廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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FRB驚愕の危機対応

最近、
FRBのバランスシート
(正確には米国通貨当局の金融調節バランスシート
を見る機会がありました。

正直もの凄いことになっています:
イメージ 1


米通貨当局の金融資産は、

07年末には約95兆円しかなかった(ということは、日銀の総資産より小さかった)のが、

08年末には約132兆円増の約227兆円(日銀総資産の倍)に膨らんでいます。


金融資産の中で大きく伸びたのは

・国内銀行貸付+51兆円

・CP買取機構への貸付+33兆円
 (みずほ銀の資料によると、
  実質的にはFRBによるCP買い切り)

・米国政府保有の非政府外貨建て資産+53兆円
 (↑あまり意味を考えずに直訳していますが、
  FRBの他の資料によると、ほぼ全部通貨スワップによる
  他国の中央銀行に対する貸付です)

です。

上記の巨額な資産増加と比べると霞んで見えますが

・AIGやベアスターンズ関係のRMBSやCDO買取りの金融受け皿会社(Maiden Lane)
 への貸付

なんて項目もあります。
 
なお、
AIGのCDO買取り云々については、
Maiden Lane III LLCという、ニューヨーク連銀とAIGが出資した金融受け皿会社が、
AIGが発行していたCDSの元本であるところのCDOを全て買い切ったので、
AIGのCDS契約は全部終了したらしいです。

 ↑これは、AIG参照です。

なんのこっちゃかというと、
CDSというのは債券の保険でしたね。

そして、
上記のCDOというのは色々な債券がごった煮になったパッケージ商品です。

で、
AIGはこのCDOに含まれる債券の発行元が破綻すると多額の保険料を払わないといけないので、
このCDOを捨て置くとどれくらい損失が出るか分からんとなるわけです。

で、
とりあえず、FRBが出資や貸付で目いっぱいお金を都合してくれて、
受け皿会社でそのCDOを買取り、それによって
AIGはCDSの保険料支払いがいくらになるか、という心配をする必要がなくなったことになります。

つまり、これで
「AIGつぶれるかどうか心配だー!」という心配だけは、とりあえずは払拭できた模様です(たぶん)。

ただ、その受け皿会社で買い取ったCDOの価値がこれからどうなるかという問題はありますが、

それは
FRBや米国政府のみならず、
世界中の中央銀行と政府がいかに金融システムの安定&景気回復のための対策(金融緩和や財政出動や、会計ルール変更その他システムの調整など)で、
うまく世界経済を回復基調に戻せるかどうかにかかっている、ということになりますね。

それは基本的には
・「これ以上、巨大な金融機関の破綻は起こさせない。政府がきっちり保証する!」
 +「今後もがっつり財政出動する!」と宣言した上で
 実際に財政出動+金融緩和を実行する

ということを、言い方はどうであれ、やるしかないしでしょう。
(現にやっていますが^^)

さて、もう一つ面白いのは、

・通貨当局(主にFRBですが)の米国債の保有残高が26兆円も減っている!

ですね。「買い現先」という「国債を担保にした貸付」も国債保有量に含めたとしても、買い現先は3兆円の増加でしかなく、

これだけFRBの国債保有量が減っていても10年物米国債の金利は

07年末4.1% ⇒ 08年末2.4%

低下しています。

なお、
09年4月22日現在ではFRBの米国債保有残高は53.4兆円、10年物国債金利は2.9%です。

08年末と比べるとFRBの国債保有残高は若干増えていますが、07年末と比べればまだまだ少ない数字です。

FRBがそれほど買い支えなくても米国債に買いが集まっているという、少々意外な状況であることになります。

さて、
とにもかくにも米通貨当局の金融資産が1年で130兆円増えたことに違いはありません。
その資産を増やすための資金はどうやって調達したのでしょう?
もちろん、お金を刷っているわけです。
ただ、文字通り「印刷」しているわけではありません

上の表を見ると、お札(というか現金)の増加はわずかに6兆円程度です。

何が増えたかというと、主に

・手元現金を除く預金金融機関の預金準備 +84兆円

政府預金 +35兆円(*)

となります。

*国債保有残高が26兆円も減っているのに、なぜ政府預金が増えているのかはナゾです。 根拠ありなし問わず、この辺り検討のつく方は是非コメントください!

ここで、
「手元現金を除く預金金融機関の預金準備」というのは、
日銀で言えば金融機関向けの「当座預金」と考えて良いと思います。

これと、政府「預金」が増えている。

通貨当局は帳簿上でピッポッパッとやるだけで「通貨」を増やしてしまっているのです。

これぞ「中央銀行マジック」ですね^^

なお、
信用創造(Money Creation)の元となる「マネタリーベース」には、「政府預金」は含まれません
基本的には「現金+民間金融機関の預金準備」です。

が、とにもかくにも
FRB、もの凄いことをやっています。

ところで、
ミルトン・フリードマン「選択の自由」第3章(文庫版上巻p.178)によると
1929年大恐慌の時にFRBが取った行動はというと:
連邦準備制度(FRB)がとった行動は、1920年代初期の景気後退期とはきわめて異なるものだった。

すなわち、準備制度は景気後退の影響を緩和するために通貨供給量を通常の場合より積極的に増大させるのではなく、1930年を通じて通貨量がしだいに減少するにまかせた。



株式市場崩壊の余波と1930年1年間における通貨量の漸減(わずか2.6%の減少)とが相まって、きわめて厳しい景気後退が起きた。
また
33年が大恐慌後の景気の底でしたが、
1930年末から33年初めにかけて通貨量がほぼ3分の1も激減した
のように書かれています。

さて、
今度の大不況では、
「準備制度は…通貨量がしだいに減少するにまかせた」
などということはなく

07年末⇒08年末

マネタリーベースは倍増(+100%)
M2は1.09倍増(+9%)

のように通貨量を増やしています。

大恐慌の時とは全く対応が違っています。

ところで、
29年と比べると33年の政府支出はマイナス7%でした。

政府支出の減り幅と比べると、通貨量の減少はかなり激しかったわけです。

そして、29年と比べて33年のGDPはマイナス46%、ほぼ半減です。

それゆえにフリードマン博士は「景気を良くするには財政出動より通貨量の増加」と結論付けたのだと思います。

しかし、

2001年から06年にかけての日銀の量的緩和のときは

マネタリーべースでは1.66倍(+66%)
M2は1.3倍(+30%)

でしたが、同期間、名目GDPは5年かけてわずか+2.4%
世界的大好況の中、日本の名目成長率は世界最低でした。

この間、日本の政府支出はマイナス5.7%です。

このような日銀の量的緩和の事例から、
金融緩和、通貨量の増加だけでは景気は良くならないということが分かります。

やはり、デフレ不況には「金融緩和+財政出動」です。

そして、
日米を始めとして、今、まさに世界中で「金融緩和+財政出動」をやっているし、さらに追加的に実施しようとしていますね。

なお、
FRBの政府預金35兆円を政府が使用し、民間に放出すれば、それはマネタリーベースの更なる増加を意味します。つまり、更なる「金融緩和+財政出動」となります。

(なお、次回は、日銀の過去一年のバランスシートの変化を見てみたいと思います。)

それにしても、たった1年の間に世界第二位の経済大国日本の中央銀行の総資産を上回るくらいのマネーを増やせる仕組み、ちょっと帳簿をいじって預金を増やせば通貨が130兆円も増やせる仕組みがあるとは、プリンセス天功も真っ青、ジャン・クロード・バンダムもっと真っ青、と思われた方は、こちらのリンクのクリックをお願い致します↓ m(_ _)m

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閉じる コメント(16)

正直真っ青になりました・・・・

2009/4/26(日) 午後 10:56 [ 古の碧き泉より ] 返信する

マネータリーベースの倍増は昨年のリーマン以降の3ヶ月間ぐらいのうちの起きましたね。アメリカが200年かけて達した8千億ドルというハイパワードマネーが3ヶ月間で1兆6千億ドルになったわけですから、すごいですね。

でも、すべては結局「銀行救済」という名のマネーゲームに見えてしまいます。儲けるのは金融資本家、つけをはらうのはインフレという名の税金を払う市民です。

2009/4/27(月) 午前 0:16 [ 9回裏二死満塁 ] 返信する

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この一件に関しては、バーナンキ氏は為すべきことを行っていると思います。

恐慌への対応はケインズとフリードマンの見解が一致しています。

ケインズは良く知られるように有効需要を満たす為の財政出動、および、自由な金融支援を行うための金本位制離脱→管理通貨制度移行を訴えました。

フリードマンはクレジットクランチ(金融市場の資金ショート)を防ぐ為の金融緩和を訴え、および、付随的な財政拡張を認めました。

両者はどちらに軸足を置くかが違うだけで、結論はほぼ同じです。そもそも第二次大戦後しばらくまでのフリードマンはケインジアンだったのです。

バランスシートを見るととんでもないですが、これだけやってるから実体経済がきちんと動いていることを忘れてはいけないと思います。 削除

2009/4/27(月) 午前 2:20 [ HM ] 返信する

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どのようにして,このように貨幣量を増加することができるのか,とても興味があります。

2009/4/27(月) 午前 5:16 [ おじゃま ] 返信する

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FRBのバランスシート掲載ありがとうございます。
>通貨当局は帳簿上でピッポッパッとやるだけで「通貨」を増やしてしまっている
すいません、掲示素人の弟子にご教授を。この意味がよくわかりません。どういうことでしょうか?しかし、日銀もそうでしたが、国債が買い取っているという割りに、増えていないのに驚きました(@@!)

2009/4/27(月) 午前 8:46 [ 鉄人4号 ] 返信する

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PHPの月刊誌「Voice」でポール・クルーグマン教授が、

“FRBはとてつもなく確信的で、積極的に行動しています”

と発言していましたが、このことを言ってたんですね。

私は昔、Money Creationを詐欺じゃないかと思っていたこともありま
したが、考えが表面的で浅かったんですね。これを否定したら経済は動かないし、みんなが苦しむことになるんだ。 削除

2009/4/27(月) 午前 8:46 [ 鹿飛佐吉 ] 返信する

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ほとんどインチキに近い「創造」のような気が。。。
しかし、魔法のようですが経済活性化には必要なことなんでしょうね。
こういうことができるのは、自国通貨を価値基準としうるアメリカと日本くらい、
ということになるのでしょうか?

2009/4/27(月) 午前 10:00 [ みとみ ] 返信する

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9回裏二死満塁 さん、

「金融機関をえこひいきしやがって!」というのは私も良く分かります。しかし、「リーマンは投資銀行なので信用創造には関係ない。勝手につぶれてしまえ」をブッシュ政権がやってしまい、その後はどえりゃー大混乱になってしまったわけです。「ブッシュはベアスターンズは救ったのになぜリーマンはつぶした?」「次はどこが破綻するか、分かったもんじゃない」「大手金融機関でも政府は救わないのなら、うかつにカネは貸せない」ということで、世界中の金融機関が相互不信におちいり、お金がうまく回らなくなりました。そのコストはかなり高くついたでしょう。リーマンショック以降の半年で、アメリカだけでも失業者が350万人以上増えています。

また、
インフレ税については、先月のアメリカCPIの前年同月比がマイナス0.4%です。過去一年でマネタリーベース倍増でも、インフレどころかデフレなのです。
失業者数、インフレ率はこちら⇒ http://www.bls.gov/

2009/4/27(月) 午前 10:08 [ ヨッシーニ ] 返信する

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(つづきです)
「インフレ税」よりも「失業税」の方が圧倒的に大きいのです。「金持ち優遇」であることを気にしすぎると、結局は大勢の一般庶民が失業の形で割を食うことになります。ここは適度なバランスが必要であると言えるでしょう。

また、インフレ率以上に賃金が上昇すれば実質所得は増加しますので、インフレになっても「インフレ税」になるとは限りません。それに、インフレと失業率のトレードオフについても吟味が必要です。サッチャー時代の英国では、見事に高失業率のときは低インフレ、低失業率のときは高インフレになっていました(たしかこのトレードオフの関係をグラフにしたのが「フィリップス曲線」だったかと思います)。

2009/4/27(月) 午前 10:11 [ ヨッシーニ ] 返信する

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Xマンさん、

ピッポッパについては、本日のネタにしてみますね^^

2009/4/27(月) 午前 10:12 [ ヨッシーニ ] 返信する

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>政府預金が増えているのかはナゾです

http://www.financial-j.net/blog/2009/01/000800.html
(胴饑府が米国債を発行する。
△修亮入で政府は金融機関に資本注入し、FRBには財務省預金をつくる。
その金でFRBは金融機関への緊急融資やCP・不良資産購入を行う。
ざ睛撒ヾ悗論府やFRBからの金で再び米国債を購入。残りはFRBの準備預金へ。
ダ府は資本注入、FRBは増えた預金で・・・(以下、繰り返し)


と、政府とFRBと金融機関の間でドルをぐるぐる回しているだけ。その結果が、FRBの資産倍増となっている。実体経済には殆んど金が回らないメガバンク救済スキームだ。

上記に答えがあるように思いますが私にはよくわかりません。

2009/4/27(月) 午前 10:26 [ オール ] 返信する

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もうひとつすみません。http://research.stlouisfed.org/fred2/series/AMBNS?cid=124
この表は通貨発行量だと思っていたのですがなにせ素人でしかも英語が読めないときた。この表のリーマン後の急上昇も帳簿上でピッポッパッによるもの?
よかったら教えてください。

2009/4/27(月) 午前 10:28 [ オール ] 返信する

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失礼しました。答え書いてありましたね。 削除

2009/4/27(月) 午前 11:05 [ オール ] 返信する

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みとみさん、
たしかにインチキです。ただ、マネーが増えなければGDPも増えることはないですので、やはり必要な「インチキ」と言えますね。まあ、水戸黄門の印籠みたいなものではないでしょうか(笑)。

>こういうことができるのは、自国通貨を価値基準としうるアメリカと日本くらい、ということになるのでしょうか?

ということはありません。世界中でやっているはずですので(ただ、外貨建て対外債務でこけたアイスランドなどの国は大変でしょうね)。例えばイギリスBank Of England(BOE)の金融資産は、簡単のために1ポンド150円として換算すると
07年末15.3兆円⇒08年末35.7兆円と2.33倍になっていますが、ポンドはドルに対して25%の下落に留まっています。
また、BOEの金融資産は09年2月末には26.5兆円にまで落ちてきているので、英国の危機も、とりあえずひと息ついているのかも知れません。

2009/4/27(月) 午前 11:20 [ ヨッシーニ ] 返信する

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オールさん、

>政府とFRBと金融機関の間でドルをぐるぐる回しているだけ。その結果が、FRBの資産倍増となっている。実体経済には殆んど金が回らないメガバンク救済スキームだ。

このお話、ご紹介ありがとうございます。

マネタリーベースは倍増(+100%)なのに
M2は1.09倍増(+9%)でしかない

ので、まさにその辺りに答えがあるようです。

ご質問のグラフはセントルイス連銀がソースになっているようなのですが、FRBのマネタリーベース統計と同じ数字のようです。http://www.federalreserve.gov/releases/h3/current/h3.htm

なお、FRBは全米に12ある連銀(NYが主力)を束ねる親玉みたいなものです。

>失礼しました。答え書いてありましたね。

いえいえ。まさに、ピッポッパ、「ハンドパワー」ですね。

2009/4/27(月) 午前 11:29 [ ヨッシーニ ] 返信する

>ヨッシーニさん
お忙しいところご返信頂きありがとうございます。
「金融機関をえこひいきしやがって!」とは・・・確かに思っています(笑
ただ、今回クライスラー救済で、政府が行っている第1位債権者(JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、シティグループとの交渉を見ていると、どうしても思っています。1978年にやはりクライスラー救済の際にボロ儲けした手口とほとんど同じですから。

なるほど・・・「失業税」と言う考え方もあるんですね。余談ですが、統計の授業の時、意味を成さないグラフの代表例として取り上げられたのがフィリップス曲線でした・・・。ご存知かもしれませんが下記URLにアメリカでの失業拡大がマップで、時系列に変化していく様子が見て取れます。最初見たときは伝染病のアウト・ブレイクかと思いました。
http://www.slate.com/id/2216238/

2009/4/27(月) 午後 0:53 [ 9回裏二死満塁 ] 返信する

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