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去年、 中国の米国債保有高が、日本を抜いて世界一 と言う話がニュースになりました。 その元資料はこちら→ 米財務省 http://www.treas.gov/tic/mfhhis01.txt そのとき(昨年9月)の日本の保有高が 617.5 Billion (約61.2兆円) で、最新(今年の4月)が 685.9 Billion (約68.6兆円) となっています。 7ヶ月で7兆円近く増えていますね(+11%)。 さて、 この、「中国の」「日本の」というのが、 私はてっきり「中国政府の」とか、「日本政府の」 ということだと思っていたのですが、実は、違っていることに気がつきました。 上記資料の下のほうで、 Grand Total 3262.6 Of which: For. Official 2253.6 (単位は全部Billion$。「For.」はForeign。For. Officialは外国の公的機関) とあるので、 民間もあわせた中国全体、日本全体というわけです。 中国は為替介入もあって増えているようですが、 日本の場合、単に円高ドル安と見て、民間が米国債の保有を増やした模様です(勝手に推定)。 まあ、いずれにしましても、 日本は国全体として、60兆円とか70兆円もの米国債を持っているわけです。 ところで、 この状況について、 「日本はアメリカに貢がされている」とか 「アメリカに無理やり米国債を買わされている」、 「アメリカ人に騙されている」という説があったりもするのですが… このような説を検証すべく、 とりあえず、過去10年の米国債の運用利回りについて見てみたいと思います。 その運用利回りについては、 米国債で運用するアメリカの上場投資信託(ETF)の資料を参考に調べてみました: ↓下の表、上段はドルベース、下段は円ベースです。 比較のために、 エマージング(新興国)債券ファンド、 社債ファンド(投資適格とハイイールド) あと、 野村の日本国債による運用の指数 も並べてみました。 まず、 上段のドル建てのものを見てみましょう。 過去10年で、最も運用成績が良かったのが、 新興国債券(米ドル建て)だったわけです。 まあ、新興国債券は金利が高いので納得ですね。 で、その次に来るのが、 意外にも超長期米国債(20年超のみ)で運用するものでした。 普通に考えると、 国債よりも利回りが良いはずの、社債 で運用したのよりも、 圧倒的に運用成績が良かったわけです。 で、 意外にも一番運用成績が悪かったのが、高利回り(ハイイールド)の社債です。 ↑そして、そのハイイールド社債よりも運用成績が良かったのが日本国債(10年物を償還まで保有する方法)による運用でした。 あらゆる債券の中でも、恐らくは世界最低の金利を誇る我らが日本国債による運用成績も、こう見れば、意外に悪くないわけです(ドル建てだと、10年で1.4倍) ハイイールド社債ファンドが悲惨なのは、金利が高い分、ヤバイ会社の債券もいっぱい含まれていたので、この金融危機で貸倒れたような企業の債券も少なからず含まれていたのかも知れないですね。 (同じ高金利でも、新興国債券はしっかり儲かってた、つまり、やはり、「政府」と名のつくものは、基本的には企業よりは安定するわけです。当たり前ですが!) さて、 本日の主役、米国債に話を戻すと、 過去10年、1.24倍の円高になったにも関わらず、 為替変動を考慮に入れても、 米国債による運用は、長期モノによる運用でも、短期モノによる運用でも、全て、 日本国債(平均残存年数5年)に勝っているわけです。 これは、私としましては、かなり意外でした。 ドル建てだと、 20年超モノで運用していたら、10年で倍以上、 7−10年モノでの運用でも倍近くになっているわけです。 (といっても、 分配金を全て無税で再投資、複利運用した場合という、結構特殊な条件です… おっと、 日本政府なら無税でがっちり運用可能ですね!!!) さて、 しかし、です。 30年物の米国債については、過去10年、金利は6%−4%程度で推移していました。 その程度の金利で、なぜ10年で倍以上にもなったのか? という疑問も湧くわけですが、 これは、 単純に「金利」だけでなく、 金利水準がほぼ一貫して下落傾向にあったことにより、 債券価格が上昇し続けたことが原因と考えられます。 が、 金利水準が一定であったとしても、 実は、 債券の場合、値上がり益が期待できます。 というのは、 債券の金利というのは通常、短期モノの方が低くなっているからです(たまに、そうはならない場合もあります)。 下のグラフは、 今日の時点で横軸に債券の残存期間、縦軸に金利を取ったものです。 (これを「Yield Curve(イールドカーブ)」と呼びます) 左に行くほど、つまり、残存期間が減っていくに連れて、金利が低くなっていますね。 さて、 上記のイールドカーブが、仮に今後もずっと固定、変化しないと仮定した場合の、 30年物、新発、4.34%、発行時価格100の 債券の価格が 残存期間が短くなるに連れてどう推移するか、見てみましょう: 残存5年のとき、価格が最大になっています。 このときに売れば、毎年(正確には半年ごと)に受ける金利以外にも、 +8.5%の収益が得られることになります。 (債券価格の計算方法は 一言で言えば、「割引現在価値」で計算されますが、 ややこしいので詳細は省略します。 ということで、 上記の米国債ファンドが「10年で元手が倍以上」という好成績を挙げている理由の一つは、 上記のような手法を使っているのではなかろうかと推定されるわけであります。 (ちなみに、上で挙げた野村の日本国債指数では、どうやら10年物を償還されるまで持っているみたいなので、このような価格差益は入っていないと思います) |
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