廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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これ以上国債を増発して、金利が上昇したら大変だーと、

まるで財務省HPに書いてあるようなことを、
昨日の朝日新聞の社説「100兆円予算―こんなに借りて大丈夫か」で書いてあるのですが(コメントでご紹介いただきました。ありがとうございます!)

国の借金がどんどん増える中で金利がダダ下がり

なのは、これまで何度も書きましたとおりです。

過去20年の国債金利グラフを再掲します
https://blogs.yahoo.co.jp/IMG/ybi/1/9f/c5/eishintradejp/folder/725004/img_725004_14802970_0?1239509558
そして、この朝日社説では、↓こんな、そろそろええ加減聞き飽きたフレーズ
日本の債務残高の国内総生産(GDP)比は170%にも達しており、主要国で最悪だ。60〜80%の米国やドイツ、フランス、英国などとは出発点が違う。

これまでも散々、国の債務GDP比と国家破産とは全く関係ないと書いてきましたが、
論より証拠、「燃えよニンジャ」はショー・コスギなデータを示します↓

イメージ 2


上記データは07年のものではありますが、
アイスランド、韓国、ハンガリー、英国

聞いただけで、ヤバい!という響きがする国々の一般政府負債GDP比は、日本やイタリアのような目下、安定している国と比べてずっと低いですね。

しかも、
アイスランド、韓国に至っては、一般政府純負債がマイナス
つまり、
国の実質借金がゼロどころか、国があり余る金融資産を持っているのに、実質的に国家破綻した、または破綻しかけているのです。

ということは、

国が財政再建=債務GDP比を減らしたりした日には、却って国家破綻するんじゃないの、朝日さん?

と、思わずツッコミを入れたくなる今日この頃であります。

さらに上記社説では、「金利が上昇したら、国の金利負担が増える」ことだけを書いて「大変だー」と書いてあるのですが、金利が上昇したら、国民の金利収入も当然のように上昇ですね。

ところで、
日本国債の金利が低いことの理由については、いままでも色々説明してきましたが、
先日、読者の方がコメントでフィッシャーの貨幣数量方程式について書いてくださっていましたので、これを使った説明もしてみたいと思います。

Mv = PY

M :貨幣供給量
v :貨幣の所得流通速度
P :価格水準(デフレーター)
Y :産出物の数量 (実質GDP)

です。

さて、
PはGDPデフレーター、Yは実質GDPなので、
PY=名目GDPと見ることが出来ます。

また、Mをマネーストック統計のM2とすると、上の式は

v=名目GDP÷M2

と変形することができ、お金の回転速度を計算できることが分かります。

ということで、お金の回転速度の日米比較です(下図)

イメージ 1


米国ではお金の回転速度が長期的に上昇傾向

日本ではこの30年で半分以下となる大幅な下落ですね。


ついでに国債(10年物)金利もプロットしました。

国債金利とお金の回転速度は直接関係あるわけでもないのですが、
90年以降、日本の速度がどんどん減っていく中で、日米の金利差が開いていっている様子が分かります。

お金の回転速度が落ちているということは、お金が余っている、だぶついているということです。

また、
国債発行は信用創造のプロセスを通じて、世の中のお金の量を増やすということは以前、説明しました。

そもそも、国債自体が元本保証の定期預金と全く同じものなので、通貨そのものであることも以前、説明しました。

極端な話、

国の借金がGDP比で多い=お金がだぶついている=お金の速度(GDP÷M2)が低い=国債金利が低い

と言えます。

日本経済の問題は、国の借金が多すぎて国が破綻しそうとか、そんなことでは絶対にありません。

問題は、お金が回転していないことなのです。

Mv = PY
の式に戻りますと

日本では、90年→07年の間に

M(M2)は1.5倍増加しています。
PY(名目GDP)は1.15倍増で、Mほど増えていません。

Mは増えているが、PYは増えていないのです。

そして、
PY=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出
ですね。

PYを増やすにはどうしたらよいか?
を考えてみましょう。

金融緩和つまり、Mを増やすだけでは増えなかったわけですし、

そして、PYの中で能動的に増やせるのは政府支出のみです。
(民間は不景気では萎縮して支出を自分から増やすことはなく、純輸出は他国次第です)

また、政府支出は95年以降は横ばいまたは減少でした。

ということは、
PYを増やすには、
今やるべきは政府支出を増やす以外にはないということです。

もちろん、
できるだけ民間消費や民間投資を促がす工夫(福祉を充実させて、安心感を高め、安心して消費できる環境を整えるとか、将来のためにエネルギー的独立を高めるための民間投資を刺激するような政府支出を増やす)も必要ですね。

さて、

「朝日さん、政府債務のGDP比が日本よりずーっと低いアイスランド、韓国、ハンガリーなどの国々が次々と破綻した、または破綻の危機にさらされつつある事実を、ちゃんと調べてから社説書きなはれ!」「ええ加減、【債務GDP比が先進国最悪で国の借金は大変だ教】の説教にはウンザリ。マスコミはこんな変な宗教の布教活動というか不況活動(?)ではなくて、論理的で建設的で科学的な公共の福祉に資する報道活動をしなはれ!」と思われた方は、こちらのリンクのクリックをお願い致します↓ m(_ _)m

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閉じる コメント(19)

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大恐慌脱出期に、各国の銀行貸出の増加が起こったのは景気回復後です。なぜなら、デフレ期にはキャッシュへの選好が高まるため、市中(家計+企業)は不況である反面、実は資金余剰主体となるためです。

使われずに資金が市中に退蔵されるからこそ不況が起こっているのであって、家計+企業にとってはまったく合理的な行動です。投資や消費を選択せずにお金を溜め込んでいるわけですが、この市中退蔵マネーのことをフリーキャッシュフローといいます。

誰もがリスクをとらない行動に出るのが合理的なわけですが、経済全体では不況が起こっているわけです。 削除

2009/4/29(水) 午後 1:11 [ . ] 返信する

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さて、大恐慌脱出時、各国の中央銀行は自らリスクをとり金融緩和を実施します。その結果起こったのは…

金融緩和→自国通貨安・株高→消費・投資の回復→銀行貸出の増加

という順番でした。
この順番はまったく合理的です。なぜなら、よりリスクをとろうとする主体がプレイヤーになっている部分から回復したからです。景気の回復期、まずは投資家がリスクをとります。その結果の自国通貨安・株高です。その後、その流れは企業の投資・家計の消費へと点火します。しかしこのとき、企業と家計は実際手元にこれまで溜め込んだフリーキャッシュフローを使って投資・消費をします。そのためまだこの時点では銀行貸出は伸びません。伸びないというか、フリーキャッシュフローが手元にあるため、銀行貸出に対する資金需要自体がないのです(この時点で銀行貸出を行えうほどのリスクをとる場面じゃない=貸出実質金利がそこまで下がりきっていない状態)。そしてフリーキャッシュフローがあるていど市場に吐き出された時に、やっと銀行貸出は増加したのです。ここまでくると通常の(銀行貸出が増加する形での)景気回復局面にきたということです。 削除

2009/4/29(水) 午後 1:11 [ . ] 返信する

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要約すると、デフレは誰もがリスクをとりたがらない=リスクをとるのが合理的でない=キャッシュへの流動性選好が高まっている状態なのです。

つまりは、デフレから回復するには銀行貸出の増加は必須ではありません。必須どころか、デフレ下で銀行からお金を借りるのは合理的な行動ではないためです(=実質金利が高まっている)。

結局、デフレから回復するためには、市中の経済主体が合理的にリスクを取れる状態(=合理的な投資機会の存在)にすることが大事なのです。

不況下では、誰もがリスクをとりたがらない結果、市中に退蔵マネーばかりが増えるため、結局経済活動にお金が使われないため、不況が起こるという合成の誤謬が起こっています。

この時必要なことは、中央銀行がリスクをとって(とかいうと劇的ですが、実際はそんなリスクでもないんですが)金融緩和を行うことが大切なのです。 削除

2009/4/29(水) 午後 1:12 [ . ] 返信する

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わざわざ詳細な解説をありがとうございます。勉強になります。
やっぱり大手マスコミは財務省と対立したくないのかな?
陰険な取材拒否をされたりするのが怖いのかも。
どっちにしてもちっともよろしくないですね。 削除

2009/4/29(水) 午後 1:35 [ 鹿飛佐吉 ] 返信する

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イタリアといっしょにされるのはちょっと心配ですけど、たしかに反論にはもってこいの図ですね、すごいなぁ、こんなグラフ一発で作れるくらいになりたい

2009/4/29(水) 午後 2:21 [ こう ] 返信する

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マスコミは大蔵省時代からずぶずぶと言いますか、税や財務などの勉強会を大蔵省が開き、官僚から教えを受けています。(この時点でおかしいのですがw)
たとえ、ネガティブキャンペーンする気は無いとしても、官僚から教えられた知識しかないなら、そう書くしかないでしょうね。全員がそうだとは言いませんけど。

2009/4/29(水) 午後 2:23 [ alt ] 返信する

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こんにちは。
思うに、朝日新聞は日本国の破綻を心配するより、自社の破綻を真剣に回避することを考えたほうが、よっぽど建設的だと思うのですが。 削除

2009/4/29(水) 午後 2:46 [ うどんすき ] 返信する

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ヨッシーニさんの数字処理能力,グラフ化能力,問題分析能力には,誰も(おそらく赤字神さんでも)ついてこれないと思います。本当にうらやましい限りです。そして,いつもありがとうございます。
ただし,世の中は,まだ「借金は悪」と考える人が多いことも事実です。朝日新聞はともかくとして,2chでも圧倒的多数が「借金は悪」説,国債増刷派は国賊的な論調が多かったです。この人たちを説得しなければならないわけですが……。
2chでの国債増刷派の論理は「国の借金は国民の資産」というものでしたが,なかなか理解してもらえなかったようです。
一番説得力があるのは,やはり「実績」だと思います(イタリアの例,国債の金利の例,GDP比率の低い国の方が破綻している例)。
次に理論(乗数効果等)。そして,国家の通貨発行権の説明とその歴史(明治維新の例など)。

2009/4/29(水) 午後 4:15 [ おじゃま ] 返信する

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(済みません。続きです。)
世の中,「文系人間」が8割以上なので,数学的な説明よりも実績・実例を持ってくる方が説得には手っ取り早いと考えた次第です。まず,2chで,国債増刷派が多数説,少なくとも有力説にならなくては,まっとうな議論が始まらないのでは?と思いました。。。
(ヨッシーニさんの説明能力は,ある程度,数学的・統計的理解がある人には,大変な威力を発揮すると思います。)

2009/4/29(水) 午後 4:18 [ おじゃま ] 返信する

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アイスランド、韓国は借金できるほど国に信用が無いから黒字。
だけども、借金して積極的に政府が財政出動できないから外資に頼ってしまい、結果として今回の金融危機をもろかぶりしたと言う事ですかね。
ああ、合掌・・・

しかし、日本はバブルの時ですら、少ししか金余りは解消されていないんですね。それにビックリです。

2009/4/29(水) 午後 6:17 [ 丸坊主 ] 返信する

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朝日新聞は今月11日の経済面記事が秀逸だったんですがねぇ・・・

国債買い増し求める声じわり 日銀、内規たてに防戦
http://www.asahi.com/business/topics/economy/TKY200904100355.html

この記事を書いた堀口・織田両記者は銀行券ルールの撤廃と諸々の状況に応じられる新ルールへの移行を訴えたいのだと思われます。私も大賛成です。

経済部には良い記者がいるのに(日経を含め、他紙でここまで踏み込んだ記事はまだ見ていません)、最終的には政治部やら社会部やらの出身者が大手を振るのが朝日新聞の致命的欠点でしょうね。 削除

2009/4/29(水) 午後 6:22 [ HM ] 返信する

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おじゃまさんへ

BINGOOOOのご意見だと思います。
私も周囲に説明するとき、このヨッシーニさんのわかりやすい説明をさらにかみくだいて説明する必要性にせまられています。
私も文系なので歴史的実証性を加えて話しています。
そのネタを拾うためネットサーフィンしているとよくおじゃまさんのコメントに出くわしたり....
でも、それはヨッシーニさんにもやってほしいけど私たち文系のやることではないかなと思っています。
そのためにヨッシーニさんたちにお知恵を借りますので質問よろしく。 削除

2009/4/29(水) 午後 10:30 [ sato ] 返信する

もうアカヒやら変態の報道見るともう食傷ぎみです。一個でもいいから税金で借金を返してる国を挙げてみろよと。新聞紙上でも一番のくせものは

「〜という見方もある」
「〜という声もある」

という記事。ソースを出せと言いたいな。本当に。

2009/4/29(水) 午後 10:52 [ 古の碧き泉より ] 返信する

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おじゃま 様へ
>ヨッシーニさんの説明能力は,ある程度,数学的・統計的理解がある人には,大変な威力を発揮すると思います。
大変同意します。私は、このような数値での説明が最後には物を言うと思っています。これこそが技術だと思うからです。ただし、文系の方には過去例を引き出しても理解できないのではとも思っています。過去の自分の経験からして・・・特に団塊の世代の方には。。。

2009/4/30(木) 午前 8:34 [ 鉄人4号 ] 返信する

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satoさん。Xマンさん。コメントありがとうございます。
理系人間は,ときどき「これくらいは分かるだろう」と説明や前提を飛ばしたりすることがあります。当人には,当然のことでもその「(説明や前提の)わずかなところ」の説明を省いたために,説得力が欠けたりすることがよくあります。逆に,「分かってるよ!」というところをしつこく説明されたりして……
要するに,説明・説得のバランスが悪いのですね。頭のいい人にはありがちです。そこで,文系人間の出番。自分がどこでつっかえたが分かりますので,他の文系人間も「ここでつっかえるだろうな。」というところを説明すると,よく分かってもらえることがあります。
ですから,ヨッシーニさんの迷惑も顧みず,つまらない質問もさせてもらっています。自分が本当に分からなければ,とても説得などできませんから。(なまいきなことを言って済みません。)

2009/4/30(木) 午後 9:19 [ おじゃま ] 返信する

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韓国に仕事で行ってきました。

Mv = PY を会社に例えれば
M :貨幣供給量=資金投入量
v :貨幣の所得流通速度=売掛金回収または部材回転率
P :価格水準(デフレータ=販売粗利
Y :産出物の数量 (実質GDP)=製品生産量
会社に例えても、ごく真っ当な話です。すなわち
(1)売掛回収回転率を上げる。日本・韓国・中国等では掛け売り日数が非常に長いケースが多く、製造メーカの資金負担が大きい。
(2)従って、買い掛け含め現金決済にして回転率を上げる。その代り、政府が何らかの資金援助をする。
(3)右辺のPY=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出 で政府支出を増やせば、左辺MvすなわちMも増やす必要がある。これも理解できます。
(4)この式が Theory of Everythingでないのは、市場規模の概念が抜けていることです。物を作っても売れる相手がいない状況なのにです。 削除

2009/4/30(木) 午後 10:30 [ ken ] 返信する

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太田ひかるの番組で自民党の石破先生が金利が1%上昇すると金利負担が8兆円増えるといっていますが、金利が上がると国債の評価が下がるのは理解できますが、すでに発行している国債の金利も上がるのですか?今から発行する国債の金利が上がるだけでは無いのでしょうか?先生未熟な私に教えてください。金利が上昇すると発行済みの国債の金利も上昇するのですか?

2010/7/17(土) 午前 10:40 [ min*hon*007 ] 返信する

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min*hon*007さん

>今から発行する国債の金利が上がるだけでは無いのでしょうか?

仰るとおりであります。
固定金利の債券の場合、既発債(発行済み債券)の金利(クーポン利息)は変動しないので、発行者の金利負担が変化することはありません。

金利は変わらず、価格が変動して利回り(購入者の立場で見た場合の運用利回り)が変動するということになります。

固定金利債券の利回りの変動については、下の記事をご参照下さいませ。

米国債保有の損得【1】
http://blogs.yahoo.co.jp/eishintradejp/19563915.html

2010/7/20(火) 午前 9:21 [ ヨッシーニ ] 返信する

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(続きです)
発行者の金利負担は長期的には増加していくわけですが、その反対側で受益者の金利収益も増加して行き、円建てである限り、円建て資産の運用先に困るので、結局国債に戻ってくるということになりますね。

そして、「でも、円が買われなくなって…」という話になるのであれば、いま1ドル=86円台の円高なので、円安になってちょうど良いんじゃないでしょうか、としか言うことになりますね^^;。円安に振れれば外貨建ての対外資産の円評価額がドカンと上がり、その対外資産からの運用益も円建てで増額になるのでウハウハですし。

2010/7/20(火) 午前 9:23 [ ヨッシーニ ] 返信する

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