廣宮孝信の反「国家破産」論 ブログ

「国が財政危機と考えることこそが日本の危機」「財政黒字はむしろバブル崩壊の予兆の場合もある!」。【国債を刷れ!】著者のブログです

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消費税


社会保障の財源に関して、
鳩山さん:無駄遣いの削減で捻出する。
        与党は無駄を減らす前に消費税と借金に頼ろうとする


麻生さん:無駄削減だけでの十分な財源確保は非現実的
     3年後、経済好転を条件
     消費税引き上げも検討

のような応酬がありました。

麻生さんの考え方というのは、

社会保障の財源安定化のための一環として、
景気が良くなれば消費税増税も検討したいということなのですが、

消費税を財源安定化の手段としているのはなぜでしょう?


一言で言えば、

消費税は、所得税や法人税と比べて
税収が景気の変動に左右されにくいから

ということです。

法人税も所得税も、税率その他、税制がころころ変わるので、
時系列データで一概に比較できるものでもないのですが、

目安として、
消費税率が5%になった97年から、国税庁の時系列データでデータが載っている06年までの

消費税、所得税、法人税とGDPの推移グラフを下に示します。

イメージ 1

出典:国税庁

なお、細かいことですが、消費税はあくまで国税(4%分)だけです。地方消費税(1%)は入っていません。

また、消費税は、還付税額を控除した金額になっています。


消費税が、所得税・法人税と違って、GDPの変化にあまり影響受けていない様子が分かります。

むしろ、02年以降など、景気回復期に却って税収が減っていたりします。

これは、正直よく分からないのですが、

消費税の場合、輸出売上は免税というのがありますので、
輸出が増えると免税額が増えるので、
それで、税収が減っていたというのがあると思います。

なお、
この輸出免税の仕組みで輸出企業は優遇されている、ケシカラン、と主張される方もいらっしゃるのですが、
輸出企業は輸出先でしっかり消費税を徴収されますし、
原材料を国内に輸入するときもしっかり消費税を取られます。

よって、
輸出企業はこの仕組みで優遇されているわけでは全くありません。念のため。



ちょっと本題からそれましたが、

景気に左右されにくい安定税収源である消費税を、
社会保障の安定財源の一部として使いたい

ということには、一理あるわけです。


しかし、税収が景気に左右されない、安定しているということには、デメリットもあります。


無税国家は無理、という話のところで、
税金は、
景気の過度の加熱や落ち込みを緩和させるための安定化装置(スタビライザー)の役割を果たす。

この安定化装置としての税がないと、景気を制御するための手段が金融調節だけになってしまい、大いに不都合が生じる
のような話を書きました。


所得税や法人税のような累進的な性質をもつ税目は、

景気が落ち込むと税収が大きく減って、景気の減速を緩和し、

景気が良くなると税収が大きく増えて、景気の過熱を抑制する効果が出ますが、

安定的な消費税にはあまりその効果が見込めません



・国の借金そのものには何の問題もない(問題になるのは、国全体の外貨建て対外債務)

という大原則の下で、税金の存在意義を求めれば

・過度の景気変動を緩和するための安定化装置(スタビライザー)

以外にはないことになります。


となると、
この「景気の安定化装置」という観点からは
消費税の存在意義は極めて希薄になります。


が、

消費税は景気に左右されない安定財源である、

ゆえに、
社会保障の財源として消費税を増税することにより、
国民の社会保障に対する安心感が高まる

ゆえに、
病気や怪我、老後に備えて貯蓄する必要が小さくなる

ゆえに、
消費が盛り上がり、景気が良くなる

というような

多くの国民に安心感を与えることになる(かも知れない)効果が出てくる、ということは考えられます。


これはどちらかというと、経済的な効果よりは、心理学的な効果というべきものかと思います。


ということで、

消費税を増税するかどうかは、多くの国民がそれで安心感を高められるかどうかによって判断するのが妥当

つまり、

消費税増税は、国民の安心感を高めるのが目的であり、
その目的が達成ができなさそうであれば、敢えて増税する必要性はない

というのが、私の結論です。



最後に、

鳩山さんへの注文

与党は無駄を減らす前に消費税と借金に頼ろうとする
について。

「無駄」を減らして社会保障を充実させるということは良いことです。

 しかし、

 消費税はともかく、 
   
 借金に頼らない政府なんてあり得ません(政府紙幣を考えるなら別ですが)。


 貯蓄投資バランスを考えれば、
 たしかに、産油国など大きな経常黒字を常に確保できるような国は、
 石油が枯れるまでは政府も黒字経営で行けます

 しかし、
 それはアメリカのような莫大な経常赤字を出してくれる国が
 存在しなければ成り立ちません。

 
 世界全体で考えれば、
?H5>世界全体の民間貯蓄余剰 = 世界全体の政府赤字  ですから、

 世界中の政府が「無借金経営」をするためには、

 世界中の民間の貯蓄余剰(つまり、民間の黒字)
 常にゼロ以下でなければ成立し得ないのです。


 まず、
 このマクロ経済の根本原理をわきまえぬ限り
 正しい国家経済運営はあり得ません

 日本は、その辺の経済規模の小さな国ではなく、世界第二位の経済大国です。

 そんな国の政府が黒字経営、無借金経営を目標にするなど、
 この世界にとって迷惑以外の何者でもありません

 「政府は借金に頼るべきではない」というのは
 口が裂けてもおっしゃらない方が賢明であります。

 なぜなら、
 政府が常に赤字であるべきでないと言うのは、
 民間は常に貯蓄すべきではないと言っているに等しいからです。


麻生さんへの注文

 私は消費税増税には賛成できません。

 というのは、
 税というものの本質的な役割は、
 過度の景気変動を和らげるための安定化装置であると考えるからです。

 消費税は景気の安定化装置には向きません

 
 しかし、
 
 景気変動に税収があまり左右されない消費税を増税することで、
 社会保障費の財源の安定性を高めることによって、
 国民の安心感を高めたい

 という目的については理解できます。

 増税が目的なのではなくて、
 消費税という税目の性質(景気に左右されない安定性)に着目した
 社会保障費の財源の安定化が目的

 ということをもっと強調しましょう。

 この意味での消費税増税の究極の目標は国民の安心感を高めることですので、

 当の国民の安心感が確実に高まるような言い方を工夫する必要があります。

「本当は『政府の財源は借金にも頼る。政府の無借金経営なんて、民間が無貯蓄経営でなければあり得ないのだから!!!』と、国会でも堂々と言えると良いんだけどなぁ…」と思われた方は↓こちらのリンクのクリックをお願い致しますm(_ _)m

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閉じる コメント(15)

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こんにちは。
傑作でございます<(_ _)>
こういう風に、ビシッと決めてくれる政治家や、ジャーナリストが増えると、少しはわからないものもわかりやすくなると思うのですが……。 削除

2009/6/18(木) 午後 5:21 [ うどんすき ] 返信する

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政府の赤字が減る→民間の黒字が減る→今以上に不景気になる→広告費が減る→マスコミは鳩ピョンを応援する

後ろ2つの、論理的繋がりがわからないwww(笑

2009/6/18(木) 午後 7:27 [ 丸坊主 ] 返信する

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グラフを見て思ったんですけど、所得税・法人税の税収は意外に安定してるモノなんですね。

これだけ安定してるならば 「直接税の税収」 と 「公債の対名目GDP比」 が逆循環的になるような財政基準を新たに作っちゃえば、事足りてしまう様に感じるのですが・・・ 削除

2009/6/18(木) 午後 8:46 [ HM ] 返信する

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HM様のおっしゃるとおりですね。

私も消費税増税は反対です。国民に安心感を与えるためには、もっと情報を国民にくれたほうが良いと思っています。

そのようなことで、社会保障カード導入に力を入れて未来に安心感を与えるシステムを作って欲しいです。

2009/6/18(木) 午後 10:31 [ 鉄人4号 ] 返信する

「国債を刷れ!」を麻生事務所に送るべきでせうか?

2009/6/18(木) 午後 10:51 [ 古の碧き泉より ] 返信する

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初めましてかな?
輸出免税についてですが、下請けいじめには使われているようです
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CD%A2%BD%D0%CC%E1%A4%B7%C0%C7

2009/6/18(木) 午後 10:51 [ kanamoji ] 返信する

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Xマン様

『バカヤロー経済学』という本で高橋洋一氏が匿名の先生役として出ているのですが、意外なことに彼も消費税増税に反対でした。消費に対する金融引き締めのような効果がある、と。彼は単純労働者移民にも反対しています。どうやら彼は、中川秀直氏に切り捨てられて一切の遠慮をやめたようですね。

賛否があるのは承知ですが 「租税・社会保険口座」 と 「租税・社会保険カード」 があれば税・保険料の支払いが楽になるのはもちろん、取り逃しがほぼ無くなるし、効果的な還付・給付ができるし、徴収コストも減ります。個人番号の悪用を避けたいなら 「租税・社会保険カード」 は1年毎に新番号をつけて更新し、1年毎に本人の住所に送ればいいんです。

社民党・共産党の消費税反対論が狂ってるから意地を張るのはわかるんですが、だったら 「租税・社会保険口座」 と 「租税・社会保険カード」 でやつらをムチ打ちながら消費税率を据え置くか下げれば財務省のメンツも立つ、と思うんですよねえ・・・ 削除

2009/6/18(木) 午後 10:54 [ HM ] 返信する

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とてもわかりやすかったです。 削除

2009/6/18(木) 午後 11:49 [ てゆば ] 返信する

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本日のブログは傑作!
消費税増税という疑念が払拭できました。

「社会保障費の財源の安定性を高めることによって、国民の安心感を高めたい」というのは支持します。だが、橋本政権のときに消費税を増税した結果、経済回復に冷や水を浴びせたことは周知の事実。

ただ、自分の考えとして、
麻生総理は、これから増加する社会保障費の負担を、高齢者を含む国民全体から税金を安定的に徴収して、若い世代の負担を減らそうとしているのではないかと思ってます。財産を多く持っているのは、高齢者ですしね。
しかし、やはり消費税増税の結果、消費は落ち込み、橋本政権の二の舞になってしまいそうな気がします。

ミラクルな展開は、現在の補正予算と将来の消費税増税で、現在の消費活動を活性化させ、消費税増税が将来立ち消えすることだと思います。

2009/6/19(金) 午後 1:25 [ chocomon ] 返信する

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私は消費税の増税なんかしなくていいし、無くしてもいいと思ってるわけですが。

もしどうしても景気回復後の消費税の増税がやりたいなら、不安を払拭するためにこういえばいいんです。実質成長率3.0%に達したら0.何%上げます、実質成長率3.5%に達したらさらに0.何%上げます、と。

これなら成長率目標に向かって努力できますし、0.何%づつ上げるくらいならそれほど打撃はないはずです。 削除

2009/6/19(金) 午後 4:07 [ HM ] 返信する

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HM 様
そのような目標設定に同意します!
このような前向きな目標それも数字にこだわる目標ってとても説得力ありますよね。

ただ、政治家さんたちはこのような細かい数値目標は理解できないと思いますが。

2009/6/19(金) 午後 4:28 [ 鉄人4号 ] 返信する

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なんで消費税は景気に左右されづらいんですかねー?
GDP=最終消費の総額=各商品の粗利の総和でしょう?
消費税は消費の価格につく税な訳ですから、消費が増えれば税収増、消費が冷え込めば税収減のような気がしますけどねー?
なんで、消費税集は消費に比例しないんですか?
不思議だ・・・ 削除

2009/12/12(土) 午前 0:00 [ にこりん ] 返信する

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ありゃ、変換が・・・

消費の価格→商品の価格
消費税集→消費税収

俺は麻生太郎か・・・ 削除

2009/12/12(土) 午前 11:27 [ にこりん ] 返信する

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>にこりん様

累進性があるかないかの違いですね。
所得税や法人税は、収益によって税率が増えたり減ったりするので、景気によって税収の増減の幅が大きくて、消費税は一定の税率なので、それらに比べて増減の幅が小さいから景気に左右されにくいということでしょう。

あと、麻生太郎の漢字の間違いを馬鹿にしていた民主党の議員も漢字の間違いをしてたので、あまり気にしなくてもいいと思います。

2009/12/12(土) 午後 2:54 [ alt ] 返信する

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あ、そっかー。
累進性がある分、変動幅が増幅されるのか!
うーん、言われないと気付かないようじゃ竹中たちにすぐ騙されちゃうな。
偉え人たちには二度と騙されたくねーし。

教えてくれてありがとう。 削除

2009/12/12(土) 午後 6:55 [ にこりん ] 返信する

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