の発行はインフレ率3%以下の時に限る」など一定のブレーキとなる法律も規定すべきですね。



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ついにバーナンキ議長が本領発揮しはじめましたね。

以下に 【年間インフレ率2〜4%・上方バイアスを取り除いて年間インフレ率1〜3%が 「年間インフレ率の適正レンジ」 である】 と主張されている根拠を書いておきます。ぜひ参考にして下さい。


\府統計の物価指数は、普通は固定ウェイト算術平均だが、これだと代替効果を無視している(値上がりしたら他のものを買うことで効用水準は維持できる)ため理論的な物価より必ず過大評価になる。つまり、いわゆる上方バイアスがかかる。

▲汽鵐廛螢鵐阿量簑蝓淵弌璽殴鵑箸色々)

で、アメリカではそのせいでとりあえず+1%の誤差が年間インフレ率に生じると言われている。もっとも日本に関しては、日銀の白塚重典氏が以前は+1.5%くらいだと言っていた。だが最近は0だそうだ。で、とりあえず両方の中を取って+1%。

I垓靴亡戮辰燭箸にも名目金利はゼロ以下にはできない。だから、ゼロで景気刺激効果を持たせるには、実質金利がマイナスになるだけの糊代が必要。これが+1%。 削除

2009/3/20(金) 午前 2:58 [ HM ] 返信する

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⇒で、合計2%を年間インフレ率の下限ラインにしましょうということを、FOMCでグリーンスパン議長の質問を受けたときにジャネット=イエレン・サンフランシスコ連銀総裁が主張し、とりあえず受け入れられ、FRBでは 「年間インフレ率2%を物価安定と定義する」 ということになっている。

⇒年間インフレ率の上限ラインについては、デフレ以前の経験として年間インフレ率5%になると文句が出るから、上限は年間インフレ率4%にしましょうということになっている。

☆年間インフレ率2%未満・上方バイアスを取り除いて年間インフレ率1%未満のデフレのときは通貨発行益(seigniorage)の活用が許されるし、また、活用しなければならない。

☆年間インフレ率2〜4%・上方バイアスを取り除いて年間インフレ率1〜3%のレンジに達したら通貨発行益の活用を止め、この適正レンジ内でドーマー条件を満たした財政・金融政策を巡航させる。


以上です。 削除

2009/3/20(金) 午前 3:15 [ HM ] 返信する

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以下は 「銀行券ルール」 についての見解です。


日銀が貸借対照表上での負債を考える意味があるとすれば、インフレを抑制するため市中から貨幣を回収する時に、民間に売却する資産が十分なければ困るという話。

紙幣の発行を資産の購入によって行えば、回収する際にはその資産を売却すれば良いが、政府紙幣のように資産購入を行わない場合には、回収手段がないという話。

これはさらに一般化され、たとえ国債買いオペで紙幣を発行しても、インフレになって金利が上がると国債の市場価格が低下し、十分な額の紙幣の回収ができなくなるという 「長期国債買い切りオペのリスク」 という話になる。 削除

2009/3/20(金) 午前 3:34 [ HM ] 返信する

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これに対する回答は、バーナンキによる 「そんなに気になるなら政府に国債刷って貰って贈与(あるいは増資)してもらえばよろしい」 というものがある。また、インフレになって価値が低下する資産を買うのが嫌なら上がる資産を買えばよろしい。たとえば外貨はインフレになって円安になれば価値が上がるから売却すれば購入時に散布した以上の貨幣を回収することができる。また上場投資信託(ETF)など格式関係資産でも同じ。それも嫌なら物価連動国債を買えばよろしい。これはインフレに連動して価値が上昇することが保証されている。

だが、そんなことしないでも、準備率を上げる(今は異常に低くなっている)とか、準備預金付利の金利を上げてしまうとか、他の方法はいくらでもある。


以上です。 削除

2009/3/20(金) 午前 3:34 [ HM ] 返信する

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HMさん、
情報提供ありがとうございます!
非常に参考になりました^^

2009/3/20(金) 午後 1:01 [ ヨッシーニ ] 返信する

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